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本編
-125- 大事なもの アレックス視点
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一緒に果てた後、くたっとしてしまったレンを椅子へと運び、そっと下ろす。
やりすぎたという自覚はある、勿論。
泣かすつもりもなかったし、動けないほどまでやるつもりもなかった。
最初はちょっと一緒に触れ合いたい…や、加減が利かないことは分かっていたんだ。
湯加減を確かめて、自分の身体をさっと流した後は、丁寧にレンの泡と精液を流していく。
自分のはおざなりだって?
ちゃんと、浄化したから問題ない。
肌が敏感になっているのだろう、湯を流す時ですら時折、ぴくんと震えるレンが可愛いかった。
自分と同じように浄化するのは手っ取り早いが、こうやって手をかけてやることが互いにとって喜びを覚える…はずだ。
や、俺がしたいからしているという事実は確かだが、けして自分よがりでやってるわけでは……あー、もういいか、俺得で。
可愛すぎてまたいたずらしそうになるが、それをしたら流石に可哀想なので理性の総動員だ。
もっと素晴らしい陣営がそろっているかと思ったが、レンに対しちゃ俺の理性なんてなけなしだった。
いつ体勢が崩れてもおかしくないほどに。
「…ありがとう」
息も整い、少し戸惑い気味にレンは小さくお礼を告げてきた。
可愛いすぎて少し罪悪感が湧くほどだ。
「いや。気分が悪くなったりしていないか?」
「うん、気分は良いよ」
綺麗になった体をそっと抱き上げると、レンは、恥ずかしそうに顔を赤らめ口元を緩ませてる。
言葉通り、気分は良いようだ。
のぼせてはいないだろうか、との意味で聞いたんだが、まあいい。
っつーか、斜め上をいく可愛い答えだ。
それより目元が赤いな、湯船に入れたらすぐに冷やさなくては。
「大丈夫か?」
「うん。心配かけてごめんね」
「いや…、ただ、可愛すぎてどうしようかと思った」
「………」
冷やしたタオルで目元が隠れていても、可愛い。
すぐに返事は返ってこなかったが、俺が言えば、きゅっと唇に力を入れて照れている様子が、またすげー可愛い。
レンはそっとタオルの隙間から星空を眺めているようだ。
子供のころ、初めてこの風呂に入った時は感動した。
だが、大人になるにつれて、代り映えなく当たり前なことと慣れてしまった。
レンと一緒に入ると、そんな当たり前だったことも、如何に贅沢かを改めて思い出す。
俺に対する帝国内における世間の評価、貴族間の総合的な評価、ともにどちらも低い。
闇属性でありながら魔力量が多い俺は、生まれながらにして虐げられた人生を送るものだと子供ながらに悟った。
選定式の前に、すでに属性が母親を引き継いだことを見抜かれていた。
公爵邸での扱いも、母と同様にひどいものだった。
母が亡くなった後は、このエリソン侯爵にきてあまりの居心地の良さに戸惑いを覚えたが、本当に感謝している。
家の者にも、領民にも、友人にも、そして、レンとの出会いを結んでくれた祖母さんにもだ。
俺の今ある暮らしは、けして俺の手で掴み取ったわけじゃない。
勿論、より豊かになるよう尽くしているつもりだが、今後もおごることなく俺の出来る限りで返していきたいし、応えたい。
“アレックスが慕われているのが凄くよくわかってね、それだけ努力してるんだろうなって、改めて思ったよ”
レンの言葉を思い出す。
その時のセバスの顔といったら、いつになく誇らしげだった。
手放せない大事なものが、俺にはある。
繋ぎとめていけるように、努力しないとな。
やりすぎたという自覚はある、勿論。
泣かすつもりもなかったし、動けないほどまでやるつもりもなかった。
最初はちょっと一緒に触れ合いたい…や、加減が利かないことは分かっていたんだ。
湯加減を確かめて、自分の身体をさっと流した後は、丁寧にレンの泡と精液を流していく。
自分のはおざなりだって?
ちゃんと、浄化したから問題ない。
肌が敏感になっているのだろう、湯を流す時ですら時折、ぴくんと震えるレンが可愛いかった。
自分と同じように浄化するのは手っ取り早いが、こうやって手をかけてやることが互いにとって喜びを覚える…はずだ。
や、俺がしたいからしているという事実は確かだが、けして自分よがりでやってるわけでは……あー、もういいか、俺得で。
可愛すぎてまたいたずらしそうになるが、それをしたら流石に可哀想なので理性の総動員だ。
もっと素晴らしい陣営がそろっているかと思ったが、レンに対しちゃ俺の理性なんてなけなしだった。
いつ体勢が崩れてもおかしくないほどに。
「…ありがとう」
息も整い、少し戸惑い気味にレンは小さくお礼を告げてきた。
可愛いすぎて少し罪悪感が湧くほどだ。
「いや。気分が悪くなったりしていないか?」
「うん、気分は良いよ」
綺麗になった体をそっと抱き上げると、レンは、恥ずかしそうに顔を赤らめ口元を緩ませてる。
言葉通り、気分は良いようだ。
のぼせてはいないだろうか、との意味で聞いたんだが、まあいい。
っつーか、斜め上をいく可愛い答えだ。
それより目元が赤いな、湯船に入れたらすぐに冷やさなくては。
「大丈夫か?」
「うん。心配かけてごめんね」
「いや…、ただ、可愛すぎてどうしようかと思った」
「………」
冷やしたタオルで目元が隠れていても、可愛い。
すぐに返事は返ってこなかったが、俺が言えば、きゅっと唇に力を入れて照れている様子が、またすげー可愛い。
レンはそっとタオルの隙間から星空を眺めているようだ。
子供のころ、初めてこの風呂に入った時は感動した。
だが、大人になるにつれて、代り映えなく当たり前なことと慣れてしまった。
レンと一緒に入ると、そんな当たり前だったことも、如何に贅沢かを改めて思い出す。
俺に対する帝国内における世間の評価、貴族間の総合的な評価、ともにどちらも低い。
闇属性でありながら魔力量が多い俺は、生まれながらにして虐げられた人生を送るものだと子供ながらに悟った。
選定式の前に、すでに属性が母親を引き継いだことを見抜かれていた。
公爵邸での扱いも、母と同様にひどいものだった。
母が亡くなった後は、このエリソン侯爵にきてあまりの居心地の良さに戸惑いを覚えたが、本当に感謝している。
家の者にも、領民にも、友人にも、そして、レンとの出会いを結んでくれた祖母さんにもだ。
俺の今ある暮らしは、けして俺の手で掴み取ったわけじゃない。
勿論、より豊かになるよう尽くしているつもりだが、今後もおごることなく俺の出来る限りで返していきたいし、応えたい。
“アレックスが慕われているのが凄くよくわかってね、それだけ努力してるんだろうなって、改めて思ったよ”
レンの言葉を思い出す。
その時のセバスの顔といったら、いつになく誇らしげだった。
手放せない大事なものが、俺にはある。
繋ぎとめていけるように、努力しないとな。
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