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本編

-264- ピロートーク*

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二回目を終えて、結果として僕は今夜の目標を達成した。
ちゃんと最後まで起きてられたよ。
アレックスは二回目も凄く優しくて、途中途中で口づけをくれた。

凄く愛されてるなって感じたし、ちゃんとこころもからだも気持ちが良かった。

そりゃそうだよね、ずっと苦しいだけなら世の中みんな好き好んでえっちなんてしない。

汚れたまま汗ばむ身体を互いに抱きしめる。
そんな行為も、全然不快じゃない。
アレックスの身体から香るのは甘くてすっきりしたオレンジの香りだし、ずっと嗅いでいたいくらいに癒される。
そんな、とってもいい香りに包まれて、微睡む時間なんてすごく贅沢だ。

「眠そうだな……」
「ん、もうちょっと平気」
「からだ、気持ち悪くないか?」
「ん、大丈夫」

アレックスが中から抜けているとはいえ、僕のお腹の中にはアレックスの吐き出した精液が溜まったままだ。
気持ち悪いなんてことはないけれど、いっぱい入ってる感じはする。

アレックスは嬉しそうに笑いながら自分の身体に浄化をかけて、続けて僕の身体にも浄化をかける。
中はそのままだけれど、身体はさっぱりだ。
ちょっと、もったいないな、なんて思うのはアレックスのオレンジの香りが和らいだからかもしれない。

それにしても。
やっぱり、こんなふうにさらっと流れるように魔法が使えるアレックスはすごいな。

アレックスが、髪をとくように僕の頭を撫でてくれる。
汗ばんでしっとりしてた髪の毛がさらさらになったようだ。

「僕も、アレックスみたいに早くいろんな魔法を使えるようになりたい」
「ちょっとずつで良いぞ?ああでも、レンの浄化は、あまり人前ではやらないで欲しいな」
「なんで?上手くできてない?」

浄化は、上手く出来てるつもりでいたのにな。
今のところ僕が出来るのは、アレックスのところに転移することと、浄化くらいだ。
アレックスの手を元に戻したのは僕だけれど、あれは思いが強かったからで、あれ以来何かの時間を巻き戻す、なんてことはしていない。

「いや、上手く出来てるぞ。ただ、仕上がりが風呂上りみたいに可愛すぎるんだ」

アレックスが笑いながら告げてくる。
そういえば、僕の浄化魔法はちょっと変わってるって、ルカに言われたっけ。
でも、お風呂上りじゃない身体の浄化をイメージするのが難しい。

「お風呂上りじゃない浄化っていうのが想像しにくいよ?」
「なら、家と孤児院、あとは、アサヒやナギサの前でならいいが、他の場所で、他人の目があるときはしないようにしてくれ。
俺がいるときは俺がするし、いないときはセオにかけてもらえば良い」
「わかった。出来るまではそうするね」

当分家の中にいるだろうし、外出するのはまだまだ先だと思う。
次に外出するとしたら、孤児院か、旭さんのところだと思う。
それでも、一週間くらい先のことだろうし。

アレックスに心配かけちゃうなら、出来るまでは言う通りにしよう。
浄化しないでほしい理由が、“可愛すぎるから”なんていう理由なんだもん。
お風呂上りの僕を他人にみせたくないって思ってるみたいだ。
愛されてるなあって幸せをかみしめる。

「明日の朝は、レンの体調が大丈夫なら少しだけつきあってくれ」
「ん?…あ、うん。い…いよ?」

え?朝もするの?って思ったけれど、アレックスがしたいなら朝でも付き合う。
駄目なんて言えない、求められて嫌じゃないからだ。

セバスもセオもしてる最中に入ってくる、なんて野暮はしないはずだし。
顔が熱くなるのを自覚しながらおっけーの返事をすると、アレックスがはっとして僕の顔を見る。

「や、悪い、その…言い方が悪かった。そういうあれじゃなくてだな……少しテンを走らせようと」
「え?……あ、そっか、そうだよね。ふふっ、ごめん。朝もしたいのかなって思っちゃった」
「や、誤解を与える言い方をした」
「ううん。テンに乗れるの楽しみだよ。また乗ってほしそうにしてたんだ、僕もアレックスと一緒に乗りたい」

勘違いした僕は、おかしくなって思わず笑っちゃう。
そんな僕を見て、アレックスは少し時恥じるように口元を抑えた。

「あいつもレンのことをそうとう気に入ってるみたいだな」
「かっこいいのに可愛いよね」
「そうか?」
「うん。アレックスによく似てる」

アレックスは何とも言えない顔で僕を見て、僕の額にひとつ口づけを落としてくる。

「そろそろ寝ようか。洗浄するのは明日でもいいか?」
「うん、大丈夫」

最初の内は産道をつなげやすくする意味でも、中はすぐに洗わないほうが良いみたいだ。
繋げる準備が少なくて済むようになるなら、そうしたい。
中にあるって感じはするけれど、気持ち悪いわけじゃない。
たぶん、お腹の中の、胃や腸に入ってるわけじゃないからだと思う。

頷く僕の唇に、アレックスは触れるような口づけをそっと落としてくれた。

「おやすみ」
「おやすみなさい、アレックス。いい夢を」
「ああ、ありがとう。レンも、いい夢を」
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