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第2章 ポーショントラブル
51.理由を知るようです
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翌日の開店前に昨日自ら神と名乗った青年が店へと訪れた。
「おはよう、ハジメ殿。僕はスクナヒコって言うんだよ」
と彼が言う。スクナヒコと言えばハジメにも聞き覚えがある。確か『古事記』や『日本書記』に登場する国造りを行ったという神だったはず。ハジメがそう考えているとリナリーがお茶をお盆に乗せてやってくる。
ハジメはそのお茶を受け取り、スクナヒコと名乗る神を裏庭に案内する。昨日のうちに使っていなかった従業員用のテーブルと椅子を裏庭の精霊の木の下に運んでいたのである。リナリーとコウに店の準備を頼んでおく。
裏庭へ進むとスクナヒコは
「うーん。良い感じの畑になってるねぇ。精霊たちがいい仕事をしているね。水と土と風は充分にいいけど火が居ないのかな・・・」
と呟く。本来の庭が見えているようだった。精霊に運んでもらうか尋ねたが歩きたいとのことだったので2人で庭まで歩く。精霊の木の下までくると2人は椅子に腰を下ろす。
「さて、ハジメ殿には昨日の出来事について説明しておくね」
と言い紅茶を一口飲んで言った。
「ハジメ殿も知ってると思うけど、太陽神がエルフから精霊の加護を外したことが発端だったんだよ。エルフは無駄にプライドが高かったからそれが悪い方に転んでしまった。エルフたちは加護が外れたことを知られるのを恐れてエルフ以外を滅ぼすことを決めてしまったんだよ。それで自分たちの加護が外れたことをハジメ殿のせいにしてこの街を破壊することを決めたんだ。そうすることで加護が外れた自分たちの力を他に見せつけられると思ったんだろうね。今の王は自分たちの優位性が損なわれると考えてね。まぁそもそもエルフたちをなんとかしようっていう話は神々の中でも話題に上るほどだったんだよ。今の王が王になった時から他の種族は自分たちの種族の為に存在している糧だと本気で思っていたみたいなんだよね。ほんとバカバカしいよ」
「・・・なるほど、だから武器や食料を集めていたんですね・・・。そんなことをしても加護は元に戻らないし、自分たちの首を絞めることになるのに。お金はまた稼げばいいけど、失われた命は元に戻らないのに・・・。それに戦争を起こしたという事は自分たちの信用が落ちるのに・・・」
とハジメが相槌を打つ。
「・・・本当に。そのせいで人の子等の命がいくつも失われるのは流石に僕も見過ごせなくてね・・・。おや、いらっしゃい太陽神」
とスクナヒコが言うとハジメの右隣りに太陽神シャプシェが現れる。
「始君、本当に迷惑かけたね。そしてスクナヒコ殿にも。本当にごめんね」
と悲しそうな顔をしている。
「シャプシェ様のせいじゃないですから」
とハジメが言うとスクナヒコが
「ハジメ殿は神のせいにはしないんだね・・・。生きるものは何かあればすぐに神に縋り、上手くいかなければ恨む。神は人の為に無償奉仕をすることが当たり前になってるのに」
と意外そうに言う。
「始君は地球の出身だからね。神にお願いするってのは間違いって言うことを知ってるからじゃないかな」
とシャプシェが言う。
「あぁ、ハジメ殿が噂の転生者だったのか。だから今までにないものを作ってるのか」
「スクナヒコ様は知らなかったんですか?でも私の称号にスクナヒコの眼差しってあったからてっきり全てご存知なのかと・・・」
と納得しているスクナヒコがハジメが言うと
「スクナヒコ殿は気の向くままの方だからね。興味がなければ何もしないよ。転生者と言って贔屓はしない方だからね」
「噂では聞いていたけど、太陽神が居る幽世と僕がいる常世は違う神域だからね。常世は常に世界に寄りそう事を理にしてるし、幽世はあくまで見守ることを理としているからね」
そのシャプシェとスクナヒコの言葉にハジメが反応する。
「なるほど、だからスクナヒコ様が力を行使したということなんですね」
と言いながらシャプシェにもお茶を出すと彼も椅子に座った。
「そう。物分かりが良くて話が早いね」
とスクナヒコが微笑む。つまり幽世にいる太陽神などはこの世界に干渉することをしないのだ。エルフの加護を外したことは本当に例外中の例外だった。恐らく神の力の一端である精霊からの訴えであったために叶えることにしたのだ。だからそれだけしかできなかった。しかし常世に存在しているスクナヒコは力を行使することをためらわなかったのだ。
「始君は幽世の神が呼んだ人だからね、常世の神には会ってなかったね。説明しておくと、君が会った幽世の神たちは始君の魂にスキルを刻みこの世界に送りこんだだけ。君を助けるためにはアイテムや道具を与えることしかできないんだよ。そしてその回数も1回までと決まっている。常世の神はその力の一端をこの世で気に入った者に与えることができるんだ。だからこの世界の称号には常世の神の名前が載ることがあるけど、幽世の神の名前は載らないんだ」
「そうなんだよ。だから僕たちはエルフから製作系と魔法系、戦闘系のスキルを全て奪うことにしたんだ。そしたら魔法神と戦闘神のテンションが上がっちゃってね・・・」
スクナヒコが遠い目をする。
「・・・だからエルフの城が吹っ飛んだと・・・?」
シャプシェの瞳が少し険しくなる。
「でも戦争したい人はほぼ居なくなったし。もし残っていても争える力はないからね。それでねハジメ殿には僕からお礼を兼ねて手助けをしようと思ってね」
と慌てた様子で言い訳をしながら白く光る球をハジメに渡した。
「これはスキルの珠っていうものなんだよ。検索って言ってね、ハジメ殿が望むときに色々な情報を知ることが出来るよ」
とウインクをする。ハジメの掌に乗った白い球はゆっくりと体に沈んでいった。
「よし、ハジメ殿のスキルになったね」
と頷いている。そこでシャプシェが
「私からも謝罪を込めてこの子をお願いしようと思ってね」
と言うとシャプシェの後ろから一人のタキシード姿で赤い髪をしっかりとセットした執事風の老人が現れハジメの前まで来ると綺麗なお辞儀をする。
「初めまして、ハジメ様。ペン太様。私熱光の精霊でございます」
「この子は最上級精霊だからね人前に姿を現すことが出来るよ。名前は始君がつけてあげて」
とシャプシェが言うとそれにスクナヒコが
「おー。大盤振る舞いだね、まさか君の側近精霊を渡すなんて思わなかったよ。これから君の手伝い誰がするの?」
「スクナヒコ様。私の後継者のものが育ちましたので問題はありません」
と頭を垂れた。そして頭を上げると両手をパンパンと叩くとそこにハジメと一緒に暮らしている精霊たちが現れる。
「「「あー、太陽神様とスクナヒコ様、熱光の精霊様だーーー」」」
と3人が幼い声を上げる。スクナヒコが
「君たちもよく育っているね。よっぽど大切にされてるんだね」
と頷きながら3人の頭を撫でる。
「お三方、これからよろしくお願いいたしますね」
と熱光の精霊が穏やかに言う。
「始君、彼に名前を」
とシャプシェが促す。
「では、これからよろしくお願いしますね。陽」
始めは太陽からイメージした名を付ける。ネーミングセンスのないハジメはイメージで名を付ける。風精霊の舞は風が渦巻く姿から、水精霊の藍はその綺麗な澄んだ青色から、航は大地の力強い鼓動が航行していく様子から。そしてその名は日本を忘れないように漢字でつけた。陽の名を付けた瞬間体中から力が抜け、右肩のペン太の姿が消える。魔力が凄い勢いで消費されているということを示していた。ハジメはテーブルにおいた片手で体を支える。スクナヒコは笑いながら
「ハジメ殿、確か地球には言霊という考えがあったはずだけど。まぁ僕的には面白いからいいけどね」
と熱光の精霊を見る。ハジメもなんとか視線を向けると光り輝いていて、徐々に老人から徐々に若返っている。ハジメの体が楽になる頃にはその姿は40代まで戻っていた。
「こ、これは。全盛期の力が戻ってきたようです」
と陽が白い手袋をした両手を見ながら茫然とそう言った。
「始君の魔力が流れたから?それにしても不思議な。あぁ、なるほど・・・」
シャプシェが納得したかのようにペン太と陽を見る。
「始君のいた世界の神か・・・」
と呟きながら空を見上げると白の光が1つ空へ向かって昇って行った。
「さて、そろそろ僕たちは帰ることにするよ。お茶美味しかったよ」
と2柱が立ち上がりハジメにお礼を告げその姿を消した。ハジメは陽を連れて家に戻るとリナリーとコウに店を住み込みで手伝ってくれる人であることを告げ紹介した。
ハンドブック 10項目目
10-7.幽世の世界を知ろう:Clear!
10-8.最上位精霊を使役しよう:Clear!
10-9.4属性精霊を全て使役しよう:Clear!
10-10.精霊と魔力を交わそう:Clear!
10-11.報酬:私有地
「おはよう、ハジメ殿。僕はスクナヒコって言うんだよ」
と彼が言う。スクナヒコと言えばハジメにも聞き覚えがある。確か『古事記』や『日本書記』に登場する国造りを行ったという神だったはず。ハジメがそう考えているとリナリーがお茶をお盆に乗せてやってくる。
ハジメはそのお茶を受け取り、スクナヒコと名乗る神を裏庭に案内する。昨日のうちに使っていなかった従業員用のテーブルと椅子を裏庭の精霊の木の下に運んでいたのである。リナリーとコウに店の準備を頼んでおく。
裏庭へ進むとスクナヒコは
「うーん。良い感じの畑になってるねぇ。精霊たちがいい仕事をしているね。水と土と風は充分にいいけど火が居ないのかな・・・」
と呟く。本来の庭が見えているようだった。精霊に運んでもらうか尋ねたが歩きたいとのことだったので2人で庭まで歩く。精霊の木の下までくると2人は椅子に腰を下ろす。
「さて、ハジメ殿には昨日の出来事について説明しておくね」
と言い紅茶を一口飲んで言った。
「ハジメ殿も知ってると思うけど、太陽神がエルフから精霊の加護を外したことが発端だったんだよ。エルフは無駄にプライドが高かったからそれが悪い方に転んでしまった。エルフたちは加護が外れたことを知られるのを恐れてエルフ以外を滅ぼすことを決めてしまったんだよ。それで自分たちの加護が外れたことをハジメ殿のせいにしてこの街を破壊することを決めたんだ。そうすることで加護が外れた自分たちの力を他に見せつけられると思ったんだろうね。今の王は自分たちの優位性が損なわれると考えてね。まぁそもそもエルフたちをなんとかしようっていう話は神々の中でも話題に上るほどだったんだよ。今の王が王になった時から他の種族は自分たちの種族の為に存在している糧だと本気で思っていたみたいなんだよね。ほんとバカバカしいよ」
「・・・なるほど、だから武器や食料を集めていたんですね・・・。そんなことをしても加護は元に戻らないし、自分たちの首を絞めることになるのに。お金はまた稼げばいいけど、失われた命は元に戻らないのに・・・。それに戦争を起こしたという事は自分たちの信用が落ちるのに・・・」
とハジメが相槌を打つ。
「・・・本当に。そのせいで人の子等の命がいくつも失われるのは流石に僕も見過ごせなくてね・・・。おや、いらっしゃい太陽神」
とスクナヒコが言うとハジメの右隣りに太陽神シャプシェが現れる。
「始君、本当に迷惑かけたね。そしてスクナヒコ殿にも。本当にごめんね」
と悲しそうな顔をしている。
「シャプシェ様のせいじゃないですから」
とハジメが言うとスクナヒコが
「ハジメ殿は神のせいにはしないんだね・・・。生きるものは何かあればすぐに神に縋り、上手くいかなければ恨む。神は人の為に無償奉仕をすることが当たり前になってるのに」
と意外そうに言う。
「始君は地球の出身だからね。神にお願いするってのは間違いって言うことを知ってるからじゃないかな」
とシャプシェが言う。
「あぁ、ハジメ殿が噂の転生者だったのか。だから今までにないものを作ってるのか」
「スクナヒコ様は知らなかったんですか?でも私の称号にスクナヒコの眼差しってあったからてっきり全てご存知なのかと・・・」
と納得しているスクナヒコがハジメが言うと
「スクナヒコ殿は気の向くままの方だからね。興味がなければ何もしないよ。転生者と言って贔屓はしない方だからね」
「噂では聞いていたけど、太陽神が居る幽世と僕がいる常世は違う神域だからね。常世は常に世界に寄りそう事を理にしてるし、幽世はあくまで見守ることを理としているからね」
そのシャプシェとスクナヒコの言葉にハジメが反応する。
「なるほど、だからスクナヒコ様が力を行使したということなんですね」
と言いながらシャプシェにもお茶を出すと彼も椅子に座った。
「そう。物分かりが良くて話が早いね」
とスクナヒコが微笑む。つまり幽世にいる太陽神などはこの世界に干渉することをしないのだ。エルフの加護を外したことは本当に例外中の例外だった。恐らく神の力の一端である精霊からの訴えであったために叶えることにしたのだ。だからそれだけしかできなかった。しかし常世に存在しているスクナヒコは力を行使することをためらわなかったのだ。
「始君は幽世の神が呼んだ人だからね、常世の神には会ってなかったね。説明しておくと、君が会った幽世の神たちは始君の魂にスキルを刻みこの世界に送りこんだだけ。君を助けるためにはアイテムや道具を与えることしかできないんだよ。そしてその回数も1回までと決まっている。常世の神はその力の一端をこの世で気に入った者に与えることができるんだ。だからこの世界の称号には常世の神の名前が載ることがあるけど、幽世の神の名前は載らないんだ」
「そうなんだよ。だから僕たちはエルフから製作系と魔法系、戦闘系のスキルを全て奪うことにしたんだ。そしたら魔法神と戦闘神のテンションが上がっちゃってね・・・」
スクナヒコが遠い目をする。
「・・・だからエルフの城が吹っ飛んだと・・・?」
シャプシェの瞳が少し険しくなる。
「でも戦争したい人はほぼ居なくなったし。もし残っていても争える力はないからね。それでねハジメ殿には僕からお礼を兼ねて手助けをしようと思ってね」
と慌てた様子で言い訳をしながら白く光る球をハジメに渡した。
「これはスキルの珠っていうものなんだよ。検索って言ってね、ハジメ殿が望むときに色々な情報を知ることが出来るよ」
とウインクをする。ハジメの掌に乗った白い球はゆっくりと体に沈んでいった。
「よし、ハジメ殿のスキルになったね」
と頷いている。そこでシャプシェが
「私からも謝罪を込めてこの子をお願いしようと思ってね」
と言うとシャプシェの後ろから一人のタキシード姿で赤い髪をしっかりとセットした執事風の老人が現れハジメの前まで来ると綺麗なお辞儀をする。
「初めまして、ハジメ様。ペン太様。私熱光の精霊でございます」
「この子は最上級精霊だからね人前に姿を現すことが出来るよ。名前は始君がつけてあげて」
とシャプシェが言うとそれにスクナヒコが
「おー。大盤振る舞いだね、まさか君の側近精霊を渡すなんて思わなかったよ。これから君の手伝い誰がするの?」
「スクナヒコ様。私の後継者のものが育ちましたので問題はありません」
と頭を垂れた。そして頭を上げると両手をパンパンと叩くとそこにハジメと一緒に暮らしている精霊たちが現れる。
「「「あー、太陽神様とスクナヒコ様、熱光の精霊様だーーー」」」
と3人が幼い声を上げる。スクナヒコが
「君たちもよく育っているね。よっぽど大切にされてるんだね」
と頷きながら3人の頭を撫でる。
「お三方、これからよろしくお願いいたしますね」
と熱光の精霊が穏やかに言う。
「始君、彼に名前を」
とシャプシェが促す。
「では、これからよろしくお願いしますね。陽」
始めは太陽からイメージした名を付ける。ネーミングセンスのないハジメはイメージで名を付ける。風精霊の舞は風が渦巻く姿から、水精霊の藍はその綺麗な澄んだ青色から、航は大地の力強い鼓動が航行していく様子から。そしてその名は日本を忘れないように漢字でつけた。陽の名を付けた瞬間体中から力が抜け、右肩のペン太の姿が消える。魔力が凄い勢いで消費されているということを示していた。ハジメはテーブルにおいた片手で体を支える。スクナヒコは笑いながら
「ハジメ殿、確か地球には言霊という考えがあったはずだけど。まぁ僕的には面白いからいいけどね」
と熱光の精霊を見る。ハジメもなんとか視線を向けると光り輝いていて、徐々に老人から徐々に若返っている。ハジメの体が楽になる頃にはその姿は40代まで戻っていた。
「こ、これは。全盛期の力が戻ってきたようです」
と陽が白い手袋をした両手を見ながら茫然とそう言った。
「始君の魔力が流れたから?それにしても不思議な。あぁ、なるほど・・・」
シャプシェが納得したかのようにペン太と陽を見る。
「始君のいた世界の神か・・・」
と呟きながら空を見上げると白の光が1つ空へ向かって昇って行った。
「さて、そろそろ僕たちは帰ることにするよ。お茶美味しかったよ」
と2柱が立ち上がりハジメにお礼を告げその姿を消した。ハジメは陽を連れて家に戻るとリナリーとコウに店を住み込みで手伝ってくれる人であることを告げ紹介した。
ハンドブック 10項目目
10-7.幽世の世界を知ろう:Clear!
10-8.最上位精霊を使役しよう:Clear!
10-9.4属性精霊を全て使役しよう:Clear!
10-10.精霊と魔力を交わそう:Clear!
10-11.報酬:私有地
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