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第1章 旅立つ

10.商人ギルドに行くみたいです

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オースティンとのお茶会のあとハジメは取りあえず話だけでも聞こうと思い商人ギルドへ向かうことにした。
イブの街は中心に広場がありそこを中心とし上下左右に大通りがあり街が4分割されている。冒険者ギルドは広場の右下に位置しているが、商人ギルドは広場の左上の部分に位置する。因みに左下が奴隷商会で右上が町役場となっている。

20分程歩きハジメは商人ギルドに着いた。ウエスタンな扉を開け中へ入ると、冒険者ギルドとは異なり整然とした雰囲気に包まれていたが基本的には冒険者ギルドと同じような作りであった。ハジメはカウンターの右端に新規加入と書かれたネームプレートのようなものがあることに気づき、そこへ向かった。

「あの、商人ギルドについてお伺いしたいんですが」

と恐る恐ると言った感じで声をカウンターにいた女性にかけた。彼女は鮮やかな新緑の様な緑の髪が綺麗であり、体形はふくよかであった。ハジメは女性の見せる笑顔に魅了された。女性はハジメに椅子に座るように勧め自らも座った。

「ご入会についてですね。分かりました。まず加入料金は1,000,000Sで、会費は年に800,000Sとなっておりまして先払いになります。ギルドに入る特典としましてはまず、この施設では会員様の馬車や荷車などを預かることが出来きます。裏に5台ほど停めることができまして、この2階に喫茶室がありますので無料でお使いいただけます。またそのため外からの情報がよく入ってきていますので喫茶室のスタッフに声を掛けて頂けると欲しい情報を買うことが出来ます。その情報料金は内容によって変動します。また、預金をお預かりすることができますが口座を維持するための費用が年50,000S掛かります。年会費はこの預金から引き落とすことも可能です。もし他国へ行かれるときは事前にご連絡いただけますとそこでも預金を下ろすことが出来るようになります。事前にご連絡がないと下ろせませんのでご注意ください。また届け出を出して5日ほどお時間がかかりますのでご承知下さい。」

耳に心地良い声で丁寧に教えてくれた。ハジメはアイテムボックスがあるが、金額が大きくなると大金を持ち歩くということに抵抗があった。今は20,000くらいであるので大丈夫であったが、今後何かあったときのために貯蓄はしておきたい。

「あの、不動産の物件も紹介して貰えると聞いたんですが」

とハジメが話すと、女性は、

「ご紹介出来ますよ。ご紹介1回につき50,000Sの手数料が発生しますが。紹介のご依頼を受けて1週間ほどお時間を頂きますのでご注意ください」

と教えてくれた。

「他に聞きたいことはありませんか?」

と聞かれ、

「取りあえずありません。ギルドの登録についても少し考えさせてください」

とハジメは答えた。どちらにしても先立つものが足りない。加入と年会費・口座作成で1,850,000S必要である。ハジメは今現在22,000程度しかないのである。箸にも棒にも掛からぬとはこのことかとお金の暴力を改めて実感した
ハジメは礼を述べ商人ギルドを後にした。

「まだまだ金策だなぁ。今日も依頼頑張るかな」

と呟き冒険者ギルドに向かうのであった。



あれから30日、約1か月が経った。ハジメの懐もだいぶ余裕が出来てきたため、今日は商人ギルドへ登録をするために来ていた。以前対応してくれた女性は新規加入の担当らしく今回も同じ席に座っていた。

「あの、登録と口座の開設をお願いしたいのですが」

とハジメが声を掛けると、女性は椅子に座るように勧めてくれた。ハジメが椅子に座ると、

「冒険者ギルドに登録はされていますか?」

と聞かれたため、していますとハジメが言うと女性は冒険者ギルドカードを出すように促した。女性は加入・年会費・口座作成費を受け取ると冒険者カードをカウンターの左端にあった小さな箱に入れた。ATMで残高確認だけをした時のようにすぐに出てきたのでそれを受け取りハジメに渡してきた。
名前の上に冒険者ギルドのマークである剣と杖の交差したマークがあり、その横に丸い円の中にSが書かれたマークが入っていた。レベルは変わらず1であったが。

「これで2つのギルドに登録していることが記録されました。口座のお金はカードには出ませんが、預けるためにこのギルドカードが必要になりますのでご注意くださいね」

と話した。ハジメは1,850,000Sを支払い、口座に2,000,000Sを入れギルドを後にした。200,000Sほどは緊急時用にアイテムボックスに入れておいた。

その後ハジメは依頼を受けるため冒険者ギルドへと向かった。いつもの薬草採取を受けるためであった。いつも受付してくれている女性に声を掛ける。

「おはようございます。いつものですね。はい、これで受付終了です。今日もよろしくお願いしますね」

と笑顔で見送ってくれた。この女性マーサさんと言い、バイトでギルドの受付をしているのだ。5歳のキルト君と旦那さんのジェフさんとの3人暮らしであった。なぜここまで知っているかというと、育児と嫁姑問題でストレスフルであったようで、毎日依頼の受諾と報告をマーサさんに行っていたためか、ちょっと聞いてと言われそこから30分マシンガンのようなトークを聞かされる羽目になったのは良い思い出である。
セバスチャンさんは割とギルドの偉い人らしく、人手がないときにだけカウンターを担当することがあるようであった。これもマーサさん談であった。

ハジメはいつも通り街の外へ向かった。
自分が使用する薬草はまだかなりあるため、依頼の分を採取するとバナナを片手に小高い石の上に休憩がてら座っていた。
不意に周囲の草むらが揺れた。ハジメはアイテムボックスから石を取り出して構える。
草むらから顔を出したのは3匹の生き物であった。

「犬?いやここはファンタジーらしくオオカミってところかな。取りあえず先手必勝」

ハジメは手に握った小石を力いっぱい正面のオオカミに投げた。小石は口を開けたオオカミの喉奥に吸い込まれた。瞬間

「ぎゃんっ」

と悲鳴を上げ倒れた。その瞬間残りの2匹が一気にハジメとの距離を縮めてきた。

<爆裂火エクスプロファイ>

一瞬で火球を作り上げ右から襲ってくるオオカミに飛ばす。火球はまっすぐオオカミに向かい飛んで行った。オオカミは地に足がついた瞬間に方向を変更して火球をスレスレで躱し、ハジメの目前に2匹のオオカミが迫る。ハジメは尻餅をつくような恰好で後ろに倒れる。その瞬間右手に握られていた小石が離れオオカミの顔に当たった。右のオオカミが一瞬怯む。ハジメは登っていた岩からオオカミと距離を取るように後ろに転がり落ちた。直後岩の上にオオカミが2匹すくっと立っている。
ハジメは息が上がっていたが、爆裂火が躱されたことに少なからずショックを受けていた。

「やばいなぁ。チートに頼って実力ないの忘れていたかも」

命の危険を感じていた。

再度ハジメの右手に火球ができ、オオカミに向かい飛んでいく。オオカミ2匹は4本の脚で岩を蹴りハジメに向かって飛んだ。ハジメの打ち出した火球を飛び越えて2匹はハジメの首を左右から噛み砕かんとしてその鋭い牙に露わにした。刹那、オオカミは背後から火球に襲われていた。2匹は避けることが出来ず、黒焦げになり静かに白い光に包まれて消えていった。

<自動追尾爆裂火リモエクスプロファイ>

「自動追尾つけてみたけど、うまく行ったかな」

と焼けた前髪と額にかいた汗を拭った。



ハンドブック 4項目目

4-2.商人ギルドに行こう:Clear!

4-3.商人ギルドで話を聞こう:Clear!

4-4.商人ギルドに加入しよう:Clear!

4-5.口座を開設しよう:Clear!

4-6.預金をしよう:Clear!

4-7.街人の知り合いを5人作ろう:Clear!

4-8.オオカミを倒そう:Clear!

4-9.職業レベルを上げよう:Clear!

4-10.新しい魔法を作ろう:Clear!

4-11.報酬:偽動物化
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