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第1章 旅立つ
15.奴隷を買うみたいです
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「ご主人は奴隷嫌い?」
ハジメが困惑した顔で居るとペン太は頭の上に飛び乗り、風呂に向かってダイブするという遊びをしながら聞いた。
「・・・人の命預かるってことだろ・・・。ちゃんと食事させて着替えさせて・・・。俺とペン太だけなら食事も我慢してもいいしな。人を預かるって重いよなぁ」
とお湯で顔を洗いながら呟いた。
「この世界では奴隷は使い捨てだよー」
ペン太は顔をみながらこの世界での常識を言った。
「うーん。俺はちょっとそう扱うのは無理かなー。一緒に生活するんだろうからやっぱり仲良くなりたいし、楽しい生活がしたいじゃん」
とハジメが言うとペン太はハジメの顔を両羽でぎゅっと包み込み、
「そのままのご主人でいてね」
と言った。ハジメはペン太最高!と思いながらも
「奴隷かぁ・・・」
と呟いていた。2人は風呂から上がり部屋に戻ると報酬の奴隷をどうするかで話あった。どちらにしてもベッドは現在ハジメの部屋にしかないため、明日アーヴィンへベッドとタンスの作成を依頼することとし、はっきりするまでは奴隷の事は放置することにし、ベッドに潜り込んだ。ペン太はクッションを敷布団としてハジメの頭の横で眠った。
朝ハジメは起きると野菜でサラダ、雑穀でリゾットを作り食べ、ペン太はテーブルの上で小さな皿に盛った木苺のような果物を食べていた。
食べ終わると開店準備のためにハジメは地下へ降りて行き、フラスコに入れたポーションを5つ肩掛けカバンに割れないように1つ1つ布に包み入れた。1人と1匹は散歩もかねてオースティンの道具屋へポーションを下ろしに向かい、途中で市場により食品を物色していった。米は見当たらなかったが季節性のある雑穀はあったので買い足し、ペン太用に木苺・サクランボなどを買い求めておいた。オースティンの店に着くと、ポーション5つを卸した。
「ポーションしかないですが明日から店を開けようと思います。これからも御贔屓によろしくお願いします」
と頭を下げ店を後にしアーヴィンの店に向かった。家具の不具合を伝えて欲しいと言われていたためである。
「どうだ?困るところはないか?」
と開店準備をしていた彼に聞かれたが、不具合はないことを伝え、階段に1番近い部屋にシングルサイズのベッド1つとハジメの部屋のタンスと同じものを1つ設置して欲しいことを伝えた。その隣の部屋に同じベッドとタンスを1つずつ依頼した。これは何かあった時様に注文しておいた。ベッド1個は今日入れられるか聞くと大丈夫とのことで布団も準備できるとのことだった。報酬は数日中にハジメの元に来ることはわかっていたからである。今依頼はないとアーヴィンは言い、ありがたいよと笑った。ハジメはベッド2個、布団2個、タンスの費用として80万Sを支払い自分の店に帰った。早く開店しないと所持金がバンバン減っている。これで養う人が増えるとすぐに赤字になってしまう。
家に帰って自分の部屋のベッドに腰を掛けて一息つくと、報酬の奴隷を貰うことにした。面倒になりそうなことは早めにやるのがハジメ流なのである。ペン太に本に戻ってもらい5頁を開くとフッター部に年齢と性別をお決めくださいと書かれていた。本がペン太になったときと同じであった。ハジメは仕事を手伝ってもらう予定だったため、ある程度成長しており、自分の身を守れることが出来る人物が必要であるため設定を12歳以上で男にしようと決めた。同性の方が一緒に住むには気が楽であるという点も大きかった。彼女いない歴が10年以上・・・いやもう20年になるのだから緊張しない方が変なのだという事にした。
フッター部にしばらくご自宅にてお待ちくださいと書かれ何の変化もなくなったためペン太に戻って貰い明日の開店の準備を続けた。
ハジメの店にはカウンターの奥に古いレジスターが置かれていた。これは前の店主が残していったものであったが、味がありハジメは気に入っていた。そのレジのなかにおつりを準備していると、店のドアがノックされた。ハジメが
「開いてますよ」
と声を掛けるとドアを開けて冒険者ギルドのセバスチャンが入って来た。
「あれ?セバスチャンさんどうしたんです?というかなんでここ知っているんですか?」
と問う。
「白兎の女将から宿屋を出てお店をハジメめるみたいですよって聞いたんですよ。まだクローズでしたが今日は少しお願いがあって寄らせていただきました。まずは、ハジメ様おめでとうございます」
と笑顔で話す。
「ありがとうございます。それでセバスチャンさんが私になんの用があるんでしょうか?」
と不思議そうに尋ねると言いにくそうに
「実はハジメさんがお店を持つということを聞いてお願いしたいことがあるんです。少しお時間頂けますか?」
とに許可を求めた。ハジメがいいですよと答えると、セバスチャンは
「すぐに戻りますので待っていていただけますか?」
と言いハジメが頷くとセバスチャンは店を出ていった。ハジメは何事かと思い、セバスチャンに出すお茶を準備するためにお湯を沸かし始めた。
10分程待つとセバスチャンは1人の子供を連れて来た。茶色の髪の毛にグレーの瞳でお尻付近から茶色のふさふさの尻尾が垂れ下がっている。身長は150㎝ほどだろうか、ハジメの胸位程度の大きさであったが痩せこけていた。服も破れてはいなかったが質素なものである。彼がセバスチャンさんの頼みなのだろうか、これで奴隷ならクエストの報酬なのかもしれないとハジメは思った。もし報酬ならばハジメが望んだために奴隷になったのかもと思い、彼の人生を変えたのではないかと恐怖を感じた。するとペン太がハジメの右耳に向かい
「それはないよ。既に奴隷になっていた人からハジメの希望に沿った人であること、ハジメに危害を加えずハジメが望むスキルを覚えているか、覚える人が選ばれているんだよ。だからむしろ選ばれて幸運かもしれないよ」
と小声で話し、ハジメの心を少し軽くした。
ハジメは2人が入って来たドアに鍵をかけ、跳ね上げ扉を開けそこからキッチンへと2人を案内した。
2人に椅子を勧めたがセバスチャンのみ座り少年は立っていた。ハジメは無理やり座らせ2人の前にオレンジペコとお茶請けとしてクッキーを置き、どうぞと声を掛けた。少年はお茶に手を付けずセバスチャンの顔を見ていたが、セバスチャンが頂きましょうと言うと少年はクッキーを美味しそうに頬張った。あまりにおいしそうに食べるためセバスチャンもハジメも自分のクッキーを彼の前にそっと寄せた。
「それでお願いとは、彼の事ですか?」
とハジメが言うとセバスチャンは
「そうなのです。彼は3年前に親の借金のかたで奴隷になったのです。所謂借金奴隷です。これは良くあることのなのですが彼が売られた奴隷商が悪かったのです。売られた先は評判が悪く、売った奴隷が1か月で病死したり、逃げ出したりと多くのトラブルが多かったのです。借金奴隷とは言え奴隷は奴隷。使い捨てのようなものですが、モチが悪かったのです。これでは買主が元を取れなくなってしまいます」
そう言い、オレンジペコを啜った。ハジメは顔を顰める。
「ハジメさん、それがこの世の流れなのです」
それを見たセバスチャンはきっぱりと言い切った。
「・・・・リストリングがあるから病死は仕方ないと思いますが、逃げ出すのは無理なのではないですか?」
とハジメはなんとか割り切ろうとした無理だった。それで出た言葉はこれだった。
「ええ。本来ならば不可能ですが、リストリングが本物ならば、です。数日前に事情を聞いた時に判明したのですが、リストバンドは偽物で契約の際主人となる人が魔力を登録した際光るだけのものだったのです。またリストバンドを着けられ逃げ出した者とグルで詐欺を働いていた事が判明したのでその奴隷商は処刑されました」
と淡々と語る。
「本物のリストバンドを着けられた者は5人でしたが、4人は病気が判明し現在治療をしていて、今後奴隷商会で売りに出されると思います。それで5人目がこの子なのです。この通りかなりやせ細っていましてこの子を奴隷として売れる体型に戻し売るとなると病気治療後に売られる奴隷よりかなりの時間と金額がかかってしまうのです。本人に掛かった金額は販売料金に上乗せされてしまいます。そうなると売れ残ってしまい戦闘奴隷として戦の最前線に送られてしまうか鉱山で死ぬまで働かせられるかの二者択一になってしまうのです。私としても親の借金の方に売られ、そこまでまだ若き者に背負わせるのは・・・・。悩んでいたところ丁度オースティンさんが来られて、事情を説明したらハジメさんに聞いてみたらどうかと言われ、今日訪問させていただいた訳です」
セバスチャンが話し終わるとクッキーを食べ終わった少年はハジメの顔を心配そうに見ていた。
「・・・・なるほど、分かりました。でおいくらですか?今そんなに手持ちはないんですが」
とハジメが心を決めて言うとセバスチャンは
「本来ならば10万Sといったところです。ハジメさんが今回断れば、彼の借金はそれに加えて食費などの生活費が加算されるので、実際にはその10-20倍になるとされます。そうなれば彼に子供を作らせ子供も返済していくという事になります。しかし今回は奴隷商は処刑されていますし、ハジメさんに無理を承知でお願いさせていただくので、1万Sとさせて頂きます。ただし今後の食費や生活費などはハジメ様の出費となります」
そう言った。1人の人間が1万Sで販売されていることにハジメは恐怖を感じた。値引きがあったとは言え、たったの1万Sで、値引きがなかったとしても10万Sでこの12歳の子の一生が売られているのだ。しかも本人が払い終えることが出来なければ、無理やりに子供を作らせ、その子にも借金を返済させるというのだ。神たちがなんとかしてほしいと依頼するのも無理はなく、なんとか良くしたいと思っている神々はまともなんだとハジメは感じた。
「1万Sなんですね?」
「はい。1万Sです」
とセバスチャンが頷いた。ハジメは金額を支払うと帰って行く彼を見送り、取りあえず少年の服などを買い求めることにした。
「名前は?」
とハジメが聞くと少年は
「コウです」
と答えた。
「じゃぁコウ、一緒に服買いに行こう」
とハジメはコウの手をとり広場へ向かった。
ハンドブック 6項目目
6-1.商品を並べよう:Clear!
6-2.店を開店させよう:Clear!
6-3.奴隷を買おう:Clear!
ハジメが困惑した顔で居るとペン太は頭の上に飛び乗り、風呂に向かってダイブするという遊びをしながら聞いた。
「・・・人の命預かるってことだろ・・・。ちゃんと食事させて着替えさせて・・・。俺とペン太だけなら食事も我慢してもいいしな。人を預かるって重いよなぁ」
とお湯で顔を洗いながら呟いた。
「この世界では奴隷は使い捨てだよー」
ペン太は顔をみながらこの世界での常識を言った。
「うーん。俺はちょっとそう扱うのは無理かなー。一緒に生活するんだろうからやっぱり仲良くなりたいし、楽しい生活がしたいじゃん」
とハジメが言うとペン太はハジメの顔を両羽でぎゅっと包み込み、
「そのままのご主人でいてね」
と言った。ハジメはペン太最高!と思いながらも
「奴隷かぁ・・・」
と呟いていた。2人は風呂から上がり部屋に戻ると報酬の奴隷をどうするかで話あった。どちらにしてもベッドは現在ハジメの部屋にしかないため、明日アーヴィンへベッドとタンスの作成を依頼することとし、はっきりするまでは奴隷の事は放置することにし、ベッドに潜り込んだ。ペン太はクッションを敷布団としてハジメの頭の横で眠った。
朝ハジメは起きると野菜でサラダ、雑穀でリゾットを作り食べ、ペン太はテーブルの上で小さな皿に盛った木苺のような果物を食べていた。
食べ終わると開店準備のためにハジメは地下へ降りて行き、フラスコに入れたポーションを5つ肩掛けカバンに割れないように1つ1つ布に包み入れた。1人と1匹は散歩もかねてオースティンの道具屋へポーションを下ろしに向かい、途中で市場により食品を物色していった。米は見当たらなかったが季節性のある雑穀はあったので買い足し、ペン太用に木苺・サクランボなどを買い求めておいた。オースティンの店に着くと、ポーション5つを卸した。
「ポーションしかないですが明日から店を開けようと思います。これからも御贔屓によろしくお願いします」
と頭を下げ店を後にしアーヴィンの店に向かった。家具の不具合を伝えて欲しいと言われていたためである。
「どうだ?困るところはないか?」
と開店準備をしていた彼に聞かれたが、不具合はないことを伝え、階段に1番近い部屋にシングルサイズのベッド1つとハジメの部屋のタンスと同じものを1つ設置して欲しいことを伝えた。その隣の部屋に同じベッドとタンスを1つずつ依頼した。これは何かあった時様に注文しておいた。ベッド1個は今日入れられるか聞くと大丈夫とのことで布団も準備できるとのことだった。報酬は数日中にハジメの元に来ることはわかっていたからである。今依頼はないとアーヴィンは言い、ありがたいよと笑った。ハジメはベッド2個、布団2個、タンスの費用として80万Sを支払い自分の店に帰った。早く開店しないと所持金がバンバン減っている。これで養う人が増えるとすぐに赤字になってしまう。
家に帰って自分の部屋のベッドに腰を掛けて一息つくと、報酬の奴隷を貰うことにした。面倒になりそうなことは早めにやるのがハジメ流なのである。ペン太に本に戻ってもらい5頁を開くとフッター部に年齢と性別をお決めくださいと書かれていた。本がペン太になったときと同じであった。ハジメは仕事を手伝ってもらう予定だったため、ある程度成長しており、自分の身を守れることが出来る人物が必要であるため設定を12歳以上で男にしようと決めた。同性の方が一緒に住むには気が楽であるという点も大きかった。彼女いない歴が10年以上・・・いやもう20年になるのだから緊張しない方が変なのだという事にした。
フッター部にしばらくご自宅にてお待ちくださいと書かれ何の変化もなくなったためペン太に戻って貰い明日の開店の準備を続けた。
ハジメの店にはカウンターの奥に古いレジスターが置かれていた。これは前の店主が残していったものであったが、味がありハジメは気に入っていた。そのレジのなかにおつりを準備していると、店のドアがノックされた。ハジメが
「開いてますよ」
と声を掛けるとドアを開けて冒険者ギルドのセバスチャンが入って来た。
「あれ?セバスチャンさんどうしたんです?というかなんでここ知っているんですか?」
と問う。
「白兎の女将から宿屋を出てお店をハジメめるみたいですよって聞いたんですよ。まだクローズでしたが今日は少しお願いがあって寄らせていただきました。まずは、ハジメ様おめでとうございます」
と笑顔で話す。
「ありがとうございます。それでセバスチャンさんが私になんの用があるんでしょうか?」
と不思議そうに尋ねると言いにくそうに
「実はハジメさんがお店を持つということを聞いてお願いしたいことがあるんです。少しお時間頂けますか?」
とに許可を求めた。ハジメがいいですよと答えると、セバスチャンは
「すぐに戻りますので待っていていただけますか?」
と言いハジメが頷くとセバスチャンは店を出ていった。ハジメは何事かと思い、セバスチャンに出すお茶を準備するためにお湯を沸かし始めた。
10分程待つとセバスチャンは1人の子供を連れて来た。茶色の髪の毛にグレーの瞳でお尻付近から茶色のふさふさの尻尾が垂れ下がっている。身長は150㎝ほどだろうか、ハジメの胸位程度の大きさであったが痩せこけていた。服も破れてはいなかったが質素なものである。彼がセバスチャンさんの頼みなのだろうか、これで奴隷ならクエストの報酬なのかもしれないとハジメは思った。もし報酬ならばハジメが望んだために奴隷になったのかもと思い、彼の人生を変えたのではないかと恐怖を感じた。するとペン太がハジメの右耳に向かい
「それはないよ。既に奴隷になっていた人からハジメの希望に沿った人であること、ハジメに危害を加えずハジメが望むスキルを覚えているか、覚える人が選ばれているんだよ。だからむしろ選ばれて幸運かもしれないよ」
と小声で話し、ハジメの心を少し軽くした。
ハジメは2人が入って来たドアに鍵をかけ、跳ね上げ扉を開けそこからキッチンへと2人を案内した。
2人に椅子を勧めたがセバスチャンのみ座り少年は立っていた。ハジメは無理やり座らせ2人の前にオレンジペコとお茶請けとしてクッキーを置き、どうぞと声を掛けた。少年はお茶に手を付けずセバスチャンの顔を見ていたが、セバスチャンが頂きましょうと言うと少年はクッキーを美味しそうに頬張った。あまりにおいしそうに食べるためセバスチャンもハジメも自分のクッキーを彼の前にそっと寄せた。
「それでお願いとは、彼の事ですか?」
とハジメが言うとセバスチャンは
「そうなのです。彼は3年前に親の借金のかたで奴隷になったのです。所謂借金奴隷です。これは良くあることのなのですが彼が売られた奴隷商が悪かったのです。売られた先は評判が悪く、売った奴隷が1か月で病死したり、逃げ出したりと多くのトラブルが多かったのです。借金奴隷とは言え奴隷は奴隷。使い捨てのようなものですが、モチが悪かったのです。これでは買主が元を取れなくなってしまいます」
そう言い、オレンジペコを啜った。ハジメは顔を顰める。
「ハジメさん、それがこの世の流れなのです」
それを見たセバスチャンはきっぱりと言い切った。
「・・・・リストリングがあるから病死は仕方ないと思いますが、逃げ出すのは無理なのではないですか?」
とハジメはなんとか割り切ろうとした無理だった。それで出た言葉はこれだった。
「ええ。本来ならば不可能ですが、リストリングが本物ならば、です。数日前に事情を聞いた時に判明したのですが、リストバンドは偽物で契約の際主人となる人が魔力を登録した際光るだけのものだったのです。またリストバンドを着けられ逃げ出した者とグルで詐欺を働いていた事が判明したのでその奴隷商は処刑されました」
と淡々と語る。
「本物のリストバンドを着けられた者は5人でしたが、4人は病気が判明し現在治療をしていて、今後奴隷商会で売りに出されると思います。それで5人目がこの子なのです。この通りかなりやせ細っていましてこの子を奴隷として売れる体型に戻し売るとなると病気治療後に売られる奴隷よりかなりの時間と金額がかかってしまうのです。本人に掛かった金額は販売料金に上乗せされてしまいます。そうなると売れ残ってしまい戦闘奴隷として戦の最前線に送られてしまうか鉱山で死ぬまで働かせられるかの二者択一になってしまうのです。私としても親の借金の方に売られ、そこまでまだ若き者に背負わせるのは・・・・。悩んでいたところ丁度オースティンさんが来られて、事情を説明したらハジメさんに聞いてみたらどうかと言われ、今日訪問させていただいた訳です」
セバスチャンが話し終わるとクッキーを食べ終わった少年はハジメの顔を心配そうに見ていた。
「・・・・なるほど、分かりました。でおいくらですか?今そんなに手持ちはないんですが」
とハジメが心を決めて言うとセバスチャンは
「本来ならば10万Sといったところです。ハジメさんが今回断れば、彼の借金はそれに加えて食費などの生活費が加算されるので、実際にはその10-20倍になるとされます。そうなれば彼に子供を作らせ子供も返済していくという事になります。しかし今回は奴隷商は処刑されていますし、ハジメさんに無理を承知でお願いさせていただくので、1万Sとさせて頂きます。ただし今後の食費や生活費などはハジメ様の出費となります」
そう言った。1人の人間が1万Sで販売されていることにハジメは恐怖を感じた。値引きがあったとは言え、たったの1万Sで、値引きがなかったとしても10万Sでこの12歳の子の一生が売られているのだ。しかも本人が払い終えることが出来なければ、無理やりに子供を作らせ、その子にも借金を返済させるというのだ。神たちがなんとかしてほしいと依頼するのも無理はなく、なんとか良くしたいと思っている神々はまともなんだとハジメは感じた。
「1万Sなんですね?」
「はい。1万Sです」
とセバスチャンが頷いた。ハジメは金額を支払うと帰って行く彼を見送り、取りあえず少年の服などを買い求めることにした。
「名前は?」
とハジメが聞くと少年は
「コウです」
と答えた。
「じゃぁコウ、一緒に服買いに行こう」
とハジメはコウの手をとり広場へ向かった。
ハンドブック 6項目目
6-1.商品を並べよう:Clear!
6-2.店を開店させよう:Clear!
6-3.奴隷を買おう:Clear!
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