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本編
-186- ソフィアんさんのご飯
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アレックスたちが戻って来て、美味しいご飯を一緒に頂だくことになった。
ほうれん草のキッシュに、かぼちゃのグラタンに、それから兎の白ワイン煮込み。
どれもとっても美味しそう。
「ソフィア、今日もすげー美味い!」
『ん。美味しい』
旭さんが笑顔で伝え、おはぎがそれに続く。
「んー!とっても美味しい」
僕も思わず笑顔になる美味しさだ。
ほうれん草のキッシュから頂いたけれど、ふんわりとした卵とバターの甘い香りで、優しい味だ。
うまみたっぷりなベーコンが良い塩加減で、更に、ほうれん草も青臭くなくて甘みがある。
「まあまあ、嬉しいこと。たくさん召し上がってくださいね」
いつもは、ソフィアさんとタイラーさんも一緒に食べているんだとか。
流石にアレックスがいるから二人は遠慮したみたい。
「なんか、ここにきてすげー食べてるから太りそうだ」
旭さんが笑いながら呟く。
うーん、僕もそうだ。
アレックスと一緒に美味しいご飯とお菓子を食べてる。
今までより食べてる気がする。
「アサヒはもう少し太っても全然大丈夫ですよ、むしろ今が軽すぎます」
『大丈夫。おはぎ、訓練がんばる』
「あー、だな!それがいーわ、そうする」
「…あまり無理しないでくださいね」
「大丈夫だって」
旭さん、おはぎと訓練してるんだ、いいなあ。
僕も実践的に生かしたい。
「僕もダンスもだけれど、殺陣とカンフーもどうにか続けたいなあ」
「え、蓮君、殺陣だけじゃなくてカンフーもすんの?」
旭さんが意外そうに聞いてくる。
カンフーは、役者でも一般的じゃないもんね。
「うん。映画が恰好良くて、憧れて始めてそれなりに形になったんだけど。どうにかこっちで実践的にならないかなあ」
「実践的じゃなくてもいいんじゃないか?あんまり危ないことはしないで欲しいんだが」
アレックスがそっとお願いしてくる。
するな、とは言わないけれど、しないで欲しい、だって。
そんな顔で言ってくるのはずるいよ。
でも、僕もやりたいことは我慢しないって決めた。
それに。
「でも、いざという時に僕がアレックスの弱点になったら困るでしょう?
レナードだったら体術も剣も得意そうだしちゃんと実践的なこと教えてくれそうだけれど、頼んでみてもいい?」
「セオにしろ、俺からも頼んでやる」
む。
レナードじゃ駄目みたいだ。
レナードの方がちゃんと教えてくれそうなのに。
だって、セオは優しい。
ストレッチで腕を引っ張るのも無理だって断られたのに。
「でも、セオだと優しすぎるから、実践的なこと教えてくれるかな?
必要ありませんーレン様には俺らがいるでしょーって言われそう」
僕のいかにもセオが言いそうなセリフを真似てアレックスに言うと、アレックスも旭さんも笑う。
だって本当にそうやって言われそうなんだもん。
「ははっ言うだろうな。だが、剣技はレナードの方が上だが、体術にしたらセオの方が上だぞ?
向こうの剣がどんなものか分からないが、レンの細腕じゃこっちの剣は重すぎて振れないと思うし腕を痛める。
それに、うちの領内では長さのある剣は決まった人間しか持ち歩けない、警備隊と貴族の護衛のみだ。
普段持てないのだから、実践的に使えるようになりたいなら、短剣のほうが良いと思う。
短剣の使い方が上手いのはセオの方だ」
「そっか、じゃあ、セオにお願いしてみようかな」
実践的なものにしたいのに、普段持てない剣を習ってもしかたない。
魅せるための剣より、今は、使えるものが欲しい。
短剣は使ったことがないけれど、折角だし教わりたい。
『レン、転移魔法、合わせて使う、強くなれる』
「ん?」
おはぎが、僕に話しかけてくる。
強くなれるって断言してくる。
『転移で敵の背後とる。距離とる、詰める。転移魔法、うまく使う。レン、とっても強くなる』
器用にもぐもぐかぼちゃのグラタンを食べながらおはぎは僕に告げてくる。
フォークを器用に肉球でつかんで、頬を膨らませてるおはぎは、とっても可愛い。
けれど、その内容は、可愛いものじゃない、僕の望んでる実践的な動きだ。
転移って、逃げるときには使えると思っていたけれど、戦う時にも使えるんだ。
「そっか…そういう使い方も出来るんだ。ありがとう、おはぎ」
『ん』
「俺もしたことなかった手だ。次からは使えるな」
アレックスも感心してる。
アレックスは相手の魔法の構築もなかったことに出来るみたいだし、それなりに剣も使えるし、体術も出来るって聞いた。
アレックスの言うそれなりだから、きっと上手なんだろうと思う。
おはぎ、ずっとかぼちゃのグラタンを食べてる。
もっもっもっもっと絶えず口とほっぺが動いてる。
かぼちゃのグラタンもとても美味しいけど、おはぎはかぼちゃんが好きなんだろうなあ。
「それにしても、おはぎは口にたくさん入ってても喋れるんだねえ」
「俺も思った。かぼちゃでめちゃくちゃほっぺが膨らんでるじゃねえか、あんま詰め込むとのど詰まるぞ」
器用だなあと思っていたら、答えはオリバーさんから返ってきた。
「それは念話だからですよ」
「は?念話?」
旭さんが、遠慮ない返しをオリバーさんにする。
「ええ、声帯じゃなくて、念を飛ばしているんですよ」
「えー?けど、ちゃんとおはぎのほうから聞こえるぞ?」
「おはぎが念を飛ばしてるから、そう聞こえるんですよ」
「ふーん」
「あ、アサヒ、信じてないでしょう?本当ですよ」
「わかったわかった」
「おはぎはかぼちゃばかり食べ過ぎです」
オリバーさんはしゅんとしたままキッシュを口にして、腹いせのようにおはぎに指摘した。
すると、おはぎは手と口を止めて、ほっぺを膨らませたまま凄い目でオリバーさんを見る。
もう、やり取りが凄く可愛いなあ。
ほうれん草のキッシュに、かぼちゃのグラタンに、それから兎の白ワイン煮込み。
どれもとっても美味しそう。
「ソフィア、今日もすげー美味い!」
『ん。美味しい』
旭さんが笑顔で伝え、おはぎがそれに続く。
「んー!とっても美味しい」
僕も思わず笑顔になる美味しさだ。
ほうれん草のキッシュから頂いたけれど、ふんわりとした卵とバターの甘い香りで、優しい味だ。
うまみたっぷりなベーコンが良い塩加減で、更に、ほうれん草も青臭くなくて甘みがある。
「まあまあ、嬉しいこと。たくさん召し上がってくださいね」
いつもは、ソフィアさんとタイラーさんも一緒に食べているんだとか。
流石にアレックスがいるから二人は遠慮したみたい。
「なんか、ここにきてすげー食べてるから太りそうだ」
旭さんが笑いながら呟く。
うーん、僕もそうだ。
アレックスと一緒に美味しいご飯とお菓子を食べてる。
今までより食べてる気がする。
「アサヒはもう少し太っても全然大丈夫ですよ、むしろ今が軽すぎます」
『大丈夫。おはぎ、訓練がんばる』
「あー、だな!それがいーわ、そうする」
「…あまり無理しないでくださいね」
「大丈夫だって」
旭さん、おはぎと訓練してるんだ、いいなあ。
僕も実践的に生かしたい。
「僕もダンスもだけれど、殺陣とカンフーもどうにか続けたいなあ」
「え、蓮君、殺陣だけじゃなくてカンフーもすんの?」
旭さんが意外そうに聞いてくる。
カンフーは、役者でも一般的じゃないもんね。
「うん。映画が恰好良くて、憧れて始めてそれなりに形になったんだけど。どうにかこっちで実践的にならないかなあ」
「実践的じゃなくてもいいんじゃないか?あんまり危ないことはしないで欲しいんだが」
アレックスがそっとお願いしてくる。
するな、とは言わないけれど、しないで欲しい、だって。
そんな顔で言ってくるのはずるいよ。
でも、僕もやりたいことは我慢しないって決めた。
それに。
「でも、いざという時に僕がアレックスの弱点になったら困るでしょう?
レナードだったら体術も剣も得意そうだしちゃんと実践的なこと教えてくれそうだけれど、頼んでみてもいい?」
「セオにしろ、俺からも頼んでやる」
む。
レナードじゃ駄目みたいだ。
レナードの方がちゃんと教えてくれそうなのに。
だって、セオは優しい。
ストレッチで腕を引っ張るのも無理だって断られたのに。
「でも、セオだと優しすぎるから、実践的なこと教えてくれるかな?
必要ありませんーレン様には俺らがいるでしょーって言われそう」
僕のいかにもセオが言いそうなセリフを真似てアレックスに言うと、アレックスも旭さんも笑う。
だって本当にそうやって言われそうなんだもん。
「ははっ言うだろうな。だが、剣技はレナードの方が上だが、体術にしたらセオの方が上だぞ?
向こうの剣がどんなものか分からないが、レンの細腕じゃこっちの剣は重すぎて振れないと思うし腕を痛める。
それに、うちの領内では長さのある剣は決まった人間しか持ち歩けない、警備隊と貴族の護衛のみだ。
普段持てないのだから、実践的に使えるようになりたいなら、短剣のほうが良いと思う。
短剣の使い方が上手いのはセオの方だ」
「そっか、じゃあ、セオにお願いしてみようかな」
実践的なものにしたいのに、普段持てない剣を習ってもしかたない。
魅せるための剣より、今は、使えるものが欲しい。
短剣は使ったことがないけれど、折角だし教わりたい。
『レン、転移魔法、合わせて使う、強くなれる』
「ん?」
おはぎが、僕に話しかけてくる。
強くなれるって断言してくる。
『転移で敵の背後とる。距離とる、詰める。転移魔法、うまく使う。レン、とっても強くなる』
器用にもぐもぐかぼちゃのグラタンを食べながらおはぎは僕に告げてくる。
フォークを器用に肉球でつかんで、頬を膨らませてるおはぎは、とっても可愛い。
けれど、その内容は、可愛いものじゃない、僕の望んでる実践的な動きだ。
転移って、逃げるときには使えると思っていたけれど、戦う時にも使えるんだ。
「そっか…そういう使い方も出来るんだ。ありがとう、おはぎ」
『ん』
「俺もしたことなかった手だ。次からは使えるな」
アレックスも感心してる。
アレックスは相手の魔法の構築もなかったことに出来るみたいだし、それなりに剣も使えるし、体術も出来るって聞いた。
アレックスの言うそれなりだから、きっと上手なんだろうと思う。
おはぎ、ずっとかぼちゃのグラタンを食べてる。
もっもっもっもっと絶えず口とほっぺが動いてる。
かぼちゃのグラタンもとても美味しいけど、おはぎはかぼちゃんが好きなんだろうなあ。
「それにしても、おはぎは口にたくさん入ってても喋れるんだねえ」
「俺も思った。かぼちゃでめちゃくちゃほっぺが膨らんでるじゃねえか、あんま詰め込むとのど詰まるぞ」
器用だなあと思っていたら、答えはオリバーさんから返ってきた。
「それは念話だからですよ」
「は?念話?」
旭さんが、遠慮ない返しをオリバーさんにする。
「ええ、声帯じゃなくて、念を飛ばしているんですよ」
「えー?けど、ちゃんとおはぎのほうから聞こえるぞ?」
「おはぎが念を飛ばしてるから、そう聞こえるんですよ」
「ふーん」
「あ、アサヒ、信じてないでしょう?本当ですよ」
「わかったわかった」
「おはぎはかぼちゃばかり食べ過ぎです」
オリバーさんはしゅんとしたままキッシュを口にして、腹いせのようにおはぎに指摘した。
すると、おはぎは手と口を止めて、ほっぺを膨らませたまま凄い目でオリバーさんを見る。
もう、やり取りが凄く可愛いなあ。
応援ありがとうございます!
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