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本編
-72- レン様という人 セオ視点
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朝の挨拶でもびっくりした。
そう、いい意味で、だ。
もう、レン様といると、驚きの連続だよ。
色々教えて欲しいです、と僕らに願い乞うのもだし、自分の持ってるもの全てを賭けると言った時のレン様は決意に溢れていて、とても綺麗に見えた。
あれは、爺さまだけじゃなくて、アレックス様も感動して固まっていたし、使用人みんなが黙っちゃったよねー。
それに、ひとりひとり紹介したからって、全員の名前をその場の一回で覚えられる?
少ないとはいえさ、料理人から庭師から馬の世話係まで全員だよ?
料理人のいかついおっちゃんらもにっこにこだよ、びっくりだよ。
ジュードも、ありがとう、との言葉に驚いていたっけ。
言われなれてないもんね、俺ら。
ナイトポーションのお礼も言われて、でも使えなかった、としゅんとしたその表情をどうにか元気づけたくてまたすぐ使える機会がくる、と伝えた。
きっと、アレックス様のことだから、今日も無理だろうなーと思ったからだ。
明日は朝から孤児院に連れていくといっていたから。
レン様もそれを知っていたようで、明後日の予定を聞いてきたんだ。
あー、きっと明日の夜ならいけるだろう、うん。
帝国の文字はともかくとして、まさか共通語まで読めるとは思わなかった。
今までそういう神器様はいなかったんじゃないかな?
まあ、もしかしたら、そういうのを必要とされなかったから読みもしないっていうのもあるかもしれないけれど。
鋭いところ鋭いし、他人の顔色や気配には敏感だし、察しがいい。
レン様ってまだ10代だよ?ギリギリとはいえさー。
それを思うと凄いよ、ほんと。
奴隷の話も。
亜人が存在するんだ、って言ったときのレン様、なんか、凄く楽しそうというか嬉しそうというか、
ちょっとわくわくした感じに見えた。
亜人っていう言葉を聞いて、眉を顰める人が多い中、すごく新鮮な反応だ。
違う世界からきたからっていうのもあるかもしれないけれどねー、でも、偏見がないのはいいことだ。
奴隷に関しても少しだけさわりを話してみた。
部屋に関しては言わなくていいとアレックス様には言われていたけど、レン様を知る上で、あえて話を振った。
思うことがあったんだと思う。
この子は、ちゃんと現実に目を向けられるし、目を背けない子だな、って思った。
厨房の問題も、庭師の問題も、厩の問題もひとつずつ丁寧に話を聞いて、こうしてみよう、と提案をしていた。
こうしてあげる、じゃないんだよね、自分の出来ることがちゃんとわかっていて、その上で、一番良い提案を一緒に考えてた。
いい子だよねー、本当に。
神器様だよ?
やー、あの宮廷なんかにいる神器様を知ってると、本当にいい意味で驚きの連続っていうか。
らしく振る舞うように、っていう爺さまの言いつけにも、本当にらしく応えていて、まるで最初からそういう神器様だったんじゃないかって錯覚するくらい。
役者をやっていたから、って言ったけど、こんなに美人で、演技も上手いときたら、とても人気のある役者だったんじゃないかなって思う。
アレックス様がいないときには、俺が守ると決めていたのに。
それなのに。
尻撫でられてナニを掴まれた?
屈辱的な言葉でもはらわたが煮えくり返りそうな思いでいたのに。
「アレックスを思っての行動かと思ったけれど、そうじゃないのなら残念に思う。
君のそういった偏見は、今すぐ直した方が良いと思う。
じゃないと、今後、判断を見誤るよ」
「っ説教ですか?」
扉の向こうでまだ話が続いている。
レオンにあんなことが言えるなんて流石レン様だ。
アレックス様は、レオンの見解に一目置いているし、レオンが年上だからこそ劣等感もあると思うんだよね。
だから、普段、ああいうことを言われなれていないと思う、レオンは。
爺さまの制止を振り切って、部屋に足を踏み入れる。
「アレックスのそばにいるなら、人そのものを見て、今後はその目を養ってほしい。
アレックスは王様じゃないんだから」
「どういう、意味でしょうか」
「アレックスは、エリソン領の領主様だよ?
国全体を見てるんじゃなくて、領民一人一人、耳を傾けて、問題があったら解決をする人でしょう?
神器様だから、奴隷だから、男娼だから、そういう括りでしかものを見れない君は危ういって言ってるの。
市井だから、子爵だから、伯爵だから…そういう括りで、人そのものを見ないつもり?」
ああ、本当に。
本当に、いい子が来てくれたな。
そう、いい意味で、だ。
もう、レン様といると、驚きの連続だよ。
色々教えて欲しいです、と僕らに願い乞うのもだし、自分の持ってるもの全てを賭けると言った時のレン様は決意に溢れていて、とても綺麗に見えた。
あれは、爺さまだけじゃなくて、アレックス様も感動して固まっていたし、使用人みんなが黙っちゃったよねー。
それに、ひとりひとり紹介したからって、全員の名前をその場の一回で覚えられる?
少ないとはいえさ、料理人から庭師から馬の世話係まで全員だよ?
料理人のいかついおっちゃんらもにっこにこだよ、びっくりだよ。
ジュードも、ありがとう、との言葉に驚いていたっけ。
言われなれてないもんね、俺ら。
ナイトポーションのお礼も言われて、でも使えなかった、としゅんとしたその表情をどうにか元気づけたくてまたすぐ使える機会がくる、と伝えた。
きっと、アレックス様のことだから、今日も無理だろうなーと思ったからだ。
明日は朝から孤児院に連れていくといっていたから。
レン様もそれを知っていたようで、明後日の予定を聞いてきたんだ。
あー、きっと明日の夜ならいけるだろう、うん。
帝国の文字はともかくとして、まさか共通語まで読めるとは思わなかった。
今までそういう神器様はいなかったんじゃないかな?
まあ、もしかしたら、そういうのを必要とされなかったから読みもしないっていうのもあるかもしれないけれど。
鋭いところ鋭いし、他人の顔色や気配には敏感だし、察しがいい。
レン様ってまだ10代だよ?ギリギリとはいえさー。
それを思うと凄いよ、ほんと。
奴隷の話も。
亜人が存在するんだ、って言ったときのレン様、なんか、凄く楽しそうというか嬉しそうというか、
ちょっとわくわくした感じに見えた。
亜人っていう言葉を聞いて、眉を顰める人が多い中、すごく新鮮な反応だ。
違う世界からきたからっていうのもあるかもしれないけれどねー、でも、偏見がないのはいいことだ。
奴隷に関しても少しだけさわりを話してみた。
部屋に関しては言わなくていいとアレックス様には言われていたけど、レン様を知る上で、あえて話を振った。
思うことがあったんだと思う。
この子は、ちゃんと現実に目を向けられるし、目を背けない子だな、って思った。
厨房の問題も、庭師の問題も、厩の問題もひとつずつ丁寧に話を聞いて、こうしてみよう、と提案をしていた。
こうしてあげる、じゃないんだよね、自分の出来ることがちゃんとわかっていて、その上で、一番良い提案を一緒に考えてた。
いい子だよねー、本当に。
神器様だよ?
やー、あの宮廷なんかにいる神器様を知ってると、本当にいい意味で驚きの連続っていうか。
らしく振る舞うように、っていう爺さまの言いつけにも、本当にらしく応えていて、まるで最初からそういう神器様だったんじゃないかって錯覚するくらい。
役者をやっていたから、って言ったけど、こんなに美人で、演技も上手いときたら、とても人気のある役者だったんじゃないかなって思う。
アレックス様がいないときには、俺が守ると決めていたのに。
それなのに。
尻撫でられてナニを掴まれた?
屈辱的な言葉でもはらわたが煮えくり返りそうな思いでいたのに。
「アレックスを思っての行動かと思ったけれど、そうじゃないのなら残念に思う。
君のそういった偏見は、今すぐ直した方が良いと思う。
じゃないと、今後、判断を見誤るよ」
「っ説教ですか?」
扉の向こうでまだ話が続いている。
レオンにあんなことが言えるなんて流石レン様だ。
アレックス様は、レオンの見解に一目置いているし、レオンが年上だからこそ劣等感もあると思うんだよね。
だから、普段、ああいうことを言われなれていないと思う、レオンは。
爺さまの制止を振り切って、部屋に足を踏み入れる。
「アレックスのそばにいるなら、人そのものを見て、今後はその目を養ってほしい。
アレックスは王様じゃないんだから」
「どういう、意味でしょうか」
「アレックスは、エリソン領の領主様だよ?
国全体を見てるんじゃなくて、領民一人一人、耳を傾けて、問題があったら解決をする人でしょう?
神器様だから、奴隷だから、男娼だから、そういう括りでしかものを見れない君は危ういって言ってるの。
市井だから、子爵だから、伯爵だから…そういう括りで、人そのものを見ないつもり?」
ああ、本当に。
本当に、いい子が来てくれたな。
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