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第三章 極悪伯爵令嬢の謀略 <第1話:新入生武芸大会>
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<第三章 第1話>
九月の最初の木曜日。授業開始二日目。
新入生武芸大会の日だ。
午前中は、三つの部門が開催された。剣術部門、槍術部門、弓術部門の三部門だ。
剣術部門と槍術部門は、男子の部と女子の部に分かれている。弓術部門は、男女合同だ。
生徒の多くは、この三部門のどれかに登録して参加する。
だが、強制ではない。参加しない者もいる。
クマートは、弓術部門に参加した。
弓術部門は、予選を突破した十名が、決勝戦を行った。予選も決勝も、五十秒以内に十本の矢を放ち、的を射た総合得点を競う、という形式だ。的は、中心部分が十点で、中心から遠ざかるごとに、点数が低くなる。満点は、百点だ。
女子の参加者も多いせいか、的との距離は、それほど遠くない。腕力は、それほど必要ない。正確さが、重要となる。
クマートは、優勝した。予選も、決勝も、歴代最高得点で。フルマークの百点に近い点数だった。
魔法の腕輪の念力は、使っていない。実力だけで、優勝した。
究極魔法具の魔法は、できるだけ人には見せないと、決めている。
そのため、この一年三ヶ月間、魔法を使わなくとも、それなりに闘える肉体をつくろうと考え、努力してきた。武芸の修行も、きつい鍛錬を行ってきた。その成果が、現れたのだ。
剣術部門と槍術部門は、トーナメント方式だ。特に剣術部門の男子の部は、参加人数が多い。毎年、三百名近くだ。槍術部門の男子の部は、例年百名近く。
一方、弓術部門は、女子の参加者が多いため、今年は四百名近くだった。
午前十一頃からは、各部門の決勝戦が、開催された。
決勝戦の会場は、古代ローマ帝国のコロシアムのような構造だ。階段状の観客席には、一年生だけでなく、上級生も見学している。
昼食後の午後は、ワンマッチ形式の試合がある。上級貴族は、午前中のトーナメントには参加せず、午後に、上級貴族同士で、剣術の試合をすることが多い。
今年の目玉は、王子と侯爵令息の模擬試合だ。
上級貴族の多くが午前中のトーナメントを避けるのは、武芸の実力が高くないことが、バレないようにするためだ。
王子と侯爵令息の模擬試合は、なかなか伯仲した闘いだった。
だがクマートには、一目で、この二人の息が合っていることが、わかった。
木剣で激しく打ち合っているが、お互いに、どこに打ち込むのかがわかっている。
しかも、相手の防御が遅れると、木剣の打ち込みも、遅くなる。
お互いに、手加減をしているのだ。
二人は、幼いときからの親友同士だそうだ。
おそらく、長年にわたって、二人で木剣の打ち込み練習をしてきた。だから、激しく打ち合っても、木剣は相手の身体には、あたらない。
だが、彼らの試合は、観客たちから、拍手喝采だった。
少なくとも彼らは、剣術の修行を、きちんとしていることは、あきらかだ。
王子の場合は、それで充分なのだ。戦争の際に、最前線に赴くことは、ないのだから。
王子と侯爵令息の模擬試合は、時間切れ引き分けで、割れんばかりの拍手喝采の中、終了した。
これで、新入生武芸大会は、終了かと思った。
だが、大会の司会進行役の男が、観客席に呼びかけた。
まだ、ワンマッチの試合があるという。対戦相手の一人は、午前中の剣術部門男子の部の優勝者だ。
司会が大声で呼ぶと、コロシアムの北側出口から、現れた。優勝者の剣士が。試合用の革製の甲冑を身につけ、木剣を手に。
彼の対戦相手は誰だろう、と思っていたら、観客席のクマートが呼ばれた。
司会が大声で叫んだ。
「クマート・オスターラント公、またの名を、ドラゴン・スレイヤー! 龍殺しの貴公子! 王子殿下のたっての願いです。ドラゴンを倒した貴公の剣の腕が見たい、と」
二つ目と三つ目のダンジョン攻略の際に、ドラゴンを倒した。計二匹。
だがそれらは、弓矢を使った。しかも、魔法の腕輪の念力を使って。
つまり、自分の実力ではない。
しかし、王子の希望を断るわけにも、いかない。
観客席から、コロシアムの試合場に降り立った。
九月の最初の木曜日。授業開始二日目。
新入生武芸大会の日だ。
午前中は、三つの部門が開催された。剣術部門、槍術部門、弓術部門の三部門だ。
剣術部門と槍術部門は、男子の部と女子の部に分かれている。弓術部門は、男女合同だ。
生徒の多くは、この三部門のどれかに登録して参加する。
だが、強制ではない。参加しない者もいる。
クマートは、弓術部門に参加した。
弓術部門は、予選を突破した十名が、決勝戦を行った。予選も決勝も、五十秒以内に十本の矢を放ち、的を射た総合得点を競う、という形式だ。的は、中心部分が十点で、中心から遠ざかるごとに、点数が低くなる。満点は、百点だ。
女子の参加者も多いせいか、的との距離は、それほど遠くない。腕力は、それほど必要ない。正確さが、重要となる。
クマートは、優勝した。予選も、決勝も、歴代最高得点で。フルマークの百点に近い点数だった。
魔法の腕輪の念力は、使っていない。実力だけで、優勝した。
究極魔法具の魔法は、できるだけ人には見せないと、決めている。
そのため、この一年三ヶ月間、魔法を使わなくとも、それなりに闘える肉体をつくろうと考え、努力してきた。武芸の修行も、きつい鍛錬を行ってきた。その成果が、現れたのだ。
剣術部門と槍術部門は、トーナメント方式だ。特に剣術部門の男子の部は、参加人数が多い。毎年、三百名近くだ。槍術部門の男子の部は、例年百名近く。
一方、弓術部門は、女子の参加者が多いため、今年は四百名近くだった。
午前十一頃からは、各部門の決勝戦が、開催された。
決勝戦の会場は、古代ローマ帝国のコロシアムのような構造だ。階段状の観客席には、一年生だけでなく、上級生も見学している。
昼食後の午後は、ワンマッチ形式の試合がある。上級貴族は、午前中のトーナメントには参加せず、午後に、上級貴族同士で、剣術の試合をすることが多い。
今年の目玉は、王子と侯爵令息の模擬試合だ。
上級貴族の多くが午前中のトーナメントを避けるのは、武芸の実力が高くないことが、バレないようにするためだ。
王子と侯爵令息の模擬試合は、なかなか伯仲した闘いだった。
だがクマートには、一目で、この二人の息が合っていることが、わかった。
木剣で激しく打ち合っているが、お互いに、どこに打ち込むのかがわかっている。
しかも、相手の防御が遅れると、木剣の打ち込みも、遅くなる。
お互いに、手加減をしているのだ。
二人は、幼いときからの親友同士だそうだ。
おそらく、長年にわたって、二人で木剣の打ち込み練習をしてきた。だから、激しく打ち合っても、木剣は相手の身体には、あたらない。
だが、彼らの試合は、観客たちから、拍手喝采だった。
少なくとも彼らは、剣術の修行を、きちんとしていることは、あきらかだ。
王子の場合は、それで充分なのだ。戦争の際に、最前線に赴くことは、ないのだから。
王子と侯爵令息の模擬試合は、時間切れ引き分けで、割れんばかりの拍手喝采の中、終了した。
これで、新入生武芸大会は、終了かと思った。
だが、大会の司会進行役の男が、観客席に呼びかけた。
まだ、ワンマッチの試合があるという。対戦相手の一人は、午前中の剣術部門男子の部の優勝者だ。
司会が大声で呼ぶと、コロシアムの北側出口から、現れた。優勝者の剣士が。試合用の革製の甲冑を身につけ、木剣を手に。
彼の対戦相手は誰だろう、と思っていたら、観客席のクマートが呼ばれた。
司会が大声で叫んだ。
「クマート・オスターラント公、またの名を、ドラゴン・スレイヤー! 龍殺しの貴公子! 王子殿下のたっての願いです。ドラゴンを倒した貴公の剣の腕が見たい、と」
二つ目と三つ目のダンジョン攻略の際に、ドラゴンを倒した。計二匹。
だがそれらは、弓矢を使った。しかも、魔法の腕輪の念力を使って。
つまり、自分の実力ではない。
しかし、王子の希望を断るわけにも、いかない。
観客席から、コロシアムの試合場に降り立った。
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