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狂犬Subは根こそぎ貪る
アグの邂逅
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◆ ◆ ◆
ずっと、ずっと、苦しかった。
俺は腹の底からソレを嫌がっているのに、体はいつもソレを強請っていた。
――支配されたい。
反発する感情を押さえつけ、従うよう命じて、魂まで屈服して欲しい。
採取されるだけの存在になんかなってたまるか。
命令されて褒められてご褒美もらって、喜んで尻尾を振る? クソだろ。
なんで俺は俺が主人だっていうのに、他のヤツを主人にしなくちゃいけないんだ?
ガキの頃はまだ良かった。
俺がSub持ちだって見られるだけで、別になんともなかった。
両親は物心つく頃にはいなくなっていて、俺はどこかの貴族の下男として生きていたが、着けられていた首輪は下男の証だと思っていた。
大人の体になった途端に、Domの支配が欲しくてたまらなくなった。
俺は俺のままなのに、別の何かが巣食っていたと分かった時の嫌悪感。
初めて自覚した時、盛大に吐いた。
首輪を着けられていたのも、俺が大きくなった後に本契約する相手は決まっていると周囲に示すためだと知って発狂した。
気が付けば首輪を釘で傷つけて千切り、貴族の屋敷を飛び出していた。
たかがSub一人。
新しいヤツでも拾えばいいのに、俺はどこまでも追われた。
しかも逃げ続けるほどに俺を追う連中は増えていき、色んなDomが俺を従わせようとしてきた。
なぜ俺を放っておかない? 言うことを聞かないSubなんて、打ち捨てておけばいいだろ。
Domの命令を聞かなかったらSubは生きられない?
じゃあ殺せよ。見捨てて死なせろよ。俺は俺のままでいたいんだ。
自分を殺してまで生きたくない。
だから最果ての地に追い詰められた時、俺は迷わずに飛び降りた。
――まさか別の世界があって、そこでDomに拾われるなんて思いもしなかった。
Domという概念がない世界で生きながら、Domの力を持っただけの無力な男。
目覚めた時は、結局Domからは逃げられないのかと絶望した。
だがこの世界はあまりに俺の知っている世界とは違い過ぎて、逃げ切ったからには好き自由に生きたくて、利用してやろうと思った。
無防備で人が良いだけの無自覚なDom。
何も知らないクセに契約して、呆気なく俺に喰われた。
Domでありながら、Subに支配されて淫らに成り果てる――ああ、たまらない。
もっと乱れてしまえ。
俺を覚えて、情けなく快楽に縋ってしまえ。
お前はもう俺がすべてなんだ……守流。
ずっと、ずっと、苦しかった。
俺は腹の底からソレを嫌がっているのに、体はいつもソレを強請っていた。
――支配されたい。
反発する感情を押さえつけ、従うよう命じて、魂まで屈服して欲しい。
採取されるだけの存在になんかなってたまるか。
命令されて褒められてご褒美もらって、喜んで尻尾を振る? クソだろ。
なんで俺は俺が主人だっていうのに、他のヤツを主人にしなくちゃいけないんだ?
ガキの頃はまだ良かった。
俺がSub持ちだって見られるだけで、別になんともなかった。
両親は物心つく頃にはいなくなっていて、俺はどこかの貴族の下男として生きていたが、着けられていた首輪は下男の証だと思っていた。
大人の体になった途端に、Domの支配が欲しくてたまらなくなった。
俺は俺のままなのに、別の何かが巣食っていたと分かった時の嫌悪感。
初めて自覚した時、盛大に吐いた。
首輪を着けられていたのも、俺が大きくなった後に本契約する相手は決まっていると周囲に示すためだと知って発狂した。
気が付けば首輪を釘で傷つけて千切り、貴族の屋敷を飛び出していた。
たかがSub一人。
新しいヤツでも拾えばいいのに、俺はどこまでも追われた。
しかも逃げ続けるほどに俺を追う連中は増えていき、色んなDomが俺を従わせようとしてきた。
なぜ俺を放っておかない? 言うことを聞かないSubなんて、打ち捨てておけばいいだろ。
Domの命令を聞かなかったらSubは生きられない?
じゃあ殺せよ。見捨てて死なせろよ。俺は俺のままでいたいんだ。
自分を殺してまで生きたくない。
だから最果ての地に追い詰められた時、俺は迷わずに飛び降りた。
――まさか別の世界があって、そこでDomに拾われるなんて思いもしなかった。
Domという概念がない世界で生きながら、Domの力を持っただけの無力な男。
目覚めた時は、結局Domからは逃げられないのかと絶望した。
だがこの世界はあまりに俺の知っている世界とは違い過ぎて、逃げ切ったからには好き自由に生きたくて、利用してやろうと思った。
無防備で人が良いだけの無自覚なDom。
何も知らないクセに契約して、呆気なく俺に喰われた。
Domでありながら、Subに支配されて淫らに成り果てる――ああ、たまらない。
もっと乱れてしまえ。
俺を覚えて、情けなく快楽に縋ってしまえ。
お前はもう俺がすべてなんだ……守流。
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