絶体絶命ルビー・クールの逆襲<炎の反逆者編>

蛇崩 通

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<第十三章 第3話>

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   <第十三章 第3話>
 ルビー・クールは、拡声器を使って呼びかけた。木造アパートのかげに身をひそめながら。
 「我々は新市警だ! 死神団の団員よ、武器を捨てて、おとなしく投降せよ!」
 発砲してきた。アジトの建物から。三階の窓だ。
 拳銃のようだ。
 ルビー・クールが潜んでいる場所からは、二十五メートル以上の距離がある。
 この距離のおかげで、近くには着弾しなかった。
 ルビー・クールが命じた。拡声器を使わずに。
 「台車三台、微速前進!」
 大型テーブルの陰に隠れながら、警官たちが前進し始めた。
 ギャングたちが、次々と発砲した。アジトの窓から。
 彼らは皆、台車に乗せた大型テーブルを狙った。
 だが、大型テーブルは分厚い木製のため、ふつうの拳銃弾が貫通することはない。
 ギャングたちの銃撃を、観察した。
 拳銃が十挺、単発式の猟銃が四挺だ。少なくとも、建物の正面に配備されているのは。
 大声で命じた。ルビー・クールが。
 「ライフル隊、射撃開始!」
 三個分隊六名の元兵士が、ライフル銃を発砲した。それに、サファイア・レインとパール・スノーも。
 もちろん、ルビー・クールもだ。
 少女三名の射撃は、正確だった。
 最初の一発目で、三階の窓にいる猟銃男三名を射殺した。
 元兵士の警官たちも、命中率が高かった。
 彼らは、射撃は、しばらくぶりだ。
 だが、もともと射撃が得意だった者に、ライフル銃をまかせた。
 距離も、二十五メートル強しかない。
 二発目の銃撃で、建物正面の敵十四名を射殺した。
 しかし、ギャングたちの士気も、それなりに高いようだ。
 彼らは、すぐに銃を拾い、発砲を続けた。
 建物の裏口や左右でも、銃声が聞こえ始めた。
 敵は、袋のネズミだ。
 敵に、逃げ道はない。
 ルビー・クールたちは、発砲を続けた。
 テーブルの陰に隠れた警官たちも、拳銃の発砲を始めた。
 ギャングたちの銃撃は、大型テーブルに集中した。
 予想通りだ。接近してくるテーブルが、気になるのだ。猛烈に。
 あたりまえだ。建物への接近を許せば、建物内に、警官たちが突入してくる。
 それは、ギャングたちにとって、大きな脅威だ。
 敵の銃撃が大型テーブルに集中しているすきを突き、ルビー・クールたちとライフル隊は、次々にギャングたちを射殺した。
 ルビー・クールたちは、五発目を発砲した。
 建物正面の敵を、四十名以上、死傷させた。
 敵の銃撃が、んだ。建物の正面だけだが。
 裏口や建物の左右では、まだ銃撃音が聞こえる。
 大声で命じた。ルビー・クールが。
 「拳銃隊、突入せよ!」
 十五名の警官が、大型テーブルの陰から出て、駆け出した。建物の正面玄関に向かって。
 警官の一人が拳銃で銃撃し、正面玄関ドアの鍵を破壊した。
 次々に、突入した。十五名の警官が。
 数分後、建物の中から、大声で叫ぶ声が聞こえた。
 「一階制圧!」
 突入した警官たちが、一階のギャングたちを制圧したのだ。
 ギャングたちは、背後から襲撃される形になったはずだ。
 建物の裏口と左右に布陣したギャングたちは、駐車場と道路をはさんで、屋外の警官隊と銃撃戦をしていた。
 その背後を、突然、突かれたのだ。屋内から。
 ギャングたちはパニックに陥り、まともな反撃は、できなかっただろう。
 立て籠もっているギャングたちの人数が百名ならば、建物正面には五十名ほどいたから、裏口は三十名ほどで、建物の左右は十五名ほどのはずだ。
 十五名が、三つの階に分散していれば、一階あたり五名だ。彼らが背後から、九挺の拳銃を所持した十五名の警官に襲撃されれば、あっという間に全滅だ。
 裏口一階のギャングは、十名ほどのはずだ。拳銃の数は、三挺か四挺だろう。
 彼らも、あっという間に全滅だ。
 さらに数分後、建物二階の窓から聞こえた。
 「二階制圧!」
 歓声をあげた。
 ルビー・クールの近くにいた警官たちが。
 さらにその数分後、三階も制圧した。
 死神団アジトの制圧作戦は、半時間もかからなかった。
 午後二時半頃に、死神団アジト制圧作戦は、終了した。
 新市警の警官隊には、運良く、一人の死傷者も出なかった。
 ギャングたちの射撃の腕が、悪かったためだ。
 アジトに立て籠もったギャングたちは、百名ほどだった。そのうち三割が死亡し、五割が負傷した。無傷で降伏したのは二十名ほどだった。
 籠城作戦の指揮を執っていた死神団の幹部は、拳銃自殺した。警官たちが、執務室に突入した瞬間に。
 アジトの残敵掃討作戦は、これで終了だ。
 あとは、ヴィクトールの娼館だ。
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