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本編
-66- 庭師の問題
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厨房の隣が、僕とアレックス専用のダイニング、そして、その隣に談話室があって、その隣が客間になっていた。
談話室と客間が同じような作りでどこかに違いがあるのかなって思ったら、談話室は家族用、客間はお客さま用ってだけのようだ。
そのままの意味なんだけれどね。
客間は主に、エリソン侯爵領に住む貴族が報告書を届けに来るときに使うんだって。
時期が決まっていて、年に数回あるみたい。
「1階は、残すところ、ここだけです」
そういって、ジュードが扉をひらくと、日差しがたっぷりとはいるコンサバトリーだった。
ゆったりとしたソファが一つに、4人掛けのテーブルセットが一つ、ロビーよりは小ぶりだけれど綺麗なシャンデリアが天井から下がっている。
天井からも光が差し込んで、外の美しい庭の様子が見えて、とても贅沢な場所だった。
「とてもいい場所だね。お茶の時間にもよさそう。日差しがたっぷりで、すごく快適」
「いい場所でしょ?アレックス様もお気に入りの場所ですよ」
「じゃあ、今日は15時のお茶をここでしたいな」
「お伝えしておきます」
「ありがとう、よろしくね」
お茶の時間がより楽しみになっちゃった。
「さて、外に行きましょうか。全部は広いですから、今日は、正面左手にある薔薇の庭と、厩に案内しますね」
「外はそんなに広いの?」
「広いですよ、裏の厩の横は馬たちが走れるよう広い敷地がありますし。
正面には大きな噴水もあって、右手の庭はちょっとした迷路みたいになってます」
「薔薇は今が見ごろ?」
「ええ、すごく綺麗に咲いてますよ。アレックス様、薔薇農園の視察は熱心なんですが、庭の薔薇鑑賞にはてんで興味なしなんで、ゆっくり見てあげてください」
「ふふっ、楽しみ」
薔薇の庭に向かうと、セオが言っていた通り、満開で甘く良い香りが広がってる。
白いガゼボがあって、テーブルが一つ、椅子が2客並んでいた。
ここもとても気持ちが良い。
色々な種類の薔薇が、自然に咲いているんだけれど、すごく綺麗に見える。
計算されてるんだろうな。
そろいすぎていないところが趣があって凄く居心地がいいように感じる。
「ロブ、ロン、さっそく来たよ」
「やあ、レン様!よおごそ、薔薇の庭へ。いかかですがあ、自慢の力作ですぞ!」
2人の庭師の背をみつけて、声をかけると、ものすごい大きい声で歓迎してくれた。
うわあ、外でもこんなに大きいんだ。
ロブってば凄い。
「うん、色々な種類の薔薇がみんな綺麗に咲き誇ってるし、綺麗なのに整いすぎてなくて自然で居心地がいい場所」
「おお、それはよがっだ!」
「あ、この薔薇」
真っ赤で大きな薔薇をみつけてよく見る。
うん、昨日の花束にあった薔薇と同じだ。
「花束にした薔薇だあ、今一等良い薔薇だ」
あ、ロンの声を初めて聴いた。
ロンは逆にすんごく小さい。
でも、笑顔はロブとそっくりだ。
「やっぱり。綺麗な薔薇をありがとう、アニーに部屋に飾ってもらったんだ。見た目も綺麗だけれど香りがとてもいいね」
「おんなじ薔薇があ、領ではたぐさん育てでるんです。売れ行ぎいい薔薇です」
「そうなんだ、あ、ソープの中にも入ってた気がする」
「ええ、それです」
「庭の掃除は、何か魔法で出来るの?」
「枯葉や枝は、ボタン一つで掃除出来ます」
「でも、花の手入れとか、間引きとか、雑草とか、害虫に関しては手作業?」
「そうです。手間暇がげでやんないど、育たんです」
「2人だけじゃ大変じゃない?すごく広いし」
「今ん時期は大丈夫です。けんど、これがら年明げ冬んなっだら春先前まで忙しい」
2人だけじゃやっぱり大変だ。
使用人部屋の問題もあるから、その時期だけ通いだっていいわけだし。
「応援を頼んだことある?」
「ないですなあ…親父、ないよなあ?」
「あー、ないですなあ!5年前ぐらい前、1人年で辞めだ後、私ら2人だあ」
「じゃあ、その時期だけ応援を頼むとか、どうかな?提案してみてもいい?」
「そりゃあ助がります!」
「それとも常駐で増やした方がいいかな?」
「やあ、大丈夫だあ!」
「なら、まずは、来年から春先までの手入れが大変な時に応援を頼めるよう、アレックスとセバスとアニーに提案してみるね。
もしかしたら、その時に話を一緒に聞かせてもらうかもしれないけれどいい?」
「ええ、助がります!」
「うん、良かった。それじゃ、馬に会いに行ってくる」
「気をつげで!」
皆、我慢とまではいかないかもしれないけれど、色々躊躇しちゃってるのかもしれない。
っていうか、アレックスが忙しすぎるっていうのがあるよね。
忙しいのは悪いことじゃないけれど、忙しすぎるっていうのは問題だ。
談話室と客間が同じような作りでどこかに違いがあるのかなって思ったら、談話室は家族用、客間はお客さま用ってだけのようだ。
そのままの意味なんだけれどね。
客間は主に、エリソン侯爵領に住む貴族が報告書を届けに来るときに使うんだって。
時期が決まっていて、年に数回あるみたい。
「1階は、残すところ、ここだけです」
そういって、ジュードが扉をひらくと、日差しがたっぷりとはいるコンサバトリーだった。
ゆったりとしたソファが一つに、4人掛けのテーブルセットが一つ、ロビーよりは小ぶりだけれど綺麗なシャンデリアが天井から下がっている。
天井からも光が差し込んで、外の美しい庭の様子が見えて、とても贅沢な場所だった。
「とてもいい場所だね。お茶の時間にもよさそう。日差しがたっぷりで、すごく快適」
「いい場所でしょ?アレックス様もお気に入りの場所ですよ」
「じゃあ、今日は15時のお茶をここでしたいな」
「お伝えしておきます」
「ありがとう、よろしくね」
お茶の時間がより楽しみになっちゃった。
「さて、外に行きましょうか。全部は広いですから、今日は、正面左手にある薔薇の庭と、厩に案内しますね」
「外はそんなに広いの?」
「広いですよ、裏の厩の横は馬たちが走れるよう広い敷地がありますし。
正面には大きな噴水もあって、右手の庭はちょっとした迷路みたいになってます」
「薔薇は今が見ごろ?」
「ええ、すごく綺麗に咲いてますよ。アレックス様、薔薇農園の視察は熱心なんですが、庭の薔薇鑑賞にはてんで興味なしなんで、ゆっくり見てあげてください」
「ふふっ、楽しみ」
薔薇の庭に向かうと、セオが言っていた通り、満開で甘く良い香りが広がってる。
白いガゼボがあって、テーブルが一つ、椅子が2客並んでいた。
ここもとても気持ちが良い。
色々な種類の薔薇が、自然に咲いているんだけれど、すごく綺麗に見える。
計算されてるんだろうな。
そろいすぎていないところが趣があって凄く居心地がいいように感じる。
「ロブ、ロン、さっそく来たよ」
「やあ、レン様!よおごそ、薔薇の庭へ。いかかですがあ、自慢の力作ですぞ!」
2人の庭師の背をみつけて、声をかけると、ものすごい大きい声で歓迎してくれた。
うわあ、外でもこんなに大きいんだ。
ロブってば凄い。
「うん、色々な種類の薔薇がみんな綺麗に咲き誇ってるし、綺麗なのに整いすぎてなくて自然で居心地がいい場所」
「おお、それはよがっだ!」
「あ、この薔薇」
真っ赤で大きな薔薇をみつけてよく見る。
うん、昨日の花束にあった薔薇と同じだ。
「花束にした薔薇だあ、今一等良い薔薇だ」
あ、ロンの声を初めて聴いた。
ロンは逆にすんごく小さい。
でも、笑顔はロブとそっくりだ。
「やっぱり。綺麗な薔薇をありがとう、アニーに部屋に飾ってもらったんだ。見た目も綺麗だけれど香りがとてもいいね」
「おんなじ薔薇があ、領ではたぐさん育てでるんです。売れ行ぎいい薔薇です」
「そうなんだ、あ、ソープの中にも入ってた気がする」
「ええ、それです」
「庭の掃除は、何か魔法で出来るの?」
「枯葉や枝は、ボタン一つで掃除出来ます」
「でも、花の手入れとか、間引きとか、雑草とか、害虫に関しては手作業?」
「そうです。手間暇がげでやんないど、育たんです」
「2人だけじゃ大変じゃない?すごく広いし」
「今ん時期は大丈夫です。けんど、これがら年明げ冬んなっだら春先前まで忙しい」
2人だけじゃやっぱり大変だ。
使用人部屋の問題もあるから、その時期だけ通いだっていいわけだし。
「応援を頼んだことある?」
「ないですなあ…親父、ないよなあ?」
「あー、ないですなあ!5年前ぐらい前、1人年で辞めだ後、私ら2人だあ」
「じゃあ、その時期だけ応援を頼むとか、どうかな?提案してみてもいい?」
「そりゃあ助がります!」
「それとも常駐で増やした方がいいかな?」
「やあ、大丈夫だあ!」
「なら、まずは、来年から春先までの手入れが大変な時に応援を頼めるよう、アレックスとセバスとアニーに提案してみるね。
もしかしたら、その時に話を一緒に聞かせてもらうかもしれないけれどいい?」
「ええ、助がります!」
「うん、良かった。それじゃ、馬に会いに行ってくる」
「気をつげで!」
皆、我慢とまではいかないかもしれないけれど、色々躊躇しちゃってるのかもしれない。
っていうか、アレックスが忙しすぎるっていうのがあるよね。
忙しいのは悪いことじゃないけれど、忙しすぎるっていうのは問題だ。
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