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本編

-378- 可愛さと焦り アレックス視点***

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しっかし、本当にレンはどこもかしこも可愛い。
容姿は勿論、性格や言動が可愛い。
こうやって毎日抱いているわけだが、全身で気持ちが良いと伝えてくれる。
最初こそ時折身体が強張っていたり、戸惑いを見せていた。
それでも素直に受け入れるレンが健気で可愛かった。
だが、こうやって少しずつ行為に慣れ、快楽を追うことを知ったレンを作ったのは俺だと思と喜び以外の何物でもない。

相変わらずレンの中は狭いが、居心地がいい。
時折きゅうきゅうと締め付けるし、進めば迎え入れ、引けば名残惜しそうに包んでくる。
本当に気持ちがいい。
身体もそうだが、なにより心が気持ちがいい。

俺だってレンが初めてなわけだが、レンを抱いていると俺が上手いんじゃないかと錯覚するほどだ。
や、そこは本当に錯覚でしかない。
錯覚だと肝に銘じて、つけ上がることなくいなければきっと俺は調子に乗る。

ついこの間『夜の行為のことで何か相談を受けていないか』とセオを問いただしたところ、『今のところはそういったご相談は受けておりません』とぴしゃっと告げられたな。
その後、『何かご心配でも?ご自身で身に覚えがおありですか?』と疑いの目を向けてきた。
最初に洗浄を失敗して以来、セオはどうも夜の行為においては俺を信用していない。
まあ、それだけのことをやらかした覚えはあるし、逆にその方がレンを守る上では安心できる。
セオなら、ちょっとレンの様子がおかしいならその場で聞くし、レンもセオになら素直に話すだろう。
セオからも何も言ってこないことが、相談を受けていない証拠でもある───というのは、セオから逆に問われてからだった。

俺に臆することなく直接言えるのが、セオの良いところだ。
『身に覚えなはないが、俺もレンが初めてだからこそ不安にはなる』と伝えた。
以前、“俺でも構わない”と口にしたからこそ、ここは格好つけることなく本心をさらけ出した。
そしてセオから言われたのが『ゆっくり優しく丁寧に、を心がければ良いのではないでしょうか?レン様のペースに合わせて、思いやりのある行為をお願いします』だった。
そこは毎回気を付けていることだったが、レンにもきちんと伝わっていたらしく『まあ、いつもそうされている、とは聞いてますので今更かもしれませんが』と穏やかに告げてきた。



「んんっ!……っあ、ああっ!!」
「───っ!」

嬌声と共に果てるレンにつられるように、俺自身も絶頂を迎える。
互いに荒い息を整えながら、レンを潰さないように抱きしめると可愛い鼻息が漏れた。
まだ、肌が敏感になっているらしい。
最中も可愛いが、終わった後のレンもこの上なく可愛い。
この無防備な可愛さは翌朝の寝起きまで続くから可愛すぎて困るくらいだ。
このまま何も気にせずに眠りにつきたいくらいだが、そんなことをしたら翌朝大変なことになる。

自分の身体を浄化し、空間からホットタオルを取り出す。
中は洗浄しても外は浄化で構わないんだろうが、汚れを取るだけよりも、こちらの方がさっぱりするはずだ。
……レンの浄化魔法は別として。
や、俺がレンの身体をあれこれ世話したいだけかもしれない。

レンの右手を取り、指の先から拭いていく。

「熱くないか?」
「うん。大丈夫。浄化しないの?」
「この方がさっぱりするだろ?」
「うん……ありがとう」

とろんとした顔で全てを委ねられると悪戯する気になんてならないが、胸や脇、腰骨あたりにタオルを滑らせるだけで可愛い声が上がる。

「笑わないで」
「すまない、つい」

可愛すぎて思わず笑ったら、レンが恥ずかしそうに俺の口元を抑えてきた。
本当に可愛いな。



中も綺麗に洗浄し終え、瞼の開閉に少し時間がかかっているレンを見つめる。
今日は外に連れ出されて、今後の学校教育への話し合いに参加しただけでなく、更にレポートまで提出してきたんだ。
即席であそこまで仕上げて出してくるなんて、思いもよらなかったしそこまで求めてもいなかった。
エリソン侯爵領の学校がどういう場所かを知って貰うだけで良かったんだ、疲れて当然だ。

「眠いか?」
「ううん、まだ大丈夫」

強がりかもしれないが、まだ話していたいというような感情が見える。
ならば、何か話をしようか……と、思った時だった。

「アレックス、厭きない?」
「は?」

びっくりして、レンの顔を覗き込んでしまった。

「……何にだ?」
「え?えっちが……その、毎日一緒で厭きないかなって思っ……」

なんだそれは?
毎日一緒で厭きないか、だと?!
や、確かに同じようにしか抱いてきていないが、もっと何かバリエーションを増やすべきだったのか?
レンは、俺とのセックスに飽きてきているのだろうか?
毎日してはいる。
レンの顔が見えるほうが良いし、しがみついてくるのが可愛いから前から抱くことが多い。
体位は変えるべきだったろうか?
それとも、体位とかの問題じゃないのか?
さっきまで気持ちよさそうにしてたじゃないか、なんで……。

重い石で殴られたようなショックに、とっさにレンをかき抱く。

「厭きない、厭きるわけない。レンは……飽きたのか?」
「え?」
「そんなことを聞いてくるってことは、そういう───」
「違うよ、そうじゃないよ!」

ぐっと胸を押しやられて、腕の力を緩める。
きっと、俺は、もの凄く情けない顔をしているに違いない。
レンのことになると、冷静でいられなくなる。

「僕は、毎日身体も心も満たされて気持ちがいいけど、毎回その、気持ちよくなって終わっちゃうから、いつも同じことしか言えてないし。
けど、違う反応が出来るかって言ったら、演技とかしてる余裕なんてないし……毎日おんなじことしか言えないから厭きないかなって思って」

「はあ……毎日一緒で厭きないかって聞くから、てっきりレンが飽きたのかと思っちまった」

一気に脱力する。
それと同時、全く分かっていないレンが少し憎い。
や、可愛すぎるが故に、だ。
もう少し俺の気持ちを考えてくれ、心臓に悪すぎる。

演技とかしてる余裕なんてない、だ?
当たり前だ。
演技をされていたらそれこそショックが大きくて俺は立ち直れないかもしれない。

「そんなことあるわけないよ!……んっ……あっ、アレックス?」
「厭きるわけないだろ?こうやってちょっと可愛がっただけで、反応してくれるんだから」

指の腹で小さな胸の突起を転がすと、可愛い声が上がった。
俺を呼ぶ声に戸惑いが見える。


「乳首、硬くなってる。こっちも」
「あっ!……あっ!待って待って、アレックス!さっき綺麗にしたばっかりだからっ!」
「また綺麗にすればいいだろ?」
「んんっ……けど」
「ほら」

レンの中心をやんわりと包み込むととたん可愛い声が上がる。
だが、拒絶は見られない。

レンの露を指先にすくい、レンの目の前に見せてやると、レンは真っ赤になって顔をそむけた。
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