清純Ｄｏｍの献身～純潔は狂犬Ｓｕｂに貪られて～

清純Domはすべてを捧げる

与えたがり

　子供の頃から人の喜ぶ顔が見たかった。

　相手のために何かしたり、贈り物をしたり、無理を聞いたり――。
　そんな僕を見て、両親はいつも心配していた。

『守流、嫌なら断ってもいいのよ？』

『ああ。無理して俺たちに尽くさなくても良いんだ。子供が親に尽くして当たり前だなんて、そんな時代じゃないんだぞ」

　一番身近に尽くせる相手がいたから、僕は特に両親に尽くしていた。

　まったく無理はしていないし、むしろ父や母のために何かできることがると誇らしかった。

　何より喜んでくれると心が満たされた。
　僕のすべてが受け入れてもらえていると思えたから。

　家のお手伝いは進んでやった。
　勉強は欠かさずやって、テストは百点だけを狙ってた。

　家だけじゃ足りなくて生徒会に入ったり、部活のマネージャーもやって、みんなの役に立とうとした。
　料理やお菓子作りを覚えてみんなに振る舞ったし、頼み事はなんだって応えた。

　学校じゃ足りなくなって、学校が休みの日はボランティア活動をした。
　みんな「若いのに立派ね」と言って喜んでくれたし、嬉しかったけれど、それでも胸の奥が満たされなかった。



　だけど高校を出て社会人になって間もなく、両親が立て続けに亡くなってしまった。

　家族を失ったことはひどく悲しかった。
　でも同時に、別の悲しみが僕の中に広がる。

　遠慮なく尽くせる存在も、環境も、なくなってしまったと――。