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第2章 ポーショントラブル
39.精霊と出会うようです
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かなり大きくなった畑をみて2人は驚いている。
「な、な、なんなんですか、この大きな畑!!!」
リナリーが詰め寄ってくる。緑色の子どもと茶色の子どもに視線を合わせながら
「ちょっとね。とある人がお礼にって広げてくれたんだ・・・。あんまり詳しくは話せないけど」
と言う。コウは目をぱちくりさせて家の中へ入り階段を昇って行きすぐに戻ってきた。
「ご主人様2階からみたら前のままの庭だったんですがっ」
とハジメに興奮した口調で問う。
「あぁ、そうみたいだね。そういう風になるようにしてもらったんだよ」
とハジメは苦笑いで答える。ハジメも朝食に降りるとき廊下の窓から裏庭を見たのだ。そしてそこには昨日までと変わらない裏庭であったことを見ていた。
「そういう訳で庭が広くなりました。薬草とかは植え替えるからそこも使って我が家で使う分の野菜育てていいからね。コウも何か育てたくなったら育てていいからね。ただしこの庭に来れるのは僕たちだけ。他の人は今まで通りの庭にしか行けないからね。さて、俺はもう少しここの利用計画を少し考えたいから、お店の準備終わらせてくれるかな?」
何か言いたそうにしていたが話を終わらせると2人は「はい」と言い家の中に消えていった。
「・・・これじゃ、誤魔化すとかできないしなぁ・・・・。さて、それで君たちは?」
と色のついた子達にしゃがんで目線を合わせ出来るだけ優しい声を掛ける。小児看護で学んだ子どもとの関わり方である。こうすることで子どもの警戒心がやや薄くなるのだ。リナリーとコウは2人(?)に気づいていなかった。ということはハジメにだけ見えているということになる。ただの子ども達ではないのは明白だった。緑色の子は小さな女の子で髪の毛を後ろで2本の三つ編みにしている。頭には麦わら帽子をかぶり、薄い緑のワンピースに白のエプロンをしていた。茶色の子は緑の女子よりも低い身長で坊主頭で日焼けの為か顔はやや黒い。白のタンクトップに茶色の短パン、足には草履を履いている。虫取り網を持たせたら昭和初期の小学生と言った感じだろうか。
緑の子はしゃがんでも高かったハジメの目線に合わせるように浮かび上がる。
「・・・王様がね、もう好きに暮らしていいんだって言うの。でも私たち好きに暮らすってよく分からなくて・・・」
と涙を浮かべながら答える。それに続いて
「・・・それまで一緒にいた人に色々聞いてみたんだけど、僕たちに気づいてくれなくて・・・。それで・・・。それで僕たち、知ってる人の所にきたんだ。お兄さん僕たち見えてるでしょ?建物で目が合ったからもしかしたらって思って・・・」
と同じく涙を堪えたような表情で男の子が答える。ハジメはギルドでエルフたちの後ろに居た子達なのではないかと思い当たる。ハジメは2人の頭を優しく撫でながら
「そっかー。王様ってユドルさんのこと?」
と聞くと涙を拭いて2人は頷いた。ユドルは精霊王、ということはこの2人は精霊ということか。
「・・・なるほど・・・拘束状態から自由に急に自由になった弊害か・・・」
「君たちは君たちがしたいことをすればいいんだよ。それが見つかるまで一緒に居るかい?」
と優しく声を掛けると2人は目を見開いて
「「いいの?一緒に居て」」
と答えた。ハジメは
「ユドルさん、ということになったのですがいいですか?」
と空に向かって話す。すると2人の精霊の後ろにユドルが現れる。
「すまんの、また迷惑を掛けてしまったのじゃ」
と謝る。
「「王様っ!!」」
と2人はユドルの足元に抱きつく。王はゆっくりと2人の頭を撫で優しい目で見ている。
「ハジメどの、迷惑をまた掛けるが良いかの?」
ハジメがユドルの言葉に頷くと2人は破顔させてハジメを見た。
「じゃぁ、一緒に居ようか。なんて呼べばいい?」
と2人に聞くと2人とも名前がないという。
「じゃぁ・・・」
とハジメが呟くとユドルは慌てた様子で何かを話そうとするが
「緑の子は舞で茶の子は航って呼ぼうかな」
とハジメが先に言った。その瞬間2人の体がそれぞれの色に強く輝いた。園児から小学校低学年まで成長した姿になった。それを見て
「・・・・ハジメ殿・・・・。昨日精霊は人の認識で存在すると言ったはずだが」
とやや呆れて言う。
「この2人はハジメ殿に名付けられたことによってその存在を世界に固定されたのじゃ。そしてハジメどのとの間につながりが出来てしまった・・・」
確かにそういわれると2人との間になんとなく繋がっている、自分と同一のものであるようなそんな感覚が生まれている。
「2人はハジメどのともう離れられない存在となったのじゃ。2人はハジメどの魔力を貰い、ハジメどのの為に動く。契約が成立してしまった。エルフ以外で初めて契約を交わした者になったのじゃ。これからは不用意に名を付けぬように気を付けるのじゃぞ」
ハジメの体に舞と航が抱きつき頬をすりすりしている。ハジメは顔を蒼くしながら呆けている。
「まぁ、お互いが良いならいいじゃろ。この2人がいればこの畑も管理しやすくなるじゃろうしな」
と笑顔でもう一度風と大地の頭を撫でウインク一つ残して消えていった。ハジメは自分の迂闊さを嘆いた。
十数分後、色々と諦めたハジメは2人にこれからよろしくと伝え、どんなことが出来るのか尋ねる。舞は風関係はだいたい出来る答え、同じく航は土関連なら大丈夫とのこと。ハジメは舞に空に連れて行ってもらい、この畑の全容を見ようとすると、舞は自分の視界をハジメに送れるという。お願いしてみると本当に膨大な土地がそこに存在していることが分かった。ハジメはこの土地の中央に向かおうと歩き始めると航が
「ハジメーどこに行くの?」
と聞いて来るので、この土地の真ん中だよと伝えると
「じゃぁ僕が連れていくよ」
と言い、右手でハジメの足元の地面に触れると地面が動き始める。まるで空港などにある動く歩道の全力ダッシュ版である。数十秒後にはハジメはこの土地の中央に着いていた。
「ここでなにするの?」
と舞が聞くので
「ユドルさんに貰った枝をここに挿そうかと思ってね。なんとなくここの方がいい気がするんだよ。あ、ありゃ、枝を部屋に忘れちゃった・・・・。仕方ない取りに戻るか・・・」
と言うと舞が「取ってくるー」と言って空に舞い上がり楽しそうにくるくる回りながらハジメの家がある方向へ飛んでいく。航も「じゃぁここ耕しておくね」と言い一瞬で畑へと変えていた。そして数秒後舞が「はい」と言って枝を持ってきたので2人の頭を撫でて「2人ともありがとう」とお礼を伝え、畑の中央へ挿した
「ユドルさんは挿しとけって言ってたけど、これでいいのかなぁ」
と言いつつ、家の裏口へ戻った。目の前に広がっている小さな畑たちを見た航は
「これくらいの大きさの畑をいっぱい作ってもいい?」
と笑顔で聞いてきたので、お願いすることを伝えると「うん」と言う。舞も「私も手伝うー」と意気込んでいる。ハジメが二人の頭を撫でると2人は目を細めて喜んでいた。
ハンドブック 9項目目
9-6.精霊と契約しよう!:Clear!
「な、な、なんなんですか、この大きな畑!!!」
リナリーが詰め寄ってくる。緑色の子どもと茶色の子どもに視線を合わせながら
「ちょっとね。とある人がお礼にって広げてくれたんだ・・・。あんまり詳しくは話せないけど」
と言う。コウは目をぱちくりさせて家の中へ入り階段を昇って行きすぐに戻ってきた。
「ご主人様2階からみたら前のままの庭だったんですがっ」
とハジメに興奮した口調で問う。
「あぁ、そうみたいだね。そういう風になるようにしてもらったんだよ」
とハジメは苦笑いで答える。ハジメも朝食に降りるとき廊下の窓から裏庭を見たのだ。そしてそこには昨日までと変わらない裏庭であったことを見ていた。
「そういう訳で庭が広くなりました。薬草とかは植え替えるからそこも使って我が家で使う分の野菜育てていいからね。コウも何か育てたくなったら育てていいからね。ただしこの庭に来れるのは僕たちだけ。他の人は今まで通りの庭にしか行けないからね。さて、俺はもう少しここの利用計画を少し考えたいから、お店の準備終わらせてくれるかな?」
何か言いたそうにしていたが話を終わらせると2人は「はい」と言い家の中に消えていった。
「・・・これじゃ、誤魔化すとかできないしなぁ・・・・。さて、それで君たちは?」
と色のついた子達にしゃがんで目線を合わせ出来るだけ優しい声を掛ける。小児看護で学んだ子どもとの関わり方である。こうすることで子どもの警戒心がやや薄くなるのだ。リナリーとコウは2人(?)に気づいていなかった。ということはハジメにだけ見えているということになる。ただの子ども達ではないのは明白だった。緑色の子は小さな女の子で髪の毛を後ろで2本の三つ編みにしている。頭には麦わら帽子をかぶり、薄い緑のワンピースに白のエプロンをしていた。茶色の子は緑の女子よりも低い身長で坊主頭で日焼けの為か顔はやや黒い。白のタンクトップに茶色の短パン、足には草履を履いている。虫取り網を持たせたら昭和初期の小学生と言った感じだろうか。
緑の子はしゃがんでも高かったハジメの目線に合わせるように浮かび上がる。
「・・・王様がね、もう好きに暮らしていいんだって言うの。でも私たち好きに暮らすってよく分からなくて・・・」
と涙を浮かべながら答える。それに続いて
「・・・それまで一緒にいた人に色々聞いてみたんだけど、僕たちに気づいてくれなくて・・・。それで・・・。それで僕たち、知ってる人の所にきたんだ。お兄さん僕たち見えてるでしょ?建物で目が合ったからもしかしたらって思って・・・」
と同じく涙を堪えたような表情で男の子が答える。ハジメはギルドでエルフたちの後ろに居た子達なのではないかと思い当たる。ハジメは2人の頭を優しく撫でながら
「そっかー。王様ってユドルさんのこと?」
と聞くと涙を拭いて2人は頷いた。ユドルは精霊王、ということはこの2人は精霊ということか。
「・・・なるほど・・・拘束状態から自由に急に自由になった弊害か・・・」
「君たちは君たちがしたいことをすればいいんだよ。それが見つかるまで一緒に居るかい?」
と優しく声を掛けると2人は目を見開いて
「「いいの?一緒に居て」」
と答えた。ハジメは
「ユドルさん、ということになったのですがいいですか?」
と空に向かって話す。すると2人の精霊の後ろにユドルが現れる。
「すまんの、また迷惑を掛けてしまったのじゃ」
と謝る。
「「王様っ!!」」
と2人はユドルの足元に抱きつく。王はゆっくりと2人の頭を撫で優しい目で見ている。
「ハジメどの、迷惑をまた掛けるが良いかの?」
ハジメがユドルの言葉に頷くと2人は破顔させてハジメを見た。
「じゃぁ、一緒に居ようか。なんて呼べばいい?」
と2人に聞くと2人とも名前がないという。
「じゃぁ・・・」
とハジメが呟くとユドルは慌てた様子で何かを話そうとするが
「緑の子は舞で茶の子は航って呼ぼうかな」
とハジメが先に言った。その瞬間2人の体がそれぞれの色に強く輝いた。園児から小学校低学年まで成長した姿になった。それを見て
「・・・・ハジメ殿・・・・。昨日精霊は人の認識で存在すると言ったはずだが」
とやや呆れて言う。
「この2人はハジメ殿に名付けられたことによってその存在を世界に固定されたのじゃ。そしてハジメどのとの間につながりが出来てしまった・・・」
確かにそういわれると2人との間になんとなく繋がっている、自分と同一のものであるようなそんな感覚が生まれている。
「2人はハジメどのともう離れられない存在となったのじゃ。2人はハジメどの魔力を貰い、ハジメどのの為に動く。契約が成立してしまった。エルフ以外で初めて契約を交わした者になったのじゃ。これからは不用意に名を付けぬように気を付けるのじゃぞ」
ハジメの体に舞と航が抱きつき頬をすりすりしている。ハジメは顔を蒼くしながら呆けている。
「まぁ、お互いが良いならいいじゃろ。この2人がいればこの畑も管理しやすくなるじゃろうしな」
と笑顔でもう一度風と大地の頭を撫でウインク一つ残して消えていった。ハジメは自分の迂闊さを嘆いた。
十数分後、色々と諦めたハジメは2人にこれからよろしくと伝え、どんなことが出来るのか尋ねる。舞は風関係はだいたい出来る答え、同じく航は土関連なら大丈夫とのこと。ハジメは舞に空に連れて行ってもらい、この畑の全容を見ようとすると、舞は自分の視界をハジメに送れるという。お願いしてみると本当に膨大な土地がそこに存在していることが分かった。ハジメはこの土地の中央に向かおうと歩き始めると航が
「ハジメーどこに行くの?」
と聞いて来るので、この土地の真ん中だよと伝えると
「じゃぁ僕が連れていくよ」
と言い、右手でハジメの足元の地面に触れると地面が動き始める。まるで空港などにある動く歩道の全力ダッシュ版である。数十秒後にはハジメはこの土地の中央に着いていた。
「ここでなにするの?」
と舞が聞くので
「ユドルさんに貰った枝をここに挿そうかと思ってね。なんとなくここの方がいい気がするんだよ。あ、ありゃ、枝を部屋に忘れちゃった・・・・。仕方ない取りに戻るか・・・」
と言うと舞が「取ってくるー」と言って空に舞い上がり楽しそうにくるくる回りながらハジメの家がある方向へ飛んでいく。航も「じゃぁここ耕しておくね」と言い一瞬で畑へと変えていた。そして数秒後舞が「はい」と言って枝を持ってきたので2人の頭を撫でて「2人ともありがとう」とお礼を伝え、畑の中央へ挿した
「ユドルさんは挿しとけって言ってたけど、これでいいのかなぁ」
と言いつつ、家の裏口へ戻った。目の前に広がっている小さな畑たちを見た航は
「これくらいの大きさの畑をいっぱい作ってもいい?」
と笑顔で聞いてきたので、お願いすることを伝えると「うん」と言う。舞も「私も手伝うー」と意気込んでいる。ハジメが二人の頭を撫でると2人は目を細めて喜んでいた。
ハンドブック 9項目目
9-6.精霊と契約しよう!:Clear!
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