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本編
-201- 祝いの言葉と婚姻届け アレックス視点
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「っおめでとう、アレックス!」
職場に着いたとたん、満面の笑みでユージーンに告げられて、こいつもか!とツッコミを脳内で入れる。
ただ、セバスやセオと違い、ニマニマとしたからかいの表情に変わる。
朝から勘弁して欲しい。
「おはよう、ユージーン」
「つーまーらーなーいー……やった?やったんでしょ、やったんだよね?その顔は」
努めて平静を装い返すと、ぶうと膨れて騒ぎ出す。
今日も朝から騒がしい。
「なんで皆顔を見る度、“おめでとう”なんだっ!」
「え?僕以外にそんなことをいう人がいるのかい?あ、君のところの使用人たちか。
愛されてる証拠じゃないかアレックス」
「っだからーーー」
そんなにわかりやすい顔をしているか、俺は。
や、浮かれてはいる、浮かれてはいるが。
他に考えが及ばないほど、わかりやすいかってことだ。
「だってさあ、そうあからさまに朝からキラッキラで機嫌が良いなんて、なんてわかりやすいんだって思うよ、僕は」
「……そんなにか」
「そんなにだよ。君もやっと大人になれたね、アレックス」
「はあ……お前は俺より大人なら、そろそろ静かにして仕事を始めさせてくれ……と言いたいが、先に少し抜ける」
これ以上相手にするのは疲れる。
愚痴を聞くのは良いが、俺を揶揄うだけならそろそろ切り上げたい。
「なんだい?領主の仕事かい?すぐ戻るなら記録付けなくても構わないよ」
「や、婚姻届けだ」
「はい?……えええ!?……えええ!?うっそお、早すぎでしょ、いくら何でも」
「師匠が急かすんだ。レンも納得してくれた」
「うっわー……本当に突拍子もないというか我が道を行く人だねえ。え、それ、自分とこで出すんだよね?」
「ああ、勿論そのつもりだ」
エリソン侯爵領の役所以外で出して、申請に横やりが入っても困る。
何のために急いだのか分からない。
帝都の役所を信用していないわけじゃない……と言いたいが、まあ、信用してない。
俺が冷遇される場所にわざわざ出す必要もないだろ。
自領で出すのが一番早い上に、信用がおける。
当たり前のことを聞かないで欲しい。
「囲まれる前に帰ってきなよ?」
「善処する」
前回が前回だ。
今回は、婚姻届け。
ユージーンに言われて改めて思うが、大騒ぎにならないだろうか。
若干……や、めちゃくちゃ不安になってくる。
自領で出すのは決定だ、それは変わらない。
喜ばれることは嬉しいんだが……
「こ、これはっ……っアレックス様、ご結婚おめでとうございます!」
爽やか且つ穏やかな中堅の男性受付員だったはずじゃないか、なぜこうなる。
や、なぜもない。
うちの領民だからだ。
彼の声は良く通った。
そう、そこまで大きい声ではない……や、ロブやボブに比べたら誰だって小さくなる。
最初から注目されていたのはわかっていたし、有難くもまたもや領主だからと譲ってもらえたんだが。
他の受付員も、誰もかもが全員手も口も止まってるじゃないか。
「……ああ、祝いの言葉感謝す」
する、と最後まで告げられなかったのは、わああとその場が拍手喝采にわいたからだ。
これは……領主が企画せずとも、領全体が祭りのようにならないか?
結婚祝いだとか記念だとかの品が並びそうだ。
領が活気づくのは嬉しいが、知らぬところであまりに派手だと警備が戸惑うだろう。
「アレックス様!せめてっレン様のお披露目はされませんか?」
「運がいい人はお会いされたみたいですが、私たちも是非お会いしたい!」
「せめて、せめて年末に私たちもレン様にお会いする機会を!」
「半年後の披露宴までなんて待てませんわ」
「わかった、わかったから……考えてみるから」
慕われてるのは嬉しいし歓迎されるのはありがたい。
ありがたいんだが、こうも熱烈な歓迎をどう対処するか……。
いっそのことどこかで時間をもうけて領内を馬車だけ走らせるか?
……となると、警備やら整備やらの予定が大幅に変わり大迷惑をかけてしまう。
それに、決算報告もあるし、来年に向けて蝗害対策の問題もつめていかなくてはならない。
魔法省にしたって、今が一番忙しい時だ。
レンだって年末年始まで忙しい。
使用人の面談もあるし、ダンスも帝国貴族間のマナーも年始までにマスターしてもらわなければならない。
また、ある程度、重要人物や注意人物についても名前と特徴を覚えてもらうことになる。
決算報告ではホスト側として動いてもらうことになるし、それまでにはエリソン侯爵領の各状況を把握してもらう必要もある。
一人では到底決められないから相談するしかないな。
職場に着いたとたん、満面の笑みでユージーンに告げられて、こいつもか!とツッコミを脳内で入れる。
ただ、セバスやセオと違い、ニマニマとしたからかいの表情に変わる。
朝から勘弁して欲しい。
「おはよう、ユージーン」
「つーまーらーなーいー……やった?やったんでしょ、やったんだよね?その顔は」
努めて平静を装い返すと、ぶうと膨れて騒ぎ出す。
今日も朝から騒がしい。
「なんで皆顔を見る度、“おめでとう”なんだっ!」
「え?僕以外にそんなことをいう人がいるのかい?あ、君のところの使用人たちか。
愛されてる証拠じゃないかアレックス」
「っだからーーー」
そんなにわかりやすい顔をしているか、俺は。
や、浮かれてはいる、浮かれてはいるが。
他に考えが及ばないほど、わかりやすいかってことだ。
「だってさあ、そうあからさまに朝からキラッキラで機嫌が良いなんて、なんてわかりやすいんだって思うよ、僕は」
「……そんなにか」
「そんなにだよ。君もやっと大人になれたね、アレックス」
「はあ……お前は俺より大人なら、そろそろ静かにして仕事を始めさせてくれ……と言いたいが、先に少し抜ける」
これ以上相手にするのは疲れる。
愚痴を聞くのは良いが、俺を揶揄うだけならそろそろ切り上げたい。
「なんだい?領主の仕事かい?すぐ戻るなら記録付けなくても構わないよ」
「や、婚姻届けだ」
「はい?……えええ!?……えええ!?うっそお、早すぎでしょ、いくら何でも」
「師匠が急かすんだ。レンも納得してくれた」
「うっわー……本当に突拍子もないというか我が道を行く人だねえ。え、それ、自分とこで出すんだよね?」
「ああ、勿論そのつもりだ」
エリソン侯爵領の役所以外で出して、申請に横やりが入っても困る。
何のために急いだのか分からない。
帝都の役所を信用していないわけじゃない……と言いたいが、まあ、信用してない。
俺が冷遇される場所にわざわざ出す必要もないだろ。
自領で出すのが一番早い上に、信用がおける。
当たり前のことを聞かないで欲しい。
「囲まれる前に帰ってきなよ?」
「善処する」
前回が前回だ。
今回は、婚姻届け。
ユージーンに言われて改めて思うが、大騒ぎにならないだろうか。
若干……や、めちゃくちゃ不安になってくる。
自領で出すのは決定だ、それは変わらない。
喜ばれることは嬉しいんだが……
「こ、これはっ……っアレックス様、ご結婚おめでとうございます!」
爽やか且つ穏やかな中堅の男性受付員だったはずじゃないか、なぜこうなる。
や、なぜもない。
うちの領民だからだ。
彼の声は良く通った。
そう、そこまで大きい声ではない……や、ロブやボブに比べたら誰だって小さくなる。
最初から注目されていたのはわかっていたし、有難くもまたもや領主だからと譲ってもらえたんだが。
他の受付員も、誰もかもが全員手も口も止まってるじゃないか。
「……ああ、祝いの言葉感謝す」
する、と最後まで告げられなかったのは、わああとその場が拍手喝采にわいたからだ。
これは……領主が企画せずとも、領全体が祭りのようにならないか?
結婚祝いだとか記念だとかの品が並びそうだ。
領が活気づくのは嬉しいが、知らぬところであまりに派手だと警備が戸惑うだろう。
「アレックス様!せめてっレン様のお披露目はされませんか?」
「運がいい人はお会いされたみたいですが、私たちも是非お会いしたい!」
「せめて、せめて年末に私たちもレン様にお会いする機会を!」
「半年後の披露宴までなんて待てませんわ」
「わかった、わかったから……考えてみるから」
慕われてるのは嬉しいし歓迎されるのはありがたい。
ありがたいんだが、こうも熱烈な歓迎をどう対処するか……。
いっそのことどこかで時間をもうけて領内を馬車だけ走らせるか?
……となると、警備やら整備やらの予定が大幅に変わり大迷惑をかけてしまう。
それに、決算報告もあるし、来年に向けて蝗害対策の問題もつめていかなくてはならない。
魔法省にしたって、今が一番忙しい時だ。
レンだって年末年始まで忙しい。
使用人の面談もあるし、ダンスも帝国貴族間のマナーも年始までにマスターしてもらわなければならない。
また、ある程度、重要人物や注意人物についても名前と特徴を覚えてもらうことになる。
決算報告ではホスト側として動いてもらうことになるし、それまでにはエリソン侯爵領の各状況を把握してもらう必要もある。
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