221 / 440
本編
-221- 大満足のフルコース
しおりを挟む
「前菜は、うさぎのパテドカンパーニュでございます」
「わ……凄く可愛い!ボックスフラワーみたい」
「……これも初めて見るな。うさぎはどこいった?」
うさぎはどこいった?なんて少しまぬけな声を出したアレックスだけれど、見た目はボックスフラワーみたいに綺麗なんだ。
大きさは10センチもない。
目測で、7~8センチってところだと思う。
正方形にかたどられて、あの星形の青いちいさなお花や、グリーンサラダ、あとソテーされてる小さなトウモロコシだとかが彩綺麗に配置されてる。
たくさんの種類があるから花畑というよりも、もっと自然な感じだけれど、綺麗に見えるから計算されてるんだろうなあ。
良く見ると、その下に薄く茶色の層がみえる。
この茶色部分が、うさぎのパテかな?
花咲く草原の一番きれいな部分を切り取ったみたいな感じだ。
「この青い花はなんていうの?お茶請けにも出てきたよね?」
「はい、エンゼルボリジと言いまして、ボリジが魔物化したものです」
「魔物化……動いたりするの?」
魔物化っていわれると、どうしても襲ってきたり動いたり、意志を持ってるイメージだ。
けれど、僕の言葉にアレックスもセバスも、くすりと笑いを漏らす。
「や、動いたりはしないぞ。ボリジは元々作られていたんだが、一年草で春にしかとれなかったからな。
これは、基本一年中取れるし、普通のボリジより小ぶりだが発育が早い上に発色も甘さも強いんだ。
持ちもいいから、うちでは良くつかわれてるな」
「そうなんだ。すごく可愛い花だね」
動かないみたいだ。
魔物化の概念がことごとく覆されてく。
馬も乳牛も魔物って言われないとわからないくらいだもんね。
魔物化されたものば、僕が考えてるよりずっとたくさんあるみたい。
渚君が言っていたヒュージオリーブっていうオリーブ油も魔物みたいだし。
「うさぎのお肉は、元の世界だと国柄一般的じゃなかったんだけれど、良く食べられるの?旭さんのところでも出たよね?」
「ああ、うちだと鶏肉と同じくらいには出回ってるな。養兎されてるから庶民にも手に入りやすいし、でかいしな、安価だ」
「大きいの?」
「レンが抱えられないくらいにはデカいな」
「それも魔物?」
「あれは魔物じゃなくて、最初からそういうもんだと思う」
「そんなに大きいのはみたことないや。でも安価で手に入りやすいなら、いいお肉だね、とても美味しいし」
パティも臭みが全然なくて、爽やかなハーブが効いててとても美味しい。
元の世界だと、豚とか鴨のパティを食べたことあるけれど、やっぱり独特の臭みがあった。
あまり得意じゃなかったけれど、これは全然別物だ。
あと食べたことあるのは、牛のパティ。
牛のパティっていったら、もう別物だ、ハンバーガー。
そうなると、がっつり肉の味に、負けないくらいの香辛料だとか味の濃さで、ジャンクになる。
見た目だけじゃないし、想像できる味じゃないところが凄い。
でも、ちゃんと野菜は野菜の、お肉はお肉のうまみというか、風味はちゃんとある。
かかってるドレッシングソースは色はついてないけれど、柑橘系のすっきりした好きな味だ。
控えめに言って、美味しい。
「元の世界だと鶏肉の他には豚や牛が多かったよ。
あとは、ちょっと珍しいけど、羊肉も普通に売ってたかな」
「うちの領では、豚や牛の肉は手に入りづらいが、食べたいときには買って帰るから言ってくれ」
「ん?」
「仕事前に帝都の市場によれば簡単に手に入る」
なるほど。うちの領にはなかなか出回っていないけれど、帝都の市場だと売ってるみたいだ。
えー?でもアレックスは帝都で働いているとはいえ、侯爵様だよ?
転移があるからひょいっと行けるんだろうし、収納魔法があるからなんの無理もないんだろうけれど、簡単にほいほい市場に行っちゃっていい立場なのかな?
それも、自身で買い付けちゃうなんて……あ、あんまりよくないみたいだ、セバスが変な顔してる。
「僕は特別豚と牛が好きなわけじゃないから、大丈夫だよ。
豚と牛よりも、エリソン侯爵領でとれたものとか、伝統的なものとかの方が興味あるかな」
「そうか?」
「うん、アレックスが特別好じゃないならとくには」
これは本当だ。
肉の種類よりも、エリソン侯爵領の地元ならではの料理とか、伝統的なものに興味がある。
「わ……凄く可愛い!ボックスフラワーみたい」
「……これも初めて見るな。うさぎはどこいった?」
うさぎはどこいった?なんて少しまぬけな声を出したアレックスだけれど、見た目はボックスフラワーみたいに綺麗なんだ。
大きさは10センチもない。
目測で、7~8センチってところだと思う。
正方形にかたどられて、あの星形の青いちいさなお花や、グリーンサラダ、あとソテーされてる小さなトウモロコシだとかが彩綺麗に配置されてる。
たくさんの種類があるから花畑というよりも、もっと自然な感じだけれど、綺麗に見えるから計算されてるんだろうなあ。
良く見ると、その下に薄く茶色の層がみえる。
この茶色部分が、うさぎのパテかな?
花咲く草原の一番きれいな部分を切り取ったみたいな感じだ。
「この青い花はなんていうの?お茶請けにも出てきたよね?」
「はい、エンゼルボリジと言いまして、ボリジが魔物化したものです」
「魔物化……動いたりするの?」
魔物化っていわれると、どうしても襲ってきたり動いたり、意志を持ってるイメージだ。
けれど、僕の言葉にアレックスもセバスも、くすりと笑いを漏らす。
「や、動いたりはしないぞ。ボリジは元々作られていたんだが、一年草で春にしかとれなかったからな。
これは、基本一年中取れるし、普通のボリジより小ぶりだが発育が早い上に発色も甘さも強いんだ。
持ちもいいから、うちでは良くつかわれてるな」
「そうなんだ。すごく可愛い花だね」
動かないみたいだ。
魔物化の概念がことごとく覆されてく。
馬も乳牛も魔物って言われないとわからないくらいだもんね。
魔物化されたものば、僕が考えてるよりずっとたくさんあるみたい。
渚君が言っていたヒュージオリーブっていうオリーブ油も魔物みたいだし。
「うさぎのお肉は、元の世界だと国柄一般的じゃなかったんだけれど、良く食べられるの?旭さんのところでも出たよね?」
「ああ、うちだと鶏肉と同じくらいには出回ってるな。養兎されてるから庶民にも手に入りやすいし、でかいしな、安価だ」
「大きいの?」
「レンが抱えられないくらいにはデカいな」
「それも魔物?」
「あれは魔物じゃなくて、最初からそういうもんだと思う」
「そんなに大きいのはみたことないや。でも安価で手に入りやすいなら、いいお肉だね、とても美味しいし」
パティも臭みが全然なくて、爽やかなハーブが効いててとても美味しい。
元の世界だと、豚とか鴨のパティを食べたことあるけれど、やっぱり独特の臭みがあった。
あまり得意じゃなかったけれど、これは全然別物だ。
あと食べたことあるのは、牛のパティ。
牛のパティっていったら、もう別物だ、ハンバーガー。
そうなると、がっつり肉の味に、負けないくらいの香辛料だとか味の濃さで、ジャンクになる。
見た目だけじゃないし、想像できる味じゃないところが凄い。
でも、ちゃんと野菜は野菜の、お肉はお肉のうまみというか、風味はちゃんとある。
かかってるドレッシングソースは色はついてないけれど、柑橘系のすっきりした好きな味だ。
控えめに言って、美味しい。
「元の世界だと鶏肉の他には豚や牛が多かったよ。
あとは、ちょっと珍しいけど、羊肉も普通に売ってたかな」
「うちの領では、豚や牛の肉は手に入りづらいが、食べたいときには買って帰るから言ってくれ」
「ん?」
「仕事前に帝都の市場によれば簡単に手に入る」
なるほど。うちの領にはなかなか出回っていないけれど、帝都の市場だと売ってるみたいだ。
えー?でもアレックスは帝都で働いているとはいえ、侯爵様だよ?
転移があるからひょいっと行けるんだろうし、収納魔法があるからなんの無理もないんだろうけれど、簡単にほいほい市場に行っちゃっていい立場なのかな?
それも、自身で買い付けちゃうなんて……あ、あんまりよくないみたいだ、セバスが変な顔してる。
「僕は特別豚と牛が好きなわけじゃないから、大丈夫だよ。
豚と牛よりも、エリソン侯爵領でとれたものとか、伝統的なものとかの方が興味あるかな」
「そうか?」
「うん、アレックスが特別好じゃないならとくには」
これは本当だ。
肉の種類よりも、エリソン侯爵領の地元ならではの料理とか、伝統的なものに興味がある。
40
お気に入りに追加
1,079
あなたにおすすめの小説
そばかす糸目はのんびりしたい
楢山幕府
BL
由緒ある名家の末っ子として生まれたユージン。
母親が後妻で、眉目秀麗な直系の遺伝を受け継がなかったことから、一族からは空気として扱われていた。
ただ一人、溺愛してくる老いた父親を除いて。
ユージンは、のんびりするのが好きだった。
いつでも、のんびりしたいと思っている。
でも何故か忙しい。
ひとたび出張へ出れば、冒険者に囲まれる始末。
いつになったら、のんびりできるのか。もう開き直って、のんびりしていいのか。
果たして、そばかす糸目はのんびりできるのか。
懐かれ体質が好きな方向けです。今のところ主人公は、のんびり重視の恋愛未満です。
全17話、約6万文字。
転生令息は冒険者を目指す!?
葛城 惶
BL
ある時、日本に大規模災害が発生した。
救助活動中に取り残された少女を助けた自衛官、天海隆司は直後に土砂の崩落に巻き込まれ、意識を失う。
再び目を開けた時、彼は全く知らない世界に転生していた。
異世界で美貌の貴族令息に転生した脳筋の元自衛官は憧れの冒険者になれるのか?!
とってもお馬鹿なコメディです(;^_^A
魔王討伐後に勇者の子を身篭ったので、逃げたけど結局勇者に捕まった。
柴傘
BL
勇者パーティーに属していた魔術師が勇者との子を身篭ったので逃走を図り失敗に終わるお話。
頭よわよわハッピーエンド、執着溺愛勇者×気弱臆病魔術師。
誰もが妊娠できる世界、勇者パーティーは皆仲良し。
さくっと読める短編です。
僕を拾ってくれたのはイケメン社長さんでした
なの
BL
社長になって1年、父の葬儀でその少年に出会った。
「あんたのせいよ。あんたさえいなかったら、あの人は死なずに済んだのに…」
高校にも通わせてもらえず、実母の恋人にいいように身体を弄ばれていたことを知った。
そんな理不尽なことがあっていいのか、人は誰でも幸せになる権利があるのに…
その少年は昔、誰よりも可愛がってた犬に似ていた。
ついその犬を思い出してしまい、その少年を幸せにしたいと思うようになった。
かわいそうな人生を送ってきた少年とイケメン社長が出会い、恋に落ちるまで…
ハッピーエンドです。
R18の場面には※をつけます。
瞳の代償 〜片目を失ったらイケメンたちと同居生活が始まりました〜
Kei
BL
昨年の春から上京して都内の大学に通い一人暮らしを始めた大学2年生の黒崎水樹(男です)。無事試験が終わり夏休みに突入したばかりの頃、水樹は同じ大学に通う親友の斎藤大貴にバンドの地下ライブに誘われる。熱狂的なライブは無事に終了したかに思えたが、……
「え!?そんな物までファンサで投げるの!?」
この物語は何処にでもいる(いや、アイドル並みの可愛さの)男子大学生が流れに流されいつのまにかイケメンの男性たちと同居生活を送る話です。
流血表現がありますが苦手な人はご遠慮ください。また、男性同士の恋愛シーンも含まれます。こちらも苦手な方は今すぐにホームボタンを押して逃げてください。
もし、もしかしたらR18が入る、可能性がないこともないかもしれません。
誤字脱字の指摘ありがとうございます
こっそりバウムクーヘンエンド小説を投稿したら相手に見つかって押し倒されてた件
神崎 ルナ
BL
バウムクーヘンエンド――片想いの相手の結婚式に招待されて引き出物のバウムクーヘンを手に失恋に浸るという、所謂アンハッピーエンド。
僕の幼なじみは天然が入ったぽんやりしたタイプでずっと目が離せなかった。
だけどその笑顔を見ていると自然と僕も口角が上がり。
子供の頃に勢いに任せて『光くん、好きっ!!』と言ってしまったのは黒歴史だが、そのすぐ後に白詰草の指輪を持って来て『うん、およめさんになってね』と来たのは反則だろう。
ぽやぽやした光のことだから、きっとよく意味が分かってなかったに違いない。
指輪も、僕の左手の中指に収めていたし。
あれから10年近く。
ずっと仲が良い幼なじみの範疇に留まる僕たちの関係は決して崩してはならない。
だけど想いを隠すのは苦しくて――。
こっそりとある小説サイトに想いを吐露してそれで何とか未練を断ち切ろうと思った。
なのにどうして――。
『ねぇ、この小説って海斗が書いたんだよね?』
えっ!?どうしてバレたっ!?というより何故この僕が押し倒されてるんだっ!?(※注 サブ垢にて公開済みの『バウムクーヘンエンド』をご覧になるとより一層楽しめるかもしれません)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる