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清純Domはすべてを捧げる
謎の衝動
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僕のすべてで彼を守りたい。
体の底から湧き出た熱に、思わず僕はギュッと胸元を掴む。そして首を傾げる。
どうしてこんなに感情が掻き立てられるんだろう?
困った人を助けたい、という気持ちは昔からあったけど、これは何か違う気がする。
彼の幸せのためになんだってしたいだなんて、まるで――。
「う……」
アグーガルさんが小さく唸り、うっすらと目を開ける。
まだ瞳は虚ろだ。意識はあるのだろうかと様子をうかがっていると、ぼんやりとしながら僕と目を合わせる。
そして――ふにゃり。口元が緩んだ。
「かまえよ……もっと……」
掠れた声で囁かれて、僕の鼓動が大きく跳ねる。
アグーガルさんに求められた……望まれた……応えなきゃ。
まるで呪文にでもかかったように、僕の体が勝手に動いてしまう。
そっと彼の頭を撫でながら、甘えるように見つめてくる目に引き寄せられ、額に口付ける。
一度唇で肌に触れると愛しさが溢れて止まらなくなり、何度も彼の顔にキスを落とす。
ふに、と。戯れにアグーガルさんが首を伸ばし、僕の頬に口付けてくる。
甘えられているのが伝わってきて、僕の頭が熱で弾けそうになる。
嬉しい。
こんなに僕を必要としてくれている。
守りたい。彼を満たしたい。もっと与えたい――。
流されるままに唇同士を重ねようとしたその時。
「……っ、は、離れろ……っ!」
ドンッ。
唐突にアグーガルさんに突き飛ばされ、僕は背中を床に打ち付けた。
何が起きた? 僕は彼に何をしようとしていた?
夢から無理やり起こされて目覚めたように、頭が混乱してしまう。
首を振りながら顔を上げれば、目を吊り上げた怒り顔に僕は固まった。
「お前……っ、やっぱり俺を、支配する気だったか……っ!」
「支、配? ち、違います! 僕は貴方が苦しそうにしていたから……」
「……チッ……場所が変わっても、コレからは逃れられないのか」
忌々しそうにつぶやくと、アグーガルさんが自分の腕を抱き、爪を食い込ませる。
衣服を破いた直後、ジワッ、と血が滲む。
見た瞬間、僕は弾かれたように駆け出し、アグーガルさんの左右の手を掴んでいた。
「自分を傷つけないで下さい! 不安で苦しいと思いますけど、せっかくの体を痛めつけるなんて……っ!」
一心不乱に訴える僕を見て、アグーガルさんが顔をしかめる。
絶対に嫌だという気迫を感じる。
でもアグーガルさんの手から力が抜け、腕を傷つける行為を止めてくれた。
ホッとする僕とは裏腹に、アグーガルさんの顔に自虐の笑みが浮かぶ。
「逆らえないのか、Subの本能に……」
まだよく分からないけれど、本能と理性がちぐはぐで苦しんでいるらしい。
体の底から湧き出た熱に、思わず僕はギュッと胸元を掴む。そして首を傾げる。
どうしてこんなに感情が掻き立てられるんだろう?
困った人を助けたい、という気持ちは昔からあったけど、これは何か違う気がする。
彼の幸せのためになんだってしたいだなんて、まるで――。
「う……」
アグーガルさんが小さく唸り、うっすらと目を開ける。
まだ瞳は虚ろだ。意識はあるのだろうかと様子をうかがっていると、ぼんやりとしながら僕と目を合わせる。
そして――ふにゃり。口元が緩んだ。
「かまえよ……もっと……」
掠れた声で囁かれて、僕の鼓動が大きく跳ねる。
アグーガルさんに求められた……望まれた……応えなきゃ。
まるで呪文にでもかかったように、僕の体が勝手に動いてしまう。
そっと彼の頭を撫でながら、甘えるように見つめてくる目に引き寄せられ、額に口付ける。
一度唇で肌に触れると愛しさが溢れて止まらなくなり、何度も彼の顔にキスを落とす。
ふに、と。戯れにアグーガルさんが首を伸ばし、僕の頬に口付けてくる。
甘えられているのが伝わってきて、僕の頭が熱で弾けそうになる。
嬉しい。
こんなに僕を必要としてくれている。
守りたい。彼を満たしたい。もっと与えたい――。
流されるままに唇同士を重ねようとしたその時。
「……っ、は、離れろ……っ!」
ドンッ。
唐突にアグーガルさんに突き飛ばされ、僕は背中を床に打ち付けた。
何が起きた? 僕は彼に何をしようとしていた?
夢から無理やり起こされて目覚めたように、頭が混乱してしまう。
首を振りながら顔を上げれば、目を吊り上げた怒り顔に僕は固まった。
「お前……っ、やっぱり俺を、支配する気だったか……っ!」
「支、配? ち、違います! 僕は貴方が苦しそうにしていたから……」
「……チッ……場所が変わっても、コレからは逃れられないのか」
忌々しそうにつぶやくと、アグーガルさんが自分の腕を抱き、爪を食い込ませる。
衣服を破いた直後、ジワッ、と血が滲む。
見た瞬間、僕は弾かれたように駆け出し、アグーガルさんの左右の手を掴んでいた。
「自分を傷つけないで下さい! 不安で苦しいと思いますけど、せっかくの体を痛めつけるなんて……っ!」
一心不乱に訴える僕を見て、アグーガルさんが顔をしかめる。
絶対に嫌だという気迫を感じる。
でもアグーガルさんの手から力が抜け、腕を傷つける行為を止めてくれた。
ホッとする僕とは裏腹に、アグーガルさんの顔に自虐の笑みが浮かぶ。
「逆らえないのか、Subの本能に……」
まだよく分からないけれど、本能と理性がちぐはぐで苦しんでいるらしい。
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