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本編
-439- ハワード家の神器様
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それから、その各々好きにと色々なことについても触れてくれた。
ただ、満さんは直接的な言葉を使わず選んで喋ってくれているみたいだ。
それが、僕への配慮なのか、それとも満さん自身があまりリアルに思い出したくないからなのかは分からないから、遠慮しないでとは言えない。
けれど、高級茶菓子や宝石商を呼んでもらって優越感に浸る者や、マッサージをしてもらう人が多いんだとか。
マッサージ、というのはえっちなマッサージも含むみたい。
射精の管理をされている神器様が多いし、態と常に欲しがるように一種の洗脳を受けているような神器様も少なくない。
不幸な境遇であった神器様たちを、甘い言葉で洗脳するのは容易なことだ。
待機場ではマッサージまでは許される行為で、寧ろ、美しさと艶めかしさを見せつけるように所有者が推奨する者もいる。
下半身に着いてたアレも、制限を緩くされたりその時だけ取られたりするのかも。
神器様に贅沢をさせてあげられることが一種のステイタスだから、大体のご主人様はこの待機場で神器様の要望に寛大だ。
普段見えないところでは贅沢をさせていないケチな所有者も、待機場だけは許す。
ここで神器様が食べた茶菓子や欲した宝石類は、所有者へ後で請求されるのだとか。
そういうことまで気にしない神器様たちが多いから、大きな夜会や宮廷での催しはそれだけで莫大なお金が流れる。
宝石なんてどうするの?と思ったのだけれど、所有者が連れる際には、神器様を規定ギリギリまで露出をするような裸同然の服装にさせて、高級な宝石類でごてごてと飾りたてるのが、一般的スタイルのようだ。
そう言えば、スーツを作る時に、宝石をどうつけるか聞かれたっけ。
高級品だからと言って品があるとは限らない、美しさとはかけ離れたようなデザインだった。
満さんが宮廷のその待機場に行ったことがあるのは、若い頃に三度。
貴族同士の繋がりでどうしても断れなかったハワード伯爵が頭を下げてお願いしてきた。
その度エリー先生が自身の夫へと烈火のごとく怒りをあらわにしていたから、それだけで満さんの心は痛まなかったみたい。
服装でも揉めたようだ。
誰と誰がって、エリー先生と満さんが、だ。
露出をさせたくないエリー先生だったけれど、立場上断れない相手なら尚更露出しなければならないと覚悟した満さんと毎回揉めたんだって。
多少の露出はして欲しい伯爵は、エリー先生が怖くて何も言えなかったようだ。
初めて揉めたその時、ヒートアップするエリー先生と満さんに『その……ほどほどで良いんだよ?』と冷や汗を流しながら呟いてきた伯爵を見て、満さんはおかしくて笑いを吹き出したと楽しそうに語ってくれた。
毎回満さんに負けて、エリー先生がそのたびに専用の着物を仕立てたんだとか。
「全体的にレースと刺繍に細かい宝石が散りばめられている着物でね。
ただエリーが譲れない場所があるからと、胸は半襟に、恥部は下前に隠して見えないようにされたよ。
その代わり、背中と鎖骨と足は晒したけれどね。
耳にも大きな宝石をつけていたから目立っていたよ。告げ口はしてないけれどやっかみも受けた。
けしていい場所ではないよ。
ただ、エリーからは守る術を仕込まれたからね。
香で媚薬を使う者もいるから、影響されないようハッカ入りの飴玉と香水瓶を持たされた。
私は二度その場で使ったから、念には念をというなら君も自衛した方が良いね」
「はい、そうします」
僕はいざとなればアレックスの傍に直ぐに転移出来るけれど、宮廷内では魔法が制限されている区画もあると聞いたことがある。
状況によっても、体術が役に立たない場合もあるかもしれない。
自分自身の為だけじゃなくて、アレックスが安心して公務が出来るよう、セオの負担を少しでも減らせるよう、できる対策は取っておこう。
アレックスかお父様が傍にいる間は、大丈夫なはずだけれどね。
「他に、聞きたいことはあるかな。分かることなら何でも話すよ」
「あ、はい。僕は、妊娠と出産について聞いておきたいなって思って満さんに会いに来ました。未知の世界なので」
「ああ……ま、そうだよね。やる事やっていたら、妊娠は近いうちにするだろうね。妊娠したら悪阻もあるし腹も脹れる。そこは、女性と変わらないし、周期も変わらない。元の世界と変わらず十月十日程で出産になるし、陣痛もある」
「お尻から出るって聞いたんですけど……痛いですよね?普通に」
「普通にというか尋常ではないくらいには痛いね」
「やっぱり」
だってお尻から出るんだもん。
赤ちゃんの頭程のうんちなんてしたことない。
お尻の穴が壊れないか心配になる。
「ただ、尻の穴とはいえ、出産時産道に繋がればそれは全く別ものみたいなものだ。ちゃんと広がるし、切れたりはしない。
最初から安産で早く産めるのは神器様という存在特有の利点だろう。私は初産でも三時間半ほどしかかからなかったよ」
「三時間半も?」
「女性の初産なら安産であっても十時間はかかるはずだ」
「そうなんだ」
三時間半でも長いと思ったのに、普通に女性だったら安産であっても十時間もかかると聞いてびっくりしちゃったよ。
普通、出産にどのくらい時間がかかるものなのかなんて知らなかった。
「するんとは、いかないさ」
「そっか……」
満さんが可笑しそうに笑う。
『うんちじゃないんだから』とでも思っていそうだった。
ただ、満さんは直接的な言葉を使わず選んで喋ってくれているみたいだ。
それが、僕への配慮なのか、それとも満さん自身があまりリアルに思い出したくないからなのかは分からないから、遠慮しないでとは言えない。
けれど、高級茶菓子や宝石商を呼んでもらって優越感に浸る者や、マッサージをしてもらう人が多いんだとか。
マッサージ、というのはえっちなマッサージも含むみたい。
射精の管理をされている神器様が多いし、態と常に欲しがるように一種の洗脳を受けているような神器様も少なくない。
不幸な境遇であった神器様たちを、甘い言葉で洗脳するのは容易なことだ。
待機場ではマッサージまでは許される行為で、寧ろ、美しさと艶めかしさを見せつけるように所有者が推奨する者もいる。
下半身に着いてたアレも、制限を緩くされたりその時だけ取られたりするのかも。
神器様に贅沢をさせてあげられることが一種のステイタスだから、大体のご主人様はこの待機場で神器様の要望に寛大だ。
普段見えないところでは贅沢をさせていないケチな所有者も、待機場だけは許す。
ここで神器様が食べた茶菓子や欲した宝石類は、所有者へ後で請求されるのだとか。
そういうことまで気にしない神器様たちが多いから、大きな夜会や宮廷での催しはそれだけで莫大なお金が流れる。
宝石なんてどうするの?と思ったのだけれど、所有者が連れる際には、神器様を規定ギリギリまで露出をするような裸同然の服装にさせて、高級な宝石類でごてごてと飾りたてるのが、一般的スタイルのようだ。
そう言えば、スーツを作る時に、宝石をどうつけるか聞かれたっけ。
高級品だからと言って品があるとは限らない、美しさとはかけ離れたようなデザインだった。
満さんが宮廷のその待機場に行ったことがあるのは、若い頃に三度。
貴族同士の繋がりでどうしても断れなかったハワード伯爵が頭を下げてお願いしてきた。
その度エリー先生が自身の夫へと烈火のごとく怒りをあらわにしていたから、それだけで満さんの心は痛まなかったみたい。
服装でも揉めたようだ。
誰と誰がって、エリー先生と満さんが、だ。
露出をさせたくないエリー先生だったけれど、立場上断れない相手なら尚更露出しなければならないと覚悟した満さんと毎回揉めたんだって。
多少の露出はして欲しい伯爵は、エリー先生が怖くて何も言えなかったようだ。
初めて揉めたその時、ヒートアップするエリー先生と満さんに『その……ほどほどで良いんだよ?』と冷や汗を流しながら呟いてきた伯爵を見て、満さんはおかしくて笑いを吹き出したと楽しそうに語ってくれた。
毎回満さんに負けて、エリー先生がそのたびに専用の着物を仕立てたんだとか。
「全体的にレースと刺繍に細かい宝石が散りばめられている着物でね。
ただエリーが譲れない場所があるからと、胸は半襟に、恥部は下前に隠して見えないようにされたよ。
その代わり、背中と鎖骨と足は晒したけれどね。
耳にも大きな宝石をつけていたから目立っていたよ。告げ口はしてないけれどやっかみも受けた。
けしていい場所ではないよ。
ただ、エリーからは守る術を仕込まれたからね。
香で媚薬を使う者もいるから、影響されないようハッカ入りの飴玉と香水瓶を持たされた。
私は二度その場で使ったから、念には念をというなら君も自衛した方が良いね」
「はい、そうします」
僕はいざとなればアレックスの傍に直ぐに転移出来るけれど、宮廷内では魔法が制限されている区画もあると聞いたことがある。
状況によっても、体術が役に立たない場合もあるかもしれない。
自分自身の為だけじゃなくて、アレックスが安心して公務が出来るよう、セオの負担を少しでも減らせるよう、できる対策は取っておこう。
アレックスかお父様が傍にいる間は、大丈夫なはずだけれどね。
「他に、聞きたいことはあるかな。分かることなら何でも話すよ」
「あ、はい。僕は、妊娠と出産について聞いておきたいなって思って満さんに会いに来ました。未知の世界なので」
「ああ……ま、そうだよね。やる事やっていたら、妊娠は近いうちにするだろうね。妊娠したら悪阻もあるし腹も脹れる。そこは、女性と変わらないし、周期も変わらない。元の世界と変わらず十月十日程で出産になるし、陣痛もある」
「お尻から出るって聞いたんですけど……痛いですよね?普通に」
「普通にというか尋常ではないくらいには痛いね」
「やっぱり」
だってお尻から出るんだもん。
赤ちゃんの頭程のうんちなんてしたことない。
お尻の穴が壊れないか心配になる。
「ただ、尻の穴とはいえ、出産時産道に繋がればそれは全く別ものみたいなものだ。ちゃんと広がるし、切れたりはしない。
最初から安産で早く産めるのは神器様という存在特有の利点だろう。私は初産でも三時間半ほどしかかからなかったよ」
「三時間半も?」
「女性の初産なら安産であっても十時間はかかるはずだ」
「そうなんだ」
三時間半でも長いと思ったのに、普通に女性だったら安産であっても十時間もかかると聞いてびっくりしちゃったよ。
普通、出産にどのくらい時間がかかるものなのかなんて知らなかった。
「するんとは、いかないさ」
「そっか……」
満さんが可笑しそうに笑う。
『うんちじゃないんだから』とでも思っていそうだった。
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