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本編

-36- 胴慾を隠す アレックス視点**

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「アレックス、痛い……っ無理」

尻の穴まで来るとさすがに痛みがあるんだろう、レンが弱音を吐く。
そりゃそうだ。拳とまではいかないが、こんな俺の手首より太いだろう玉が、顔を出してくる。

「力抜いて、ゆっくり息吐け……」
「ふう……っ、痛いー」

痛みを軽減させる魔法ってのは、、、麻痺か。
尻の穴だけに弱くかけるってのは出来ないし、麻痺効果のポーションはあるにはあるが、用途は護身用だ。
善良な人相手に使っていいもんじゃない。

あー、だからか。
ナイトポーションが貴族や魔道士、騎士の間でも馬鹿売れする理由の一つが分かった気がする。

「あー、痛いよな、もうちょいだから……、っ悪い、ナイトポーションがあったら良かったんだが、さっき使った1本しかなくて。
けど、ちゃんと出るようになってるはずだ。それに、少しずつ出てる。一番太いとこ出るまでもう少しだ。それにさけたりしないから」

しっかり潤って滑りもいい。
大丈夫だ。

それに、もし、子供を産むならここから出てくる。
子供の大きさは、女性の出産と同等だと聞く。
まだ、そこまで整ってはいないかもしれないが、ペリエの実を食ってから少なくとも1日は経ってるだろう。
とすれば、時間的に言って、機能的には無理はない範囲のはずだ。
それに出てくるもんは、術式も魔法も幾重にも重なって見た目も中身もひでぇ物だが、ゆっくり出口に進んでる。

「……っふっ、……助けて、アレックス」

酷なことをしてるのは分かってる。
だが、こんな状態じゃ、今は手を握り返すことも出来ない。

「っわかった。ほら、あとちょっとだから……っ、よし」
直径まで達して、残りの半分はスムーズだった。
ようやく、体の中に納まってたもんが取り出された。ひとまず、最悪の事態ってのからは遠ざかったはずだ。

「ふうっ……、、、?おしまい?」
「ああ、おしまいだ。全部出た。頑張ったな、レン、もう楽にしていいぞ」

レンの腰に宛がっていたクッションをとると、どちらともなくほっと息を漏らす。
にしても、ほんと、よくこんなもんが腹の中に納まってたな。
最初は、出回ってるプラグとそう変わらないだろうと思っていたが、俺の見立てが甘かった。
何で出来てるんだか知らないが、弾力のある素材で、今でも発光している。
さらに、最後に出てきたデカい玉は息をするように鈍く点滅を繰り返しているし、例にもれずびっしりと術式が刻まれて光魔法の付与付きだ。

これは、、、絶対に見せられない。

「うん、…ありがとう、アレックス」

潤んだ瞳で礼を言うレンが、可愛い。
しかも、2人しかいなくてもちゃんと名前を言うところが、これまた可愛い。

「礼を言うのは、これが取れてからだ。こっからは俺が頑張るから、レンはそのまま休んでろ」
「うん」

頷いたのを確認し、ゆっくりと息を吐きだした。
気色悪い魔道具に目を凝らす。

集中しろ。

一番脆そうなところはどこだ?
腰にある連環が弱いだろうが、そのなかのどれだ?どれにする?
選択を誤れば出来ることも出来なくなる。

ーーーこれか。

ひとつ、他のものにくらべて脆弱な連環を指でつまみあげ、魔力を練り上げた。
細く長くゆっくりと、光魔法の術式を打ち砕くであろう、闇魔法の空間操作の術式を言葉に紡いでいく。

さすがに、無詠唱とはいかない。

術式を読み解くのではなく破壊させるのには、光魔法相手ならどの闇魔法だって関係ない。
時間操作より空間操作のほうが使い慣れているし、魔法は言葉の相乗効果も高いが、何よりイメージが大切だ。
この小さな連環の一つに亀裂をいれてこの場の空間から取り去り、連なる術式と魔道具そのものを破壊しろ。

一瞬の心の揺らぎが、魔法の揺らぎに繋がる。
やれるんでも出来るんでもなくて、やるんだろ。

大きくなくていい、確実に一点を狙う。

レンのためじゃない、俺のためだ。
思いも魔力も魔法も。全てが途切れないよう、うすく息を吸い息を吐きながら、呪文を口ずさんだ。
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