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本編
-243- 全てが可愛い アレックス視点
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「おかえりなさい!」
「ああ、ただいま」
俺がコンサバトリーまで足を運ぶと、レンは、ぱあっとした眩しい笑顔ですぐさま駆け寄ってきてくれた。
そっと抱き寄せると、ふんわりと蜂蜜の香りが鼻を擽る。
あーすげー可愛い。
マジで俺には勿体ないくらいに、見た目だけじゃなくて、全てが綺麗で可愛い。
こんな人間いるのか?ってくらいには可愛い。
レンには、泣いても怒っても可愛いんだ。
しゅんとした顔は庇護欲を掻き立てるくらいに可愛い。
それでも、なにより、笑顔なのが一番可愛い。
過去の、恋愛に関してやさぐれて俺に言いたい。
『悲観するな、いずれ驚くくらい理想の相手と出会える』と。
それらを乗り越えても、金貨、いや、白銀貨で何枚もお釣りがくるほど……いや、そうじゃないな。
金で買ってはいるものの、金で買えるものじゃないほど、それほどに俺にとって価値のある存在だ。
「時間が取れずにすまない。寂しい思いをさせたな」
「ううん、忙しい中一度帰って来てくれてありがとう、アレックス」
「俺のほうこそ、昼飯をありがとう。レンのおかげで俺もジュードもうまい飯にありつけた」
「僕は頼んだだけだけれど、それならよかった。またすぐ戻るんでしょう?」
「ああ……すまない」
一言も告げることなく、朝も昼も言伝で済ませた俺に対し、レンは一言も咎めることなどなかった。
それだけでなく、“忙しい中一度帰って来てくれてありがとう”とまで礼を言ってくる。
レンは、若いのに本当人間出来てるな。
良い環境で好きなことをさせてくれた、と言っていた。
ご両親には、感謝しなくては。
“またすぐ戻るんでしょう?”との言葉が痛い。
だが、寂しそうな顔を俺には一切見せない。
セオやセバスから、寂しそうにしていた、と聞いた後だからこそ、その健気さが心を揺さぶる。
絶対に明日は夕食までには全てを片付ける、俺なら出来る、や、絶対にそうする、と心に決める。
折角結婚までしたのに、ゆっくり休む時間もない。
忙しさを理由にしたくはない。
レンは、昼飯を届けたり、メッセージカードをくれたりと出来ることをしてくれた。
俺はどうだ?言伝をセバスに頼んだだけだ。
俺が独り身の時と同じように過ごしてしまえば、レンの心が離れていくかもしれない。
そんなんぞっとする。
相手がレンに対して恋愛感情がなくても、レンから向けられてしまえば好きにならないわけがない。
しっかりレンの心を繋ぎ止めておくためにも、出来る限りこまめに帰ろう、そう思う。
折角、転移魔法っつー便利なもんがあるんだ。
今まで以上に、例えそれが自分のためであってもフル活用して何が悪い。
「ううん、謝らないで。夕飯は一緒に食べられる?」
「……わからないな」
食べられない、とは言えなかった。
ただ、聞かれただけだ。
レンも、確かめたかっただけだろう。
期待に満ちた目は向けられていない。
それでも、出来ないとも、すまない、とも言えなかった。
「そっか、わかった。もし、一緒に食べる時間が無くても、連絡はしてね?
そしたら、マーティンに食べながら仕事ができるようなものを作ってもらえるよう頼むから。
だから、そのときは遅くなってもいいから、きりのいいところで一度戻って来て」
ああ、なんっつー気配りだ。
寂しい顔を一切見せずに、俺のためを思って提案してくれているのがわかる。
「……ああ、わかった。色々とありがとう」
「ううん、僕に出来ることはまだ少ないけれど、ちょっとでも僕がいて良かったって思ってもらいたいから」
だから、自分のためでもあるんだ、と少し恥じらうように口にする。
ちょっとどころでなく、めちゃくちゃ思ってる。
「“レンがいて良かった”」
そう言って口づけると、ふんわりと嬉しそうに笑ってくれる。
あー……すげー可愛いな。
ずっとこうして存在を感じていたいが、残念ながら、時間だ。
「来たばかりだが、そろそろ戻る」
「うん、無理しないでね」
「ああ。言ってくる」
「いってらっしゃい」
レンの方から、ちょんと口づけを返してくれる。
あー……本当に、可愛い上に、俺の気分をこれでもかと上げてくれる子だ。
「ああ、ただいま」
俺がコンサバトリーまで足を運ぶと、レンは、ぱあっとした眩しい笑顔ですぐさま駆け寄ってきてくれた。
そっと抱き寄せると、ふんわりと蜂蜜の香りが鼻を擽る。
あーすげー可愛い。
マジで俺には勿体ないくらいに、見た目だけじゃなくて、全てが綺麗で可愛い。
こんな人間いるのか?ってくらいには可愛い。
レンには、泣いても怒っても可愛いんだ。
しゅんとした顔は庇護欲を掻き立てるくらいに可愛い。
それでも、なにより、笑顔なのが一番可愛い。
過去の、恋愛に関してやさぐれて俺に言いたい。
『悲観するな、いずれ驚くくらい理想の相手と出会える』と。
それらを乗り越えても、金貨、いや、白銀貨で何枚もお釣りがくるほど……いや、そうじゃないな。
金で買ってはいるものの、金で買えるものじゃないほど、それほどに俺にとって価値のある存在だ。
「時間が取れずにすまない。寂しい思いをさせたな」
「ううん、忙しい中一度帰って来てくれてありがとう、アレックス」
「俺のほうこそ、昼飯をありがとう。レンのおかげで俺もジュードもうまい飯にありつけた」
「僕は頼んだだけだけれど、それならよかった。またすぐ戻るんでしょう?」
「ああ……すまない」
一言も告げることなく、朝も昼も言伝で済ませた俺に対し、レンは一言も咎めることなどなかった。
それだけでなく、“忙しい中一度帰って来てくれてありがとう”とまで礼を言ってくる。
レンは、若いのに本当人間出来てるな。
良い環境で好きなことをさせてくれた、と言っていた。
ご両親には、感謝しなくては。
“またすぐ戻るんでしょう?”との言葉が痛い。
だが、寂しそうな顔を俺には一切見せない。
セオやセバスから、寂しそうにしていた、と聞いた後だからこそ、その健気さが心を揺さぶる。
絶対に明日は夕食までには全てを片付ける、俺なら出来る、や、絶対にそうする、と心に決める。
折角結婚までしたのに、ゆっくり休む時間もない。
忙しさを理由にしたくはない。
レンは、昼飯を届けたり、メッセージカードをくれたりと出来ることをしてくれた。
俺はどうだ?言伝をセバスに頼んだだけだ。
俺が独り身の時と同じように過ごしてしまえば、レンの心が離れていくかもしれない。
そんなんぞっとする。
相手がレンに対して恋愛感情がなくても、レンから向けられてしまえば好きにならないわけがない。
しっかりレンの心を繋ぎ止めておくためにも、出来る限りこまめに帰ろう、そう思う。
折角、転移魔法っつー便利なもんがあるんだ。
今まで以上に、例えそれが自分のためであってもフル活用して何が悪い。
「ううん、謝らないで。夕飯は一緒に食べられる?」
「……わからないな」
食べられない、とは言えなかった。
ただ、聞かれただけだ。
レンも、確かめたかっただけだろう。
期待に満ちた目は向けられていない。
それでも、出来ないとも、すまない、とも言えなかった。
「そっか、わかった。もし、一緒に食べる時間が無くても、連絡はしてね?
そしたら、マーティンに食べながら仕事ができるようなものを作ってもらえるよう頼むから。
だから、そのときは遅くなってもいいから、きりのいいところで一度戻って来て」
ああ、なんっつー気配りだ。
寂しい顔を一切見せずに、俺のためを思って提案してくれているのがわかる。
「……ああ、わかった。色々とありがとう」
「ううん、僕に出来ることはまだ少ないけれど、ちょっとでも僕がいて良かったって思ってもらいたいから」
だから、自分のためでもあるんだ、と少し恥じらうように口にする。
ちょっとどころでなく、めちゃくちゃ思ってる。
「“レンがいて良かった”」
そう言って口づけると、ふんわりと嬉しそうに笑ってくれる。
あー……すげー可愛いな。
ずっとこうして存在を感じていたいが、残念ながら、時間だ。
「来たばかりだが、そろそろ戻る」
「うん、無理しないでね」
「ああ。言ってくる」
「いってらっしゃい」
レンの方から、ちょんと口づけを返してくれる。
あー……本当に、可愛い上に、俺の気分をこれでもかと上げてくれる子だ。
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