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本編
-101- 告白
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「おはぎが言うにはさ、俺の近くに居ると、魔力が上がるらしいんだ」
「「は?」」
タイラーとオリバーの驚きの声が重なった。
「だから、俺が仲間意識を持った奴なら、俺の近くにいる時だけ魔力が上がるんだってさ」
「「………」」
「あらまあ。だから疲れにくくなったのかしら?
いつもアサヒが手伝ってくれてるからだとばかり思っていました。
アサヒ、教えてくれてありがとうございます」
固まっちまった二人に対して、ソフィアが嬉しそうに声をかけてくる。
ソフィアって、ほんと器がデカいよなあ。
ソフィアの発言に、タイラーもオリバーも意識を取り戻したようだ、よかった。
「アサヒに、そんなスキルが?」
「それは…気軽に人には言えないスキルですね」
オリバーの驚きの顔が、難し気に歪む。
「裏番長ってスキルの一つみたいだ。ああ、なんか、“カリスマ”?とか言ってたな。
けど、スキルが裏番長ってことまでは見られることあるかもしれねえけど、その効果まではわかんないから黙ってればいいって、な?」
おはぎに同意を求めたが、駄目だ、かぼちゃサラダに夢中だ。
「だから…多分今日の医者もさあ、あれギリギリ魔力足りてたかもしんねえんだ」
「ちなみにどのくらい上がるんです?」
「本人の魔力量の20%くらいらしい。オリバーは俺の補正が入って、満タン時に26、7だって」
「アサヒが傍にいる時に難易度の高い調合が成功しやすいのはだからですか…。単に気分の問題かと思ってました」
ばつの悪そうに笑うオリバーに、俺も笑っちまう。
俺が一緒の方が難易度の高い調合が成功するなんて言われたことなかったが、成功率が変わるなら一緒に居たがるのも分かる。
例え、気分っつーか、気合?の入れようだと思っていても、だ。
「カリスマというのは確かに隠し通した方が良いでしょう。二代前の皇帝陛下がその力を持っていたと聞いていますが、それ以降は耳にしておりません。
とても珍しいスキルです。今は国境を閉ざしていますが戦争になれば担ぎ上げられるかもしれません」
「げ…それはぜってー嫌だ」
戦争?
タイラーが怖いことを言ってくる。
あんま物騒なこと言わないで欲しい。
こちとら戦争とは縁のない暮らしをずっとして来たんだ。
「ええ。それと、アサヒ。人がいる場所でむやみやたらに人間以外の生物に話しかけないようにしてくださいね。
妖精が見えて話が出来るなんて人は、絵本の中、お話の世界なんですよ」
「言わねえし隠すけどさあ。てか、そもそもカリスマのスキルは今この国で二人いて、俺で三人目って言ってたぞ?」
「はい?」
「おはぎー」
『何?』
「カリスマは、今現在この国に二人いるんだよな?で、俺で三人目なんだろ?」
『ん。アサヒ、凄い!』
そんなかぼちゃまみれの口元で言われてもな、凄いって感じが全くしねえな。
「因みに、どなたでしょう?」
『言わない。けど、アサヒで三人目』
「そうですか…」
タイラーが聞いたが、言わないことを咎めることはしないようだ。
まあな、他に言わない方が良い、俺にとっちゃ言えないスキルだ。
タイラーにですら、俺以外の奴をそうほいほい言っていいことじゃないんだろうな。
俺が聞いたら、もしかしたらおはぎは教えてくれるかもしれないが、俺にとっちゃあとの二人が誰かなんて別にどうだっていい話だ。
「それに、妖精が見えて話せるってのは、カリスマに限らないんだろ?」
「そうだと思いますが、そもそも妖精自体がお伽噺なんですよ。普通は目に見えないし話も出来ないんです」
「それもなー、嘘くせえ。人に言わないだけで見えて話せる奴なんて結構いるんじゃね?」
「………」
オリバーが黙る。
あ、かぼちゃサラダもめちゃくちゃ美味いな、おはぎが夢中になってたのもわかる。
「だってさあ、俺がこっち来てから二週間くらいしか経ってないんだぜ?
ソフィアだってシリルだって見えて話せたじゃん。
もう二人も会ってる」
「ですが、妖精は伝説的な存在なんです。本当ですよ?ましてや契約なんて。だからアレックスだって、おはぎを目にして今後の扱いに悩んでいたでしょう?」
「まあ、そっか。それなら、俺の運が良かっただけってことか。
わかった、極力人が多いところでは、見えてもこっちから話しかけるのはやめとく」
「ええ、そうした方が面倒ごとがーーー」
『アサヒ、話しかけるの頭の中でやればいい』
オリバーが全部言い終わらないうちに、おはぎが話しかけてくる。
「頭ん中?」
『そう、さっきおはぎとしたときみたいに』
「あー、そっか、なるほどな!おはぎ以外でもそれ出来んの?」
『大丈夫、アサヒなら出来る!アサヒは凄い!』
「おはぎは言わなくていいことばかり言いますね…」
『おはぎ悪くない!オリバー、言わなきゃいけないこと言わない!オリバーが悪い!』
「確かに」
「オリバー様は、報告と連絡事項が良く抜けますね。
今のは故意にでしょうけれど」
オリバーの呟きにおはぎが反論する。
本当に二人は相性が良くないなあ。
でも今のはオリバーが悪いな、うん。
俺の返しに、おはぎはドヤ顔でオリバーを見やり、オリバーは泣きそうな顔で俺を見てくる。
笑いながら同意するタイラーと、笑いながらおはぎの口元をふくソフィア。
こんな暮らしがずっと続けばいい、そう思う。
「「は?」」
タイラーとオリバーの驚きの声が重なった。
「だから、俺が仲間意識を持った奴なら、俺の近くにいる時だけ魔力が上がるんだってさ」
「「………」」
「あらまあ。だから疲れにくくなったのかしら?
いつもアサヒが手伝ってくれてるからだとばかり思っていました。
アサヒ、教えてくれてありがとうございます」
固まっちまった二人に対して、ソフィアが嬉しそうに声をかけてくる。
ソフィアって、ほんと器がデカいよなあ。
ソフィアの発言に、タイラーもオリバーも意識を取り戻したようだ、よかった。
「アサヒに、そんなスキルが?」
「それは…気軽に人には言えないスキルですね」
オリバーの驚きの顔が、難し気に歪む。
「裏番長ってスキルの一つみたいだ。ああ、なんか、“カリスマ”?とか言ってたな。
けど、スキルが裏番長ってことまでは見られることあるかもしれねえけど、その効果まではわかんないから黙ってればいいって、な?」
おはぎに同意を求めたが、駄目だ、かぼちゃサラダに夢中だ。
「だから…多分今日の医者もさあ、あれギリギリ魔力足りてたかもしんねえんだ」
「ちなみにどのくらい上がるんです?」
「本人の魔力量の20%くらいらしい。オリバーは俺の補正が入って、満タン時に26、7だって」
「アサヒが傍にいる時に難易度の高い調合が成功しやすいのはだからですか…。単に気分の問題かと思ってました」
ばつの悪そうに笑うオリバーに、俺も笑っちまう。
俺が一緒の方が難易度の高い調合が成功するなんて言われたことなかったが、成功率が変わるなら一緒に居たがるのも分かる。
例え、気分っつーか、気合?の入れようだと思っていても、だ。
「カリスマというのは確かに隠し通した方が良いでしょう。二代前の皇帝陛下がその力を持っていたと聞いていますが、それ以降は耳にしておりません。
とても珍しいスキルです。今は国境を閉ざしていますが戦争になれば担ぎ上げられるかもしれません」
「げ…それはぜってー嫌だ」
戦争?
タイラーが怖いことを言ってくる。
あんま物騒なこと言わないで欲しい。
こちとら戦争とは縁のない暮らしをずっとして来たんだ。
「ええ。それと、アサヒ。人がいる場所でむやみやたらに人間以外の生物に話しかけないようにしてくださいね。
妖精が見えて話が出来るなんて人は、絵本の中、お話の世界なんですよ」
「言わねえし隠すけどさあ。てか、そもそもカリスマのスキルは今この国で二人いて、俺で三人目って言ってたぞ?」
「はい?」
「おはぎー」
『何?』
「カリスマは、今現在この国に二人いるんだよな?で、俺で三人目なんだろ?」
『ん。アサヒ、凄い!』
そんなかぼちゃまみれの口元で言われてもな、凄いって感じが全くしねえな。
「因みに、どなたでしょう?」
『言わない。けど、アサヒで三人目』
「そうですか…」
タイラーが聞いたが、言わないことを咎めることはしないようだ。
まあな、他に言わない方が良い、俺にとっちゃ言えないスキルだ。
タイラーにですら、俺以外の奴をそうほいほい言っていいことじゃないんだろうな。
俺が聞いたら、もしかしたらおはぎは教えてくれるかもしれないが、俺にとっちゃあとの二人が誰かなんて別にどうだっていい話だ。
「それに、妖精が見えて話せるってのは、カリスマに限らないんだろ?」
「そうだと思いますが、そもそも妖精自体がお伽噺なんですよ。普通は目に見えないし話も出来ないんです」
「それもなー、嘘くせえ。人に言わないだけで見えて話せる奴なんて結構いるんじゃね?」
「………」
オリバーが黙る。
あ、かぼちゃサラダもめちゃくちゃ美味いな、おはぎが夢中になってたのもわかる。
「だってさあ、俺がこっち来てから二週間くらいしか経ってないんだぜ?
ソフィアだってシリルだって見えて話せたじゃん。
もう二人も会ってる」
「ですが、妖精は伝説的な存在なんです。本当ですよ?ましてや契約なんて。だからアレックスだって、おはぎを目にして今後の扱いに悩んでいたでしょう?」
「まあ、そっか。それなら、俺の運が良かっただけってことか。
わかった、極力人が多いところでは、見えてもこっちから話しかけるのはやめとく」
「ええ、そうした方が面倒ごとがーーー」
『アサヒ、話しかけるの頭の中でやればいい』
オリバーが全部言い終わらないうちに、おはぎが話しかけてくる。
「頭ん中?」
『そう、さっきおはぎとしたときみたいに』
「あー、そっか、なるほどな!おはぎ以外でもそれ出来んの?」
『大丈夫、アサヒなら出来る!アサヒは凄い!』
「おはぎは言わなくていいことばかり言いますね…」
『おはぎ悪くない!オリバー、言わなきゃいけないこと言わない!オリバーが悪い!』
「確かに」
「オリバー様は、報告と連絡事項が良く抜けますね。
今のは故意にでしょうけれど」
オリバーの呟きにおはぎが反論する。
本当に二人は相性が良くないなあ。
でも今のはオリバーが悪いな、うん。
俺の返しに、おはぎはドヤ顔でオリバーを見やり、オリバーは泣きそうな顔で俺を見てくる。
笑いながら同意するタイラーと、笑いながらおはぎの口元をふくソフィア。
こんな暮らしがずっと続けばいい、そう思う。
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