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本編
-24- 身の上話 オリバー視点
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「オリバー、お前が望むならすべて断るが…、本当にいいのか?伯爵家からも来ているが」
「伯爵家…。父上、それは、断れますか?」
「ああ、問題ない。だが、父親はともかく、相手は騎士としても優秀だと聞いたが?」
「同年なことで察してください。学生時代には、性癖に問題があることで有名でしたよ。私の耳にも届くくらいには」
「それは酷い!」
「………」
父上のいい方も酷いです、とは言えません。
まあ、本当にひどいものですからね。
それに、私やアレックスを敵対視していた方です。
それを私との縁談を結びたいって、どういった心境の変化なのでしょう?理解に苦しみます。
「けどさあ、オリバー、あまり自覚はないかもしれないけれど、君の容姿は母上に似てしまって、すこぶる派手で綺麗なんだ。
隠すように眼鏡をしても、髪を伸ばしても、全く隠せてない。…少し考えないと、この先より大変なことになるよ?」
「こんな性格なので、私も兄上のように父上に似たかったです」
「うーん、僕ら顔が逆だったら、それなりに生きやすかったかもしれないよねえ」
「なんてこというんだい、二人とも」
「いっそのこと奴隷を買う?人間不信なオリバーでも契約したら絶対裏切らないんだから安心じゃない?」
兄上がとんでもないことを言い出しました。
確かに、奴隷はこの国で認められています。
犯罪奴隷と、借金奴隷、そして、貴族の間で密かに人気のある亜人奴隷です。
単純に労働を課すこともあれば、魔力供給を目的とするもの、性奴隷としてはけ口として買われることもあります。
人の奴隷は犯罪もしくは借金のみであり、そこは国が厳しく規制されている一方、亜人の奴隷に関する規律はありません。
なぜなら、この帝国自体、亜人の存在を認めていないからです。
しかし、実際には帝国にも亜人が少数暮らしています。
その殆どが奴隷、もしくはスラム街にひっそりと身を隠して。
彼らに関しては、人ならざるものであるとするため、帝国が黙認しているのです。
「私に非道徳な人間になれと?」
「亜人じゃ勃たないかい?」
「そういう問題ではありません!」
「というと思ったので、父は考えた。これだ!」
兄弟喧嘩といっていいのかわかりませんが、私と兄上が言い合っているその間に、一枚の紙きれがぺらりと出されました。
帝国の紋章がカラーで入った、高価な契約書と一目でわかりました。
「あー、いいね!そうしなよ」
兄上がうんうんと頷きます。
「…なんです、これは」
「神器様の申請書だ!どうだ?裏切りはないだろうし、相手は神器様、かなりの美しさだと聞く。オリバーとの間に子供が出来たらさぞ美しい孫になるはずだ。父が申請金を出そう!」
「神器様?…本気で言っているのですか?父上。奴隷とかわりません!」
宮廷に勤めていたら、嫌でも目と耳にする彼らの存在。
彼らは、主人に媚を売り、露出の高い服で肌を見せ、主人の貴族位が上であるほど、自分の権力を誇示するように他を見下すのです。
主人が求めればなりふり構わず足を開き、精を吐出す…なんとも気色悪い存在で、初めてその行為を目にしたときは吐きそうになったのを覚えています。
「じゃ、奴隷にするか?父はどちらでも構わんよ」
「オリバーには神器様の方がいいんじゃない?申請書出すだけだし」
「そうだな、やっぱりそうだ!ほら、今すぐ書いてしまいなさい」
「………」
父と兄の偏った考えとその押しつけに勝てず、私は渋々申請書へと記入をしました。
求める属性は、水、木、土の三属性を持つ者で、スキルに調合、薬草鑑定、交渉の三点。
年齢に同年代もしくは近い者で、肌が白く美しい者、と書き入れました。
こんなめちゃくちゃな内容が勿論通るとは思っていません。
だからこそ、です。
「オリバー、これは……何年たっても見つからないと思うよ?」
「だからですよ、私が折れたのですから、それで今は納得してください」
「うーん…、突っ返されないだろうか?」
「金をふんだくるのに貪欲ですから大丈夫でしょう。むしろ嬉々として受け取ると思いますよ?」
「それはここだけにしてくれ、不敬にあたる」
「勿論です」
「伯爵家…。父上、それは、断れますか?」
「ああ、問題ない。だが、父親はともかく、相手は騎士としても優秀だと聞いたが?」
「同年なことで察してください。学生時代には、性癖に問題があることで有名でしたよ。私の耳にも届くくらいには」
「それは酷い!」
「………」
父上のいい方も酷いです、とは言えません。
まあ、本当にひどいものですからね。
それに、私やアレックスを敵対視していた方です。
それを私との縁談を結びたいって、どういった心境の変化なのでしょう?理解に苦しみます。
「けどさあ、オリバー、あまり自覚はないかもしれないけれど、君の容姿は母上に似てしまって、すこぶる派手で綺麗なんだ。
隠すように眼鏡をしても、髪を伸ばしても、全く隠せてない。…少し考えないと、この先より大変なことになるよ?」
「こんな性格なので、私も兄上のように父上に似たかったです」
「うーん、僕ら顔が逆だったら、それなりに生きやすかったかもしれないよねえ」
「なんてこというんだい、二人とも」
「いっそのこと奴隷を買う?人間不信なオリバーでも契約したら絶対裏切らないんだから安心じゃない?」
兄上がとんでもないことを言い出しました。
確かに、奴隷はこの国で認められています。
犯罪奴隷と、借金奴隷、そして、貴族の間で密かに人気のある亜人奴隷です。
単純に労働を課すこともあれば、魔力供給を目的とするもの、性奴隷としてはけ口として買われることもあります。
人の奴隷は犯罪もしくは借金のみであり、そこは国が厳しく規制されている一方、亜人の奴隷に関する規律はありません。
なぜなら、この帝国自体、亜人の存在を認めていないからです。
しかし、実際には帝国にも亜人が少数暮らしています。
その殆どが奴隷、もしくはスラム街にひっそりと身を隠して。
彼らに関しては、人ならざるものであるとするため、帝国が黙認しているのです。
「私に非道徳な人間になれと?」
「亜人じゃ勃たないかい?」
「そういう問題ではありません!」
「というと思ったので、父は考えた。これだ!」
兄弟喧嘩といっていいのかわかりませんが、私と兄上が言い合っているその間に、一枚の紙きれがぺらりと出されました。
帝国の紋章がカラーで入った、高価な契約書と一目でわかりました。
「あー、いいね!そうしなよ」
兄上がうんうんと頷きます。
「…なんです、これは」
「神器様の申請書だ!どうだ?裏切りはないだろうし、相手は神器様、かなりの美しさだと聞く。オリバーとの間に子供が出来たらさぞ美しい孫になるはずだ。父が申請金を出そう!」
「神器様?…本気で言っているのですか?父上。奴隷とかわりません!」
宮廷に勤めていたら、嫌でも目と耳にする彼らの存在。
彼らは、主人に媚を売り、露出の高い服で肌を見せ、主人の貴族位が上であるほど、自分の権力を誇示するように他を見下すのです。
主人が求めればなりふり構わず足を開き、精を吐出す…なんとも気色悪い存在で、初めてその行為を目にしたときは吐きそうになったのを覚えています。
「じゃ、奴隷にするか?父はどちらでも構わんよ」
「オリバーには神器様の方がいいんじゃない?申請書出すだけだし」
「そうだな、やっぱりそうだ!ほら、今すぐ書いてしまいなさい」
「………」
父と兄の偏った考えとその押しつけに勝てず、私は渋々申請書へと記入をしました。
求める属性は、水、木、土の三属性を持つ者で、スキルに調合、薬草鑑定、交渉の三点。
年齢に同年代もしくは近い者で、肌が白く美しい者、と書き入れました。
こんなめちゃくちゃな内容が勿論通るとは思っていません。
だからこそ、です。
「オリバー、これは……何年たっても見つからないと思うよ?」
「だからですよ、私が折れたのですから、それで今は納得してください」
「うーん…、突っ返されないだろうか?」
「金をふんだくるのに貪欲ですから大丈夫でしょう。むしろ嬉々として受け取ると思いますよ?」
「それはここだけにしてくれ、不敬にあたる」
「勿論です」
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