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本編
-155- 浄化魔法
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驚いた表情のまま、ずんずん僕に向かって歩いてくるアレックスに、これはまずい、ととにかく服と体に浄化をかける。
洋服は、洗濯洗剤のCMをイメージだ。お日様の下で乾いた洗いたてを想像する。体は昨日と同じ湯上り後のイメージ。
自分でもかなり上手くいったと思ったし、アレックスが目の前に来るまでには間に合った…んだけど、ちょっと遅かったみたいだ。
「泥だらけだったじゃないか、怪我はしていないか?」
「うん、ちょっと、はしゃぎすぎちゃっただけだよ」
「裸足なのは?」
「みんな裸足だったから僕も裸足になったよ」
あれ?
裸足はダメだったのかな?
「僕だけ靴を履いて、もし、子供たちの足を踏んじゃったら怪我させちゃうでしょう?」
「…確かにそうか」
「ちゃんと、帽子も被ってるし手袋もしてるでしょう?
それより、見て、アレックス!
いっぱい取れたよ!みんなで頑張ったんだ」
「ああ、確かに…凄いな。これは、今までで1番の豊作だな、凄いじゃないか」
アレックスが、僕からお芋の山に目を移して、感心したように褒めてくれた。
みんな、得意げな笑顔になる。
「僕も自分で掘ったのを2つ貰ったよ。ひときわ大きいのと、美味しそうなのと1つずつ」
「大きいのはあまり美味くないかもしれないぞ」
「そうなの?…でも、コレがいい」
「まあ、もし美味くなくても、それも醍醐味かもな…セオ」
「…はい」
「怪我はしてないんだな?」
「されてません。勢い余って畝に背をあずけられたので、誰よりも泥だらけだっただけです。先に支えられなかったのは俺の落ち度です」
「次から気をつけてくれ」
「申し訳ありません」
う…僕のせいでセオが叱られてる。
セオが謝ることないのにな。
いつになく真面目に返してるから余計に悪いことしちゃった気分だ。
「アレックス、僕の不注意だよ?」
「ああ、それでもだ」
「ごめんね、セオ」
「良いんですよ。鎌もスコップもないからって油断したのは俺ですからねえ」
「…セオもお芋ちゃんと選んだ?」
「はい、掘った人の特権って言われたら、有難くいただきます」
「なら良かった」
取れないお芋があると、セオは色んな子から呼ばれてたけど、慣れてるのか、さくさく作業を進めてたし、1番掘り当ててるのもセオだった。
大きさはともかく、1番の功労賞だと思う。
「それはそうと、そろそろ飯だな。切り上げて中入るぞ」
「ご飯ー!」
「お腹減ったー!」
「そのまま入ったらダメよ!ちゃんと手と足を綺麗にしてからよー!」
「お前らは着替えも必要だな」
リリーが駆けてく子供たちに叫び、ジャックがネロとパーシーを見て呆れたように笑う。
「アレックス」
「ん?」
「子供たちに浄化したらダメなの?」
僕とセオはさっさと浄化しちゃったけど、浄化魔法を使う子もいれば、たらいで洗ってる子もいる。
着替えるより浄化しちゃった方が早いし、簡単だ。
勝手にしちゃいけないかもしれないし、なにか決まりがあるのかもしれないから、僕はコソッとアレックスに聞く。
「浄化魔法は、魔力が7から8はないと使えない魔法なんだ。リリー、ギー、ルカは比較的魔力が高いから使えるだろうが、他の子は3~5程度しかない。
毎回誰かの手を借りるのではなくて、自分で出来ることをやるんだ。
魔力が高いなら高いなりに使いこなせるようコントロールを磨くためなるべく使うし、低いなら低いなりの方法を身に着けていかなければならない。
浄化してやるのは楽だし早いが、そこは俺たちが手を貸しちゃならない」
「そっか」
ずっとみんなで暮らせるわけじゃないし、侯爵邸のように便利な魔法具や魔道具が充実しているわけでもないもんね。
魔力があるなら魔力を活かして出来る生活方法を、そうでなければそうでない生活方法を身につけなければならない。
「アレックス様ー!今日、ジュードは来てないの?」
「来てるぞ!剣を見てもらいたいなら、飯食ってからにしろー」
「わかったー!」
ジャックがアレックス様にジュードがいるかを聞いて、いると知ったら嬉しそうに駆けていった。
リリーは小さな子たちが手と足を洗うのを手伝っている。
本当に面倒見がいい子だ。
ギーは早々と入って行ったけれど、リリーに何か告げた後、お願いねーと返したってことは配膳のお手伝いかな?
ここの子供たちは、みんな良い子たちだ。
「レン様」
「ん?どうしたの、ルカ」
下の方か興味津々で僕のことを見てくるのは、可愛い顔して棘のある言葉を放っていたルカだった。
でもきっと、とっても頭のいい子だ。
じゃなかったらこんなに幼い子が、『儲け』なんて言葉は出てこないと思う。
「レン様の浄化って、どうなってそうなるの?」
「ん?どうなってって、綺麗になあれって思うと、こうなるよ?」
「………」
ルカはびっくりした後、残念そうな顔をする。
あ、でもルカは、魔力が高いんだっけ。
どうなってそうなるって……なんて説明すればいいのかなあ。
「体を浄化するときは、お風呂上りを想像しながらやってるよ。
洋服は、洗濯後の洗いあがりを想像して浄化したよ」
「じゃあ、2回かけたの?」
「うん、そうだね」
「そっか、だからか」
「なんか、ルカ的に気になることあった?」
「普通、浄化は一度かけるだけだから全体が同じ色に包まれて見えるんだ。
けど、レン様は、服と体の色が違ったから、どうやったのかなって思って」
「え?普通一回で終えるの?」
「うん」
「でも、洋服と体は洗い方全然違うでしょ?」
「浄化って洗うんじゃなくて、汚れを取るって考えるけど…なんか、レン様の浄化って、他の人と違うね」
「えー、そうかな?」
「うん。いい匂いしてる」
「お風呂上りみたいなものだからね」
「うん…だから、違うなって。お風呂上りね……なるほど」
「二人とも、その辺にして中入るぞ」
「はーい」
洋服は、洗濯洗剤のCMをイメージだ。お日様の下で乾いた洗いたてを想像する。体は昨日と同じ湯上り後のイメージ。
自分でもかなり上手くいったと思ったし、アレックスが目の前に来るまでには間に合った…んだけど、ちょっと遅かったみたいだ。
「泥だらけだったじゃないか、怪我はしていないか?」
「うん、ちょっと、はしゃぎすぎちゃっただけだよ」
「裸足なのは?」
「みんな裸足だったから僕も裸足になったよ」
あれ?
裸足はダメだったのかな?
「僕だけ靴を履いて、もし、子供たちの足を踏んじゃったら怪我させちゃうでしょう?」
「…確かにそうか」
「ちゃんと、帽子も被ってるし手袋もしてるでしょう?
それより、見て、アレックス!
いっぱい取れたよ!みんなで頑張ったんだ」
「ああ、確かに…凄いな。これは、今までで1番の豊作だな、凄いじゃないか」
アレックスが、僕からお芋の山に目を移して、感心したように褒めてくれた。
みんな、得意げな笑顔になる。
「僕も自分で掘ったのを2つ貰ったよ。ひときわ大きいのと、美味しそうなのと1つずつ」
「大きいのはあまり美味くないかもしれないぞ」
「そうなの?…でも、コレがいい」
「まあ、もし美味くなくても、それも醍醐味かもな…セオ」
「…はい」
「怪我はしてないんだな?」
「されてません。勢い余って畝に背をあずけられたので、誰よりも泥だらけだっただけです。先に支えられなかったのは俺の落ち度です」
「次から気をつけてくれ」
「申し訳ありません」
う…僕のせいでセオが叱られてる。
セオが謝ることないのにな。
いつになく真面目に返してるから余計に悪いことしちゃった気分だ。
「アレックス、僕の不注意だよ?」
「ああ、それでもだ」
「ごめんね、セオ」
「良いんですよ。鎌もスコップもないからって油断したのは俺ですからねえ」
「…セオもお芋ちゃんと選んだ?」
「はい、掘った人の特権って言われたら、有難くいただきます」
「なら良かった」
取れないお芋があると、セオは色んな子から呼ばれてたけど、慣れてるのか、さくさく作業を進めてたし、1番掘り当ててるのもセオだった。
大きさはともかく、1番の功労賞だと思う。
「それはそうと、そろそろ飯だな。切り上げて中入るぞ」
「ご飯ー!」
「お腹減ったー!」
「そのまま入ったらダメよ!ちゃんと手と足を綺麗にしてからよー!」
「お前らは着替えも必要だな」
リリーが駆けてく子供たちに叫び、ジャックがネロとパーシーを見て呆れたように笑う。
「アレックス」
「ん?」
「子供たちに浄化したらダメなの?」
僕とセオはさっさと浄化しちゃったけど、浄化魔法を使う子もいれば、たらいで洗ってる子もいる。
着替えるより浄化しちゃった方が早いし、簡単だ。
勝手にしちゃいけないかもしれないし、なにか決まりがあるのかもしれないから、僕はコソッとアレックスに聞く。
「浄化魔法は、魔力が7から8はないと使えない魔法なんだ。リリー、ギー、ルカは比較的魔力が高いから使えるだろうが、他の子は3~5程度しかない。
毎回誰かの手を借りるのではなくて、自分で出来ることをやるんだ。
魔力が高いなら高いなりに使いこなせるようコントロールを磨くためなるべく使うし、低いなら低いなりの方法を身に着けていかなければならない。
浄化してやるのは楽だし早いが、そこは俺たちが手を貸しちゃならない」
「そっか」
ずっとみんなで暮らせるわけじゃないし、侯爵邸のように便利な魔法具や魔道具が充実しているわけでもないもんね。
魔力があるなら魔力を活かして出来る生活方法を、そうでなければそうでない生活方法を身につけなければならない。
「アレックス様ー!今日、ジュードは来てないの?」
「来てるぞ!剣を見てもらいたいなら、飯食ってからにしろー」
「わかったー!」
ジャックがアレックス様にジュードがいるかを聞いて、いると知ったら嬉しそうに駆けていった。
リリーは小さな子たちが手と足を洗うのを手伝っている。
本当に面倒見がいい子だ。
ギーは早々と入って行ったけれど、リリーに何か告げた後、お願いねーと返したってことは配膳のお手伝いかな?
ここの子供たちは、みんな良い子たちだ。
「レン様」
「ん?どうしたの、ルカ」
下の方か興味津々で僕のことを見てくるのは、可愛い顔して棘のある言葉を放っていたルカだった。
でもきっと、とっても頭のいい子だ。
じゃなかったらこんなに幼い子が、『儲け』なんて言葉は出てこないと思う。
「レン様の浄化って、どうなってそうなるの?」
「ん?どうなってって、綺麗になあれって思うと、こうなるよ?」
「………」
ルカはびっくりした後、残念そうな顔をする。
あ、でもルカは、魔力が高いんだっけ。
どうなってそうなるって……なんて説明すればいいのかなあ。
「体を浄化するときは、お風呂上りを想像しながらやってるよ。
洋服は、洗濯後の洗いあがりを想像して浄化したよ」
「じゃあ、2回かけたの?」
「うん、そうだね」
「そっか、だからか」
「なんか、ルカ的に気になることあった?」
「普通、浄化は一度かけるだけだから全体が同じ色に包まれて見えるんだ。
けど、レン様は、服と体の色が違ったから、どうやったのかなって思って」
「え?普通一回で終えるの?」
「うん」
「でも、洋服と体は洗い方全然違うでしょ?」
「浄化って洗うんじゃなくて、汚れを取るって考えるけど…なんか、レン様の浄化って、他の人と違うね」
「えー、そうかな?」
「うん。いい匂いしてる」
「お風呂上りみたいなものだからね」
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「はーい」
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