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<第十三章 第2話>
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<第十三章 第2話>
ルビー・クールは、七個分隊八十数名の警官隊を引き連れ、死神団のアジトに向かった。新聞記者たちも、引き連れて。
案内役は、悪徳弁護士にさせた。懲役刑の一年減刑を提示すると、喜んで引き受けてくれた。
死神団のアジトについて、事前に彼から、情報を聞き出しておいた。
中央円形広場から西へ延びる通りを歩くと、十五分ほどで、スラム街に到着する。そのスラム街の中心付近にあるのが、死神団のアジトだ。
スラム街は、ほとんどが木造住宅だ。貧相な二階建てアパートが多く、細い路地が入り組んでいる。
なるべく広い通りを進んだ。
スラム街に入って十五分ほどで、アジトにたどり着いた。
死神団のアジトは、石造りの大きな建物だった。三階建てだ。
その建物の周囲は、広い駐車場に囲まれている。駐車場は、奥行きが二十メートルはある。
さらに、その外側は、一車線の馬車道だ。
向かい側の建物から、アジトの建物までの距離は、一車線の馬車道の幅を加えると、二十五メートル以上ある。
広い駐車場には、馬車は、一台も停まっていなかった。
見た瞬間に、わかった。その駐車場は、拳銃対策だ。
拳銃の有効射程距離は、十メートルほどだ。
そのため、敵対するギャングが拳銃でアジトを襲撃するには、駐車場に足を踏み入れる必要がある。
だが、その駐車場には、遮蔽物はない。
そのため、敵のギャングを、簡単に蜂の巣にできる。建物の窓からの一斉射撃で。
ルビー・クールの命令で、警官隊が、死神団のアジトを包囲した。
七個分隊のうち、三個分隊は建物正面、二個分隊は裏口、一個分隊ずつが建物の左右に、布陣した。
アジトに立て籠もっているギャングは、多くても百名前後。銃の数は、十挺から三十挺くらいだろう。拳銃も含めて。
より多くのギャングがアジトに立て籠もるように、仕向けてきた。
スラム街に入るとすぐに、ルビー・クールが、拡声器を使って呼びかけた。
「市民の皆さん、我々は新市警です。極悪ギャング組織死神団の団員を逮捕するために、ここへ来ました。皆さん、ご協力をお願いします」
もちろん、誰も協力などしない。スラム街の住人は。
あたりまえだ。もし、死神団に盾突けば、これまでなら、殺されていた。
ルビー・クールが呼びかけると、大人たちは家に閉じこもり、少年たちは駆け出した。
その少年たちは、知り合いのギャングに知らせに行くのだ。新市警と称する武装集団が来たことを。
スラム街では、少年たちの憧れの存在は、ギャングの幹部だ。
なぜなら、スラム街で金回りが良いのは、ギャングの幹部だけだからだ。
だから、スラム街育ちの少年たちは、ギャングになりたがり、ギャングに協力する。
ルビー・クールの計画がうまくいけば、スラム街の自宅にいたギャングたちは、死神団のアジトに向かう。
なぜなら、アジトは石造りのため、敵の銃撃に耐えられる。それにアジトには、アジトを防衛するための銃も、あるはずだ。敵武装勢力と戦える唯一の場所が、死神団のアジトだ。
アジトを任されている幹部も、生き残りの全構成員に、アジトへの集合を命じるだろう。
木造アパートの陰に身を潜めながら、ルビー・クールが命じた。元兵士の新任警官たちに。
「台車三台、五メートル前進!」
大型テーブルを横に倒して乗せた台車が、三台、前進を始めた。
その背後には、五名の新任警官が隠れている。そのうち三名は、拳銃を所持している。
彼らは元兵士のため、ライフル銃は扱えたが、拳銃の扱いは初めてだった。
そこで、中央円形広場で、拳銃の扱い方を、ルビー・クールが教えた。射撃練習までは、しなかったが。
テーブルと台車は、あらかじめ用意しておいた。動く遮蔽物が必要だからだ。ホテルの従業員に頼んで、家具屋から調達したものだ。
もちろん、日曜日なので、家具屋は閉まっている。だが、午前中の教会での礼拝時に、家具屋の店員に声をかけて頼んだ。購入費用は、ルビー・クールが支払った。市長公邸の金庫から得た資金から、支出した。
ライフル銃を所持する六名の新任警官は、木造アパートの陰に隠れている。
彼らの射撃の腕なら、二十五メートルほどの距離なら、命中率は高いはずだ。
サファイア・レインが、心配そうに小声で尋ねた。
「攻者三倍の法則で、攻め落とすのは、無理なんじゃない?」
攻者三倍の法則とは、攻める側は、守る側の三倍の戦力があって、初めて互角に戦える、という戦場での経験則だ。
だが、その前提は、両軍とも、武器の性能、兵士の士気、指揮官の指揮能力が同じ場合だ。
人数は、こちらの方が少ない可能性があるが、銃の数では、上回っているはずだ。三倍未満かも、知れないが。
しかし、士気の点では、こちらが上だ。
それに、指揮官の指揮能力も。
「だいじょうぶよ、サファイア」
ルビー・クールは、不敵に微笑んだ。
ルビー・クールは、七個分隊八十数名の警官隊を引き連れ、死神団のアジトに向かった。新聞記者たちも、引き連れて。
案内役は、悪徳弁護士にさせた。懲役刑の一年減刑を提示すると、喜んで引き受けてくれた。
死神団のアジトについて、事前に彼から、情報を聞き出しておいた。
中央円形広場から西へ延びる通りを歩くと、十五分ほどで、スラム街に到着する。そのスラム街の中心付近にあるのが、死神団のアジトだ。
スラム街は、ほとんどが木造住宅だ。貧相な二階建てアパートが多く、細い路地が入り組んでいる。
なるべく広い通りを進んだ。
スラム街に入って十五分ほどで、アジトにたどり着いた。
死神団のアジトは、石造りの大きな建物だった。三階建てだ。
その建物の周囲は、広い駐車場に囲まれている。駐車場は、奥行きが二十メートルはある。
さらに、その外側は、一車線の馬車道だ。
向かい側の建物から、アジトの建物までの距離は、一車線の馬車道の幅を加えると、二十五メートル以上ある。
広い駐車場には、馬車は、一台も停まっていなかった。
見た瞬間に、わかった。その駐車場は、拳銃対策だ。
拳銃の有効射程距離は、十メートルほどだ。
そのため、敵対するギャングが拳銃でアジトを襲撃するには、駐車場に足を踏み入れる必要がある。
だが、その駐車場には、遮蔽物はない。
そのため、敵のギャングを、簡単に蜂の巣にできる。建物の窓からの一斉射撃で。
ルビー・クールの命令で、警官隊が、死神団のアジトを包囲した。
七個分隊のうち、三個分隊は建物正面、二個分隊は裏口、一個分隊ずつが建物の左右に、布陣した。
アジトに立て籠もっているギャングは、多くても百名前後。銃の数は、十挺から三十挺くらいだろう。拳銃も含めて。
より多くのギャングがアジトに立て籠もるように、仕向けてきた。
スラム街に入るとすぐに、ルビー・クールが、拡声器を使って呼びかけた。
「市民の皆さん、我々は新市警です。極悪ギャング組織死神団の団員を逮捕するために、ここへ来ました。皆さん、ご協力をお願いします」
もちろん、誰も協力などしない。スラム街の住人は。
あたりまえだ。もし、死神団に盾突けば、これまでなら、殺されていた。
ルビー・クールが呼びかけると、大人たちは家に閉じこもり、少年たちは駆け出した。
その少年たちは、知り合いのギャングに知らせに行くのだ。新市警と称する武装集団が来たことを。
スラム街では、少年たちの憧れの存在は、ギャングの幹部だ。
なぜなら、スラム街で金回りが良いのは、ギャングの幹部だけだからだ。
だから、スラム街育ちの少年たちは、ギャングになりたがり、ギャングに協力する。
ルビー・クールの計画がうまくいけば、スラム街の自宅にいたギャングたちは、死神団のアジトに向かう。
なぜなら、アジトは石造りのため、敵の銃撃に耐えられる。それにアジトには、アジトを防衛するための銃も、あるはずだ。敵武装勢力と戦える唯一の場所が、死神団のアジトだ。
アジトを任されている幹部も、生き残りの全構成員に、アジトへの集合を命じるだろう。
木造アパートの陰に身を潜めながら、ルビー・クールが命じた。元兵士の新任警官たちに。
「台車三台、五メートル前進!」
大型テーブルを横に倒して乗せた台車が、三台、前進を始めた。
その背後には、五名の新任警官が隠れている。そのうち三名は、拳銃を所持している。
彼らは元兵士のため、ライフル銃は扱えたが、拳銃の扱いは初めてだった。
そこで、中央円形広場で、拳銃の扱い方を、ルビー・クールが教えた。射撃練習までは、しなかったが。
テーブルと台車は、あらかじめ用意しておいた。動く遮蔽物が必要だからだ。ホテルの従業員に頼んで、家具屋から調達したものだ。
もちろん、日曜日なので、家具屋は閉まっている。だが、午前中の教会での礼拝時に、家具屋の店員に声をかけて頼んだ。購入費用は、ルビー・クールが支払った。市長公邸の金庫から得た資金から、支出した。
ライフル銃を所持する六名の新任警官は、木造アパートの陰に隠れている。
彼らの射撃の腕なら、二十五メートルほどの距離なら、命中率は高いはずだ。
サファイア・レインが、心配そうに小声で尋ねた。
「攻者三倍の法則で、攻め落とすのは、無理なんじゃない?」
攻者三倍の法則とは、攻める側は、守る側の三倍の戦力があって、初めて互角に戦える、という戦場での経験則だ。
だが、その前提は、両軍とも、武器の性能、兵士の士気、指揮官の指揮能力が同じ場合だ。
人数は、こちらの方が少ない可能性があるが、銃の数では、上回っているはずだ。三倍未満かも、知れないが。
しかし、士気の点では、こちらが上だ。
それに、指揮官の指揮能力も。
「だいじょうぶよ、サファイア」
ルビー・クールは、不敵に微笑んだ。
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