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一章
-10- 出会い
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「マジでか……」
「マジですね」
「助かったよ、ありがとう」
「いいえ、私はやりたいようにしただけですから」
レモンサワー事件───や、事件にはならずに未遂に済んだわけだが、その一部始終を話し終えると、怜司さんはなちさんを見やりながら頭を抱えて大きく息を吐きだした。
ほっとしたのと、あまりのことに驚いたのと、呆れたのと、なにやら色々混ざったため息だった。
何も言わないタクシーの運転手さんは、出来た運転手だ。
京葉道路を走るルートを提案し、さらにきちんと有料道路の金額まで告げてくれる丁寧な人だった。
タクシーの運転手にしては若い人に見えるが、良い人に当たったらしい。
「那智に抱き着かれても何も感じない?」
少しの間ぼんやり外を眺めていたけれど、怜司さんから声がかかる。
なちさんが完全に寝てしまうと、この空間はとても静かだった。
こんなにも美人な生き物に抱き着かれて、何も感じなくはない。
正直テンションはめちゃくちゃ上がる。
だが、そこに恋愛感情がのるかといったら全くのらない上に、異性としてのときめきは感じない。
「同性の友人に抱き着かれてるのと変わらないというか……弟にされてるのと変わらない感じですね」
感覚は少しどころか全く違うが、引き合いに安心できる要素を出した。
恋愛感情がないが愛情はある、という意味では似たようなものだろう。
そういう感覚を言うならば、嘘ではないのだ。
「弟って抱き着くものなの?」
「一緒に住んでたときにはよく寄りかかってきましたよ?お腹の肉も腕の肉もよく揉んできましたし」
「俺姉も妹もいないからよく分からないけど、そういうもん?」
「ですね」
一般的な姉妹弟がどうだか知らないけれど、うちの妹も弟も私の肉をよく揉んできたし、平気で寄りかかるし、私の膝を枕代わりにしてきた。
『あーこれ、アレに似てる。熱出た時頭にのせるやつ』と言いながら私の二の腕を揉んできた侑斗に対し、妹の遊香ちゃんが逆隣りから『確かにーめっちゃ気持ち良いー氷嚢氷嚢ー!』と揉んできたことがある。
非常に失礼な妹弟たちだ。
まあ……仲は良い。
親子間は色々と問題があった我が家だが、姉妹弟の仲はとても良いだろう。
別々に暮らしていても、未だに月一で会うくらいだ。
ふたりで会うこともするから、侑斗も遊香ちゃんも月二回は顔を見てる。
住んでるところが近いという理由もあるけれど、仲が良くなければ頻繁には会わないだろう。
「そっか。気にしなければ家まで先送るけど、近いって具体的にどのへ───」
「え、マジで!?」
がばりと起き上がったなちさんは私を見て声をあげた。
「近いってどこ?」
「おま、寝てたんじゃなかったの?」
「完璧目覚めた」
とたん、タクシーの中が賑やかになった。
確かにあれだけふにゃふにゃしていたのに、今はしゃきんとしている。
本人が言うように『完璧目覚めた』のだろう。
「ゆっこ俺らの近くに住んでんの?」
「あ、やっぱり一緒に住んでるんだ」
「あーそれはそう。じゃなくて、ゆっこの話!」
「最寄り駅は一緒だよ。ジョアンナってわかる?」
「わかるわかる、良く行く良く行く」
「その間の道を入って、真っすぐ行ったところ」
「マジで?めっちゃ近いじゃん!すげー!」
ジョアンナ、というのは何でも売ってるようなディスカウントストアだ。
特に、飲み物やお菓子、洗剤が大特価で売っている。
『すげー!』と言いながら私に抱き着いてくるなちさんを、怜司さんがべりっと引きはがした。
「なんだよ、怜司。あ!連絡先教えて」
「うん、もちろん」
スマホと取り出し、なちさんと連絡先を交換すると、そのままなちさんはいくつかメッセージを確認し、電話を入れた。
「あー、ちか?悪い、今日払ってない───え、マジ?わかった、や、それは大丈夫。今まだ一緒にいるから」
どうやらちかさんに連絡を入れてるみたいだが、この美人な生き物はとっても自由人のようだ。
会話は、そのまま鈴木氏への愚痴に発展する。
『キモい』と『無理』を数回繰り返していた。
色々と間に挟まれているだろうちかさんには、ちょっとだけ同情する。
「ごめん、ゆっこさん、こんな奴で。これ、俺の連絡先。持ってて」
そう言って、怜司さんは名刺を一枚寄こしてきた。
お礼をいって受け取る。
麻生怜司、と書かれてある。
名前の字面までなかなかのイケメンだ。
と思うも。
この名刺には見覚えがあった。
確かめるために財布から一枚の名刺を取り出して見比べてみる。
「やっぱり。弟と同じ会社だ、部署も同じ」
「え……もしかして弟の名前、平侑斗?」
「うん、そう」
「似てないね」
「良く言われる」
私は声こそ母に似ていると言われるけれど、骨格や顔の作りは父方の祖母に似ている。
対して弟は、母方の血筋を強く引き継いでいた。
父よりも母方の叔父に声も体系もよく似ている。
男女差はあるけれど、一緒に歩いていても姉弟と思われたことは子供のときすらなかった。
年が離れているというのもあるけれど、とにかく似てはいない。
「あー……でも、似てるかも」
「え?」
「なんて言ったらいいか分からないけれど、感じが似てるような気もする」
「はじめて言われました」
「そう?」
「うん」
確かに、感じというのは似ているのかもしれない。
侑斗の方がより相手の雰囲気を察するのは長けているだろう。
空気を読むというより、感情まで読めてしまう。
良すぎるのも生きづらいだろうな、と、姉としては時々心配になる。
因みに侑斗の本職は、陰陽道の霊媒師、だ。
母方に代々伝わるもので、世襲制といえば世襲制で、血筋でないと引き継ぐことが出来ないと言われている。
他人からしたらものすごーく怪しく聞こえるが、インチキでも何でもない。
叔父の下について修行していたが、今現在は立派に仕事としてこなしている。
本人は素質があったから継いだのだが、最初からなりたくてなったわけじゃなかった。
色々あって、一縁君と出会って、覚悟を決めてその道を選んだ。
だが本人は、普通のサラリーマンになりたいという思いが強かった。
両親からの影響もあるかもしれない。
普通が一番いい、という考えの両親だった。
色々見てきたからこそ、サラリーマンの父と結婚し専業主婦を選んだ母だ。
『普通で良いのよ』『普通が一番良い』毎日のように言われてきた。
それが母の口癖だったから、ある種の洗脳かもしれないな、とも思わなくはない。
私の木綿子という名前からしても、『普通が良い』という母の思いがひしひしと伝わってくる名前だ。
そんなこんなで、侑斗は平日企業に勤め、土日に霊媒師の仕事をするという二足草鞋の生活をしている。
残業が少なくて休暇が取りやすく副業がOKで、社員の雰囲気が良い会社を選んだ、と聞いていたけれど、なるほどなと思う。
そう言えば、以前『上司が読モもしててめちゃくちゃイケメンで男の俺から見てもかっこいい』と言っていたけれど、あれは怜司さんのことだったのだろう。
なんだか偶然とはいえ、凄い繋がりが出来てしまった。
「マジですね」
「助かったよ、ありがとう」
「いいえ、私はやりたいようにしただけですから」
レモンサワー事件───や、事件にはならずに未遂に済んだわけだが、その一部始終を話し終えると、怜司さんはなちさんを見やりながら頭を抱えて大きく息を吐きだした。
ほっとしたのと、あまりのことに驚いたのと、呆れたのと、なにやら色々混ざったため息だった。
何も言わないタクシーの運転手さんは、出来た運転手だ。
京葉道路を走るルートを提案し、さらにきちんと有料道路の金額まで告げてくれる丁寧な人だった。
タクシーの運転手にしては若い人に見えるが、良い人に当たったらしい。
「那智に抱き着かれても何も感じない?」
少しの間ぼんやり外を眺めていたけれど、怜司さんから声がかかる。
なちさんが完全に寝てしまうと、この空間はとても静かだった。
こんなにも美人な生き物に抱き着かれて、何も感じなくはない。
正直テンションはめちゃくちゃ上がる。
だが、そこに恋愛感情がのるかといったら全くのらない上に、異性としてのときめきは感じない。
「同性の友人に抱き着かれてるのと変わらないというか……弟にされてるのと変わらない感じですね」
感覚は少しどころか全く違うが、引き合いに安心できる要素を出した。
恋愛感情がないが愛情はある、という意味では似たようなものだろう。
そういう感覚を言うならば、嘘ではないのだ。
「弟って抱き着くものなの?」
「一緒に住んでたときにはよく寄りかかってきましたよ?お腹の肉も腕の肉もよく揉んできましたし」
「俺姉も妹もいないからよく分からないけど、そういうもん?」
「ですね」
一般的な姉妹弟がどうだか知らないけれど、うちの妹も弟も私の肉をよく揉んできたし、平気で寄りかかるし、私の膝を枕代わりにしてきた。
『あーこれ、アレに似てる。熱出た時頭にのせるやつ』と言いながら私の二の腕を揉んできた侑斗に対し、妹の遊香ちゃんが逆隣りから『確かにーめっちゃ気持ち良いー氷嚢氷嚢ー!』と揉んできたことがある。
非常に失礼な妹弟たちだ。
まあ……仲は良い。
親子間は色々と問題があった我が家だが、姉妹弟の仲はとても良いだろう。
別々に暮らしていても、未だに月一で会うくらいだ。
ふたりで会うこともするから、侑斗も遊香ちゃんも月二回は顔を見てる。
住んでるところが近いという理由もあるけれど、仲が良くなければ頻繁には会わないだろう。
「そっか。気にしなければ家まで先送るけど、近いって具体的にどのへ───」
「え、マジで!?」
がばりと起き上がったなちさんは私を見て声をあげた。
「近いってどこ?」
「おま、寝てたんじゃなかったの?」
「完璧目覚めた」
とたん、タクシーの中が賑やかになった。
確かにあれだけふにゃふにゃしていたのに、今はしゃきんとしている。
本人が言うように『完璧目覚めた』のだろう。
「ゆっこ俺らの近くに住んでんの?」
「あ、やっぱり一緒に住んでるんだ」
「あーそれはそう。じゃなくて、ゆっこの話!」
「最寄り駅は一緒だよ。ジョアンナってわかる?」
「わかるわかる、良く行く良く行く」
「その間の道を入って、真っすぐ行ったところ」
「マジで?めっちゃ近いじゃん!すげー!」
ジョアンナ、というのは何でも売ってるようなディスカウントストアだ。
特に、飲み物やお菓子、洗剤が大特価で売っている。
『すげー!』と言いながら私に抱き着いてくるなちさんを、怜司さんがべりっと引きはがした。
「なんだよ、怜司。あ!連絡先教えて」
「うん、もちろん」
スマホと取り出し、なちさんと連絡先を交換すると、そのままなちさんはいくつかメッセージを確認し、電話を入れた。
「あー、ちか?悪い、今日払ってない───え、マジ?わかった、や、それは大丈夫。今まだ一緒にいるから」
どうやらちかさんに連絡を入れてるみたいだが、この美人な生き物はとっても自由人のようだ。
会話は、そのまま鈴木氏への愚痴に発展する。
『キモい』と『無理』を数回繰り返していた。
色々と間に挟まれているだろうちかさんには、ちょっとだけ同情する。
「ごめん、ゆっこさん、こんな奴で。これ、俺の連絡先。持ってて」
そう言って、怜司さんは名刺を一枚寄こしてきた。
お礼をいって受け取る。
麻生怜司、と書かれてある。
名前の字面までなかなかのイケメンだ。
と思うも。
この名刺には見覚えがあった。
確かめるために財布から一枚の名刺を取り出して見比べてみる。
「やっぱり。弟と同じ会社だ、部署も同じ」
「え……もしかして弟の名前、平侑斗?」
「うん、そう」
「似てないね」
「良く言われる」
私は声こそ母に似ていると言われるけれど、骨格や顔の作りは父方の祖母に似ている。
対して弟は、母方の血筋を強く引き継いでいた。
父よりも母方の叔父に声も体系もよく似ている。
男女差はあるけれど、一緒に歩いていても姉弟と思われたことは子供のときすらなかった。
年が離れているというのもあるけれど、とにかく似てはいない。
「あー……でも、似てるかも」
「え?」
「なんて言ったらいいか分からないけれど、感じが似てるような気もする」
「はじめて言われました」
「そう?」
「うん」
確かに、感じというのは似ているのかもしれない。
侑斗の方がより相手の雰囲気を察するのは長けているだろう。
空気を読むというより、感情まで読めてしまう。
良すぎるのも生きづらいだろうな、と、姉としては時々心配になる。
因みに侑斗の本職は、陰陽道の霊媒師、だ。
母方に代々伝わるもので、世襲制といえば世襲制で、血筋でないと引き継ぐことが出来ないと言われている。
他人からしたらものすごーく怪しく聞こえるが、インチキでも何でもない。
叔父の下について修行していたが、今現在は立派に仕事としてこなしている。
本人は素質があったから継いだのだが、最初からなりたくてなったわけじゃなかった。
色々あって、一縁君と出会って、覚悟を決めてその道を選んだ。
だが本人は、普通のサラリーマンになりたいという思いが強かった。
両親からの影響もあるかもしれない。
普通が一番いい、という考えの両親だった。
色々見てきたからこそ、サラリーマンの父と結婚し専業主婦を選んだ母だ。
『普通で良いのよ』『普通が一番良い』毎日のように言われてきた。
それが母の口癖だったから、ある種の洗脳かもしれないな、とも思わなくはない。
私の木綿子という名前からしても、『普通が良い』という母の思いがひしひしと伝わってくる名前だ。
そんなこんなで、侑斗は平日企業に勤め、土日に霊媒師の仕事をするという二足草鞋の生活をしている。
残業が少なくて休暇が取りやすく副業がOKで、社員の雰囲気が良い会社を選んだ、と聞いていたけれど、なるほどなと思う。
そう言えば、以前『上司が読モもしててめちゃくちゃイケメンで男の俺から見てもかっこいい』と言っていたけれど、あれは怜司さんのことだったのだろう。
なんだか偶然とはいえ、凄い繋がりが出来てしまった。
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