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<エピローグ 第6話>
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<エピローグ 第6話>
午後二時過ぎ、ルビー・クールたちは銀行を出て、不動産屋に向かった。サファイア・レインの案内で。
不動産屋に、いくつかの物件を、見せてもらった。
その場で、即決した。ルビー・クールが。サファイア・レインとパール・スノーの意見も、聞いた上で。
南帝都女性友愛会フロスハーフェン市支部の事務所は、中央円形広場に面した建物の一階に、決めた。
職業訓練センターは、中央円形広場の外側、つまり、裏通りの商店街の建物に決めた。
被害者女性たちの住居は、裏通り商店街のさらに外側にあるアパートを、必要数、確保した。
家賃は、中央円形広場から見て、外側に行けば行くほど、低下していく。
食堂は、裏通り商店街にある閉店したばかりの食堂を、居抜きで借りた。
その後、不動産屋に紹介してもらった職人たちに来てもらい、事務所、職業訓練センター、食堂の看板制作と改装について、頼んだ。
すべてを終えてホテルに着いたときには、午後六時を過ぎていた。
グランドパレスホテルのスイートルーム前では、リリアの姉ミラが待っていた。
あらかじめ、呼んでおいたからだ。
「二人には、話したいことがあるの。中に入ってちょうだい」
リリアたち二人には、ソファーに座ってもらった。
ローテーブルをはさんで、向かい側に、ルビー・クールが座った。
「まずは、リリアへの話よ。リリア、今日の午後は、あちこちつきあわせて、悪かったわね」
「いいえ。こちらこそ、荷物持ちのお給金をいただいているのに、なにも持つ物がなくて、すみません」
彼女には、事前に話しておいた。銀行に行く前に。慈善団体のフロスハーフェン市支部で働いてもらいたいから、いろいろ見てもらいたい、と。
「フロスハーフェン市支部では、あなたに任せたい仕事があるの。もちろん、給料は払うわよ」
「はい。喜んで。なんでもします」
「任せる仕事は、支部長よ」
絶句した。リリアが。
「えっ! 支部長はルビー様では?」
「あたしは、ほかの町でも慈善活動を、しなきゃいけないから。だから、この町の支部は、信頼できる人に、支部長を務めてもらいたいのよ」
リリアは、ルビー・クールに忠実だ。中央円形広場で、ニコラウスから助けたからだろう。それに、姉のミラも救出した。
「だけど、あたしなんかが支部長だなんて、どうすれば良いかも分からないですし……」
「だいじょうぶよ。するべき仕事は、あらかじめ指示しておくし、定期的に手紙のやりとりをして、必要な指示は、あたしが手紙で指示するわ」
リリアの表情が、曇った。
「あたし、難しい文字は読めないですし……」
「だいじょうぶよ。あなたの読み書きの能力なら、手紙での報告もできるし、指示書も読めるはず。それに、読めない文字は、辞書を使えば良いのよ。明日の朝九時に、書店に、辞書を買いに行きましょう」
書店は、中央円形広場に、一軒だけある。
ルビー・クールが、言葉を続けた。
「なお、あたしたち三人は、明日の午前十一時半の列車で、この町を立つわ」
「えっ!」
衝撃を受けた顔をした。リリアが。
「次は、いつ来るんですか?」
「再来週の土曜日に、様子を見に来る予定よ」
リリアは、ホッとした表情になった。
「当面は、一ヶ月に一度か二度、様子を見に来るわ。支部の運営が軌道に乗ったら、手紙のやりとりだけに、なるけど。手紙による報告は、最初は週に一回、その後は隔週ね。支部の運営が順調に進むようになったら、一ヶ月に一度で良いわ」
ルビー・クールは、そこで言葉を切り、リリアを見つめた。
リリアは、逡巡していた。自分にできるかどうかに、ついてだ。
「あなた一人で背負う必要は、ないわ。わからないことや迷ったことは、支部のほかのメンバーに相談しながら、解決していけば良いのよ。どう? 支部長、引き受けてくれない?」
リリアは、意を決した表情となった。
「わかりました。がんばります」
笑顔を浮かべた。ルビー・クールが。
「助かるわ」
その三秒ほどあと、ルビー・クールの表情が、暗くなった。
「実は、あなたたちシュミット姉妹に、伝えなければならない大切な話が、あるのよ」
そう口にしたルビー・クールの表情は、悲しげだった。
午後二時過ぎ、ルビー・クールたちは銀行を出て、不動産屋に向かった。サファイア・レインの案内で。
不動産屋に、いくつかの物件を、見せてもらった。
その場で、即決した。ルビー・クールが。サファイア・レインとパール・スノーの意見も、聞いた上で。
南帝都女性友愛会フロスハーフェン市支部の事務所は、中央円形広場に面した建物の一階に、決めた。
職業訓練センターは、中央円形広場の外側、つまり、裏通りの商店街の建物に決めた。
被害者女性たちの住居は、裏通り商店街のさらに外側にあるアパートを、必要数、確保した。
家賃は、中央円形広場から見て、外側に行けば行くほど、低下していく。
食堂は、裏通り商店街にある閉店したばかりの食堂を、居抜きで借りた。
その後、不動産屋に紹介してもらった職人たちに来てもらい、事務所、職業訓練センター、食堂の看板制作と改装について、頼んだ。
すべてを終えてホテルに着いたときには、午後六時を過ぎていた。
グランドパレスホテルのスイートルーム前では、リリアの姉ミラが待っていた。
あらかじめ、呼んでおいたからだ。
「二人には、話したいことがあるの。中に入ってちょうだい」
リリアたち二人には、ソファーに座ってもらった。
ローテーブルをはさんで、向かい側に、ルビー・クールが座った。
「まずは、リリアへの話よ。リリア、今日の午後は、あちこちつきあわせて、悪かったわね」
「いいえ。こちらこそ、荷物持ちのお給金をいただいているのに、なにも持つ物がなくて、すみません」
彼女には、事前に話しておいた。銀行に行く前に。慈善団体のフロスハーフェン市支部で働いてもらいたいから、いろいろ見てもらいたい、と。
「フロスハーフェン市支部では、あなたに任せたい仕事があるの。もちろん、給料は払うわよ」
「はい。喜んで。なんでもします」
「任せる仕事は、支部長よ」
絶句した。リリアが。
「えっ! 支部長はルビー様では?」
「あたしは、ほかの町でも慈善活動を、しなきゃいけないから。だから、この町の支部は、信頼できる人に、支部長を務めてもらいたいのよ」
リリアは、ルビー・クールに忠実だ。中央円形広場で、ニコラウスから助けたからだろう。それに、姉のミラも救出した。
「だけど、あたしなんかが支部長だなんて、どうすれば良いかも分からないですし……」
「だいじょうぶよ。するべき仕事は、あらかじめ指示しておくし、定期的に手紙のやりとりをして、必要な指示は、あたしが手紙で指示するわ」
リリアの表情が、曇った。
「あたし、難しい文字は読めないですし……」
「だいじょうぶよ。あなたの読み書きの能力なら、手紙での報告もできるし、指示書も読めるはず。それに、読めない文字は、辞書を使えば良いのよ。明日の朝九時に、書店に、辞書を買いに行きましょう」
書店は、中央円形広場に、一軒だけある。
ルビー・クールが、言葉を続けた。
「なお、あたしたち三人は、明日の午前十一時半の列車で、この町を立つわ」
「えっ!」
衝撃を受けた顔をした。リリアが。
「次は、いつ来るんですか?」
「再来週の土曜日に、様子を見に来る予定よ」
リリアは、ホッとした表情になった。
「当面は、一ヶ月に一度か二度、様子を見に来るわ。支部の運営が軌道に乗ったら、手紙のやりとりだけに、なるけど。手紙による報告は、最初は週に一回、その後は隔週ね。支部の運営が順調に進むようになったら、一ヶ月に一度で良いわ」
ルビー・クールは、そこで言葉を切り、リリアを見つめた。
リリアは、逡巡していた。自分にできるかどうかに、ついてだ。
「あなた一人で背負う必要は、ないわ。わからないことや迷ったことは、支部のほかのメンバーに相談しながら、解決していけば良いのよ。どう? 支部長、引き受けてくれない?」
リリアは、意を決した表情となった。
「わかりました。がんばります」
笑顔を浮かべた。ルビー・クールが。
「助かるわ」
その三秒ほどあと、ルビー・クールの表情が、暗くなった。
「実は、あなたたちシュミット姉妹に、伝えなければならない大切な話が、あるのよ」
そう口にしたルビー・クールの表情は、悲しげだった。
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