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本編
-1- 異世界召喚
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「それでは、聞いてください。水原蓮で、『異世界召喚―――…え?な、に…わぁぁぁ!!」
ラジオ番組の収録中、足元が青白く光ったかと思うと、急に物凄いスピードで下に落ちていった。
まるで、猛スピード落ちるアトラクションのような、僕のいた足元だけ床が切り抜かれ、椅子も何もかも消えて、
僕の身体だけが吸い込まれていくように、もがこうとしても抗えない。
真っ白に光る眩しさに、目も開けられなかった。
「おぉ、成功したか!待っていたぞ、聖女よ」
吸い込まれる感覚もなくなり、ふいに冷たい床の温度がズボン越しに伝わってきた。
不思議と、落ちた衝撃というのはなかった。
えらく演技じみた声に両目をあけて見上げると、目の前に煌びやかないかにも王子です、というような金髪碧眼の男がいた。
え、何、意味がわからない。
金髪碧眼のその男は、僕ではなく、僕のすぐ隣に座り込んでいる女子高校生に手を差し伸べた。
戸惑う彼女は、恐る恐るとそいつの手を取り、戸惑いながらもエスコートされて部屋を出ていく。
あれはお嬢様学校で有名なセーラー服だ。
さすが、艶やかなロングヘアに、ぱっちりとした瞳、すらりとした手足に、ふっくらとした胸。
理想的な少女、さすが聖女様だなー…なんてぼんやり思ってしまう。
じゃ、ない。
なんだかわからないけれど、とりあえず回りを見回すと、僕と同じようにわけがわならなくなってその場に座り込んでいる男が他に3人。
や、そのうち2人は学生だろうから、少年、といったほうが正しい。
少年のうち1人は風呂上りなのだろう。スウェットに上半身裸、肩にスポーツタオルをかけて髪は濡れたまま、口をぽかんと開けていた。
もう1人の少年はパジャマ姿でぱかっと口を開けているし、残る男性は、サラリーマンなのかスーツ姿でこちらも口が開いている。
ああ、僕も口が開いてた。
残された僕たちは、みな、同じ状況、同じ表情だ。
少しずつ、冷静になってきた。
とりあえず現状を把握したい。
開いた口を閉じて回りを見渡すと、真っ白なローブを着た7人が横たわっていた。
皆うつぶせや横向きで、よく顔はわからない。
だが、全員男性で、年齢もまちまちだ。
杖を持っているものも、その場に手放しているものもいる。
良く見ると、僕たちがいる回りには大きな円と文様が刻まれていた。
あぁ、これは魔法陣だね、と思った。
同じようなものを、舞台上で、つい一週間前まで毎日のように良く見ていた。
本当に、こんなふうに光って見えるものなんだな。
ということは、これが本当の異世界召喚というものなのか…と妙に納得してしまった。
ラジオ番組の収録中、足元が青白く光ったかと思うと、急に物凄いスピードで下に落ちていった。
まるで、猛スピード落ちるアトラクションのような、僕のいた足元だけ床が切り抜かれ、椅子も何もかも消えて、
僕の身体だけが吸い込まれていくように、もがこうとしても抗えない。
真っ白に光る眩しさに、目も開けられなかった。
「おぉ、成功したか!待っていたぞ、聖女よ」
吸い込まれる感覚もなくなり、ふいに冷たい床の温度がズボン越しに伝わってきた。
不思議と、落ちた衝撃というのはなかった。
えらく演技じみた声に両目をあけて見上げると、目の前に煌びやかないかにも王子です、というような金髪碧眼の男がいた。
え、何、意味がわからない。
金髪碧眼のその男は、僕ではなく、僕のすぐ隣に座り込んでいる女子高校生に手を差し伸べた。
戸惑う彼女は、恐る恐るとそいつの手を取り、戸惑いながらもエスコートされて部屋を出ていく。
あれはお嬢様学校で有名なセーラー服だ。
さすが、艶やかなロングヘアに、ぱっちりとした瞳、すらりとした手足に、ふっくらとした胸。
理想的な少女、さすが聖女様だなー…なんてぼんやり思ってしまう。
じゃ、ない。
なんだかわからないけれど、とりあえず回りを見回すと、僕と同じようにわけがわならなくなってその場に座り込んでいる男が他に3人。
や、そのうち2人は学生だろうから、少年、といったほうが正しい。
少年のうち1人は風呂上りなのだろう。スウェットに上半身裸、肩にスポーツタオルをかけて髪は濡れたまま、口をぽかんと開けていた。
もう1人の少年はパジャマ姿でぱかっと口を開けているし、残る男性は、サラリーマンなのかスーツ姿でこちらも口が開いている。
ああ、僕も口が開いてた。
残された僕たちは、みな、同じ状況、同じ表情だ。
少しずつ、冷静になってきた。
とりあえず現状を把握したい。
開いた口を閉じて回りを見渡すと、真っ白なローブを着た7人が横たわっていた。
皆うつぶせや横向きで、よく顔はわからない。
だが、全員男性で、年齢もまちまちだ。
杖を持っているものも、その場に手放しているものもいる。
良く見ると、僕たちがいる回りには大きな円と文様が刻まれていた。
あぁ、これは魔法陣だね、と思った。
同じようなものを、舞台上で、つい一週間前まで毎日のように良く見ていた。
本当に、こんなふうに光って見えるものなんだな。
ということは、これが本当の異世界召喚というものなのか…と妙に納得してしまった。
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