36 / 41
<第五章 第5話:ヒロインの決断>
しおりを挟む
<第五章 第5話:ヒロインの決断>
「なぜなら」
ニーナが、言葉を続けた。
「王子が目をつけた女を横取りしたら、王子の不興を買います。それは、クマート様にとっても、オスターラント家にとっても、良いことではありません」
それに対し、シーナが反論した。
「だけどさ、クマートは、この女に惚れているから、この屋敷に連れて来たんだろ」
アメリアが、口をはさんだ。
「クマート様が愛しているのは、このあたしです!」
ベアーナも、口をはさんだ。
「あたしも、クマート様に愛されてる! たぶん」
「たぶんかよ」
そうツッコミを入れながら、シーナが、ガハハと笑った。
ウォルナも、口をはさんだ。
「あたしも、愛されてる。たぶん。だってクマート様、あたしにも優しいから」
「おまえら、黙ってろよ。話がそれるだろ!」
エルナが、たしなめた。ベアーナたちを。
シーナが身を乗り出し、クマートに尋ねた。真剣な表情で。
「それで、どうすんだよ。惚れた女を守りたいのはわかるけど、王子が目をつけた女を、どうやって守るんだ?」
「来週の月曜日に、学園長に掛け合って、マリアンヌさんを一組から、私のいる六組に、クラス替えしてもらおうと思います。そうすれば、マリアンヌさんを守れます」
「クラス替えは、無理」
即答した。シーナが。
「なぜですか?」
「学年途中のクラス替えなんて無理。あたしも教師生活長いからさあ、時々いたんだよね。そういうこと言ってくるヤツ。あいつがイヤだ。こいつとは、あわない。そんなこと言って、クラスの変更を求めるヤツ」
「なぜ無理なんですか?」
「各クラスとも、バランスが良くなるように、生徒の割り振りをしているから。学年の途中では、無理」
ニーナが、口をはさんだ。
「それで、王子の不興を買うことに対する対策は、どうされるおつもりですか?」
「その点は、心配ないでしょう。すぐに、ほかの女性に目が移るでしょう」
「それは、そうだろうな。王子ならば、女なんて、選り取り見取りだろうしな」
その点については、シーナはクマートに同意した。
「そうでしょうか。世の中には、根に持つタイプの人もいますわ」
ニーナは、懐疑的だ。
だが、王子の謀略は、魔法の王冠のテレパシー能力で、思考を読んで知っている。
アニメ版では、四名の不良貴族に襲われそうになったマリアンヌを、偶然通りがかった王子が救う。
今回の一件で明らかになったのは、王子が通りがかったのは、偶然ではなかったということだ。全部、王子が仕組んだことだった。
アニメ版では、その後、王子とマリアンヌは惹かれあい、逢い引きを繰り返すようになる。
しかし、ある日、グレースにバレてしまう。二人の逢い引きが。
激怒したグレースは、マリアンヌの暗殺を試みる。
王子の思考を読んで、わかった。逢い引きがバレたのは、わざとだった。王子が、わざとバレるようにした。
王子の考えでは、激怒したグレースは、婚約破棄を通告してくるはずだ。
なぜならグレースは、平民を見下し、虫けらのように毛嫌いしているからだ。そのため、平民女とキスした男のことも、嫌いになるはずだ。
王子はそう考え、マリアンヌを利用した婚約破棄作戦を思いついたのだ。
「王子以外にも、この女を狙っている不良貴族たちがいるんだろ。そいつらからは、どう守る?」
シーナのその問いに、クマートが即答した。
「平民寮に戻るのは危険ですから、この屋敷に住んでもらおうと思っています。そうすれば、毎日、私と一緒に登下校するので、安全です」
突然、シーナが大きな声を出した。
「おまえ、どんだけ惚れんてんだよ!」
ニーナも、大きな声を出した。
「あたしは反対です。愛人にすることも、この屋敷に住まわせることも。素性の知れない女を、同じ屋敷に住まわせるなんて、危険ですわ」
シーナが、声を荒げた。
「クマートが、こんだけ惚れてるんだ! クマートの好きにさせろ。あたしは賛成だ。この女を愛人にすることに」
そのときだった。マリアンヌが立ち上がった。
「勝手に決めないでください! あたしを愛人にするとか、しないとか。あたしの人生は、あたしが決めます!」
「なぜなら」
ニーナが、言葉を続けた。
「王子が目をつけた女を横取りしたら、王子の不興を買います。それは、クマート様にとっても、オスターラント家にとっても、良いことではありません」
それに対し、シーナが反論した。
「だけどさ、クマートは、この女に惚れているから、この屋敷に連れて来たんだろ」
アメリアが、口をはさんだ。
「クマート様が愛しているのは、このあたしです!」
ベアーナも、口をはさんだ。
「あたしも、クマート様に愛されてる! たぶん」
「たぶんかよ」
そうツッコミを入れながら、シーナが、ガハハと笑った。
ウォルナも、口をはさんだ。
「あたしも、愛されてる。たぶん。だってクマート様、あたしにも優しいから」
「おまえら、黙ってろよ。話がそれるだろ!」
エルナが、たしなめた。ベアーナたちを。
シーナが身を乗り出し、クマートに尋ねた。真剣な表情で。
「それで、どうすんだよ。惚れた女を守りたいのはわかるけど、王子が目をつけた女を、どうやって守るんだ?」
「来週の月曜日に、学園長に掛け合って、マリアンヌさんを一組から、私のいる六組に、クラス替えしてもらおうと思います。そうすれば、マリアンヌさんを守れます」
「クラス替えは、無理」
即答した。シーナが。
「なぜですか?」
「学年途中のクラス替えなんて無理。あたしも教師生活長いからさあ、時々いたんだよね。そういうこと言ってくるヤツ。あいつがイヤだ。こいつとは、あわない。そんなこと言って、クラスの変更を求めるヤツ」
「なぜ無理なんですか?」
「各クラスとも、バランスが良くなるように、生徒の割り振りをしているから。学年の途中では、無理」
ニーナが、口をはさんだ。
「それで、王子の不興を買うことに対する対策は、どうされるおつもりですか?」
「その点は、心配ないでしょう。すぐに、ほかの女性に目が移るでしょう」
「それは、そうだろうな。王子ならば、女なんて、選り取り見取りだろうしな」
その点については、シーナはクマートに同意した。
「そうでしょうか。世の中には、根に持つタイプの人もいますわ」
ニーナは、懐疑的だ。
だが、王子の謀略は、魔法の王冠のテレパシー能力で、思考を読んで知っている。
アニメ版では、四名の不良貴族に襲われそうになったマリアンヌを、偶然通りがかった王子が救う。
今回の一件で明らかになったのは、王子が通りがかったのは、偶然ではなかったということだ。全部、王子が仕組んだことだった。
アニメ版では、その後、王子とマリアンヌは惹かれあい、逢い引きを繰り返すようになる。
しかし、ある日、グレースにバレてしまう。二人の逢い引きが。
激怒したグレースは、マリアンヌの暗殺を試みる。
王子の思考を読んで、わかった。逢い引きがバレたのは、わざとだった。王子が、わざとバレるようにした。
王子の考えでは、激怒したグレースは、婚約破棄を通告してくるはずだ。
なぜならグレースは、平民を見下し、虫けらのように毛嫌いしているからだ。そのため、平民女とキスした男のことも、嫌いになるはずだ。
王子はそう考え、マリアンヌを利用した婚約破棄作戦を思いついたのだ。
「王子以外にも、この女を狙っている不良貴族たちがいるんだろ。そいつらからは、どう守る?」
シーナのその問いに、クマートが即答した。
「平民寮に戻るのは危険ですから、この屋敷に住んでもらおうと思っています。そうすれば、毎日、私と一緒に登下校するので、安全です」
突然、シーナが大きな声を出した。
「おまえ、どんだけ惚れんてんだよ!」
ニーナも、大きな声を出した。
「あたしは反対です。愛人にすることも、この屋敷に住まわせることも。素性の知れない女を、同じ屋敷に住まわせるなんて、危険ですわ」
シーナが、声を荒げた。
「クマートが、こんだけ惚れてるんだ! クマートの好きにさせろ。あたしは賛成だ。この女を愛人にすることに」
そのときだった。マリアンヌが立ち上がった。
「勝手に決めないでください! あたしを愛人にするとか、しないとか。あたしの人生は、あたしが決めます!」
1
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
まったく知らない世界に転生したようです
吉川 箱
ファンタジー
おっとりヲタク男子二十五歳成人。チート能力なし?
まったく知らない世界に転生したようです。
何のヒントもないこの世界で、破滅フラグや地雷を踏まずに生き残れるか?!
頼れるのは己のみ、みたいです……?
※BLですがBがLな話は出て来ません。全年齢です。
私自身は全年齢の主人公ハーレムものBLだと思って書いてるけど、全く健全なファンタジー小説だとも言い張れるように書いております。つまり健全なお嬢さんの癖を歪めて火のないところへ煙を感じてほしい。
111話までは毎日更新。
それ以降は毎週金曜日20時に更新します。
カクヨムの方が文字数が多く、更新も先です。
実はスライムって最強なんだよ?初期ステータスが低すぎてレベルアップが出来ないだけ…
小桃
ファンタジー
商業高校へ通う女子高校生一条 遥は通学時に仔犬が車に轢かれそうになった所を助けようとして車に轢かれ死亡する。この行動に獣の神は心を打たれ、彼女を転生させようとする。遥は獣の神より転生を打診され5つの希望を叶えると言われたので、希望を伝える。
1.最強になれる種族
2.無限収納
3.変幻自在
4.並列思考
5.スキルコピー
5つの希望を叶えられ遥は新たな世界へ転生する、その姿はスライムだった…最強になる種族で転生したはずなのにスライムに…遥はスライムとしてどう生きていくのか?スライムに転生した少女の物語が始まるのであった。

これダメなクラス召喚だわ!物を掌握するチートスキルで自由気ままな異世界旅
聖斗煉
ファンタジー
クラス全体で異世界に呼び出された高校生の主人公が魔王軍と戦うように懇願される。しかし、主人公にはしょっぱい能力しか与えられなかった。ところがである。実は能力は騙されて弱いものと思い込まされていた。ダンジョンに閉じ込められて死にかけたときに、本当は物を掌握するスキルだったことを知るーー。
1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!
マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。
今後ともよろしくお願いいたします!
トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕!
タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。
男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】
そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】
アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です!
コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】
*****************************
***毎日更新しています。よろしくお願いいたします。***
*****************************
マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。
見てください。
とあるおっさんのVRMMO活動記
椎名ほわほわ
ファンタジー
VRMMORPGが普及した世界。
念のため申し上げますが戦闘も生産もあります。
戦闘は生々しい表現も含みます。
のんびりする時もあるし、えぐい戦闘もあります。
また一話一話が3000文字ぐらいの日記帳ぐらいの分量であり
一人の冒険者の一日の活動記録を覗く、ぐらいの感覚が
お好みではない場合は読まれないほうがよろしいと思われます。
また、このお話の舞台となっているVRMMOはクリアする事や
無双する事が目的ではなく、冒険し生きていくもう1つの人生が
テーマとなっているVRMMOですので、極端に戦闘続きという
事もございません。
また、転生物やデスゲームなどに変化することもございませんので、そのようなお話がお好みの方は読まれないほうが良いと思われます。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

気づいたら美少女ゲーの悪役令息に転生していたのでサブヒロインを救うのに人生を賭けることにした
高坂ナツキ
ファンタジー
衝撃を受けた途端、俺は美少女ゲームの中ボス悪役令息に転生していた!?
これは、自分が制作にかかわっていた美少女ゲームの中ボス悪役令息に転生した主人公が、報われないサブヒロインを救うために人生を賭ける話。
日常あり、恋愛あり、ダンジョンあり、戦闘あり、料理ありの何でもありの話となっています。
転生王子はダラけたい
朝比奈 和
ファンタジー
大学生の俺、一ノ瀬陽翔(いちのせ はると)が転生したのは、小さな王国グレスハートの末っ子王子、フィル・グレスハートだった。
束縛だらけだった前世、今世では好きなペットをモフモフしながら、ダラけて自由に生きるんだ!
と思ったのだが……召喚獣に精霊に鉱石に魔獣に、この世界のことを知れば知るほどトラブル発生で悪目立ち!
ぐーたら生活したいのに、全然出来ないんだけどっ!
ダラけたいのにダラけられない、フィルの物語は始まったばかり!
※2016年11月。第1巻
2017年 4月。第2巻
2017年 9月。第3巻
2017年12月。第4巻
2018年 3月。第5巻
2018年 8月。第6巻
2018年12月。第7巻
2019年 5月。第8巻
2019年10月。第9巻
2020年 6月。第10巻
2020年12月。第11巻 出版しました。
PNもエリン改め、朝比奈 和(あさひな なごむ)となります。
投稿継続中です。よろしくお願いします!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる