205 / 415
本編
-205- セオの講義*
しおりを挟む
「まず、こちらのフェイスタオルを少量のお湯で濡らします。……何のために、ご一緒にポットをお出ししているかを疑問に思って欲しかったですね。
温め方は人それぞれだと思いますが、どちらの商品も容器自体が高熱には弱いため、ご使用の直前に適した温度で温めて使うのが理想的です。
俺が用意したのは、人肌まで温める時間を考慮して、60度です。
もっとも一般的且つ基本に沿った温度をご用意しました。
商品の説明書にも今の時期は60度が最も理想、と記載されています」
セオはとげとげしい言い方でアレックスに講義をしてるけれど、抜けなく丁寧に説明をしてくれてる。
お湯に蒸らしたタオルに、白い注射器型の洗浄具を包んでから、となりにおいてあるグラスに浣腸型の洗浄具を入れて、その中にお湯を静かに注いだ。
「セオ、そっちのは直接お湯に濡らしちゃいけないの?」
直接お湯で温めたほうが楽だし、早くできるんじゃないかな?
そんな風に思って注射器型の方を指さしたけれど、次の言葉に納得する。
「上部には切り込みがありますから、そのままお湯をかけると中の洗浄液が薄まる可能性もございます。
スポンジがお湯を吸収してしまうと効果も薄れますし、ご負担になりますからこのようにタオルで温めます」
「そっか」
「使われるときの体勢ですが、なるべく上半身は起こし、楽な姿勢で使われるのが良いでしょう。
立膝が無理なようでしたら、背中と腰のあたりにクッションやまくらなどを入れた状態で行うのがご負担が少ないと思います。また、予めバスタオルをご用意ください。後でシーツを浄化するにしても途中お体を拭くことも出来ますので」
温めるのからして違ったけれど、使う時の体勢も違った。
でも、きっとアレックスはあれで良かれと思ってしてくれたんだよね。
第一、発売元の責任者から教えられたのだから疑うこともなかったのも仕方ない話だ。
それに、信頼してる友人なら尚更。
「洗浄具を手に取り、このように指をかけましたら、必ず温度をお確かめください。
指をかけて熱いようでしたら少し冷ましてから行ってください。
ゆっくりとこの線まで体内へと埋めていきます。
けして無理をせず、リラックスした状態で行ってください」
セオは、注射器を持つように指に手をかけて、容器を見せてくれる。
セオの言うように、容器の周りにうっすらと窪みの線が走っていた。
あの線のところまで、お尻の中に入れるようだ。
長さは7~8センチくらいかな?
10センチはないようだから、そこまで負担はなさそうに見える。
「線のところまで入れましたら、このようにブランジャーを押し込みます。
こちらもゆっくり行ってください」
セオが注射器の薬を入れるように押し込むと、上部にある切込みが割れて、スポンジ状の先端が顔を出す。
スポンジは猫足のように少し先がカーブしているスポンジだ。
圧縮されて容器に入っていたのだろうけれど、埋めた時よりも一回り以上太い。
直径3センチはありそうだ。
でも芯はずっと細いから、見た目よりは負担が少ないのかも。
「すべて押し込みましたら、このように容器だけ先に抜き取ります。
先端に切込みがありますので慎重にゆっくりと引き抜いてください。
回転させたり再度押し込むようなことは絶対におやめ下さい、怪我や炎症の原因になります。
残ったこちらの芯を、一回転させます。
軸をずらさないようにゆっくりと行ってください。
一回転させることで、このようにスポンジから洗浄液が出てきます」
ほんとだ。
ゆっくりと一回転させたら、スポンジからブルーの液体が出てきた。
青いかき氷があるでしょ?まるであの色にそっくり。
結構ぎょっとする色だけれど、おちんちんに塗ったポーションも凄い色だったから、こういう色はこの世界では珍しくもないのかもしれない。
「一回転させたら、そのままゆっくりと引き抜きます。
この時、まっすぐそのまま引き抜いてください。
けっして中で回転させたり、再度押し込んだり、掻き出したりしないように。
ゆっくりと引き抜くだけできちんと洗浄液はいきわたります」
セオがアレックスを見る視線がとってもキツい。
アレックス、なんどもくるくるしてたし、掻き出したりもしてたもんね。
あれで僕はちょっとだけぞわぞわと変な気持ちになった。
「次に、グラスの中に温めていたこちらの洗浄液で洗い流します。
こちらは使用する前に必ず数回振った後、先端のキャップを外します。
すぐに体内へ利用せず、最初の少量は捨ててください。
その時、温度を確かめるためにも、このように自身の腕に垂らします。
必ず温度を確かめてください。
こちらも熱いようでしたら、少し冷ましてから使います」
「セオ、今は適温?」
「はい、40度ほどになってますよ。確認してみますか?」
「うん」
腕に少量垂らしてもらう。
熱くもないし冷たくもない。
少しあったかい、お風呂の温度だ。
「どうですか?」
「お風呂と同じくらいだね、あったかい」
「はい。温度の好みは人それぞれあるかもしれませんが、概ね40度前後が良いでしょう。
いいですか、間違っても冷たいままご使用したり、熱いものを体内へ入れるものではございません」
いいですか、以降はアレックスへ対してだ。
これならお腹が冷たくならずに済む。
こっちの液体は、色もないし、ぱっと見はただのお湯みたいだ。
とろみもない。
「こちらはあまり奥まで入れることなく、入れるとしても先端だけで結構です。
主に、入り口の周りの洗浄や排出を促すものですので、シャワーで流すように気になる部分へお使いください。
決して、体の内部奥深くへと入れることのないようご注意ください」
中まで入れなくていいなら、青い洗浄液が残ったままになりそうだけれど、それでいいのかな?
アレックスは結構奥まで入れてたし、お腹に冷たい液体が溜まったのが分かった。
それに、いきまないといけなかったし。
セオが正しいんだろうけれど、お腹の中が真っ青のままになりそうだ。
「セオ、それだと最初の洗浄液は残ったままにならないの?」
「最初の洗浄液は残ったままでも大丈夫なものですよ。
お体に負担のないもので出来ていますし、スポンジを引き抜いた時点で必要な洗浄は終えています。
最初の洗浄だけで、後は自然に任せる人もいます」
「そうなの?お腹ん中真っ青のままにならないの?」
「色は時間が経てば消えますよ。ほら、もうスポンジの色は青くないでしょう?」
「ほんとだ」
「洗浄液というのは、石鹸やシャンプーとは全くの別物になります」
「じゃあお腹の中に残ってても大丈夫なの?」
「ええ、体液に近い成分で作られていますし、お体に優しいもので出来ていますのでご安心ください」
「そっか……わかった」
体液の成分云々の細かいことは良く分からないけれど、産道が繋がる前の状態に戻すのを促すってことだ。
人の身体は弱酸性っていうから、この洗浄液も弱酸性で出来てるんだろうな。
酸性とかアルカリ性とかがこっちの世界でも知られてるかはわからないけれど、今はそこの確認はいらない。
「以上になります。ご質問は?」
僕ににっこりと笑いかけた後に、セオはアレックスへと冷たく聞き返す。
まだ怒ってるみたいだ。
「いや……俺のやり方がまずかったのはわかったし、次からは今の通りに行う」
「ぜひそうしてください。ああ、時間ですね」
反省したようにアレックスが口にすると、セオは満足そうに頷いてから、時計を確認する。
アレックスが反省の色濃く見せたからかな、セオの怒りも収まったみたいだ。
いつも通りの雰囲気に戻って、正直安心する。
時間っていうのは、アレックスが職場に戻る時間だ。
ゆっくりできなかっただろうな、アレックス。
昼休みって感じじゃなかったと思う。
僕も頭と神経を使った気がするくらいだ、アレックスはもっとだろうな。
この後すぐにお仕事か。
「レン、すまなかった。俺は随分と無理強いをしたようだ」
「ううん、教えてもらったことが間違ってたんだからしょうがないよ」
「次からは……いや、今後今日みたいなことには絶対ならないよう約束する。
本当にすまなかった。腹は、もうなんともないか?」
「うん、もう平気。それよりあんまり休めなかったけれど、お仕事いけそう?」
「ああ、大丈夫だ。また三時に戻ってくる」
「うん、待ってるね。行ってらっしゃい」
僕から、アレックスの唇に触れるだけのキスをする。
硬かったアレックスの表情が、それだけで少し緩んだよ。
温め方は人それぞれだと思いますが、どちらの商品も容器自体が高熱には弱いため、ご使用の直前に適した温度で温めて使うのが理想的です。
俺が用意したのは、人肌まで温める時間を考慮して、60度です。
もっとも一般的且つ基本に沿った温度をご用意しました。
商品の説明書にも今の時期は60度が最も理想、と記載されています」
セオはとげとげしい言い方でアレックスに講義をしてるけれど、抜けなく丁寧に説明をしてくれてる。
お湯に蒸らしたタオルに、白い注射器型の洗浄具を包んでから、となりにおいてあるグラスに浣腸型の洗浄具を入れて、その中にお湯を静かに注いだ。
「セオ、そっちのは直接お湯に濡らしちゃいけないの?」
直接お湯で温めたほうが楽だし、早くできるんじゃないかな?
そんな風に思って注射器型の方を指さしたけれど、次の言葉に納得する。
「上部には切り込みがありますから、そのままお湯をかけると中の洗浄液が薄まる可能性もございます。
スポンジがお湯を吸収してしまうと効果も薄れますし、ご負担になりますからこのようにタオルで温めます」
「そっか」
「使われるときの体勢ですが、なるべく上半身は起こし、楽な姿勢で使われるのが良いでしょう。
立膝が無理なようでしたら、背中と腰のあたりにクッションやまくらなどを入れた状態で行うのがご負担が少ないと思います。また、予めバスタオルをご用意ください。後でシーツを浄化するにしても途中お体を拭くことも出来ますので」
温めるのからして違ったけれど、使う時の体勢も違った。
でも、きっとアレックスはあれで良かれと思ってしてくれたんだよね。
第一、発売元の責任者から教えられたのだから疑うこともなかったのも仕方ない話だ。
それに、信頼してる友人なら尚更。
「洗浄具を手に取り、このように指をかけましたら、必ず温度をお確かめください。
指をかけて熱いようでしたら少し冷ましてから行ってください。
ゆっくりとこの線まで体内へと埋めていきます。
けして無理をせず、リラックスした状態で行ってください」
セオは、注射器を持つように指に手をかけて、容器を見せてくれる。
セオの言うように、容器の周りにうっすらと窪みの線が走っていた。
あの線のところまで、お尻の中に入れるようだ。
長さは7~8センチくらいかな?
10センチはないようだから、そこまで負担はなさそうに見える。
「線のところまで入れましたら、このようにブランジャーを押し込みます。
こちらもゆっくり行ってください」
セオが注射器の薬を入れるように押し込むと、上部にある切込みが割れて、スポンジ状の先端が顔を出す。
スポンジは猫足のように少し先がカーブしているスポンジだ。
圧縮されて容器に入っていたのだろうけれど、埋めた時よりも一回り以上太い。
直径3センチはありそうだ。
でも芯はずっと細いから、見た目よりは負担が少ないのかも。
「すべて押し込みましたら、このように容器だけ先に抜き取ります。
先端に切込みがありますので慎重にゆっくりと引き抜いてください。
回転させたり再度押し込むようなことは絶対におやめ下さい、怪我や炎症の原因になります。
残ったこちらの芯を、一回転させます。
軸をずらさないようにゆっくりと行ってください。
一回転させることで、このようにスポンジから洗浄液が出てきます」
ほんとだ。
ゆっくりと一回転させたら、スポンジからブルーの液体が出てきた。
青いかき氷があるでしょ?まるであの色にそっくり。
結構ぎょっとする色だけれど、おちんちんに塗ったポーションも凄い色だったから、こういう色はこの世界では珍しくもないのかもしれない。
「一回転させたら、そのままゆっくりと引き抜きます。
この時、まっすぐそのまま引き抜いてください。
けっして中で回転させたり、再度押し込んだり、掻き出したりしないように。
ゆっくりと引き抜くだけできちんと洗浄液はいきわたります」
セオがアレックスを見る視線がとってもキツい。
アレックス、なんどもくるくるしてたし、掻き出したりもしてたもんね。
あれで僕はちょっとだけぞわぞわと変な気持ちになった。
「次に、グラスの中に温めていたこちらの洗浄液で洗い流します。
こちらは使用する前に必ず数回振った後、先端のキャップを外します。
すぐに体内へ利用せず、最初の少量は捨ててください。
その時、温度を確かめるためにも、このように自身の腕に垂らします。
必ず温度を確かめてください。
こちらも熱いようでしたら、少し冷ましてから使います」
「セオ、今は適温?」
「はい、40度ほどになってますよ。確認してみますか?」
「うん」
腕に少量垂らしてもらう。
熱くもないし冷たくもない。
少しあったかい、お風呂の温度だ。
「どうですか?」
「お風呂と同じくらいだね、あったかい」
「はい。温度の好みは人それぞれあるかもしれませんが、概ね40度前後が良いでしょう。
いいですか、間違っても冷たいままご使用したり、熱いものを体内へ入れるものではございません」
いいですか、以降はアレックスへ対してだ。
これならお腹が冷たくならずに済む。
こっちの液体は、色もないし、ぱっと見はただのお湯みたいだ。
とろみもない。
「こちらはあまり奥まで入れることなく、入れるとしても先端だけで結構です。
主に、入り口の周りの洗浄や排出を促すものですので、シャワーで流すように気になる部分へお使いください。
決して、体の内部奥深くへと入れることのないようご注意ください」
中まで入れなくていいなら、青い洗浄液が残ったままになりそうだけれど、それでいいのかな?
アレックスは結構奥まで入れてたし、お腹に冷たい液体が溜まったのが分かった。
それに、いきまないといけなかったし。
セオが正しいんだろうけれど、お腹の中が真っ青のままになりそうだ。
「セオ、それだと最初の洗浄液は残ったままにならないの?」
「最初の洗浄液は残ったままでも大丈夫なものですよ。
お体に負担のないもので出来ていますし、スポンジを引き抜いた時点で必要な洗浄は終えています。
最初の洗浄だけで、後は自然に任せる人もいます」
「そうなの?お腹ん中真っ青のままにならないの?」
「色は時間が経てば消えますよ。ほら、もうスポンジの色は青くないでしょう?」
「ほんとだ」
「洗浄液というのは、石鹸やシャンプーとは全くの別物になります」
「じゃあお腹の中に残ってても大丈夫なの?」
「ええ、体液に近い成分で作られていますし、お体に優しいもので出来ていますのでご安心ください」
「そっか……わかった」
体液の成分云々の細かいことは良く分からないけれど、産道が繋がる前の状態に戻すのを促すってことだ。
人の身体は弱酸性っていうから、この洗浄液も弱酸性で出来てるんだろうな。
酸性とかアルカリ性とかがこっちの世界でも知られてるかはわからないけれど、今はそこの確認はいらない。
「以上になります。ご質問は?」
僕ににっこりと笑いかけた後に、セオはアレックスへと冷たく聞き返す。
まだ怒ってるみたいだ。
「いや……俺のやり方がまずかったのはわかったし、次からは今の通りに行う」
「ぜひそうしてください。ああ、時間ですね」
反省したようにアレックスが口にすると、セオは満足そうに頷いてから、時計を確認する。
アレックスが反省の色濃く見せたからかな、セオの怒りも収まったみたいだ。
いつも通りの雰囲気に戻って、正直安心する。
時間っていうのは、アレックスが職場に戻る時間だ。
ゆっくりできなかっただろうな、アレックス。
昼休みって感じじゃなかったと思う。
僕も頭と神経を使った気がするくらいだ、アレックスはもっとだろうな。
この後すぐにお仕事か。
「レン、すまなかった。俺は随分と無理強いをしたようだ」
「ううん、教えてもらったことが間違ってたんだからしょうがないよ」
「次からは……いや、今後今日みたいなことには絶対ならないよう約束する。
本当にすまなかった。腹は、もうなんともないか?」
「うん、もう平気。それよりあんまり休めなかったけれど、お仕事いけそう?」
「ああ、大丈夫だ。また三時に戻ってくる」
「うん、待ってるね。行ってらっしゃい」
僕から、アレックスの唇に触れるだけのキスをする。
硬かったアレックスの表情が、それだけで少し緩んだよ。
応援ありがとうございます!
1
お気に入りに追加
1,046
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる