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第五章 警官隊に包囲されて絶体絶命 <第1話>
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<第五章 第1話>
ルビー・クールも、小型双眼鏡を手に取った。
銀髪の大男が、電話の受話器を耳に当てていた。
おそらく、警察署長だ。年齢は、五十歳ぐらいか。
振り返った。窓を。
見た。ルビー・クールを。
もちろん、そう感じただけだ。ルビー・クールが。
サファイア・レインが、言葉を続けた。
「電話は、かかってきたわ。自分から、かけたんじゃない」
「電話の相手は、市長でしょうね」
ルビー・クールのその言葉に、パール・スノーが尋ねた。不思議そうな顔で。
「なぜ、そう思うのよ?」
「自分の息子、ニコラウスの救出を、命じているんのよ。たぶん」
「その推測の根拠は?」
なおも、尋ねてきた。パール・スノーが。
答えた。ルビー・クールが。素っ気なく。
「市庁舎は、広場の真南。広場から人がいなくなれば、このホテルの正面付近は、よく見えるわ。市庁舎の三階の市長室から、見ているはずよ」
市長の公邸は、市庁舎の背後、すぐ南側にある。
今日は土曜日なので、市長は正午に公務を終え、公邸に帰ったはずだ。
だが、市庁舎には、残業をしている職員も、多少は、いるはずだ。銃声を聞いた彼らは、すぐに市長に報告したはずだ。ニコラウスや、死神団のことを。
市長は、すぐに駆けつけたはずだ。市庁舎に。
いったんは、死神団に任せた。
だが、その死神団は、壊滅した。ボスのヴォルフガングも、死亡した。
ならば市長が、息子の救出のために利用するのは、警察だ。
警察署長らしき大男が、受話器を置いた。
ふたたび、受話器を取った。どこかに、かけた。なにかを、命じた。
内線電話で、部下に命じたのだろう。
数分後には、三人の男が、現れた。いずれも、四十歳くらいの中年男だ。
二名は大男で、警察の制服を着ている。警部だろう。一人は中年太りで、髪は茶色。もう一人は長身で、引き締まった体つきだ。髪の色は金髪。
残りの中年男はスーツを着ていて、メガネをかけた小男だ。市庁舎から出向してきた事務職員だろう。事務部長といったところか。
計四名で、相談を始めた。
ニコラウス救出作戦の相談のはずだ。
双眼鏡で、監視を続けた。
だが、四人の話は、まとまらない。
パール・スノーが、尋ねた。
「ねえ、ルビー。うるさい男、殺して、いい?」
「うるさい男って、ヴィクトールのことかしら?」
「ええ、そうよ」
さきほどから、ヴィクトールは、叫び続けている。
「オヤジ! だいじょうぶか! 返事をしろ!」など、と。
それを、ニコラウスが、なだめている。
「だいじょうぶだ、きっと。倒れたところは見たが、死んだとはかぎらない。きっと、生きている。おまえのオヤジさんは」
そんな言葉を、かけて。
ルビー・クールが、窓から顔を出した。
呼びかけた。大きな声で。
「ヴィクトール! うるさいから、黙ってちょうだい!」
ヴィクトールが、怒鳴りまくった。激昂して。
「このクソビッチめ! てめえ、オレ様のオヤジに、なにをした!」
冷ややかに、答えた。ルビー・クールが。
「徹甲弾を、撃ち込んだわ。ヴォルフガングの額に、ね。だから即死よ。痛みも感じずに」
怒鳴りまくった。ヴィクトールが。罵詈雑言を、ルビー・クールに投げかけた。
「てめえ、ぶっ殺す! 絶対に! てめえも、てめえの家族も、皆殺しだ!」
パール・スノーが、窓から身を乗り出した。
「この男、殺すなら、あたしがやるわよ。利用価値は、もうないんでしょ?」
「もう少し、待ちなさいな。まだ、利用価値が、あるかもしれないから」
「どんな?」
ルビー・クールが、呼びかけた。大きな声で。
「ヴィクトール! 死神団のアジトの電話番号を、教えなさい!」
「そんなこと、聞いてどうする!」
「娼館で強制売春させている女性を、全員解放してもらうわ。ほかに、拉致監禁している女性がいたら、彼女たちも、ね。それに、死神団が貯め込んだ現金を、全部吐き出してもらうわ。どれだけ貯め込んだか知らないけれど、とりあえず、一千万キャピタ払ってもらうわ」
(著者注:一千万キャピタは、日本円で十億円相当)
「そんな大金、あるわけないだろ!」
「自分の命がかかっているのだから、売れる物は全部売って、カネを作ったら?」
パール・スノーが不満げに尋ねた。
「こんな男、生かしておくの? カネを払えば」
大声で答えた。ルビー・クールが。ヴィクトールとニコラウスにも、聞こえるように。
「あたしの指示に従うのなら、彼らには、裁判を受けてもらうわ」
激昂した。パール・スノーが。
「ふざけんな! こんなクズ野郎、殺すべきだろ!」
思わず、頭を抱えた。心の中で、ルビー・クールは。パール・スノーの激昂しやすさに。
ルビー・クールも、小型双眼鏡を手に取った。
銀髪の大男が、電話の受話器を耳に当てていた。
おそらく、警察署長だ。年齢は、五十歳ぐらいか。
振り返った。窓を。
見た。ルビー・クールを。
もちろん、そう感じただけだ。ルビー・クールが。
サファイア・レインが、言葉を続けた。
「電話は、かかってきたわ。自分から、かけたんじゃない」
「電話の相手は、市長でしょうね」
ルビー・クールのその言葉に、パール・スノーが尋ねた。不思議そうな顔で。
「なぜ、そう思うのよ?」
「自分の息子、ニコラウスの救出を、命じているんのよ。たぶん」
「その推測の根拠は?」
なおも、尋ねてきた。パール・スノーが。
答えた。ルビー・クールが。素っ気なく。
「市庁舎は、広場の真南。広場から人がいなくなれば、このホテルの正面付近は、よく見えるわ。市庁舎の三階の市長室から、見ているはずよ」
市長の公邸は、市庁舎の背後、すぐ南側にある。
今日は土曜日なので、市長は正午に公務を終え、公邸に帰ったはずだ。
だが、市庁舎には、残業をしている職員も、多少は、いるはずだ。銃声を聞いた彼らは、すぐに市長に報告したはずだ。ニコラウスや、死神団のことを。
市長は、すぐに駆けつけたはずだ。市庁舎に。
いったんは、死神団に任せた。
だが、その死神団は、壊滅した。ボスのヴォルフガングも、死亡した。
ならば市長が、息子の救出のために利用するのは、警察だ。
警察署長らしき大男が、受話器を置いた。
ふたたび、受話器を取った。どこかに、かけた。なにかを、命じた。
内線電話で、部下に命じたのだろう。
数分後には、三人の男が、現れた。いずれも、四十歳くらいの中年男だ。
二名は大男で、警察の制服を着ている。警部だろう。一人は中年太りで、髪は茶色。もう一人は長身で、引き締まった体つきだ。髪の色は金髪。
残りの中年男はスーツを着ていて、メガネをかけた小男だ。市庁舎から出向してきた事務職員だろう。事務部長といったところか。
計四名で、相談を始めた。
ニコラウス救出作戦の相談のはずだ。
双眼鏡で、監視を続けた。
だが、四人の話は、まとまらない。
パール・スノーが、尋ねた。
「ねえ、ルビー。うるさい男、殺して、いい?」
「うるさい男って、ヴィクトールのことかしら?」
「ええ、そうよ」
さきほどから、ヴィクトールは、叫び続けている。
「オヤジ! だいじょうぶか! 返事をしろ!」など、と。
それを、ニコラウスが、なだめている。
「だいじょうぶだ、きっと。倒れたところは見たが、死んだとはかぎらない。きっと、生きている。おまえのオヤジさんは」
そんな言葉を、かけて。
ルビー・クールが、窓から顔を出した。
呼びかけた。大きな声で。
「ヴィクトール! うるさいから、黙ってちょうだい!」
ヴィクトールが、怒鳴りまくった。激昂して。
「このクソビッチめ! てめえ、オレ様のオヤジに、なにをした!」
冷ややかに、答えた。ルビー・クールが。
「徹甲弾を、撃ち込んだわ。ヴォルフガングの額に、ね。だから即死よ。痛みも感じずに」
怒鳴りまくった。ヴィクトールが。罵詈雑言を、ルビー・クールに投げかけた。
「てめえ、ぶっ殺す! 絶対に! てめえも、てめえの家族も、皆殺しだ!」
パール・スノーが、窓から身を乗り出した。
「この男、殺すなら、あたしがやるわよ。利用価値は、もうないんでしょ?」
「もう少し、待ちなさいな。まだ、利用価値が、あるかもしれないから」
「どんな?」
ルビー・クールが、呼びかけた。大きな声で。
「ヴィクトール! 死神団のアジトの電話番号を、教えなさい!」
「そんなこと、聞いてどうする!」
「娼館で強制売春させている女性を、全員解放してもらうわ。ほかに、拉致監禁している女性がいたら、彼女たちも、ね。それに、死神団が貯め込んだ現金を、全部吐き出してもらうわ。どれだけ貯め込んだか知らないけれど、とりあえず、一千万キャピタ払ってもらうわ」
(著者注:一千万キャピタは、日本円で十億円相当)
「そんな大金、あるわけないだろ!」
「自分の命がかかっているのだから、売れる物は全部売って、カネを作ったら?」
パール・スノーが不満げに尋ねた。
「こんな男、生かしておくの? カネを払えば」
大声で答えた。ルビー・クールが。ヴィクトールとニコラウスにも、聞こえるように。
「あたしの指示に従うのなら、彼らには、裁判を受けてもらうわ」
激昂した。パール・スノーが。
「ふざけんな! こんなクズ野郎、殺すべきだろ!」
思わず、頭を抱えた。心の中で、ルビー・クールは。パール・スノーの激昂しやすさに。
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