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本編

-275- レンからの誘い*** アレックス視点

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「おかえりなさいませ」
「ああ、今戻った」

午後休憩の時間より少し早く戻れたのは、仕事の量が少なかったから、というわけじゃない。
量は変わらずだったが、眠りが深くしっかりと睡眠がとれたのが理由の一つ。
そして、何より昨晩から朝にかけてゆっくりとレンと過ごすことが出来たからだ。
心も身体も癒され魔力も満タンとなれば、仕事にも身が入る。

新婚や恋人に夢中になり、仕事の方がおろそかになって居眠りをする輩もいるらしいが、俺は明らかに逆のタイプらしい。
それにしても昨夜は本当に可愛かった、や、昨夜も、だ。



俺の古いパジャマに身を包むレンにあてられて部屋に戻り深い口づけを送った時、レンから待ったの声が上がった。
俺は十分やる気だったが、レンはそういう気はなかったかもしれない、と我に返る。
無理強いはしない、どんなに熱が冷めずともやり過ごしてみせる。
そんな覚悟の元、嫌か尋ねた。
するとレンは、『ううん、嫌なんかじゃないよ、もちろん。でも、喉乾いた』と訴えてきた。

水分も与えずにがっついた自分を恥じる。
己の欲にかられて相手を労わることさえ欠いていたらしい。
風呂上りに水分をとる、など当たり前のことすら忘れるほどに。

レンは俺の失態を気にした風もなく出された果実の水を美味しそうに飲んでいたが、甘んじてはならない。
冷静に、自身の行いを省みた。

『アレックス、なにか気になる?』と俺のことを心配そうにのぞき込むレンが可愛すぎて食指が動くのを理性で抑える。
『聞かせて?ちゃんと聞くよ』と言いながら俺を見つめてくるレンには、どこまで胸の内を晒していいものか悩んだ。
レンにの全てを欲しがっておいて、自分は薄汚い感情に蓋をしたい、など思っている。
そのことが、更に自己嫌悪に陥りそうだった。

『がっついてるって思われたくなくて、我慢してたけど、結局がっついた』
そんな返ししかできず、情けない俺に対してレンは慈愛の表情で大丈夫だ、と言葉にしてくれた。
9つも離れている、俺よりもずっと年下のレンが、俺を気遣い、情けない俺に対して何一つ幻滅することもなく、『しよう?』とまで誘ってくれた。
本当に愛されているんだな、と嬉しさでじわりと心が熱くなった。

せめて、精一杯愛情を与えてやりたい、気持ちよくしてやりたい、そんな風に思い、レン自身を口で愛撫した。
どこまでが良くてどこまでが駄目なのか、そんなのは知らない。
尻の穴を舐めるのがレンにとって嫌な行為なら、ペニスを口で愛撫されるのはどうなのかと思ったが、それは抵抗がないようだ。
だが、羞恥は強いらしく、気持ちよさそうな表情の中に戸惑いがちらほらと見え隠れした。
言葉での確認も必要に感じたが、『嫌じゃない』とはっきりと返してくれた。

俺の愛撫で、レンを喜ばせていることが嬉しかった。
恍惚とした表情を見せながら可愛い声を幾度も上げてくれた。
甘く極上な蜂蜜のような精を俺の口内へ吐出し、喉も体内も心も欲したが、何とか外の空間へと送り出した。
飲み込んだら、確実に魔力酔いを起こす。
だが、見えるところで外に吐出す等、到底できない。
相手を悲しませ愛情を疑う行為だ、そんなことは許されないだろ。
レンを悲しませることがあってはいけない……そんな風に思っての行為だった。
だが、自身の精液を飲まれないことをレンは知っていて逆に心配をかけた。
セバスから聞いていたようだ。

あの時の慌てようは、マジで可愛かった。
『あーして』なんて言われたことは、記憶を遡ってもあれが初めてだったな。
その後は、躊躇せず俺のも口でしようとしていたが……あんなんされたらすぐにイっちまう。
近いうち、してくれるだろうか?
俺がレンの精液を飲み込むことはかなわないが、レンが俺のを飲み込むことは問題ない。
あの小さい口で全てを受け止めてくれるだろうか?
してほしくないわけじゃ、勿論ない。



「ああっ、そこっ……駄目っ、変になるとこだからああっ!!」

後ろを解しながら、レンの良いところを探り当てるとすげー可愛い声が上がった。
下半身にダイレクトにくる声だ、理性が試されるが、マジで可愛い。

「ああ……っ変じゃなくて、良いところだろ?」

知ってるから、そこを思いきり可愛がる。
とろとろに溶かして、気持ちよさだけ与えてやりたい。
一度目は、少なからず苦痛を与えてしまったから。

「ふはあっ……んっ、いい、気持ちいい……はああっ……んんっあ、あ、あ、あっ……またイっちゃ……あっ!」

動かす指の速度を上げれば、レンの息がどんどん乱れて早くなる。
その姿と声に、俺自身も興奮し、息も荒くなっていく。

「あっ、やだっ!抜かないでっ……あっんん……はあ……ん……早くきて」
「っ……あんま急かさないでくれ」
「んん……」
「ただでさえっ…可愛いんだ……っ」
「ああっ!……っ入ってる、入ってるっ……あっ……」
「けしかけんなって……あーくっそ、やばいな……っ」

本当にやばいくらいに可愛い上に、やばいくらいに中が気持ちがいい。
中は狭いが、精一杯迎えようと俺自身を飲み込んでくるように迎い入れてくる。
神器の中は所有者にとって名器だ、なんて言われていて反吐が出ると思っていたが、レンの中はマジですぐにいきそうなくらい気持ちがいい。

「この間……自分本位で、動いちまったから。今日は……もっと、気遣ってやりたい」

理性の総動員だ。
ゆっくりとレンを攻めていく、ゆっくり、優しく、いいところだけを。
本当はこの細い腰に己の熱を強く打ち付けて熱を注ぎ込んでしまいたい、そんな風にも思う。
そんなことはしないし、できない。
どちらも慣れていない状況で、そんなことをすれば身体だけじゃなくて、今度こそ心を傷つけちまう。

「んんっ……そ、んなの……十分……んんっ……あっんん…ん、こない、だも……十分優し……っはあ……我慢……しなっ……んんっ……」
「我慢してる、わけじゃない……や、してるが……っ気持ちよすぎてどうにかなりそうだ」

マジですげー気持ちがいい。
以前、セックスをしたがらない男なんて男じゃねえよ、とどこからか聞こえてきた下世話な会話に苦しんだ自分がいた。
したくてもできない俺は、男ではないのだろうか?なんて思ったこともある。
こうやって、繋がることが出来るのは、奇跡みたいなもんだ。

「あ……んんっ……んっ、ほんと?」
「ああ……本当だ」
「ん……嬉しい………あっ!」
「っ!!」

極上の可愛さで嬉しいとか言われたら、無理だった。
もう少し持たせて、一緒にいくつもりだったのに、情けないがイっちまった。

「あー悪い……出ちまった」

レンは、少し熱を持て余していそうだ。
後ろを蜜でとろとろに濡らしながら、前もたらたらと露をこぼしているが、自身を扱くことはせず、『いっぱいであったかい』なんて可愛い感想まで告げてくる。
あーやばい、それだけでまた元気になっちまう。

「もういっかい、しよう?」
耳元で囁かれる二度目のお誘いに、のらないなんて選択はなかった。
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