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第3章 航路
57.思いがけず解決するみたいです
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ウォールから差し出された紙には右上に大きな文字で『極秘』の文字が書かれていてその下に本文が書かれている。
~緊急~
街の長をしている者に告げる。
白金を探し出せ。
褒美は望むものを与える。
国王
と書かれていた。
「・・・これは・・・」
「えぇ。実はこの国に限らず全ての国はエルフ国のポーションの売買で白金貨を使っていたのです。しかし今回エルフ国の王城が消失してしまった・・・。どうやらエルフは白金貨で支払われた代金を王城で金貨などの使いやすい硬貨に変えていたようなのです。その為王城には多くの白金貨が存在していました。城と共に消えてしまったのです。それで困ったのが大店の商会や貴族、王族たちなのです。高額になる支払いに大量の金貨を持って移動したり、金庫に大量の貨幣を保存しなくてはいけなくなったのです。しかし、ハジメさんもご存知の通り白金は稀金属。そうそう見つかる物でもありません。エルフ城と白金貨が消えてしまったことが判明してから各国も捜索はしてるようですが、発見には至っていないようです。その為このような辺鄙な街までこの通知が来たんです。まぁ、正直国王からの許可となるとこれ以外に思いつかないのです・・・。すみません。先ほど言ったなんとかなるって言うのは私の直観と希望なのです。この街の財政にも白金貨は使われているのですが、最近では金庫がいっぱいで・・・。それにこのままだと市場に流れる他の貨幣量も減ってしまい、混乱が生じる可能性が高いのです。」
「なるほど・・・。それでどれくらい必要なんですか?」
と言うと
「白金貨は見たことありますか?」
と質問に質問で返されたが、そういえば見たことはない。全て商業ギルドの口座か現金でしか取引したことはないのだ。正直にそういうと、
「そうですよね、一般の人とは現金、商人ならギルド口座で取引するのが普通なのですからおかしなことではありません。これが白金貨です」
と1円玉くらいの大きさの硬貨を出してきた。かなり小さくて軽い。1gあるかどうかだろう。とすると1kgで1000枚、100億、10㎏で1万枚、1,000億。白金貨1枚で金貨10,000枚必要なのだ。確かにそうなると金貨も不足することになる。
「そうですね、後白金貨10万枚分ほどあれば大丈夫かと思うんですけどね。正直その半分でもあればだいぶ改善するとは思うんですがね」
と言いながらウォールがサインした書類をハジメに渡してくる。その時陽が
「旦那様、その金属はこの前のあれではないですか?」
と真面目な顔と口調で言う。ハジメは『空気を読め!KYと言われるぞ』と言いそうになった。しかしこの陽はハジメの役に立つことしかしないのだ。普段はハジメの前に立つことはないが、そうした時何かしらの危険や徳がある時だけなのだ。もしかしたらシャプシェの所に行ったとき何かしら言われていたのではないだろうかと思った。
ハジメはバックに手を突っ込みアイテムボックスから舞が持ってきた白金を出す。テーブルに置くとゴトっと音がする。それを見てため息交じりに陽が『今それ出す?』と言う顔をし、目を丸くして見つめるウォール。
陽が
「旦那様、筋肉つけるためと言っても持ち歩かないようにと申し上げているのに、なぜ今日も持っているのですか?」
とアイテムボックス持ちであることを隠すように苦言という形でフォローを入れる。ハジメは「ご、ごめん。つい」と返すしかなかった。
数秒の間があって
「こ、これは・・・。一体どこで・・・」
とウォールが言うので、
「旦那様と西の森にある崖のあたりまで薬草を取りに行ったときに拾ったんですよ。筋肉つけるために持って帰ると言って・・・。まぁ綺麗でしたので店のインテリアにでもなるかと思い、持ち帰ったのです」
と陽が答える。
「鑑定させてもらってもいいですか?」
とウォールが言うので頷くと、職員に鑑定士を呼ぶように伝える。そしてそのすぐ後でドアがものすごい勢いで開く。ハジメは目を丸くして開いた扉を見ると白髪で白髭を蓄えたダンディーという言葉が似あう筋骨隆々の右足で蹴り開けたばかりの恰好をした男性が居た。ハジメと陽に目もくれず
「うぉぉぉぉぉるぅぅぅぅぅ。要件も告げずに呼び出すとはワシの教育が間違っていたよぉぉぉだのぉぉぉ」
と叫びながら一気に間合いを詰める。陽の左手がハジメの前に庇うように出されたことに気づいた時には既にウォールはアイアンクローの要領でコメカミを掴まれ10㎝ほど地面から離れていた。ダンディーな男の右手には血管が怖いほど浮かんでおり、掴まれたウォールは
「・・・・おじぃ、ごめん・・・・このままだと死んじゃぅ・・・・」
と言葉の最後の方は声が小さくなっていく。
「ふん・・・。この程度のスピードに後れを取り、まして常識も失してからに。ばあさんに頼んで再教育だの」
と言いながら片手でウォールをソファーに投げる。投げられた彼は唸りながらコメカミを抑える。その姿を見ながら頭を左右に振るアイアンクローの男はため息を付いた。その時ハジメに気づく。
「お、お客人がいたのか・・・・」
と言いながら焦り、顔を赤らめた。あの間合いの詰め方やアイアンクローの様子を見るに室内の気配察知はいつもなら出来るのだろうが、怒りで我を忘れてしまったのだろう・・・。案外天然かもしれないと思ったが、言わずにおく。ハジメは空気が読めるスキルを持っているのである。
「ゴホッ。おじい様は人の話を聞いてください。私以外だとあれで死んでてもおかしくないんですよ」
とあきれつつも言う。
「・・・お主がきちんとお客人が居ると言っておれば良かったのじゃ」
「ちゃんと町長の名前で呼んだでしょうが・・・」
と言うとキッと睨まれたのでそれ以上言うのを止めたようだった。ゴホンとハジメが古典的な話の替え方をしなければ止まりそうもなかった。
「ゴホン。ウォール様、そちらの方が鑑定士の方なんですか?随分と親しそうですが・・・」
とハジメが尋ねると、
「ハジメさん、驚かせてすみません。この方は王国から派遣された鑑定士兼私の祖父です。プラチナとして運ばれてくるモノが本当にそうなのか鑑定される役割なんです。基本的にこのような鑑定士を必要とする依頼の時はその街に所縁のない者が選ばれるんですが、こう見えてこの人、国の鑑定士のトップなんですよ。それをいいことにこうやってやってくるんです」
「初めましてじゃの。この国の鑑定士のまとめ役をやっておるフラップと言う者じゃ。ついでにこやつの祖父をしておる」
と自己紹介されたので、ハジメは無難に挨拶をしておく。
「初めまして。ウォール様の御祖父でしたか。私はハジメ、こちらは執事兼従業員の陽と申します。ウォーレン様には色々とご助力をして頂いております。このような砕けたウォール様は初めて見させて頂きます。なんとも微笑ましい」
「なんとも礼儀正しい。お前も見習わなければな。それでワシを呼んだ理由はなんじゃ?」
とフラップがウォールを見る。
「実はフラップ様。ここにおられるハジメ様がお持ちになったこの鉱石のことで及びしました。私は鑑定のスキルをもっておりませんが、僅かばかりの知識からお探しのモノではないかと思い及びしたのです」
仕事モードに戻り机の石をフラップに差し出す。フラップはそれを受け取りゆっくりと眺め、鑑定スキルを使うと、その表情が驚愕に変わる。
「こ、こ、これは間違いなく白金じゃ。これだけの純度でこの量なら白金貨問題は解決じゃ。そなたこれはどこで、どれだけあるのじゃ・・・」
ウォールが真面目な表情でハジメが西の森の崖の近くで見つけたことを伝える。
「私どもが見つけたのはこれだけです。探せばあるかもしれませんが・・・」
「まぁ良い。これで貨幣問題は解決したのじゃ」
とわははと豪快に笑い、窓際まで行くと徐に窓を開け、
伝言 王 へ
白金見つかる。貨幣で20万枚。
そう言うと風が渦巻き珠となって、遠くに見える山に向かって飛んで行った。面白そうにそれを見ていたハジメに気づいたのか、フラップが近づいてくる。
「今王へ緊急伝言をしたので、もう少ししたら返事が来るのじゃ。さて、ハジメと言ったの。褒美は何が欲しいかの?よほどのモノではない限り叶えられると思うのじゃ」
と言うのでハジメは
「実は奴隷を2人解放したいのです。その書類にサインを頂ければありがたいのですが、大丈夫でしょうか?」
と恐る恐るお伺いをたててみる。
「そのようなことで良いのかの?」
と不思議そうにハジメを見るため
「大事なことなのです」
と言い2枚の書類を渡すと王のサインをして代筆としてフラップの名を書き込んだ。
「これを持ってウォールと一緒に奴隷商に行けばよいのじゃ。あぁ、勿論解放される2人を連れての。さてそれで褒美は何が欲しいのじゃ?」
ハジメは陽と顔を見合わせる。正直特に欲しい褒美はないのだ。
「何か貰わないとダメなんでしょうか?」
ハジメがそうウォールとフラップに言うと
「そうですね。貰っておいた方がいいですよ。噂ですが、昔何も要求しなかった人が城に呼ばれて魔物の蔓延る領地を押し付けられたって言われてますから・・・」
「それは、500年以上も昔のことじゃ。今はそんなことはない。せいぜい赤字の街を押し付けるくらいじゃろうて」
それを聞き、何か要求した方がいいと理解した。
「どれくらいの要望なら適格なんだろ・・・」
思わず口をついて出たらしい。それに答えてフラップが
「そうじゃな。小さな村くらいの規模じゃろうな」
それを聞いて「んー」と唸っていると陽が耳元でこそこそと
「旦那様、イブの街の東にある港を要求してはどうですか?それなら耐熱ガラスの素材も採集もしやすくなりますし、他の国に行きたくなったときに便利ですし」
と天啓としてハジメが受け取りそうな提案を囁く。ナイスなアイデアだとハジメは思った。休みの日に従業員でクルージングもいいかもしれない。魔物が居るかもしれないが、精霊ズが居るのだ。なんとかなるだろう。
「ではこの街の東にある港街はどうでしょう?」
「ほう、マコンの港街か・・・。良いのではないか?確か領主は・・・」
とハジメの提案に右手の指を顎に沿わせて当てて考え込む。
ハンドブック 11項目目
11-7. 国の問題を解決してみよう:Clear!
~緊急~
街の長をしている者に告げる。
白金を探し出せ。
褒美は望むものを与える。
国王
と書かれていた。
「・・・これは・・・」
「えぇ。実はこの国に限らず全ての国はエルフ国のポーションの売買で白金貨を使っていたのです。しかし今回エルフ国の王城が消失してしまった・・・。どうやらエルフは白金貨で支払われた代金を王城で金貨などの使いやすい硬貨に変えていたようなのです。その為王城には多くの白金貨が存在していました。城と共に消えてしまったのです。それで困ったのが大店の商会や貴族、王族たちなのです。高額になる支払いに大量の金貨を持って移動したり、金庫に大量の貨幣を保存しなくてはいけなくなったのです。しかし、ハジメさんもご存知の通り白金は稀金属。そうそう見つかる物でもありません。エルフ城と白金貨が消えてしまったことが判明してから各国も捜索はしてるようですが、発見には至っていないようです。その為このような辺鄙な街までこの通知が来たんです。まぁ、正直国王からの許可となるとこれ以外に思いつかないのです・・・。すみません。先ほど言ったなんとかなるって言うのは私の直観と希望なのです。この街の財政にも白金貨は使われているのですが、最近では金庫がいっぱいで・・・。それにこのままだと市場に流れる他の貨幣量も減ってしまい、混乱が生じる可能性が高いのです。」
「なるほど・・・。それでどれくらい必要なんですか?」
と言うと
「白金貨は見たことありますか?」
と質問に質問で返されたが、そういえば見たことはない。全て商業ギルドの口座か現金でしか取引したことはないのだ。正直にそういうと、
「そうですよね、一般の人とは現金、商人ならギルド口座で取引するのが普通なのですからおかしなことではありません。これが白金貨です」
と1円玉くらいの大きさの硬貨を出してきた。かなり小さくて軽い。1gあるかどうかだろう。とすると1kgで1000枚、100億、10㎏で1万枚、1,000億。白金貨1枚で金貨10,000枚必要なのだ。確かにそうなると金貨も不足することになる。
「そうですね、後白金貨10万枚分ほどあれば大丈夫かと思うんですけどね。正直その半分でもあればだいぶ改善するとは思うんですがね」
と言いながらウォールがサインした書類をハジメに渡してくる。その時陽が
「旦那様、その金属はこの前のあれではないですか?」
と真面目な顔と口調で言う。ハジメは『空気を読め!KYと言われるぞ』と言いそうになった。しかしこの陽はハジメの役に立つことしかしないのだ。普段はハジメの前に立つことはないが、そうした時何かしらの危険や徳がある時だけなのだ。もしかしたらシャプシェの所に行ったとき何かしら言われていたのではないだろうかと思った。
ハジメはバックに手を突っ込みアイテムボックスから舞が持ってきた白金を出す。テーブルに置くとゴトっと音がする。それを見てため息交じりに陽が『今それ出す?』と言う顔をし、目を丸くして見つめるウォール。
陽が
「旦那様、筋肉つけるためと言っても持ち歩かないようにと申し上げているのに、なぜ今日も持っているのですか?」
とアイテムボックス持ちであることを隠すように苦言という形でフォローを入れる。ハジメは「ご、ごめん。つい」と返すしかなかった。
数秒の間があって
「こ、これは・・・。一体どこで・・・」
とウォールが言うので、
「旦那様と西の森にある崖のあたりまで薬草を取りに行ったときに拾ったんですよ。筋肉つけるために持って帰ると言って・・・。まぁ綺麗でしたので店のインテリアにでもなるかと思い、持ち帰ったのです」
と陽が答える。
「鑑定させてもらってもいいですか?」
とウォールが言うので頷くと、職員に鑑定士を呼ぶように伝える。そしてそのすぐ後でドアがものすごい勢いで開く。ハジメは目を丸くして開いた扉を見ると白髪で白髭を蓄えたダンディーという言葉が似あう筋骨隆々の右足で蹴り開けたばかりの恰好をした男性が居た。ハジメと陽に目もくれず
「うぉぉぉぉぉるぅぅぅぅぅ。要件も告げずに呼び出すとはワシの教育が間違っていたよぉぉぉだのぉぉぉ」
と叫びながら一気に間合いを詰める。陽の左手がハジメの前に庇うように出されたことに気づいた時には既にウォールはアイアンクローの要領でコメカミを掴まれ10㎝ほど地面から離れていた。ダンディーな男の右手には血管が怖いほど浮かんでおり、掴まれたウォールは
「・・・・おじぃ、ごめん・・・・このままだと死んじゃぅ・・・・」
と言葉の最後の方は声が小さくなっていく。
「ふん・・・。この程度のスピードに後れを取り、まして常識も失してからに。ばあさんに頼んで再教育だの」
と言いながら片手でウォールをソファーに投げる。投げられた彼は唸りながらコメカミを抑える。その姿を見ながら頭を左右に振るアイアンクローの男はため息を付いた。その時ハジメに気づく。
「お、お客人がいたのか・・・・」
と言いながら焦り、顔を赤らめた。あの間合いの詰め方やアイアンクローの様子を見るに室内の気配察知はいつもなら出来るのだろうが、怒りで我を忘れてしまったのだろう・・・。案外天然かもしれないと思ったが、言わずにおく。ハジメは空気が読めるスキルを持っているのである。
「ゴホッ。おじい様は人の話を聞いてください。私以外だとあれで死んでてもおかしくないんですよ」
とあきれつつも言う。
「・・・お主がきちんとお客人が居ると言っておれば良かったのじゃ」
「ちゃんと町長の名前で呼んだでしょうが・・・」
と言うとキッと睨まれたのでそれ以上言うのを止めたようだった。ゴホンとハジメが古典的な話の替え方をしなければ止まりそうもなかった。
「ゴホン。ウォール様、そちらの方が鑑定士の方なんですか?随分と親しそうですが・・・」
とハジメが尋ねると、
「ハジメさん、驚かせてすみません。この方は王国から派遣された鑑定士兼私の祖父です。プラチナとして運ばれてくるモノが本当にそうなのか鑑定される役割なんです。基本的にこのような鑑定士を必要とする依頼の時はその街に所縁のない者が選ばれるんですが、こう見えてこの人、国の鑑定士のトップなんですよ。それをいいことにこうやってやってくるんです」
「初めましてじゃの。この国の鑑定士のまとめ役をやっておるフラップと言う者じゃ。ついでにこやつの祖父をしておる」
と自己紹介されたので、ハジメは無難に挨拶をしておく。
「初めまして。ウォール様の御祖父でしたか。私はハジメ、こちらは執事兼従業員の陽と申します。ウォーレン様には色々とご助力をして頂いております。このような砕けたウォール様は初めて見させて頂きます。なんとも微笑ましい」
「なんとも礼儀正しい。お前も見習わなければな。それでワシを呼んだ理由はなんじゃ?」
とフラップがウォールを見る。
「実はフラップ様。ここにおられるハジメ様がお持ちになったこの鉱石のことで及びしました。私は鑑定のスキルをもっておりませんが、僅かばかりの知識からお探しのモノではないかと思い及びしたのです」
仕事モードに戻り机の石をフラップに差し出す。フラップはそれを受け取りゆっくりと眺め、鑑定スキルを使うと、その表情が驚愕に変わる。
「こ、こ、これは間違いなく白金じゃ。これだけの純度でこの量なら白金貨問題は解決じゃ。そなたこれはどこで、どれだけあるのじゃ・・・」
ウォールが真面目な表情でハジメが西の森の崖の近くで見つけたことを伝える。
「私どもが見つけたのはこれだけです。探せばあるかもしれませんが・・・」
「まぁ良い。これで貨幣問題は解決したのじゃ」
とわははと豪快に笑い、窓際まで行くと徐に窓を開け、
伝言 王 へ
白金見つかる。貨幣で20万枚。
そう言うと風が渦巻き珠となって、遠くに見える山に向かって飛んで行った。面白そうにそれを見ていたハジメに気づいたのか、フラップが近づいてくる。
「今王へ緊急伝言をしたので、もう少ししたら返事が来るのじゃ。さて、ハジメと言ったの。褒美は何が欲しいかの?よほどのモノではない限り叶えられると思うのじゃ」
と言うのでハジメは
「実は奴隷を2人解放したいのです。その書類にサインを頂ければありがたいのですが、大丈夫でしょうか?」
と恐る恐るお伺いをたててみる。
「そのようなことで良いのかの?」
と不思議そうにハジメを見るため
「大事なことなのです」
と言い2枚の書類を渡すと王のサインをして代筆としてフラップの名を書き込んだ。
「これを持ってウォールと一緒に奴隷商に行けばよいのじゃ。あぁ、勿論解放される2人を連れての。さてそれで褒美は何が欲しいのじゃ?」
ハジメは陽と顔を見合わせる。正直特に欲しい褒美はないのだ。
「何か貰わないとダメなんでしょうか?」
ハジメがそうウォールとフラップに言うと
「そうですね。貰っておいた方がいいですよ。噂ですが、昔何も要求しなかった人が城に呼ばれて魔物の蔓延る領地を押し付けられたって言われてますから・・・」
「それは、500年以上も昔のことじゃ。今はそんなことはない。せいぜい赤字の街を押し付けるくらいじゃろうて」
それを聞き、何か要求した方がいいと理解した。
「どれくらいの要望なら適格なんだろ・・・」
思わず口をついて出たらしい。それに答えてフラップが
「そうじゃな。小さな村くらいの規模じゃろうな」
それを聞いて「んー」と唸っていると陽が耳元でこそこそと
「旦那様、イブの街の東にある港を要求してはどうですか?それなら耐熱ガラスの素材も採集もしやすくなりますし、他の国に行きたくなったときに便利ですし」
と天啓としてハジメが受け取りそうな提案を囁く。ナイスなアイデアだとハジメは思った。休みの日に従業員でクルージングもいいかもしれない。魔物が居るかもしれないが、精霊ズが居るのだ。なんとかなるだろう。
「ではこの街の東にある港街はどうでしょう?」
「ほう、マコンの港街か・・・。良いのではないか?確か領主は・・・」
とハジメの提案に右手の指を顎に沿わせて当てて考え込む。
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