26 / 60
第四章
26.幸せの意味
しおりを挟む
「お任せしますわ、ローレンス様、リチャード様」
暫く考えてから、リリアーヌは顔を上げて答えた。見上げると、ローレンスが口の端で微かに笑った。
「よし。ではリチャード」
「はい」
そう答えるとリチャードは鞄から書類を取り出し、リリアーヌの前に広げた。
「リリアーヌ嬢からのご依頼、確かに承りました。それではこちらの委任状にサインを頂けますか?一切を私共に任せて頂けると」
リリアーヌは書面に目を通し、サインしようとペンを持ったが、そこでふとローレンスに質問した。
「でもローレンス様、わたくしはリチャード様に訴訟の費用をどうやってお支払いすれば良いのでしょう。今わたくしの手元にあるお金ではきっと足りませんわよね?わたくしの借金に上乗せしておいて頂けますか?」
それを聞いたローレンスはぷっと吹き出し、リチャードを指差して言った。
「おいおい、俺がこのリチャードにいくら給料を払っていると思うんだ?そんなことは心配しなくていい。なあリチャード?」
「勿論です。リリアーヌ嬢のお心づかいには感謝いたしますが、ご心配は無用ですよ。足りなければ社長に超過手当を要求するだけでございますから」
「お前の財布の紐も相当固いな、リチャード」
リチャードとローレンスの気の置けないやり取りがリリアーヌの心を少し明るくさせた。そのまま委任状にペンを走らせ、リチャードに手渡した。
「これでよろしいでしょうか」
「問題ございません」
リチャードは委任状の署名を確認すると鞄にしまい、席を立つと横にいたシルヴィアに言った。
「後は頼んだよ、シルヴィア。では社長、リリアーヌ嬢、私は事務所に戻らせて頂きます。……リリアーヌ嬢、大丈夫ですよ。必ず良いご報告ができるよう全力を尽くしますので」
リリアーヌはローレンスの助けを借りて立ち上がると、腰を軽く屈めてお辞儀をした。
「どうぞ、よろしくお願い申し上げます。リチャード様」
リチャードが去ると、ローレンスが東屋に残ったリリアーヌとシルヴィアに声をかけた。
「夏とは言え、日が落ちると少し風が出て来るな。部屋に戻ったほうがいい、リリアーヌ嬢。バークレイ嬢、一緒に来てくれ」
「畏まりました、社長」
リリアーヌはこれから何が起きるのかあまり理解できないまま、ローレンスの腕に掴まって自室へ戻った。後ろをシルヴィアがついてくる。
今ではすっかりリリアーヌの私室となった客室の前に到着すると、ローレンスは仕事が残っているからと一人、隣の部屋へ行ってしまった。
「あの……」
「リリアーヌ様、改めてご挨拶いたします。リチャードの助手をしておりますシルヴィア・バークレイと申します」
リリアーヌの元にシルヴィアを寄越したのは、ローレンスの配慮だった。
シルヴィアが言うには、これから裁判にあたってリリアーヌが今までグリゴリー家でどのような扱いを受けていたのか、詳細な記録が必要になる。
そこには当然あの事件についても含まれるが、その記憶を思い起こすのはリリアーヌ嬢には辛いことだろう。特に男性のリチャードには話し辛いこともあるだろうし、理解が得られない部分もあるかもしれない。
そこで同じ女性であるシルヴィアにリリアーヌへの聞き取り調査と資料の作成を頼みたいというのがことの経緯だった。
「そうだったのですか。ローレンス様はそこまで……ありがとうございます、シルヴィア様」
リリアーヌは向かい合って座ったシルヴィアに深く頭を下げた。
「お顔をお上げ下さい、リリアーヌ様。これから暫くの間、リリアーヌ様に色々ご質問をいたします。時にはお答えするのが辛い内容もあるかもしれませんが、その時は遠慮なく仰って下さいまし」
「大丈夫ですわ。何でも訊いて下さいませ。全て隠すことなくお話しいたします」
リリアーヌはシルヴィアの聡明で明るい態度をすっかり頼もしく思っていた。
こうしてシルヴィアは夏の間、リリアーヌの元に足繫く通い、リリアーヌとマテオが結婚に至った経緯、双方の父親のやり取り、爵位の譲渡の手続きの詳細など様々なことをリリアーヌから聞き出した。
そして、あの街外れの屋敷で何があったのかについても。
シルヴィアは非常に論理的で、また忍耐強い人間だった。
リリアーヌの記憶が曖昧であったり、またマテオの様々な嫌がらせやイヴォンヌの態度を思い出して考えが混乱してしまったりしても決して急かすことなく、丁寧にリリアーヌに寄り添い、またある時は叱咤激励して、必要な情報をまとめ上げていった。
特にリリアーヌがマテオから暴行を受けたあの日々のことを涙ながらに言葉を詰まらせながらぽつりぽつりと打ち明けた時には、シルヴィアはリリアーヌ以上に拳をぶるぶると震わせ、抑えた言葉に怒りを滾らせながらリリアーヌを気遣った。
「よくお耐えになられましたね、リリアーヌ様。立派でございますよ。話して下さってありがとうございます。お辛かったでしょう……それにしてもそのマテオとかいう男、聞けば聞くほど許せませんわ。絶対に、このまま野放しにしてたまるものですか!」
リリアーヌは他人のシルヴィアがまるで我が事のように怒り、共感してくれることに感激した。
「お聞き苦しい話でお恥ずかしゅうございますわ、シルヴィア様」
「何を仰います!リリアーヌ様が恥ずかしいとお思いになる必要など、これっぽっちもございませんのよ。今まで色々お話を伺いましたが、どう見てもリリアーヌ様には何の落ち度もありません。もっと堂々となさいませ。私共がついております」
シルヴィアは思わずリリアーヌの手を取って真剣に語りかけた。
「堂々としていても良いのでしょうか……」
「勿論ですわ、リリアーヌ様。確かに今までのお話を伺うと、すぐにお考えを変えることは難しゅうございますわね。でもリリアーヌ様はもう十分苦しまれましたでしょう?ですから、これからはご自身が幸せになることをまず一番にお考えなさいませ」
「わたくし自身が、幸せになる……」
今までリリアーヌはそんなことを考えたこともなかった。両親のため、伯爵家のため、領民の幸せのため、貴族と言う出自のため……そのために自分は生かされているのだと思っていた。
(わたくしの幸せって何だろう……わたくしは、どこで、どんなふうに幸せになりたいの?どこで、何をして……誰と……?)
シルヴィアと二人で過去を掘り起こす作業は確かに辛いものではあったが、同時にリリアーヌの意識を未来に向けさせる重要な局面であった。
こうしてまとめられたリリアーヌの供述書を渡されて詳細を読んだローレンスは、その内容に改めて衝撃を受けた。
「何という酷い扱いを今までされてきたのだ、彼女は」
シルヴィアも憤慨した様子で答えた。
「ええ、私も聴いていてのが辛くなる時が何度もございました。社長、こんなクソ男は全女性の敵です。こいつらの要求など、絶対に聞き入れてはなりません」
「全く、同じ男を名乗るのが恥ずかしくなるほどだ。……リチャード、そちらはどうだ」
リチャードも分厚い書類や資料の束を鞄から取り出すと言った。
「準備万端です、社長」
「ご苦労だった。うん、上出来だ。これだけ証拠が揃えば負けることはないだろう」
だがリチャードは心配そうにローレンスに尋ねた。
「本当に、勝てるでしょうか……相手は乗っ取り同然に手に入れたとはいえ伯爵家を名乗っておりますし、何と言ってもマテオとリリアーヌ様は未だ婚姻関係にあられます。判事がどう判断するか……」
ローレンスは事も無げに答えた。
「大丈夫だ、いよいよとなれば地方判事全員を買収してしまえ」
「社長、それはダメです」
「冗談だよ。だがまあ、そうだな……向こうの要求次第によっては、落とし所は考えておく必要はあるだろうな」
こうして王都の短い夏は瞬く間に過ぎて行った。
暫く考えてから、リリアーヌは顔を上げて答えた。見上げると、ローレンスが口の端で微かに笑った。
「よし。ではリチャード」
「はい」
そう答えるとリチャードは鞄から書類を取り出し、リリアーヌの前に広げた。
「リリアーヌ嬢からのご依頼、確かに承りました。それではこちらの委任状にサインを頂けますか?一切を私共に任せて頂けると」
リリアーヌは書面に目を通し、サインしようとペンを持ったが、そこでふとローレンスに質問した。
「でもローレンス様、わたくしはリチャード様に訴訟の費用をどうやってお支払いすれば良いのでしょう。今わたくしの手元にあるお金ではきっと足りませんわよね?わたくしの借金に上乗せしておいて頂けますか?」
それを聞いたローレンスはぷっと吹き出し、リチャードを指差して言った。
「おいおい、俺がこのリチャードにいくら給料を払っていると思うんだ?そんなことは心配しなくていい。なあリチャード?」
「勿論です。リリアーヌ嬢のお心づかいには感謝いたしますが、ご心配は無用ですよ。足りなければ社長に超過手当を要求するだけでございますから」
「お前の財布の紐も相当固いな、リチャード」
リチャードとローレンスの気の置けないやり取りがリリアーヌの心を少し明るくさせた。そのまま委任状にペンを走らせ、リチャードに手渡した。
「これでよろしいでしょうか」
「問題ございません」
リチャードは委任状の署名を確認すると鞄にしまい、席を立つと横にいたシルヴィアに言った。
「後は頼んだよ、シルヴィア。では社長、リリアーヌ嬢、私は事務所に戻らせて頂きます。……リリアーヌ嬢、大丈夫ですよ。必ず良いご報告ができるよう全力を尽くしますので」
リリアーヌはローレンスの助けを借りて立ち上がると、腰を軽く屈めてお辞儀をした。
「どうぞ、よろしくお願い申し上げます。リチャード様」
リチャードが去ると、ローレンスが東屋に残ったリリアーヌとシルヴィアに声をかけた。
「夏とは言え、日が落ちると少し風が出て来るな。部屋に戻ったほうがいい、リリアーヌ嬢。バークレイ嬢、一緒に来てくれ」
「畏まりました、社長」
リリアーヌはこれから何が起きるのかあまり理解できないまま、ローレンスの腕に掴まって自室へ戻った。後ろをシルヴィアがついてくる。
今ではすっかりリリアーヌの私室となった客室の前に到着すると、ローレンスは仕事が残っているからと一人、隣の部屋へ行ってしまった。
「あの……」
「リリアーヌ様、改めてご挨拶いたします。リチャードの助手をしておりますシルヴィア・バークレイと申します」
リリアーヌの元にシルヴィアを寄越したのは、ローレンスの配慮だった。
シルヴィアが言うには、これから裁判にあたってリリアーヌが今までグリゴリー家でどのような扱いを受けていたのか、詳細な記録が必要になる。
そこには当然あの事件についても含まれるが、その記憶を思い起こすのはリリアーヌ嬢には辛いことだろう。特に男性のリチャードには話し辛いこともあるだろうし、理解が得られない部分もあるかもしれない。
そこで同じ女性であるシルヴィアにリリアーヌへの聞き取り調査と資料の作成を頼みたいというのがことの経緯だった。
「そうだったのですか。ローレンス様はそこまで……ありがとうございます、シルヴィア様」
リリアーヌは向かい合って座ったシルヴィアに深く頭を下げた。
「お顔をお上げ下さい、リリアーヌ様。これから暫くの間、リリアーヌ様に色々ご質問をいたします。時にはお答えするのが辛い内容もあるかもしれませんが、その時は遠慮なく仰って下さいまし」
「大丈夫ですわ。何でも訊いて下さいませ。全て隠すことなくお話しいたします」
リリアーヌはシルヴィアの聡明で明るい態度をすっかり頼もしく思っていた。
こうしてシルヴィアは夏の間、リリアーヌの元に足繫く通い、リリアーヌとマテオが結婚に至った経緯、双方の父親のやり取り、爵位の譲渡の手続きの詳細など様々なことをリリアーヌから聞き出した。
そして、あの街外れの屋敷で何があったのかについても。
シルヴィアは非常に論理的で、また忍耐強い人間だった。
リリアーヌの記憶が曖昧であったり、またマテオの様々な嫌がらせやイヴォンヌの態度を思い出して考えが混乱してしまったりしても決して急かすことなく、丁寧にリリアーヌに寄り添い、またある時は叱咤激励して、必要な情報をまとめ上げていった。
特にリリアーヌがマテオから暴行を受けたあの日々のことを涙ながらに言葉を詰まらせながらぽつりぽつりと打ち明けた時には、シルヴィアはリリアーヌ以上に拳をぶるぶると震わせ、抑えた言葉に怒りを滾らせながらリリアーヌを気遣った。
「よくお耐えになられましたね、リリアーヌ様。立派でございますよ。話して下さってありがとうございます。お辛かったでしょう……それにしてもそのマテオとかいう男、聞けば聞くほど許せませんわ。絶対に、このまま野放しにしてたまるものですか!」
リリアーヌは他人のシルヴィアがまるで我が事のように怒り、共感してくれることに感激した。
「お聞き苦しい話でお恥ずかしゅうございますわ、シルヴィア様」
「何を仰います!リリアーヌ様が恥ずかしいとお思いになる必要など、これっぽっちもございませんのよ。今まで色々お話を伺いましたが、どう見てもリリアーヌ様には何の落ち度もありません。もっと堂々となさいませ。私共がついております」
シルヴィアは思わずリリアーヌの手を取って真剣に語りかけた。
「堂々としていても良いのでしょうか……」
「勿論ですわ、リリアーヌ様。確かに今までのお話を伺うと、すぐにお考えを変えることは難しゅうございますわね。でもリリアーヌ様はもう十分苦しまれましたでしょう?ですから、これからはご自身が幸せになることをまず一番にお考えなさいませ」
「わたくし自身が、幸せになる……」
今までリリアーヌはそんなことを考えたこともなかった。両親のため、伯爵家のため、領民の幸せのため、貴族と言う出自のため……そのために自分は生かされているのだと思っていた。
(わたくしの幸せって何だろう……わたくしは、どこで、どんなふうに幸せになりたいの?どこで、何をして……誰と……?)
シルヴィアと二人で過去を掘り起こす作業は確かに辛いものではあったが、同時にリリアーヌの意識を未来に向けさせる重要な局面であった。
こうしてまとめられたリリアーヌの供述書を渡されて詳細を読んだローレンスは、その内容に改めて衝撃を受けた。
「何という酷い扱いを今までされてきたのだ、彼女は」
シルヴィアも憤慨した様子で答えた。
「ええ、私も聴いていてのが辛くなる時が何度もございました。社長、こんなクソ男は全女性の敵です。こいつらの要求など、絶対に聞き入れてはなりません」
「全く、同じ男を名乗るのが恥ずかしくなるほどだ。……リチャード、そちらはどうだ」
リチャードも分厚い書類や資料の束を鞄から取り出すと言った。
「準備万端です、社長」
「ご苦労だった。うん、上出来だ。これだけ証拠が揃えば負けることはないだろう」
だがリチャードは心配そうにローレンスに尋ねた。
「本当に、勝てるでしょうか……相手は乗っ取り同然に手に入れたとはいえ伯爵家を名乗っておりますし、何と言ってもマテオとリリアーヌ様は未だ婚姻関係にあられます。判事がどう判断するか……」
ローレンスは事も無げに答えた。
「大丈夫だ、いよいよとなれば地方判事全員を買収してしまえ」
「社長、それはダメです」
「冗談だよ。だがまあ、そうだな……向こうの要求次第によっては、落とし所は考えておく必要はあるだろうな」
こうして王都の短い夏は瞬く間に過ぎて行った。
2
お気に入りに追加
60
あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。

魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。
私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない
文野多咲
恋愛
優月(ゆづき)が自宅屋敷に帰ると、異母妹が優月のウェディングドレスを試着していた。その日縫い上がったばかりで、優月もまだ袖を通していなかった。
使用人たちが「まるで、異母妹のためにあつらえたドレスのよう」と褒め称えており、優月の婚約者まで「異母妹の方が似合う」と褒めている。
優月が異母妹に「どうして勝手に着たの?」と訊けば「ちょっと着てみただけよ」と言う。
婚約者は「異母妹なんだから、ちょっとくらいいじゃないか」と言う。
「ちょっとじゃないわ。私はドレスを盗られたも同じよ!」と言えば、父の後妻は「悪気があったわけじゃないのに、心が狭い」と優月の頬をぶった。
優月は父親に婚約解消を願い出た。婚約者は父親が決めた相手で、優月にはもう彼を信頼できない。
父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。
嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの?
優月は父親をも信頼できなくなる。
婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。
子育てが落ち着いた20年目の結婚記念日……「離縁よ!離縁!」私は屋敷を飛び出しました。
さくしゃ
恋愛
アーリントン王国の片隅にあるバーンズ男爵領では、6人の子育てが落ち着いた領主夫人のエミリアと領主のヴァーンズは20回目の結婚記念日を迎えていた。
忙しい子育てと政務にすれ違いの生活を送っていた二人は、久しぶりに二人だけで食事をすることに。
「はぁ……盛り上がりすぎて7人目なんて言われたらどうしよう……いいえ!いっそのことあと5人くらい!」
気合いを入れるエミリアは侍女の案内でヴァーンズが待つ食堂へ。しかし、
「信じられない!離縁よ!離縁!」
深夜2時、エミリアは怒りを露わに屋敷を飛び出していった。自室に「実家へ帰らせていただきます!」という書き置きを残して。
結婚20年目にして離婚の危機……果たしてその結末は!?
【完結】お飾りの妻からの挑戦状
おのまとぺ
恋愛
公爵家から王家へと嫁いできたデイジー・シャトワーズ。待ちに待った旦那様との顔合わせ、王太子セオドア・ハミルトンが放った言葉に立ち会った使用人たちの顔は強張った。
「君はお飾りの妻だ。装飾品として慎ましく生きろ」
しかし、当のデイジーは不躾な挨拶を笑顔で受け止める。二人のドタバタ生活は心配する周囲を巻き込んで、やがて誰も予想しなかった展開へ……
◇表紙はノーコピーライトガール様より拝借しています
◇全18話で完結予定

蔑ろにされた王妃と見限られた国王
奏千歌
恋愛
※最初に公開したプロット版はカクヨムで公開しています
国王陛下には愛する女性がいた。
彼女は陛下の初恋の相手で、陛下はずっと彼女を想い続けて、そして大切にしていた。
私は、そんな陛下と結婚した。
国と王家のために、私達は結婚しなければならなかったから、結婚すれば陛下も少しは変わるのではと期待していた。
でも結果は……私の理想を打ち砕くものだった。
そしてもう一つ。
私も陛下も知らないことがあった。
彼女のことを。彼女の正体を。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる