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第3章 航路
62.思いがけずお礼を言われるみたいです
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「3人ともっ。お店の人は誰も人が住んでいないって言ってたけど、誰か居たらどうするのっ。やりすぎだよ」
とハジメがお説教をしている。3精霊ともしゅんとなって反省しているようだ。賠償の問題は精霊たちに言うことではない。3精霊ともハジメを守る為に起こした行動なのである。数分お説教をしてこれからの事を考えようとしていた時
「おいっ、そこの者。これはいったいどうしたことだ」
と声が掛かる。見るとそこにはいかにも漁師ですというような男が3人立っていて、真ん中の男がハジメたちに話しかけている。
ハジメはその男たちに近づき、
「実は10人ほどの暴漢に襲われまして・・・。を撃退しようとしたらこんなことに・・・」
と申し訳なさそうな顔をする。その時後ろから縄を掛けられ、猿轡をされたハジメを襲った者どもを引き連れてきた。
「親分。闇夜の梟が街の城壁の近くで流された木材に紛れてノビてましたぜ」
と数名の兵士らしき人物が男らを親分と呼ばれた男の前に出す。男はハジメの方を振り返り
「貴様を襲ったのはこいつらか?」
と聞くので「そうです。その男たちですよ」と答える。
「本当に災難だったな。こいつらは闇夜の梟という集団で幼い子供や女を攫ったり魚を仕入れに来た商人を襲ったりして困っていたのだ。この辺りが住処だとはわかっていたのだが、虱潰しに探すにも人材はいないわ、空き家を取り壊す予算はないわで困っていたのだ」
「あの・・・弁償は?」
とハジメが恐る恐る聞くと
「それは大丈夫だ。この街は近々個人所有の街となるのだ。国からもきちんとした状態で渡すように指示があってな。この辺りの空き家を取り壊したかったのだが、こんな何もないところだ。金なぞない。むしろ丁度良かった」
と言って笑った。
「ローウェン様、それはまだ人に言ってはいけないと、私・言・い・ま・し・た・よ・ね?」
と凄い形相の女性がローウェンの前にずいと立つ。
「うっ、つい・・・」
「貴方様は「つい」で秘密を言ってしまうのですね」
と畳みかける。どうやらローウェンはこの街の責任者であり、尻に敷かれているらしい。
「と、取りあえず、被害者の前だ、落ち着け、ジュリ」
「あら、ほんとう。すみません」
とジュリは微笑んだ。ハジメはいえいえと言いながら営業スマイルを浮かべる。
「それでお前、何者なのだ?」
街の取調室に連れていかれたハジメは質問されていた。ここへ来る道すがら、舞に陽と連絡を取ってもらえるように頼むと
「わざわざ行かなくて大丈夫」
と言い、舞が作った風の珠をハジメに差し出す。どうやらこれに伝言を伝えればいいようだ。ハジメは今の状況を話し、今日は戻れないことを吹き込む。まるでメールだ。終わると舞はそれを「イブの街の陽へ」と言い力いっぱい投擲する。凄い勢いでイブの街に向かって飛んで行った。それから数分後風の珠は戻ってくる。耳に近づけると陽の声で
「旦那様はトラブル体質ですか?こちらのことは問題ありません。2人には乗合馬車のトラブルと伝えておきます。店の事は問題ありません」
と言われたがこれは転移者仕様としか言えないのだ。ハジメ自身の運の問題ではない・・・と信じたいのだった。
「私はイブの街で雑貨屋というかポーション屋というか・・・。まぁそういう店をしていますハジメと申します」
と言うと、ジュリが
「あら、あなたが噂のハジメさん?」
と言う。どうやら名前を知られているらしい。
「噂の?」
とローウェンが言うとジュリはピクリと眉を動かす。
「えぇ、エルフの国が滅びたけど、魔力ポーションが売られているのはこのハジメさんが作っているからって言われてるのよ。旅の商人から聞いた話で真偽は分からないけどね」
とジュリが言うが、他にも何かあるようにハジメは思えた。あの眉の動きは少し動揺してるようだった。ハジメはそれは間違いないと思っていた。
「なるほどな。それでどうやって空き家を綺麗さっぱり城壁まで押しやったのだ?」
とローウェンに聞かれる。
「それが、私にも良く分からなくて。一応魔法は使えるので、水の魔法を使おうとしたのですが、その時殴られそうになって目を閉じたのです。そしたら魔力が全部取られるような感じがして・・・。目を開けたらあの様な状態になっていたのです」
魔法がある世界と言うのは往々にして魔力の暴走が起こる。この世界も例外ではない。しかしその発生においてはかなりシビアな条件が3つあるのだ。まず、自分の命が掛かっていること。次に魔力が満タンであること。そして最後にタイミング。1つ目と2つ目はクリアするのは容易いが、最後の条件を満たすことはほぼないのである。このタイミングとは体調や心理状態、魔力との瞬間同調率、時期や秒単位での時間を合わせることなのである。心理状態や体調はなんとかあったとしても秒単位で合わせる事は普通出来ない。生涯で1回あれば多い方なのである。
昔その魔力の暴走を故意に起こさせようとしたが無理であった。それが研究の結果判明し、それ以降戦争に使おうとするものはいなかったのである。
ジュリが魔法使いのようだったのでこの説明で通るだろう。
「なるほど・・・。ローウェン、これは恐らく魔力暴走だわ。信じられないけど、そうでないと説明が出来ないわ」
「なんだ、それ?」
ローウェンは恐らく脳筋なのだろう。言うなということを言い、万人が知っていることを知らない。小説に良く出てくる『脳筋』という人種なのだろうとハジメは納得する。外見は渋い大人なのに・・・。残念だ・・・・。とハジメは思った。
「はぁーー?あんた本当に脳みそ筋肉なんじゃない??」
ジュリがハジメが思ったことを全て言った。
「まぁ、後で私と勉強決定ね」
と冷たくあしらわれる。その瞬間ローウェンが激しく震え始める。
「い、いやだ。勉強と称して1日中本を読まされ、最後にテストをされ合格しなければそれを繰り返すあれは嫌だっ」
「あぁ、前は2週間かかったんだっけ?2週間目で問題を5歳児が分かる内容にしてようやくだもんね。私の方が本当に心が折れそうだったわ」
ジュリは呆れたように言う。それを呆れつつ眺めハジメは考え込んでいた。
ローウェンはこの街が個人所有になると言う。それはハジメのことで間違いないだろう。しかしおかしな点がある。国の対応が早いのだ。この街を貰うとなったのは2日前の話なのだ。それなのに既に国が動いているのだ。考えられるのは3つ。
1つはそれほど硬貨の問題が大きかったということ。しかしこれなら先ずは造幣を急ぐはずである。そうしなければ貨幣価値の変動が更に大きくなってしまう。だから一市民への対応は後回しにするはずである。という事はこの理由でこのスピードは考えられない。
次にこのマコンの街の経済状態はハジメが考えている以上に悪いということ。一番近い町であるイブや国にとってかなりの荷物と化しており、そうそうにカタを付けたいと思っているのではないか。これは否定する要素が無い。
最後にかなり確率は低いが相当な頭お花畑国王で、「わーい、ありがとー。お・れ・い」というパターン。最後のはこの国に暮らす者としては違っていて欲しいNo.1であるが、国王を知らない手前否定出来る要素はない。
となるとやはり経済状況問題の可能性が高いのだろう。ウォールとその祖父であり国の鑑定士フラップも赤字続きのこの領地はまだ誰にも統治されていないと言ってた。一般民間人に渡すと累計赤字は残るものの、それ以上増えることはない。そして国の褒章として渡すのであるからある程度見栄を張るために整えて渡すと言ったところだろう。
「ハジメさん、ご迷惑かけたわね。男たちの後のことは私たちに任せておいてね。それで今日の所は帰って貰ってもいいのだけれど・・・・。乗合馬車はもう無いわね・・・。どうする?」
「・・・そうですね。今日は泊まって、明日帰る感じですね。宿はどうしようかな・・・」
「それならここに泊まっていくといいわ。そこの扉を出た正面に鍵がかかる部屋があるわ。ここなら夜も勤務者がいるから安心だろうし」
とジュリが言う。3精霊が居ればどこで寝ようが安心安全であったが、ハジメは言葉に甘えることにした。
夜が始まったころ、ハジメの泊まっている部屋の扉をノックする音がする。
「私よ、ジュリ。ちょっとお話していいかしら?」
と声がする。ハジメは扉を開けると、さっと彼女が部屋の中へ入ってきた。
「部屋よりもさきほどまでいた取調室がいいのでは?」
と言ってみたが、
「お互い聞かれたくない話もあるでしょうし」
とニヤリと笑う。少し警戒しつつも椅子を勧め、自分はベッドの上に腰かけた。
「さてと、何から話そうかしら・・・まずはお礼からかしら」
と言い立ち上がり、カーテシーをする。ハジメが戸惑っていると
「取りあえず、白金の問題ありがとうございました。国王に代わりまして私、第2王女ジュリエッタ=アヴァがお礼申し上げます」
と言い顔を上げる。そこにはロイヤルスマイルと言うべき完ぺきな笑顔があった。そしてこの何とも言えない圧迫と気品。王女でないとしてもそれなりに高い地位に居るのだろう。いや、王女を名乗って嘘でしたーでは済まないことを考えると間違いなく王女なのだろう。
「はぁ、これ結構疲れるのよね・・・」
とすぐにカーテシーを止めて椅子に座る。そこには昼間のジュリが居た。
「ローウェンには言ってないけど、一応私第2王女なのよ。父さまの密命でね、この港町の安定を担っているのよ」
ととんでもない爆弾を落としたのだった。
ハンドブック 11項目目
11-10.王女様と知り合おう:Clear!
11-11.報酬:精霊王のコイン4枚
とハジメがお説教をしている。3精霊ともしゅんとなって反省しているようだ。賠償の問題は精霊たちに言うことではない。3精霊ともハジメを守る為に起こした行動なのである。数分お説教をしてこれからの事を考えようとしていた時
「おいっ、そこの者。これはいったいどうしたことだ」
と声が掛かる。見るとそこにはいかにも漁師ですというような男が3人立っていて、真ん中の男がハジメたちに話しかけている。
ハジメはその男たちに近づき、
「実は10人ほどの暴漢に襲われまして・・・。を撃退しようとしたらこんなことに・・・」
と申し訳なさそうな顔をする。その時後ろから縄を掛けられ、猿轡をされたハジメを襲った者どもを引き連れてきた。
「親分。闇夜の梟が街の城壁の近くで流された木材に紛れてノビてましたぜ」
と数名の兵士らしき人物が男らを親分と呼ばれた男の前に出す。男はハジメの方を振り返り
「貴様を襲ったのはこいつらか?」
と聞くので「そうです。その男たちですよ」と答える。
「本当に災難だったな。こいつらは闇夜の梟という集団で幼い子供や女を攫ったり魚を仕入れに来た商人を襲ったりして困っていたのだ。この辺りが住処だとはわかっていたのだが、虱潰しに探すにも人材はいないわ、空き家を取り壊す予算はないわで困っていたのだ」
「あの・・・弁償は?」
とハジメが恐る恐る聞くと
「それは大丈夫だ。この街は近々個人所有の街となるのだ。国からもきちんとした状態で渡すように指示があってな。この辺りの空き家を取り壊したかったのだが、こんな何もないところだ。金なぞない。むしろ丁度良かった」
と言って笑った。
「ローウェン様、それはまだ人に言ってはいけないと、私・言・い・ま・し・た・よ・ね?」
と凄い形相の女性がローウェンの前にずいと立つ。
「うっ、つい・・・」
「貴方様は「つい」で秘密を言ってしまうのですね」
と畳みかける。どうやらローウェンはこの街の責任者であり、尻に敷かれているらしい。
「と、取りあえず、被害者の前だ、落ち着け、ジュリ」
「あら、ほんとう。すみません」
とジュリは微笑んだ。ハジメはいえいえと言いながら営業スマイルを浮かべる。
「それでお前、何者なのだ?」
街の取調室に連れていかれたハジメは質問されていた。ここへ来る道すがら、舞に陽と連絡を取ってもらえるように頼むと
「わざわざ行かなくて大丈夫」
と言い、舞が作った風の珠をハジメに差し出す。どうやらこれに伝言を伝えればいいようだ。ハジメは今の状況を話し、今日は戻れないことを吹き込む。まるでメールだ。終わると舞はそれを「イブの街の陽へ」と言い力いっぱい投擲する。凄い勢いでイブの街に向かって飛んで行った。それから数分後風の珠は戻ってくる。耳に近づけると陽の声で
「旦那様はトラブル体質ですか?こちらのことは問題ありません。2人には乗合馬車のトラブルと伝えておきます。店の事は問題ありません」
と言われたがこれは転移者仕様としか言えないのだ。ハジメ自身の運の問題ではない・・・と信じたいのだった。
「私はイブの街で雑貨屋というかポーション屋というか・・・。まぁそういう店をしていますハジメと申します」
と言うと、ジュリが
「あら、あなたが噂のハジメさん?」
と言う。どうやら名前を知られているらしい。
「噂の?」
とローウェンが言うとジュリはピクリと眉を動かす。
「えぇ、エルフの国が滅びたけど、魔力ポーションが売られているのはこのハジメさんが作っているからって言われてるのよ。旅の商人から聞いた話で真偽は分からないけどね」
とジュリが言うが、他にも何かあるようにハジメは思えた。あの眉の動きは少し動揺してるようだった。ハジメはそれは間違いないと思っていた。
「なるほどな。それでどうやって空き家を綺麗さっぱり城壁まで押しやったのだ?」
とローウェンに聞かれる。
「それが、私にも良く分からなくて。一応魔法は使えるので、水の魔法を使おうとしたのですが、その時殴られそうになって目を閉じたのです。そしたら魔力が全部取られるような感じがして・・・。目を開けたらあの様な状態になっていたのです」
魔法がある世界と言うのは往々にして魔力の暴走が起こる。この世界も例外ではない。しかしその発生においてはかなりシビアな条件が3つあるのだ。まず、自分の命が掛かっていること。次に魔力が満タンであること。そして最後にタイミング。1つ目と2つ目はクリアするのは容易いが、最後の条件を満たすことはほぼないのである。このタイミングとは体調や心理状態、魔力との瞬間同調率、時期や秒単位での時間を合わせることなのである。心理状態や体調はなんとかあったとしても秒単位で合わせる事は普通出来ない。生涯で1回あれば多い方なのである。
昔その魔力の暴走を故意に起こさせようとしたが無理であった。それが研究の結果判明し、それ以降戦争に使おうとするものはいなかったのである。
ジュリが魔法使いのようだったのでこの説明で通るだろう。
「なるほど・・・。ローウェン、これは恐らく魔力暴走だわ。信じられないけど、そうでないと説明が出来ないわ」
「なんだ、それ?」
ローウェンは恐らく脳筋なのだろう。言うなということを言い、万人が知っていることを知らない。小説に良く出てくる『脳筋』という人種なのだろうとハジメは納得する。外見は渋い大人なのに・・・。残念だ・・・・。とハジメは思った。
「はぁーー?あんた本当に脳みそ筋肉なんじゃない??」
ジュリがハジメが思ったことを全て言った。
「まぁ、後で私と勉強決定ね」
と冷たくあしらわれる。その瞬間ローウェンが激しく震え始める。
「い、いやだ。勉強と称して1日中本を読まされ、最後にテストをされ合格しなければそれを繰り返すあれは嫌だっ」
「あぁ、前は2週間かかったんだっけ?2週間目で問題を5歳児が分かる内容にしてようやくだもんね。私の方が本当に心が折れそうだったわ」
ジュリは呆れたように言う。それを呆れつつ眺めハジメは考え込んでいた。
ローウェンはこの街が個人所有になると言う。それはハジメのことで間違いないだろう。しかしおかしな点がある。国の対応が早いのだ。この街を貰うとなったのは2日前の話なのだ。それなのに既に国が動いているのだ。考えられるのは3つ。
1つはそれほど硬貨の問題が大きかったということ。しかしこれなら先ずは造幣を急ぐはずである。そうしなければ貨幣価値の変動が更に大きくなってしまう。だから一市民への対応は後回しにするはずである。という事はこの理由でこのスピードは考えられない。
次にこのマコンの街の経済状態はハジメが考えている以上に悪いということ。一番近い町であるイブや国にとってかなりの荷物と化しており、そうそうにカタを付けたいと思っているのではないか。これは否定する要素が無い。
最後にかなり確率は低いが相当な頭お花畑国王で、「わーい、ありがとー。お・れ・い」というパターン。最後のはこの国に暮らす者としては違っていて欲しいNo.1であるが、国王を知らない手前否定出来る要素はない。
となるとやはり経済状況問題の可能性が高いのだろう。ウォールとその祖父であり国の鑑定士フラップも赤字続きのこの領地はまだ誰にも統治されていないと言ってた。一般民間人に渡すと累計赤字は残るものの、それ以上増えることはない。そして国の褒章として渡すのであるからある程度見栄を張るために整えて渡すと言ったところだろう。
「ハジメさん、ご迷惑かけたわね。男たちの後のことは私たちに任せておいてね。それで今日の所は帰って貰ってもいいのだけれど・・・・。乗合馬車はもう無いわね・・・。どうする?」
「・・・そうですね。今日は泊まって、明日帰る感じですね。宿はどうしようかな・・・」
「それならここに泊まっていくといいわ。そこの扉を出た正面に鍵がかかる部屋があるわ。ここなら夜も勤務者がいるから安心だろうし」
とジュリが言う。3精霊が居ればどこで寝ようが安心安全であったが、ハジメは言葉に甘えることにした。
夜が始まったころ、ハジメの泊まっている部屋の扉をノックする音がする。
「私よ、ジュリ。ちょっとお話していいかしら?」
と声がする。ハジメは扉を開けると、さっと彼女が部屋の中へ入ってきた。
「部屋よりもさきほどまでいた取調室がいいのでは?」
と言ってみたが、
「お互い聞かれたくない話もあるでしょうし」
とニヤリと笑う。少し警戒しつつも椅子を勧め、自分はベッドの上に腰かけた。
「さてと、何から話そうかしら・・・まずはお礼からかしら」
と言い立ち上がり、カーテシーをする。ハジメが戸惑っていると
「取りあえず、白金の問題ありがとうございました。国王に代わりまして私、第2王女ジュリエッタ=アヴァがお礼申し上げます」
と言い顔を上げる。そこにはロイヤルスマイルと言うべき完ぺきな笑顔があった。そしてこの何とも言えない圧迫と気品。王女でないとしてもそれなりに高い地位に居るのだろう。いや、王女を名乗って嘘でしたーでは済まないことを考えると間違いなく王女なのだろう。
「はぁ、これ結構疲れるのよね・・・」
とすぐにカーテシーを止めて椅子に座る。そこには昼間のジュリが居た。
「ローウェンには言ってないけど、一応私第2王女なのよ。父さまの密命でね、この港町の安定を担っているのよ」
ととんでもない爆弾を落としたのだった。
ハンドブック 11項目目
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