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本編
-160- おはぎ先生と魔法の付与
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「えーと……つまり、発動条件は細かく具体的に設定しないと危ない、と」
『ん』
おはぎ先生の説明だと、こうだ。
例えば、“ソフィアが危険に感じたら”なんていう曖昧な条件だと、例えば街中で子供が急に飛び出してきてぶつかりそうになったときでも発動しちまうらしい。
なら、“相手に悪意があるとき”という発動条件を加えたらいいんじゃね?って思ったが、それだと子供が悪戯で駆けてきたら発動しちまうという。
じゃあ、大人にしたらいいか、というと、守るものは、人間には限らない。
そもそも、危険に感じたらという考えがいけない。
ソフィアが危険に感じない、つまり気がつかないうちに、事件や事故に巻き込まれちまうこともある。
事故だとか、火事だとか、不可抗力のほうこそ守りたい。
「結構難しいなー……足を滑らせて高い場所から落ちちまうときとか、上から看板が落ちてきたりだとかさ。馬車に衝突しそうになったりもだろ?あとは火事か。
そういう時こそちゃんと発動させたいんだけどさ」
発動条件は出来るだけ具体的で短くすることが大切だという。
俺はああでもないこうでもないと、ノートに書いては斜線を引く。
発動条件が具体的で短くても複数に渡るのは駄目だ。
“いっこにひとつ”とはそういう意味だ。
発動条件がいくつもあったら、それはいくつも付与しているのと同じことらしい。
『アサヒ、水壁のイメージも大事』
「水壁のイメージ……」
『そう。魔力たくさん入らない。小さく、少なく、確実に』
おはぎ先生の中じゃきっと正解の答えは出てると思うが、俺にちゃんと考えさせてくれる。
駄目な時は駄目って言ってくれるだろうから、めちゃくちゃ頼りになるな。
「小さく少なく確実に、か」
『ん!』
おはぎ先生がまん丸な目で俺を見つめてくる。
その目は『アサヒなら出来る!アサヒなら出来る!』と期待に満ちてる。
うん、出来るような気がしてきたわ。
つーか、おはぎは本当に可愛いなあ。
「ってなると、これしかないよなあ」
“命の危険が伴う外的要因”から守る、だ。
めちゃくちゃ考えたが、具体的に短く、さらにイメージしやすくとなると、やっぱこれ以上のものは思いつかなかった。
ただの危険じゃない。
命の危険だ。
転びそうになったりだとかじゃ発動しないが、今俺が考えつき、更にこの石で出来るとなると、これが精一杯だ。
もっと付与に慣れてきたら、もう少し良い石を買って、これより良いお守りを作ったっていいはずだ。
今回は初めてなんだし、出来るだけ単純な方が成功しやすいもんな。
最初から欲張って、石をダメにしたらがっかりするし、させちまう。
まあ、俺に直には言わないだろうけど、やっぱり日頃の感謝を込めて贈りたいし。
次は、水壁そのもののイメージか。
大きさとか厚さとかそういうやつか?
でかけりゃでかいほど魔力が必要だし、そうなると容量オーバーだ。
かといって薄くて小さ過ぎても、駄目だ。
所詮水で出来てるんだから、ただの水の膜を作ったって、なんの意味も無い。
「一面じゃない方がいいな」
「アサヒ、水壁もひとつだけ」
「あーだっよなあ。あ、氷にはなんねーの?」
「この石じゃ無理」
「そっか」
この石じゃ無理ってことは、だ。
この石じゃなきゃ、氷も出せんのか、俺は。
水って聞いていたし、氷なんて使う機会が出てこなかったし、そもそも思いつきもしなかったけど。
や、氷に思いを馳せてる場合じゃない。
今は、水壁をどうするか、だ。
水だろ?
厚くしたところで果たして外的要因から守れるのか?
落下はわかる。
深い水の絨毯があれば衝撃吸収になるだろう。
それから、生き物も怯むだろうから、ある程度厚さがあれば、人も馬も獣も怯むはずだ。
けど、剣とか槍とか弓はどうだ?
落ちてきた看板は?
多少衝撃は緩むかもだけどさ、防ぎきれねーと思うんだよなあ。
「どーすっかなあ」
「アサヒ、水壁、大きさだけじゃない。出し方大切」
「出し方……あ、そーか!」
おはぎ先生のおかげで、急に正解にたどり着く。
寧ろ、これしかない、と思った。
『ん』
おはぎ先生の説明だと、こうだ。
例えば、“ソフィアが危険に感じたら”なんていう曖昧な条件だと、例えば街中で子供が急に飛び出してきてぶつかりそうになったときでも発動しちまうらしい。
なら、“相手に悪意があるとき”という発動条件を加えたらいいんじゃね?って思ったが、それだと子供が悪戯で駆けてきたら発動しちまうという。
じゃあ、大人にしたらいいか、というと、守るものは、人間には限らない。
そもそも、危険に感じたらという考えがいけない。
ソフィアが危険に感じない、つまり気がつかないうちに、事件や事故に巻き込まれちまうこともある。
事故だとか、火事だとか、不可抗力のほうこそ守りたい。
「結構難しいなー……足を滑らせて高い場所から落ちちまうときとか、上から看板が落ちてきたりだとかさ。馬車に衝突しそうになったりもだろ?あとは火事か。
そういう時こそちゃんと発動させたいんだけどさ」
発動条件は出来るだけ具体的で短くすることが大切だという。
俺はああでもないこうでもないと、ノートに書いては斜線を引く。
発動条件が具体的で短くても複数に渡るのは駄目だ。
“いっこにひとつ”とはそういう意味だ。
発動条件がいくつもあったら、それはいくつも付与しているのと同じことらしい。
『アサヒ、水壁のイメージも大事』
「水壁のイメージ……」
『そう。魔力たくさん入らない。小さく、少なく、確実に』
おはぎ先生の中じゃきっと正解の答えは出てると思うが、俺にちゃんと考えさせてくれる。
駄目な時は駄目って言ってくれるだろうから、めちゃくちゃ頼りになるな。
「小さく少なく確実に、か」
『ん!』
おはぎ先生がまん丸な目で俺を見つめてくる。
その目は『アサヒなら出来る!アサヒなら出来る!』と期待に満ちてる。
うん、出来るような気がしてきたわ。
つーか、おはぎは本当に可愛いなあ。
「ってなると、これしかないよなあ」
“命の危険が伴う外的要因”から守る、だ。
めちゃくちゃ考えたが、具体的に短く、さらにイメージしやすくとなると、やっぱこれ以上のものは思いつかなかった。
ただの危険じゃない。
命の危険だ。
転びそうになったりだとかじゃ発動しないが、今俺が考えつき、更にこの石で出来るとなると、これが精一杯だ。
もっと付与に慣れてきたら、もう少し良い石を買って、これより良いお守りを作ったっていいはずだ。
今回は初めてなんだし、出来るだけ単純な方が成功しやすいもんな。
最初から欲張って、石をダメにしたらがっかりするし、させちまう。
まあ、俺に直には言わないだろうけど、やっぱり日頃の感謝を込めて贈りたいし。
次は、水壁そのもののイメージか。
大きさとか厚さとかそういうやつか?
でかけりゃでかいほど魔力が必要だし、そうなると容量オーバーだ。
かといって薄くて小さ過ぎても、駄目だ。
所詮水で出来てるんだから、ただの水の膜を作ったって、なんの意味も無い。
「一面じゃない方がいいな」
「アサヒ、水壁もひとつだけ」
「あーだっよなあ。あ、氷にはなんねーの?」
「この石じゃ無理」
「そっか」
この石じゃ無理ってことは、だ。
この石じゃなきゃ、氷も出せんのか、俺は。
水って聞いていたし、氷なんて使う機会が出てこなかったし、そもそも思いつきもしなかったけど。
や、氷に思いを馳せてる場合じゃない。
今は、水壁をどうするか、だ。
水だろ?
厚くしたところで果たして外的要因から守れるのか?
落下はわかる。
深い水の絨毯があれば衝撃吸収になるだろう。
それから、生き物も怯むだろうから、ある程度厚さがあれば、人も馬も獣も怯むはずだ。
けど、剣とか槍とか弓はどうだ?
落ちてきた看板は?
多少衝撃は緩むかもだけどさ、防ぎきれねーと思うんだよなあ。
「どーすっかなあ」
「アサヒ、水壁、大きさだけじゃない。出し方大切」
「出し方……あ、そーか!」
おはぎ先生のおかげで、急に正解にたどり着く。
寧ろ、これしかない、と思った。
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