絶体絶命ルビー・クールの逆襲<救出編>

蛇崩 通

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<エピローグ 第3話>

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  <エピローグ 第3話>
 ルビー・クールは、カジノから出る前に、ハーレムの女たちに、問いかけた。
 エルザのもとでメイドとして働くか、それとも、退職金をもらってハーレムを出て行くか、を。
 ハーレムから出て行く者には、ルビー・クールが、住宅の賃貸契約や新しい仕事について、支援することを伝えた。
 彼女たちの新しい仕事としては、レストランやカフェの料理人の仕事が良いのではないか、と伝えた。
 なぜなら、彼女たちの料理やスイーツ作りの腕は、一流に近いからだ。
 彼女たちは、もともとは、たいした料理を作れなかった。なぜなら、貧しい農村の出身だったからだ。
 カネを稼ぐために、十代半ばから後半のときに、帝都に出てきた。
 いろいろあり、様々な偶然も重なって、クレイジー・ドッグの愛人になった。
 クレイジー・ドッグは彼女たちに、料理の修業をさせた。
 もちろん、自分のためだ。彼女たちに、うまい手料理を作らせるためだ。
 カジノの一階には、高級レストランがあり、一流のシェフがいる。彼のもとに通わせ、料理と菓子作りを学ばせた。
 その後、彼女たちは毎日、ハーレムの中のキッチンで、クレイジー・ドッグのために、手料理を作るようになった。それに、パイやケーキを焼き、各種スイーツも、手作りした。もちろん、交代でだが。
 ハーレムは、クレイジー・ドッグが外出する際は、外側から南京錠で施条される。
 よって、食材のハーレムへの搬入は、彼が在室しているときだけだ。毎週、週に一回のペースで、様々な高級食材が、搬入されていたそうだ。
 ハーレムには、電気、ガス、水道が通っている。
 内線電話も、ある。非常時以外は、彼女たちが電話をかけることは、禁止されていたが。
 そのため彼女たちは、ハーレムで、物質的には、不自由のない生活を送っていた。
 外に出る自由は、なかったが。
 とはいえ、貧しい農村出身の彼女たちにとっては、満足できる良い生活だったようだ。
 だが、六名のうち三名が、ハーレムから、出て行く決意をした。
 ハーレムの女ボスと、二十歳代後半の女二名だ。
 イザベラという名前だった。ハーレムの女ボスは。
 おそらく、自分よりもかなり若いエルザにしたがうのは、プライドが許さなかったのだろう。
 一方、ハーレムに残ることを選んだのは、若い女たちだ。二十歳前後の二名と、二十歳代前半の女、計三名だ。彼女たちは、エルザに、メイドとして仕える道を選んだ。
 二十歳前後の二名、最初にルビー・クールに襲いかかった女たちは、エルザを「ねえさん」と呼んで、したうようになっていた。わずか一晩、一緒に過ごしただけで。
 エルザの本当の年齢を、知らないからだろう。貴族や平民富裕層の若者は、一般庶民よりも、三歳ほど年上に見える。子ども時代の栄養状態に、大きな差があるからだ。
 その三人は、身長も、エルザよりも五センチから十センチメートルほど低かった。
 エルザは、彼女たちから慕われて、満更まんざらでもなさそうな顔をしていた。
 ハーレムから出て行くイザベラたちは、退職金として、十万キャピタ(著者注:日本円で一千万円相当)を、エルザから受け取った。そのカネは、金庫にあった金貨のエルザの取り分から、出した。
 ルビー・クールは、自分の残りの取り分の金貨を、エルザから受け取った。その金額は、百八十万キャピタ(著者注:日本円で一億八千万円相当)弱だった。
 午後四時過ぎ、ルビー・クールは、イザベラたち三名を連れて、南一区北東エリアに向かった。
 午後五時の少し前、到着した。イザベラたち三名を、高級ホテルに泊まらせた。高級と言っても、高級ホテルの中では、一番安い部類だったが。
 帝都大乱十一日目が、終了した。

   第4話に続く
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