異世界に召喚された二世俳優、うっかり本性晒しましたが精悍な侯爵様に溺愛されています(旧:神器な僕らの異世界恋愛事情)

日夏

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本編

-19- くそ可愛い神器様 アレックス視点**

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『アレックス様、一大事でございます、すぐに一度お帰りを!アレックス様ー!!』
魔法省生活向上課のデスク上、烏のペーパーウェイトがけたたましくしゃべる。
爺の声だ。緊急連絡用に作ったはいいが、緊急でないときも煩くてかなわない。
こんなもの作るんじゃなかった、と思ったが後の祭りだ。

「なんだ、爺うるさいぞ!」
『聞こえているなら、すぐに返事をしてくださいませ!一大事です、はやくお帰りを!』
烏にしたのが間違いだったか。爺が喋るたびに嘴を大きく開閉するその様子が憎たらしい。

「あーはいはい、お前の一大事は聞き飽きた。また兄上が金をせびりにでもきたか?部屋にとおさなくていいぞ、追い返してくれ」
爺はいつも大げさに事を話す。だが、そういう時に限って一大事でもなんでもないのだ。
もういい年なのだからそんなに大声を出して大丈夫か心配になるな。
家令としては超一流なのだが、声の大きさは領民や庭師のロブ親子に影響されている気がする、そう思うと笑えてくる。
そんなことはございません、はは、絶対否定するだろうな。

『そうではありません!
お迎えいたしました神器様が先ほどお目覚めになられましたが、貞操具をつけられております。
鑑定いたしましたが、神殿の特殊魔道具のようで、私には解除出来ないのです。
花を摘みに行かれたいようですが、それすらも封じられております。
アレックス様の魔力のみに反応する代物です。ですからすぐにお戻りを!』

待て待て待て、なんだ、一気に知らない情報を言われても困るぞ。

「は?神器なんて必要ねーって言っただろ?お迎えってなんだ、聞いてないぞ、そんな話。あれ?てか時期がおかしくないか?去年に」
そう、去年に神器の祭だとかいって、5年に1度の大祭が開かれてたじゃねえか。
うちの領だってずいぶんそれでいろいろと商品が売れに売れて潤ったはずだ。

『いいですから!つべこべいわずに!とっとと戻ってきてください!
アレックス様、あなたのせいで用を足せないでいるんですよ?!
これ以上我慢させたら――――』
「わかった!わかったから、今、今戻るから」

戻るのは、簡単だ。闇属性の強大な魔力を持つ俺は、自分の屋敷であれば大抵の場所に一瞬で戻れる。
これが領主と魔法士の職、両方ができる最大の理由だ。
帝都の屋敷は手放そうと思ったがみんなしてとめるから、今は友人の薬剤研究に貸していた。
煩い爺の声に自室に戻ると、ベッドの上に神器様と言われる少年が座っていた。

一瞬固まる。神器は美しい上に、所有者にものすごく良い香りがすると聞いてたが……マジか。
領で販売してる蜂蜜で一番高価で透明度の高い、なんつったっけ、貴重な花で養蜂し、成功したとか言っていた、あの蜂蜜の香りに酷似している。甘く、みずみずしい、爽やかにも、優しい香りだ。爺はなんも感じないのか?
にしても、確かにすごい、今までに見たことのないほどの美人だ。

「アレックス様、美しさに驚きになるのもわかりますが、今はそれよりも貞操具の解除を!ずっと耐えていらっしゃいます!」

爺の指摘が痛い。まさにそのまんまだったからだ。

「あ、ああ、悪い……で?どうやるんだ?」
「貞操具の腹当にアレックス様の魔力を流せば、連環が緩むはずでございます」
「わかった。…手どけろ、コレに触れればいいのか?」

「だ、駄目!」
「は?」
「だって、今ここでとったら、漏れちゃうよっ!」

おいおい、マジか。なんだこいつ、故意じゃなくやってるのか?どういう生き物してんだ。
てか、なんでこんなんつけてるんだ、教会は、下種すぎだろ。やっぱろくな連中じゃねえな。

「…アレックス様」
再び爺が咎めてくる。あー、またやっちまったか。
俺の顔は鋭いらしい。機嫌が悪い時の顔は僕でも近寄りたくないよねーなんて友人に言われるくらいだ。
町ですれ違う子供と目が合っただけで泣かれたこともある。領内なら大丈夫なんだが……、なぜだ、解せん。

「あー、悪い。おまえに怒ったわけじゃない、つかまれ。んで、目、閉じてろ」
とりあえず、トイレだ。本当に急がないとかわいそうだろ。
抱きかかえると、めちゃくちゃ軽い。ちゃんと食ってるのか?と疑いたくなる。

ついたぞ、と声をかければ、恐る恐る目が開かれる。
ぱっちりとした大きな目、開閉するたびに綺麗に弧を描く長いまつ毛がばさばさと踊る。

にしても、マジで良い香りがする。……耐えられるのか、俺は。
「ほら、ちゃんと前向け、はずすぞ」
たしか、腹当部分に魔力を流すと外れるはずだと爺が言っていたが……なんだ、なんも変化ないぞ。爺の鑑定は正しいはずだが。

「連環が緩むっつってたけど、変わんないな……、外せるか?」
細い指が先端を引っ張る。
「とれないよ」

マジか。俺がやるのか……や、触ることに抵抗は全くないが、なんか俺が悪者みたいじゃないか?
輪と連環が、裸よりエロい。むき出し部分の性器も綺麗だ。これにさわんのか……。

「ちょっと触るぞ」

先端の金属部分を触ると次の連環が長くなる。術式が細かく書かれているが、やっぱ読み取れないな。
爺が読み取れないなら、俺に出来るわけがないんだが。
まあ、なにはともあれさくっと外して、ちゃっちゃと出すものだしてもらおうか。
我慢してるのも酷だろ。
と思って先端を前にスライドさせたら、中から金属の小さい球が顔をだした。なんだこりゃ。

「んんっ、あっ、待って、ゆっくりやって」
「なんだこれ、中も埋まってんのか?!」
「あっ、やだ、回さないで!変になっちゃう!」
「っ、悪い……」
あー、くそ、いちいち腰に来る言い方しやがって!

「ゆっくりやって、前に抜いて」
「わかった」
傷がつかないよう、少しずつ前にずらす。まだ出てくる。どういう作りしてるんだ。

「アッ、ゆっくりやって、お願いだから」
「…ゆっくりやってる。ッ、結構長いな……、危ないから動くな」

「ふっ……っ、あ、で、出ちゃうっ出ちゃう、漏れちゃうよっ」
これに耐えてる俺を、だれか褒めてくれ。

「いいから、大丈夫だから出せ、ほら、抜けたぞ」

じょぼじょぼと先端から排尿される。
他人の失禁をみて興奮する変態が少数いるらしいが、そうか、俺も変態だったみたいだ。他人の漏らしてるところをみて何が興奮するんだと馬鹿にしていた俺を許してほしい。

くそ可愛い。

「ああ、おしっこ…いっぱい出てる、っ見ないで、目閉じて」
「見てないから、全部だせ」

目を瞑って上を向いてやる。そんなことしても、もう遅い。
しっかり目に焼き付いてしまって、妄想が閉じた瞳の奥に広がるだけだった。
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