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<第二章 第2話>
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<第二章 第2話>
「スノーティ! スノーティ! 窓から刺客よ!」
アイシアが、そう、大声で叫んだ。
刺客が、窓を開けようとした。
だが、開かなかった。
押しても開かないため、引いて開けようとしたが、開かなかった。
かんぬきは、一つだけではなかったからだ。
木製窓の下部には、左の扉にも右の扉にも、鉄製のかんぬき型の鍵が、縦に設置されている。小型のかんぬきだが、木製の窓枠に差し込むタイプだ。窓枠自体を破壊しないかぎり、窓を開けることはできない。
アイシアは叫びながら、枕の下から短剣を取り出した。鞘に入ったままで、まだ鞘からは抜かない。左手で鞘の部分をつかんだまま、ベッドから跳び降りた。
スマーティアも叫び始めた。
「スノーティ様! 寝室の窓から刺客です!」
そう叫びながら、ドアに向かって走った。レイニーを抱きながら。
ニーティアも、枕の下から短剣を取り出した。
アイシアがニーティアに命じた。サニアとクラウディアを守るように、と。
スマーティアがドアにたどり着いた。ドアを開けると同時に、大声で叫んだ。
「スノーティ様! スノーティ様! 寝室の窓から、刺客が侵入しようとしています!」
寝室の隣は広い居間で、居間の向こう側にメイド部屋がある。メイド部屋の手前側はキッチンとダイニングルームで、メイドたちの休憩室でもある。その奥にメイド用の寝室があり、スノーティとミルキア夫婦と、娘のスイーティアの三名が居住している。
刺客が、窓を強く叩き始めた。音からすると、金属で木製ドアを叩いているようだ。剣のグリップの底部だろう。
もう、木製の窓枠が持ちそうにない。今にも壊れそうだ。
そのときだった。
スノーティが駆け込んできた。寝室に。左手には、鞘に入った長剣を携えている。
アイシアとスノーティが、アイコンタクトを交わした。
すばやく、スノーティが移動した。窓のほうへ。窓脇の壁に、背中をつけた。長剣を鞘から抜きながら。
その長剣は細身だったが、剣の芯の部分は厚みがあるため、重量は結構ありそうだ。
細身の長剣を振り上げた。
刺客は、木製窓を叩き続けている。
窓枠が、壊れて外れそうだ。
その直後だった。
突如、静寂が訪れた。
刺客が、木製窓を叩くのをやめたのだ。
室内にいた全員が、そのまま身動きもせずに、木製窓を注視した。一言も発することなく。
アイシアとメイド二名は、全員、短剣を手にしていた。三人とも、すでに鞘から短剣を抜いている。
スマーティアは、スノーティが寝室に来た直後に、腰の後ろに隠していた短剣を取り出した。
数秒間、静寂が流れた。
どす黒い感情が、窓から離れるのを感じた。
刺客は、あきらめたのだ。木製窓が開かないために。
窓を開けられないと、室内に侵入できない。木製ドアは頑丈なため、木製窓以上に開けるのが困難だ。
それに、アイシアたちが、スノーティを呼んだせいもあるだろう。彼は、アイシアの護衛役として、この国に一緒に来た。常に帯剣し、アイシアのそばに控えている。
刺客は、一名だったようだ。そのため、室内に剣士が一名いるだけで、王子の暗殺が困難だと判断したのだ。
張り詰めた空気は、数十秒間続いた。
百秒以上たって、スノーティが振り上げていた長剣を下ろした。
だが、アイシアは気を緩めない。小声でニーティアに指示を出し、守りやすい位置に移動させた。自分自身も、スマーティアのそばに移動した。レイニーを守りやすいようにだ。
居間のほうから小声で呼ぶ声が聞こえた。ミルキアだ。彼女も、短剣を手にしている。
「アイシア様、ご無事ですか?」
「あなたは居間の窓を見張りなさい」
アイシアが小声で指示した。
それから数分間、全員の空気は張り詰めていた。
だが十数分後、ようやく刺客が去ったと確信し、全員、剣を鞘に収めた。
ミルキアが、アイシアのためにハーブティーを入れて来た。
これで、真夜中の暗殺未遂事件は終了した、と思った。
だがその考えは、甘かった。
刺客を送った側は、この程度では、あきらめなかったのだ。
「スノーティ! スノーティ! 窓から刺客よ!」
アイシアが、そう、大声で叫んだ。
刺客が、窓を開けようとした。
だが、開かなかった。
押しても開かないため、引いて開けようとしたが、開かなかった。
かんぬきは、一つだけではなかったからだ。
木製窓の下部には、左の扉にも右の扉にも、鉄製のかんぬき型の鍵が、縦に設置されている。小型のかんぬきだが、木製の窓枠に差し込むタイプだ。窓枠自体を破壊しないかぎり、窓を開けることはできない。
アイシアは叫びながら、枕の下から短剣を取り出した。鞘に入ったままで、まだ鞘からは抜かない。左手で鞘の部分をつかんだまま、ベッドから跳び降りた。
スマーティアも叫び始めた。
「スノーティ様! 寝室の窓から刺客です!」
そう叫びながら、ドアに向かって走った。レイニーを抱きながら。
ニーティアも、枕の下から短剣を取り出した。
アイシアがニーティアに命じた。サニアとクラウディアを守るように、と。
スマーティアがドアにたどり着いた。ドアを開けると同時に、大声で叫んだ。
「スノーティ様! スノーティ様! 寝室の窓から、刺客が侵入しようとしています!」
寝室の隣は広い居間で、居間の向こう側にメイド部屋がある。メイド部屋の手前側はキッチンとダイニングルームで、メイドたちの休憩室でもある。その奥にメイド用の寝室があり、スノーティとミルキア夫婦と、娘のスイーティアの三名が居住している。
刺客が、窓を強く叩き始めた。音からすると、金属で木製ドアを叩いているようだ。剣のグリップの底部だろう。
もう、木製の窓枠が持ちそうにない。今にも壊れそうだ。
そのときだった。
スノーティが駆け込んできた。寝室に。左手には、鞘に入った長剣を携えている。
アイシアとスノーティが、アイコンタクトを交わした。
すばやく、スノーティが移動した。窓のほうへ。窓脇の壁に、背中をつけた。長剣を鞘から抜きながら。
その長剣は細身だったが、剣の芯の部分は厚みがあるため、重量は結構ありそうだ。
細身の長剣を振り上げた。
刺客は、木製窓を叩き続けている。
窓枠が、壊れて外れそうだ。
その直後だった。
突如、静寂が訪れた。
刺客が、木製窓を叩くのをやめたのだ。
室内にいた全員が、そのまま身動きもせずに、木製窓を注視した。一言も発することなく。
アイシアとメイド二名は、全員、短剣を手にしていた。三人とも、すでに鞘から短剣を抜いている。
スマーティアは、スノーティが寝室に来た直後に、腰の後ろに隠していた短剣を取り出した。
数秒間、静寂が流れた。
どす黒い感情が、窓から離れるのを感じた。
刺客は、あきらめたのだ。木製窓が開かないために。
窓を開けられないと、室内に侵入できない。木製ドアは頑丈なため、木製窓以上に開けるのが困難だ。
それに、アイシアたちが、スノーティを呼んだせいもあるだろう。彼は、アイシアの護衛役として、この国に一緒に来た。常に帯剣し、アイシアのそばに控えている。
刺客は、一名だったようだ。そのため、室内に剣士が一名いるだけで、王子の暗殺が困難だと判断したのだ。
張り詰めた空気は、数十秒間続いた。
百秒以上たって、スノーティが振り上げていた長剣を下ろした。
だが、アイシアは気を緩めない。小声でニーティアに指示を出し、守りやすい位置に移動させた。自分自身も、スマーティアのそばに移動した。レイニーを守りやすいようにだ。
居間のほうから小声で呼ぶ声が聞こえた。ミルキアだ。彼女も、短剣を手にしている。
「アイシア様、ご無事ですか?」
「あなたは居間の窓を見張りなさい」
アイシアが小声で指示した。
それから数分間、全員の空気は張り詰めていた。
だが十数分後、ようやく刺客が去ったと確信し、全員、剣を鞘に収めた。
ミルキアが、アイシアのためにハーブティーを入れて来た。
これで、真夜中の暗殺未遂事件は終了した、と思った。
だがその考えは、甘かった。
刺客を送った側は、この程度では、あきらめなかったのだ。
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