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本編
-282- 初めての贈り物 アレックス視点
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仕事に戻ってすぐ、さて残りを……と始める前に、レンから貰ったガラスペンを眺める。
初めてのレンからの贈り物だ。
それも、レンと対になっているなんて、嬉しくないわけがない。
ガラスペンの薔薇の彫りは、とても細やかで美しい。
一点物だろう。
黒だが、よく見ると金色の粒子が緩やかならせん状に散りばめられていて、まるで夜空のような輝きをしている。
ガラスペンは時折祖母さんが使っていたが、実用性に欠けると思っていた。
しかし、レンからの贈り物なら別だ。
空間に入れて毎日持ち歩き、大切に使おう。
「それ、レン君からかい?」
ふっと目の前に影が落ち、ユージーンが覗き込んできた。
「ユージーン、ノックくらいしろ」
「僕の方が先に来ていたんだけどね」
「なら、声くらいかけてくれてもいいだろ?故意に気配を消すな」
「やあ、すぐに席について嬉しそうに眺めていたからかけづらくて」
「うそつけ」
「本当本当。で?はじめに戻るけれど、それはレン君からの贈り物かい?」
「ああ」
誰にも見せずに……と思っていたが、早速ユージーンに見つかってしまった。
「へえ、ガラスペンか。彫りが細かい!うわーガラスに金が混ざってるね。
こんな使い方をするのは、コッチネッラ商会の物かい?」
「そうだ。レンのガラスペンと対になっていて、角度を合わせると一本の薔薇の蔓になる。
対でも同じ彫りのものは目にしたことがあるが、これははじめてだ。
最初から黒とエメラルドグリーンの2本を出されたというから、俺とレンのために作られたんだろうな」
「あのおじさんは、気の良さそうな顔して自分が売りたい商品を必ず相手に売るからね。
それも、相手に気づかせることなく、悩ませることなく、喜びしか与えない。
気の良さそうというか実際良いんだけれどさ、打算もないし商人らしくないというかなんというか。
でも、ちゃんと売りたいものを売ってるあたりが侮れないというか……あれは本当に才能だと思うよ」
「まあな。レンも嬉しそうにしていたし、特別に作られたことすら教えられていないようだったしな。
だが、ガラスペンはガラスペンだ。
レンのものは、色付けだけのガラスだったし、彫りが細かい一点ものとはいえ、宝石を埋めるなどはされていない。相応の値段だろう。
品と値段が合わないものはけして出してこない商会だ」
フィーテルと領都に店を構え、帝都も行き来し顧客を抱えるコッチネッラ商会だが、実際は小さな商会だ。
文房具においては有名な商会のはずなんだが、商会員は、たったの7人。
うち一人が次女、もう一人がその旦那だ。
二人が元運用ギルドの職員で馬車を所有した後のメンバーだというから、実質三人で商品を生み出し運営していたことになる。
勿論、店は別の者を雇っているし、店ごとに店員も数人いる。
だが、これだけ有名になったのにも関わらず、商会自体の人数を増やして大きくしない商会も珍しい。
コナーのところなんて商会員をどんだけ増やす気だ?と思うくらいに毎年拡大を続けている。
商会もフィーテルの一角にあるが、こじんまりとした三階建ての建物で、馬車は一台保有しているものの、厩は他の商会と共同地で、馬の世話は運用ギルドに委託していたはずだ。
因みに、奥方は、商会員ではなく元公爵家のお張り子で、子爵家の出で、今はフィーテルの一角に刺繍の帽子とブローチを扱う店を出している。
こちらもとても人気のある店で、ふたりの娘さんも一緒に店を切り盛りしているが、奥方が有名なのは、奥方を主人公にした本が売れているからだ。
奥方の友人である作家が、彼女の出会いと結婚までを物語にし、その本が劇的に売れ、作家自身も一躍有名となった。
祖母さんも楽しそうに読んでいたな、その本を。
うちにまだあったはずだ、あとでレンにも教えてやろう。
レンが恋愛小説を読むかはわからないが、知っている者の恋愛が書かれているとなれば興味が出るかもしれない。
「そういや、エイダンとその奥方の恋愛小説を書いているあの作家、リリアーナ=ゲドリ……なんだっけ?」
「リリアーナ=ロドリゲスだろ?」
「そうそう、その彼女の新刊が出てかなりの売れ行きだそうだよ。なんと今度はエイダンの次女を主人公にしているそうだ」
「……作家とエイダンか、次女が噛んでるな」
「だよねえ。でも母上が絶賛していたから、物語としてもちゃんと面白いんじゃないかな。
働く女性を題材にしているのだから、それはそれで新しいと思うよ」
「確かに」
貴族や商家のご夫人、裕福な家の女性を中心に流行っている恋愛小説だが、今までは貴族の女性や皇族の女性が主人公のものが流行っていたはずだ。
うちにある祖母さんの小説も大抵がそうだろう。
働く女性を題材にするのが珍しいのは、魔力の多い女性は重宝されるからだ。
男性夫人が増えたからと言って、男性との恋愛小説はいまだ少なく、あまり人気がないらしい。
「そのうちレン君が主人公の小説を書きたいと言い出すかもしれないねえ」
「やめてくれ?」
そうしたら小説界隈にまた新しい風が吹くだろうね、などと面白おかしくいうユージーンだが、俺がヒーローとして登場するなど勘弁してもらいたい。
リリアーナ=ロドリゲスは書くことに貪欲で、貴族間の繋がりも持ってる。
そう、ユージーンの母君、エリー=ハワードもその一人だ。
彼女が書きたいと言えば、レン自身との繋がりも出来てしまいそうだ。
レンは、許可しそうだな。
はたから見れば、デメリットよりメリットの方が断然大きい。
ため息をつきつつ、そろそろ仕事に取り掛かろうと書類の束を前に気合を入れ直したのもつかの間。
ユージーンが一通の手紙をよこしてきた。
このタイミングで寄こしてくるか?
……くる奴だったな、こいつは。
「さっき届いたばかりだよ……これは、辺境伯の紋章だね」
「嫌な予感がする」
「言ったら当たるからそういうことは口にしない方が良いんじゃないかい?」
「もう言っちまった」
癖のある字で俺の名前書かれている。
辺境伯自らの文字だろうとすぐわかるその封を開ける。
侯爵領宛でなく、こちらに寄こしたのは早く届けたいからだろうな。
実際直接馬を走らせるとなるとうちのほうが一日ほど早いだろうが、運送ギルドの手紙の場合、辺境からだと一度別の場所を経由する。
帝都の場合は直通で、宮廷ともなれば優先される。
2日くらいは早く手元に届いたはずだ。
初めてのレンからの贈り物だ。
それも、レンと対になっているなんて、嬉しくないわけがない。
ガラスペンの薔薇の彫りは、とても細やかで美しい。
一点物だろう。
黒だが、よく見ると金色の粒子が緩やかならせん状に散りばめられていて、まるで夜空のような輝きをしている。
ガラスペンは時折祖母さんが使っていたが、実用性に欠けると思っていた。
しかし、レンからの贈り物なら別だ。
空間に入れて毎日持ち歩き、大切に使おう。
「それ、レン君からかい?」
ふっと目の前に影が落ち、ユージーンが覗き込んできた。
「ユージーン、ノックくらいしろ」
「僕の方が先に来ていたんだけどね」
「なら、声くらいかけてくれてもいいだろ?故意に気配を消すな」
「やあ、すぐに席について嬉しそうに眺めていたからかけづらくて」
「うそつけ」
「本当本当。で?はじめに戻るけれど、それはレン君からの贈り物かい?」
「ああ」
誰にも見せずに……と思っていたが、早速ユージーンに見つかってしまった。
「へえ、ガラスペンか。彫りが細かい!うわーガラスに金が混ざってるね。
こんな使い方をするのは、コッチネッラ商会の物かい?」
「そうだ。レンのガラスペンと対になっていて、角度を合わせると一本の薔薇の蔓になる。
対でも同じ彫りのものは目にしたことがあるが、これははじめてだ。
最初から黒とエメラルドグリーンの2本を出されたというから、俺とレンのために作られたんだろうな」
「あのおじさんは、気の良さそうな顔して自分が売りたい商品を必ず相手に売るからね。
それも、相手に気づかせることなく、悩ませることなく、喜びしか与えない。
気の良さそうというか実際良いんだけれどさ、打算もないし商人らしくないというかなんというか。
でも、ちゃんと売りたいものを売ってるあたりが侮れないというか……あれは本当に才能だと思うよ」
「まあな。レンも嬉しそうにしていたし、特別に作られたことすら教えられていないようだったしな。
だが、ガラスペンはガラスペンだ。
レンのものは、色付けだけのガラスだったし、彫りが細かい一点ものとはいえ、宝石を埋めるなどはされていない。相応の値段だろう。
品と値段が合わないものはけして出してこない商会だ」
フィーテルと領都に店を構え、帝都も行き来し顧客を抱えるコッチネッラ商会だが、実際は小さな商会だ。
文房具においては有名な商会のはずなんだが、商会員は、たったの7人。
うち一人が次女、もう一人がその旦那だ。
二人が元運用ギルドの職員で馬車を所有した後のメンバーだというから、実質三人で商品を生み出し運営していたことになる。
勿論、店は別の者を雇っているし、店ごとに店員も数人いる。
だが、これだけ有名になったのにも関わらず、商会自体の人数を増やして大きくしない商会も珍しい。
コナーのところなんて商会員をどんだけ増やす気だ?と思うくらいに毎年拡大を続けている。
商会もフィーテルの一角にあるが、こじんまりとした三階建ての建物で、馬車は一台保有しているものの、厩は他の商会と共同地で、馬の世話は運用ギルドに委託していたはずだ。
因みに、奥方は、商会員ではなく元公爵家のお張り子で、子爵家の出で、今はフィーテルの一角に刺繍の帽子とブローチを扱う店を出している。
こちらもとても人気のある店で、ふたりの娘さんも一緒に店を切り盛りしているが、奥方が有名なのは、奥方を主人公にした本が売れているからだ。
奥方の友人である作家が、彼女の出会いと結婚までを物語にし、その本が劇的に売れ、作家自身も一躍有名となった。
祖母さんも楽しそうに読んでいたな、その本を。
うちにまだあったはずだ、あとでレンにも教えてやろう。
レンが恋愛小説を読むかはわからないが、知っている者の恋愛が書かれているとなれば興味が出るかもしれない。
「そういや、エイダンとその奥方の恋愛小説を書いているあの作家、リリアーナ=ゲドリ……なんだっけ?」
「リリアーナ=ロドリゲスだろ?」
「そうそう、その彼女の新刊が出てかなりの売れ行きだそうだよ。なんと今度はエイダンの次女を主人公にしているそうだ」
「……作家とエイダンか、次女が噛んでるな」
「だよねえ。でも母上が絶賛していたから、物語としてもちゃんと面白いんじゃないかな。
働く女性を題材にしているのだから、それはそれで新しいと思うよ」
「確かに」
貴族や商家のご夫人、裕福な家の女性を中心に流行っている恋愛小説だが、今までは貴族の女性や皇族の女性が主人公のものが流行っていたはずだ。
うちにある祖母さんの小説も大抵がそうだろう。
働く女性を題材にするのが珍しいのは、魔力の多い女性は重宝されるからだ。
男性夫人が増えたからと言って、男性との恋愛小説はいまだ少なく、あまり人気がないらしい。
「そのうちレン君が主人公の小説を書きたいと言い出すかもしれないねえ」
「やめてくれ?」
そうしたら小説界隈にまた新しい風が吹くだろうね、などと面白おかしくいうユージーンだが、俺がヒーローとして登場するなど勘弁してもらいたい。
リリアーナ=ロドリゲスは書くことに貪欲で、貴族間の繋がりも持ってる。
そう、ユージーンの母君、エリー=ハワードもその一人だ。
彼女が書きたいと言えば、レン自身との繋がりも出来てしまいそうだ。
レンは、許可しそうだな。
はたから見れば、デメリットよりメリットの方が断然大きい。
ため息をつきつつ、そろそろ仕事に取り掛かろうと書類の束を前に気合を入れ直したのもつかの間。
ユージーンが一通の手紙をよこしてきた。
このタイミングで寄こしてくるか?
……くる奴だったな、こいつは。
「さっき届いたばかりだよ……これは、辺境伯の紋章だね」
「嫌な予感がする」
「言ったら当たるからそういうことは口にしない方が良いんじゃないかい?」
「もう言っちまった」
癖のある字で俺の名前書かれている。
辺境伯自らの文字だろうとすぐわかるその封を開ける。
侯爵領宛でなく、こちらに寄こしたのは早く届けたいからだろうな。
実際直接馬を走らせるとなるとうちのほうが一日ほど早いだろうが、運送ギルドの手紙の場合、辺境からだと一度別の場所を経由する。
帝都の場合は直通で、宮廷ともなれば優先される。
2日くらいは早く手元に届いたはずだ。
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