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本編

-79- 薔薇に嫉妬**

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2人とも人が良すぎるわ…と言いながらも、馬車だけじゃなく、医者まで手配したのはコナーだ。
どうやらコナーも、損得勘定抜きにして動くことが出来るらしい。
俺が思っていたよりも、人間出来てるのかもしれない。

「意外そうね」
「まあ…金にならないから、あんたの行動は意外だった」
「失礼しちゃうわ。私だって自分が大切にしている人のためなら損得勘定抜きに動くわよ」
「そっか、悪かったよ。あと、馬車、本当にこのまま借りて良いのか?」
「良いわよ、呼びつけたのはこっちだもの。他にもあるし、好きに使ってちょうだい」
「助かる」

アレックス様は仕事があるからと、申請金を俺に預けて必要な個所にサインだけ入れて戻られた。
というのも、だ。
オリバーが薔薇の咲いているところを見たい、と言い出したのだ。
このまま特許の申請だけだして、はい、おしまい、じゃない。
このいかにも、The貴族っつー恰好であの子の家まで付いていったら驚かれるんじゃねえだろうか?
そう思うが、もう行くことが決定している。

「あ…すみません、アサヒ。言い出した私が、この後のデートをつぶしてしまいました」
「や、それはいいけど、別に。お前の行きたいところに行こうっつったの、俺だし。それは良いんだけどさ」
「それならよかったです。勝手に決めてしまったので怒ったのかと思っていました」
「や、怒ってはねえけど。こんな格好でついていったら目立つだろうし、びっくりさせちまうんじゃないかって思っただけで」
「馬車2台なんですからすでに目立ってますよ」
「…ま、そうだけどさ」
「今度お忍びで出かけるのもいいですね」

駄目だ、あんまり俺の言いたいことが通じてない。
ここで渋ったって行くことは決まってんだから、馬車を下りて人々の目に留まるときにせいぜい猫を被るしかない。
オリバーはもう、あの薔薇のことで頭を占めているんだろうな。
すげー上機嫌だ。

あの親子は歩いて家まで帰るつもりだったらしいが、家までは馬車で20分ほどかかるという。
20分間は、箱馬車の中で2人きりだ。

暇なので隣に座るオリバーの手を取る。
適度な厚みがある掌に、長い指。
この手で触れられるとすげー気持ちがいいんだよなあ。

「ちょっとアサヒ、あまり可愛いことしないでください」
「なんだよ、手くらい貸してくれたっていいじゃん」
「でもあなたに触られると…」
「あ……」
「ね?熱くなってしまいます」

俺の手を取って、そのまま自身の股間まで導かれてしまう。
涼しそうな顔してんのに、スーツの下にしっかりと立ち上がったオリバーのちんこを感じてしまった。
時間はまだあるし、カーテンも引いてある。
箱馬車は商会のもので、ワグナー家のものじゃない。
だったらいいよな。

ベルトに手を伸ばし、カチャカチャと外して、合わせのボタンも外す。
オリバーがぎょっとした顔して見て、慌てて腰を引いてくるが、かまりゃしねえ。
こんなにしてんなら、解放してやりたい。
汚れたら、浄化すりゃいいんだから便利だよな。

下着もずらすと、しっかりと上を向いて筋張ったちんこが顔を出してくる。
相変わらず綺麗だ。

「アサヒ、困ります、そんな……」
「時間あるんだし、遠慮すんな」
「馬車の中ですよ?」
「カーテンひいてるじゃねえか。わざわざ覗かれないだろ?商会のもんだし誰が乗ってるかなんてわかりゃしねえって」
「そう…かもしれませんが、ああ……」

亀頭をさわさわと撫で回すと、オリバーから感じ入ったような息が漏れる。
諦めたのか、俺の方に腕を回して背を撫でて、それから優しく頭を抱き寄せてくるから、俺もつい調子に乗ってしまう。
右手で熱い竿を上下に擦り上げながら、左手で先端を可愛がるように撫で回す。
先端からぬるりとしたカウパーが溢れて、ぐちゅぐちゅと卑猥な音が耳に入ってくる。
気持ちいいんだろうな。

パカパカと蹄の軽快な音と、ぐじゅぐじゅとした卑猥な水音が混じる。

馬車の振動とは別に、オリバーの腰が小刻みに揺れ動いて、ウッディアンバーな甘くていいい香りがより濃くなって鼻腔を擽ってきた。

そろそろ限界が近いかもしれないな。
普段、俺の方が全然余裕がねえんだから、たまにはこうやって乱れて欲しい。

「うぁっ……はあ…はーもう、アサヒ……なんで、こんなところで積極的なんです?」
先端をひっかくように刺激すると、白濁した熱い液体を俺の手の中にぶちまけてきた。
ふう、と肩で息をしながら、俺を見おろしてくるオリバーは色気が駄々洩れだ。
すげーそそる。
怒ってはいないようだが、若干呆れ気味だ。

「いつでも歓迎してますが…、流石にここじゃ私がアサヒにしてあげられないのですよ?」
「けど、だって、なんかしてやりたいなって思っちまったんだ。気持ちよさそうだったけど……嫌だったか?」
「いいえ…、気持ちよかったですよ、凄く」
「ん……なら、良かった」

触れるだけの口づけの後、指を振って浄化する。
ウッディアンバーな香りも消えちまうからもったいねえなって思う。
が、まあ、汚したままってわけにもいかないからしょうがない。

下着を正して、ボタンを留めなおしベルトも仕直す。
オリバーがずっと顔を手で覆ってるから、俺が服も直してやった。
まあ、オリバーのちんこ出したの俺だしな、俺が出したなら俺がしまったっていいだろう。

「アサヒが可愛すぎてまた勃ちそうです…」
「あとは家に帰ってからな」

薔薇にばっか気を取られてるからだ。
移動で馬車に乗ってるときくらい俺のことを考えてくれたっていいだろ?
…って思ったが、はたと気が付く。
え、俺は薔薇に嫉妬したのか?

「え…マジか」

そんなん、なんかすげー恥ずかしくね?

「なんで今更赤くなるんです?今色々耐えてるんですから、これ以上可愛くならないでください!」
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