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第十五章 州警察来訪で絶体絶命 <第1話>
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<第十五章 第1話>
ルビー・クールは、鉄道の駅のホームに立っていた。ホームの出口近くだ。
赤い帽子をかぶり、首元には赤いスカーフを巻いている。
着ている服は、土曜日から同じで、臙脂色のジャケットとロングスカートだ。
現在は、ガンベルトは巻いていない。腋の下にも、ホルスターをつけていない。それらは、リリアが持つボストンバッグに入っている。万が一に備えて。
そのため、現在のルビー・クールは、オシャレな都会風美女に見える。
彼女の背後には、リリアの他に、メイドが二名、控えている。
それに、グランドパレスホテルのボーイ二名もいる。
加えて、近くには、二名の制服警官が、警備にあたっている。
もちろん、その制服警官たちは、ルビー・クールが任命した元兵士だ。
午前十一時過ぎ、蒸気機関車が到着した。
メイド二名が、それぞれ、大きな紙を開いて高く掲げた。
一枚には、「州知事関係者様」と書かれている。
もう一枚は「州警察関係者様」だ。
列車から、十数名の客が降りてきた。
すぐにわかった。
誰が、州知事関係者か。
背の高い紳士だ。引き締まった肉体は、帝国士官学校の出身を、うかがわせる。
身長や服装だけでは、平民富裕層と貴族とを、見分けることはできない。
だが、男の場合は、顔を見ればわかる。軍事訓練を受けたか否かが、表情に出るからだ。
一方、女の場合は、顔を見ても、貴族か平民富裕層かは、わからないことが多い。
彼は、貴族だ。おそらく、下級貴族。
重要な職務を任される下級貴族は皆、有能だ。
細心の注意を、払わなければ。
彼は三十歳代のため、帝国陸軍の予備役だろう。帝国士官学校を卒業後、帝国陸軍で十年間の任期を勤めた。その後、予備役となり、州政府に職を得た。
そんなところだろう。
「こんにちは」
笑顔で、声をかけた。ルビー・クールが。背の高い紳士に。
彼が、気づいた。ルビー・クールと、メイドが高く掲げた紙に。
近づいてきた。
口を開いた。背の高い紳士が。
「こんにちは。お嬢さん。ところでなぜ、私が来ることを知っていたのかね?」
微笑みながら、答えた。
「市議会議長の指示で、お待ちしておりました」
これで、思い込んだはずだ。ルビー・クールを、市議会議長の秘書だと。
ルビー・クールが身につけている衣服は、どれも上等だ。薄手のウールのジャケットも、絹製のブラウスやスカーフなども。
そのため、良家の子女だと思うはずだ。市議会議長の親族だと、思ったかも知れない。
少し、立ち話をした。
背の高い紳士は、州知事の秘書官の一人だった。
州知事には、秘書官長を筆頭に、十名を超える秘書官がいるようだ。
ルビー・クールが、ボーイに指示した。秘書官の荷物を、お持ちするように、と。
目つきの鋭い男二名が、近寄ってきた。
州警察の捜査官だろう。
彼らは、中肉中背だ。貴族でも平民富裕層でもない。平民の中所得層出身だろう。
彼らにも、声をかけた。
「ご案内します」
まるでツアーガイドのように、ルビー・クールが、先頭に立って歩き始めた。
その後ろを、ゾロゾロと集団がついて行った。
リリアとメイド二名、秘書官、捜査官二名、ボーイ二名、それに制服警官二名の集団だ。
ルビー・クールを含めて十一名だ。
鉄道駅の前には、馬車が三台、停まっていた。
一台目のドアを、制服警官の一人が開けた。ドアマンのように。
「どうぞ」
ルビー・クールが、秘書官に勧めた。続いて、捜査官二名にも。
「失礼します」
そう言ってから、ルビー・クールも乗り込んだ。
馬車の座席は、前方の席と後方の席が、向かい合っている。
後方の席には、秘書官が座っていた。
前方の席は、捜査官二名だ。
ルビー・クールは秘書官の隣に座り、ドアを閉めた。
すぐに馬車が、走り始めた。行く先は、あらかじめ伝えてある。
二台目はリリアとメイド二名が乗り込み、三台目は荷物を持ったボーイたちが乗り込む予定だ。制服警官二名は、そのまま駅に残り、警備にあたる。
馬車が走り始めるとすぐに、秘書官が尋ねてきた。
「土曜日の夜、市長が処刑されたというのは、本当かね?」
思った通りだ。
ここまでは、順調だ。
しかし、大切なのは、ここからだ。
ルビー・クールは、あらためて気を引き締めた。
ルビー・クールは、鉄道の駅のホームに立っていた。ホームの出口近くだ。
赤い帽子をかぶり、首元には赤いスカーフを巻いている。
着ている服は、土曜日から同じで、臙脂色のジャケットとロングスカートだ。
現在は、ガンベルトは巻いていない。腋の下にも、ホルスターをつけていない。それらは、リリアが持つボストンバッグに入っている。万が一に備えて。
そのため、現在のルビー・クールは、オシャレな都会風美女に見える。
彼女の背後には、リリアの他に、メイドが二名、控えている。
それに、グランドパレスホテルのボーイ二名もいる。
加えて、近くには、二名の制服警官が、警備にあたっている。
もちろん、その制服警官たちは、ルビー・クールが任命した元兵士だ。
午前十一時過ぎ、蒸気機関車が到着した。
メイド二名が、それぞれ、大きな紙を開いて高く掲げた。
一枚には、「州知事関係者様」と書かれている。
もう一枚は「州警察関係者様」だ。
列車から、十数名の客が降りてきた。
すぐにわかった。
誰が、州知事関係者か。
背の高い紳士だ。引き締まった肉体は、帝国士官学校の出身を、うかがわせる。
身長や服装だけでは、平民富裕層と貴族とを、見分けることはできない。
だが、男の場合は、顔を見ればわかる。軍事訓練を受けたか否かが、表情に出るからだ。
一方、女の場合は、顔を見ても、貴族か平民富裕層かは、わからないことが多い。
彼は、貴族だ。おそらく、下級貴族。
重要な職務を任される下級貴族は皆、有能だ。
細心の注意を、払わなければ。
彼は三十歳代のため、帝国陸軍の予備役だろう。帝国士官学校を卒業後、帝国陸軍で十年間の任期を勤めた。その後、予備役となり、州政府に職を得た。
そんなところだろう。
「こんにちは」
笑顔で、声をかけた。ルビー・クールが。背の高い紳士に。
彼が、気づいた。ルビー・クールと、メイドが高く掲げた紙に。
近づいてきた。
口を開いた。背の高い紳士が。
「こんにちは。お嬢さん。ところでなぜ、私が来ることを知っていたのかね?」
微笑みながら、答えた。
「市議会議長の指示で、お待ちしておりました」
これで、思い込んだはずだ。ルビー・クールを、市議会議長の秘書だと。
ルビー・クールが身につけている衣服は、どれも上等だ。薄手のウールのジャケットも、絹製のブラウスやスカーフなども。
そのため、良家の子女だと思うはずだ。市議会議長の親族だと、思ったかも知れない。
少し、立ち話をした。
背の高い紳士は、州知事の秘書官の一人だった。
州知事には、秘書官長を筆頭に、十名を超える秘書官がいるようだ。
ルビー・クールが、ボーイに指示した。秘書官の荷物を、お持ちするように、と。
目つきの鋭い男二名が、近寄ってきた。
州警察の捜査官だろう。
彼らは、中肉中背だ。貴族でも平民富裕層でもない。平民の中所得層出身だろう。
彼らにも、声をかけた。
「ご案内します」
まるでツアーガイドのように、ルビー・クールが、先頭に立って歩き始めた。
その後ろを、ゾロゾロと集団がついて行った。
リリアとメイド二名、秘書官、捜査官二名、ボーイ二名、それに制服警官二名の集団だ。
ルビー・クールを含めて十一名だ。
鉄道駅の前には、馬車が三台、停まっていた。
一台目のドアを、制服警官の一人が開けた。ドアマンのように。
「どうぞ」
ルビー・クールが、秘書官に勧めた。続いて、捜査官二名にも。
「失礼します」
そう言ってから、ルビー・クールも乗り込んだ。
馬車の座席は、前方の席と後方の席が、向かい合っている。
後方の席には、秘書官が座っていた。
前方の席は、捜査官二名だ。
ルビー・クールは秘書官の隣に座り、ドアを閉めた。
すぐに馬車が、走り始めた。行く先は、あらかじめ伝えてある。
二台目はリリアとメイド二名が乗り込み、三台目は荷物を持ったボーイたちが乗り込む予定だ。制服警官二名は、そのまま駅に残り、警備にあたる。
馬車が走り始めるとすぐに、秘書官が尋ねてきた。
「土曜日の夜、市長が処刑されたというのは、本当かね?」
思った通りだ。
ここまでは、順調だ。
しかし、大切なのは、ここからだ。
ルビー・クールは、あらためて気を引き締めた。
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