上 下
21 / 40
清純Domはすべてを捧げる

●誰の色にも染まらせない

しおりを挟む
 僕は「うん」と小さく頷き、再びアグに唇を贈る。

 舌を絡め合っていると、体が疼いてアグに擦り付けてしまう。

 腰が浮かないように落とすと、アグの大きくそそり立つものが当たる。
 ぞくり、と全身が疼く。そして自分の股間も欲情に染まり切っていることに気づく。

 アグの腰へ脚を回し、向き合って座る形を取り、気持ち良くなりたい衝動のまま腰を揺する。
 お湯の中で昂り合ったものが擦れ、ぶつかり、踊り悦ぶ。しっかりくっつき合わない分、なかなか射精まではいかない。

 もどかしくて気が狂いそうで、僕は強くアグにしがみついて全身を押し付け、上下に揺れ続ける。

「あっ、ぁ……ぁ……っ……は、ぁ……」

 体が茹って、今にものぼせそうだ。
 そろそろやめないと倒れそう……。

 力が急に抜けてアグの胸へしな垂れると、耳元で切なげに息をつく音がした。

「おい、一回出るぞ。立てるか?」

「……え……あ、うん……」

 のろのろと僕は体を起こして、言われた通りに湯舟を出る。

 するとアグは立ち上がって僕の背後へ立つと、ボディーソープをたっぷり手に取り、思いっきり泡立てたものを僕につけてきた。

「ひゃ……っ……ア、アグ、触っちゃ駄目だって――」

「直接触れてないから良いだろ? これを楽にしてやるから」

 腹部から股間へ手を伸ばされ、早く弾けたがっているものが泡まみれになる。

 手は触れないまま柔らかに扱かれて、泡の滑りに思わず壁に手をつきながら頭を振っていた。

「あぁっ、アグぅ……んン……っ……ぁぁ……っ」

 気持ち良いのにもどかしい。
 溜まったものを吐き出すには、あとひと押し足らない。

 たまらなくなって自分で触ろうとしたけれど、

「触んなよ、守流」

 今にも耳に唇がかすりそうなほど近くでアグに囁かれる。

 低くて体の芯まで響く声。熱くて甘い吐息。
 たったこれだけのことで腰が抜けそうになる。

 膝が踊って今にも折れそうで、僕は慌てて両手で壁をついて体を支える。
 そんなグズグズになりかけている僕へ、アグは囁きで耳を犯す。

「これからは全部、俺で染まれ。誰の色にも染まらせない……守流、お前の色すら混ぜさせんからな」

「ぁ、あ、ぁぁ……っ……」

「ほら、もう出せ。楽になっちまえ……俺に啼かされて悦びたいんだろ? いやらしいDomだって……出して認めろ。なあ、守流」

 僕の名を呼びながら、アグがフッと息を吹きかけてくる。

「はぁぁ――……ッッ」

 限界が見えていた体は、たったこれだけの刺激で弾けた。

 ドクッ、と股間が大きく脈打ち、僕は吐精する。
 やっと得られた快感に気が抜けていく――でも吐き出し足りない。

 もっとアグを強く感じながら達したい。
 外も中もぐちゃぐちゃにされて、ずっと快感の海に溺れてしまいたい。

 ハァ、ハァ、と肩で息をして呼吸を整えてから、僕はもどかしさが消えない身のままアグに体を向ける。

 ――ギュッ。
 僕は自分からアグに抱き着いて彼を見上げる。

 飢えてギラついた目で僕を見つめながら、愉悦の笑みで口から牙を覗かせるアグ。
 彼が望むように堕ちてしまったと悟るしかなかった。

 そして僕が口にできる言葉は、これしかなかった。

「ありがと、アグ……後でベッドで、僕からのご褒美……いっぱい、もらって……」

「クク……いい心がけだ」

 アグが僕を覗き込んでくる。
 あと少しでキスできる近さ。でもアグからはそれ以上動かない。

 ……いったいどっちのお仕置きなのか分からなくなってくる。

 いつもならアグから執拗に喰らうような口付けをしてくれるのに、それがなくて切なさすら感じてしまう。

 早く寝室に行って、アグと――。
 もうアグに抱かれることしか考えられない僕は、首を伸ばして自分からキスをした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜

きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員 Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。 そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。 初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。 甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。 第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。 ※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり) ※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り 初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。

催眠アプリ(???)

あずき
BL
俺の性癖を詰め込んだバカみたいな小説です() 暖かい目で見てね☆(((殴殴殴

おだやかDomは一途なSubの腕の中

phyr
BL
リユネルヴェニア王国北の砦で働く魔術師レーネは、ぽやぽやした性格で魔術以外は今ひとつ頼りない。世話をするよりもされるほうが得意なのだが、ある日所属する小隊に新人が配属され、そのうち一人を受け持つことになった。 担当することになった新人騎士ティノールトは、書類上のダイナミクスはNormalだがどうやらSubらしい。Domに頼れず倒れかけたティノールトのためのPlay をきっかけに、レーネも徐々にDomとしての性質を目覚めさせ、二人は惹かれ合っていく。 しかしティノールトの異動によって離れ離れになってしまい、またぼんやりと日々を過ごしていたレーネのもとに、一通の書類が届く。 『貴殿を、西方将軍補佐官に任命する』 ------------------------ ※10/5-10/27, 11/1-11/23の間、毎日更新です。 ※この作品はDom/Subユニバースの設定に基づいて創作しています。一部独自の解釈、設定があります。 表紙は祭崎飯代様に描いていただきました。ありがとうございました。 第11回BL小説大賞にエントリーしております。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

待てって言われたから…

ふみ
BL
Dom/Subユニバースの設定をお借りしてます。 //今日は久しぶりに津川とprayする日だ。久しぶりのcomandに気持ち良くなっていたのに。急に電話がかかってきた。終わるまでstayしててと言われて、30分ほど待っている間に雪人はトイレに行きたくなっていた。行かせてと言おうと思ったのだが、会社に戻るからそれまでstayと言われて… がっつり小スカです。 投稿不定期です🙇表紙は自筆です。 華奢な上司(sub)×がっしりめな後輩(dom)

平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです

おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの) BDSM要素はほぼ無し。 甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。 順次スケベパートも追加していきます

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集

あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。 こちらの短編集は 絶対支配な攻めが、 快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす 1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。 不定期更新ですが、 1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 書きかけの長編が止まってますが、 短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。 よろしくお願いします!

処理中です...