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第5章 第2節 北の塔 ~種まき~
108.肥料をゲットするみたいです
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【ステージ1-2開始】
大王イカはハジメを餌を確保するときに使う2本の長い触腕を伸ばし体を拘束しようとする。ハジメが後ろに避けると空を切ったが、ハジメの後ろには怯えて動けない猫獣人が居る。しかしイカの攻撃スピードは割と速い。なんとか岸から離そうとはするのだが、少し沖に出ると得意フィールドのためか、そのスピードも速くなる。ましてや海水はハジメのスピードを奪うのである。
「連携、剣3・4・5、絶たれたモノは棺へと導かれ永久の別れとなる」
触腕をぎりぎりで避けながら小アルカナで錬金術を展開する。イカを2本の風刃が無差別に襲い、右の触腕が体から離れた瞬間それは消え失せる。
「おぉぉぉぉぉぉーー」
砂浜から猫獣人たちの歓声が聞こえる。唯一長老だけが、
「やつの右手はまた生えてきますにゃ!」
とハジメに注意を促したが、右の触腕は永久に追放したので、それは起こらない。大王イカも生えてこない右触腕に違和感を感じたのか、動きが鈍る。
「<風刃>、回旋、分裂」
回転を加えた風の刃は3つに分かれ三角の耳の少し下あたりに左右に一列に並んで体を貫通した。イカは3つの心臓を持つのである。反撃をさせることなく倒すにはハジメがしたように3つとも同時に破壊する必要がある。島生まれだけはある。そうして大王イカを倒したのである。
【イカの殲滅を確認。ステージ1-2クリア】
前の塔とは違い、イカは光の粒子になって消えなかった。ハジメは恐る恐る近づき、アイテムボックスに入れようとすると問題なく入った。イカは既に生きていないということである。『取りあえず捌くか』と思いアイテムボックスから木の包丁を取り出す。これは東の塔で良く分からないまま手に入れたものであるが、鑑定しても
???の包丁:堅い木でつくられたハジメ専用包丁。アダマンタイトよりも固いが、使用目的によりその長さを変化させることが出来る。付与:防汚・防水・防臭・防刃こぼれ
としか分からず材質さえも分からないものだったが、非常に使いやすいのだ。元日本人であるハジメにとってイカは非常に使い勝手が良い素材である。イカフライやシーフードピザ、パスタ、イカスミパスタ、大根と煮込んでもいいなぁと思いながら捌き始めてみるが、アンモニア臭がする。どうやら元の世界のダイオウイカと同じだろう。ということは身は臭くて、塩辛く食べるのには向かないということだ。
ハジメがイカを捌き終わったのはそれから30分程してからだった。ハジメが浜辺まで来ると、猫獣人の長老が
「ピラニを頂いただけでも有難いのに、大王イカまで倒してくださりありがとうございましたにゃ。もし宜しければ家の村にお越しくださいにゃ」
と頭を下げる。ハジメは周囲を見渡したが階段らしいものは見えないため、取りあえず情報収集がてら村へ邪魔することにした。
道中、ピラニを両手いっぱいに運ぶ猫獣人の後ろをハジメと長老は隣通しで歩いている。
「それにしてもハジメさん、ダイオウイカなんて臭くて食べれないですにゃ」
と顔を顰めて言うが
「あぁ。あれは畑の肥料としてはかなり効果があるんですよ」
と答える。実際深海にすむダイオウイカはミネラルなどを多く含み、長期間肥効が続き、土壌の菌を増やし、寒冷を緩和してくれるのだ。ただ塩分を嫌う植物やサツマイモなどは美味しくなくなる。なぜ知っているかとというと、ハジメが死ぬ数年前にとある番組で世界で初めてダイオウイカの撮影に成功したというものを見たのだ。大人になって久々にテレビにくぎ付けになって、色々調べたのだ。ハジメ的には深海やら宇宙やらはとてもつもなく興味をそそられる。
10分くらい歩くと森は開けており、木の柵に囲まれたハジメのイメージする小さな村があった。家は高倉式倉庫のような造りで、違うのは高さ2mほど上にある入り口に向かう階段や梯子が無いことくらい。敵の侵入を許した時、生き延びるためだろう。猫獣人だからこそできる防衛方法だなと思った。
ハジメたちが村の中央に辿り着くと、猫獣人たちは大騒ぎだった。村の真ん中の広場にハジメの腰より少し高いくらいの簡易的なピラニを捌く作業台ができていて、料理が出来る人はどんどん捌き、保存する分は塩漬けにされている。ハジメの知っている魚と同じようにお腹から開いているが間に合っていない様子。赤ん坊を背負い紐でおんぶしながら作業していたが、幼子が泣き初め1つ場所が空いたので、ハジメは手伝うことにする。
「捌くの手伝いますね」
と言うと、長老は
「助かりますにゃ。少しでも早く処理したほうが美味くできますにゃ。ご迷惑おかけしますにゃ」
と有難がった。魚を捌くことは島育ちのスキルである。隣の主婦によると、ピラニは捨てることろが無いらしく、内臓は塩漬けにして酒の肴に、骨は大人のオヤツに、鱗はすり潰して袋に入れて海水に沈めておくと真水になるらしい。頭部は好き嫌いが分かれるが珍味として食べる人もいるらしい。そのため、各作業場の下には開いた魚を入れる用と鱗用、内臓用の3つが置かれていた。
それから2時間ほど捌いていると
【職業料理人を習得しました。職業を一時的に料理人へ変更します】
そのアナウンス以降、包丁の扱いがスムーズになり捌くスピードは格段に上がった。そうして小一時間ほどして魚は全て下処理が終わった。そこで料理してなかった者が長老指揮のもと塩漬け班と鱗班、干す班に分かれて作業を開始する。ハジメが交代した赤ちゃんを背負った女性がお茶とお茶請けを出してくれ、一息つくことにした。
「本当にありがとうございましたにゃ」
とお礼を言った。赤ん坊は彼女の背中ですやすやと眠っている。なんとも可愛らしい。
「いえいえ、眠ったようですね」
とハジメが微笑むと、
「えぇ。お腹いっぱいになったら眠ってしまいましたにゃ」
と笑顔で返した。ハジメはお茶を啜るとお茶請けを見る。
「こ、これは大豆ですか?」
「え?えぇ。大豆を醤油で煮たものですにゃ・・・?」
ハジメの勢いにやや引き気味に肯定する。
「ここには大豆と醤油があるのですか??もしかして味噌も?」
とハジメが言うと女性は頷く。その時全員に指示を終えた長老がハジメの下へと帰ってきた。
「おや、醤油と味噌に興味がおありですかにゃ?」
と長老は好々爺の如く笑う。
「えぇ。ずっと探してまして・・・」
とハジメが言うと、長老は醤油と味噌、大豆を瓶1つ分ずつ分けてくれることになった。ハジメは礼を伝えるが、長老は
「こちらこそ、沢山のピラニを頂きましたにゃ。それとですにゃ、我らの天敵である大王イカを倒して頂いたお礼と下拵えもお手伝いして頂きましたにゃ。こちらを受け取って欲しいのですにゃ」
と1枚の板と、お玉、大きな木の器とざるをハジメに渡してくる。
「これは私たちの村の近くで取れる丈夫な木を使って作っているまな板と、お玉、ボウルとざるですにゃ。良かったら使ってくださいにゃ」
ハジメは有難く受け取りアイテムボックスに仕舞う。そして長老に階段がないか聞いてみる。
「あぁ、それならこの村から北に暫く行ったところに大きな湖がありますにゃ。その真ん中あたりに上へと続く階段がありますにゃ。私たちは船は持ってないので申し訳ないですにゃ・・・」
と言われた。ハジメはお礼を言い、取りあえず、その湖を目指して村を出発した。
【ステージ1・2クリア 報酬:『成長する料理道具』】
そして道中魔物に遭うこともなく1時間ほどでハジメは湖岸に到着した。
大王イカはハジメを餌を確保するときに使う2本の長い触腕を伸ばし体を拘束しようとする。ハジメが後ろに避けると空を切ったが、ハジメの後ろには怯えて動けない猫獣人が居る。しかしイカの攻撃スピードは割と速い。なんとか岸から離そうとはするのだが、少し沖に出ると得意フィールドのためか、そのスピードも速くなる。ましてや海水はハジメのスピードを奪うのである。
「連携、剣3・4・5、絶たれたモノは棺へと導かれ永久の別れとなる」
触腕をぎりぎりで避けながら小アルカナで錬金術を展開する。イカを2本の風刃が無差別に襲い、右の触腕が体から離れた瞬間それは消え失せる。
「おぉぉぉぉぉぉーー」
砂浜から猫獣人たちの歓声が聞こえる。唯一長老だけが、
「やつの右手はまた生えてきますにゃ!」
とハジメに注意を促したが、右の触腕は永久に追放したので、それは起こらない。大王イカも生えてこない右触腕に違和感を感じたのか、動きが鈍る。
「<風刃>、回旋、分裂」
回転を加えた風の刃は3つに分かれ三角の耳の少し下あたりに左右に一列に並んで体を貫通した。イカは3つの心臓を持つのである。反撃をさせることなく倒すにはハジメがしたように3つとも同時に破壊する必要がある。島生まれだけはある。そうして大王イカを倒したのである。
【イカの殲滅を確認。ステージ1-2クリア】
前の塔とは違い、イカは光の粒子になって消えなかった。ハジメは恐る恐る近づき、アイテムボックスに入れようとすると問題なく入った。イカは既に生きていないということである。『取りあえず捌くか』と思いアイテムボックスから木の包丁を取り出す。これは東の塔で良く分からないまま手に入れたものであるが、鑑定しても
???の包丁:堅い木でつくられたハジメ専用包丁。アダマンタイトよりも固いが、使用目的によりその長さを変化させることが出来る。付与:防汚・防水・防臭・防刃こぼれ
としか分からず材質さえも分からないものだったが、非常に使いやすいのだ。元日本人であるハジメにとってイカは非常に使い勝手が良い素材である。イカフライやシーフードピザ、パスタ、イカスミパスタ、大根と煮込んでもいいなぁと思いながら捌き始めてみるが、アンモニア臭がする。どうやら元の世界のダイオウイカと同じだろう。ということは身は臭くて、塩辛く食べるのには向かないということだ。
ハジメがイカを捌き終わったのはそれから30分程してからだった。ハジメが浜辺まで来ると、猫獣人の長老が
「ピラニを頂いただけでも有難いのに、大王イカまで倒してくださりありがとうございましたにゃ。もし宜しければ家の村にお越しくださいにゃ」
と頭を下げる。ハジメは周囲を見渡したが階段らしいものは見えないため、取りあえず情報収集がてら村へ邪魔することにした。
道中、ピラニを両手いっぱいに運ぶ猫獣人の後ろをハジメと長老は隣通しで歩いている。
「それにしてもハジメさん、ダイオウイカなんて臭くて食べれないですにゃ」
と顔を顰めて言うが
「あぁ。あれは畑の肥料としてはかなり効果があるんですよ」
と答える。実際深海にすむダイオウイカはミネラルなどを多く含み、長期間肥効が続き、土壌の菌を増やし、寒冷を緩和してくれるのだ。ただ塩分を嫌う植物やサツマイモなどは美味しくなくなる。なぜ知っているかとというと、ハジメが死ぬ数年前にとある番組で世界で初めてダイオウイカの撮影に成功したというものを見たのだ。大人になって久々にテレビにくぎ付けになって、色々調べたのだ。ハジメ的には深海やら宇宙やらはとてもつもなく興味をそそられる。
10分くらい歩くと森は開けており、木の柵に囲まれたハジメのイメージする小さな村があった。家は高倉式倉庫のような造りで、違うのは高さ2mほど上にある入り口に向かう階段や梯子が無いことくらい。敵の侵入を許した時、生き延びるためだろう。猫獣人だからこそできる防衛方法だなと思った。
ハジメたちが村の中央に辿り着くと、猫獣人たちは大騒ぎだった。村の真ん中の広場にハジメの腰より少し高いくらいの簡易的なピラニを捌く作業台ができていて、料理が出来る人はどんどん捌き、保存する分は塩漬けにされている。ハジメの知っている魚と同じようにお腹から開いているが間に合っていない様子。赤ん坊を背負い紐でおんぶしながら作業していたが、幼子が泣き初め1つ場所が空いたので、ハジメは手伝うことにする。
「捌くの手伝いますね」
と言うと、長老は
「助かりますにゃ。少しでも早く処理したほうが美味くできますにゃ。ご迷惑おかけしますにゃ」
と有難がった。魚を捌くことは島育ちのスキルである。隣の主婦によると、ピラニは捨てることろが無いらしく、内臓は塩漬けにして酒の肴に、骨は大人のオヤツに、鱗はすり潰して袋に入れて海水に沈めておくと真水になるらしい。頭部は好き嫌いが分かれるが珍味として食べる人もいるらしい。そのため、各作業場の下には開いた魚を入れる用と鱗用、内臓用の3つが置かれていた。
それから2時間ほど捌いていると
【職業料理人を習得しました。職業を一時的に料理人へ変更します】
そのアナウンス以降、包丁の扱いがスムーズになり捌くスピードは格段に上がった。そうして小一時間ほどして魚は全て下処理が終わった。そこで料理してなかった者が長老指揮のもと塩漬け班と鱗班、干す班に分かれて作業を開始する。ハジメが交代した赤ちゃんを背負った女性がお茶とお茶請けを出してくれ、一息つくことにした。
「本当にありがとうございましたにゃ」
とお礼を言った。赤ん坊は彼女の背中ですやすやと眠っている。なんとも可愛らしい。
「いえいえ、眠ったようですね」
とハジメが微笑むと、
「えぇ。お腹いっぱいになったら眠ってしまいましたにゃ」
と笑顔で返した。ハジメはお茶を啜るとお茶請けを見る。
「こ、これは大豆ですか?」
「え?えぇ。大豆を醤油で煮たものですにゃ・・・?」
ハジメの勢いにやや引き気味に肯定する。
「ここには大豆と醤油があるのですか??もしかして味噌も?」
とハジメが言うと女性は頷く。その時全員に指示を終えた長老がハジメの下へと帰ってきた。
「おや、醤油と味噌に興味がおありですかにゃ?」
と長老は好々爺の如く笑う。
「えぇ。ずっと探してまして・・・」
とハジメが言うと、長老は醤油と味噌、大豆を瓶1つ分ずつ分けてくれることになった。ハジメは礼を伝えるが、長老は
「こちらこそ、沢山のピラニを頂きましたにゃ。それとですにゃ、我らの天敵である大王イカを倒して頂いたお礼と下拵えもお手伝いして頂きましたにゃ。こちらを受け取って欲しいのですにゃ」
と1枚の板と、お玉、大きな木の器とざるをハジメに渡してくる。
「これは私たちの村の近くで取れる丈夫な木を使って作っているまな板と、お玉、ボウルとざるですにゃ。良かったら使ってくださいにゃ」
ハジメは有難く受け取りアイテムボックスに仕舞う。そして長老に階段がないか聞いてみる。
「あぁ、それならこの村から北に暫く行ったところに大きな湖がありますにゃ。その真ん中あたりに上へと続く階段がありますにゃ。私たちは船は持ってないので申し訳ないですにゃ・・・」
と言われた。ハジメはお礼を言い、取りあえず、その湖を目指して村を出発した。
【ステージ1・2クリア 報酬:『成長する料理道具』】
そして道中魔物に遭うこともなく1時間ほどでハジメは湖岸に到着した。
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