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第三話 特訓!バスケは格闘技に含まれないが、例外あり

バスケ漫画にハマればいい

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「ケイロ、これを読めばバスケのことがよく分かるぞ」

「本……? バスケの指南書か?」

「指南書ってほどじゃないんだけど……これ、バスケ漫画。読み方は分かるか?」

「一応は。こっちの世界の娯楽のひとつということで、少しだけ嗜んだ。随分と目が大きくて、異様に輝いていて、自分の考えを素直に言えずに誤解が誤解を読んで面倒なことになるということの繰り返しで、読んでいて腹が立った」

 ……読んだのは少女漫画か? そりゃあ我慢せず好き勝手しまくるお前には理解しがたいだろうな。王子様だから我慢する必要ないもんな。

 完全に選択ミスだよなあと思いながら、俺は漫画をケイロの前に置いた。
 世間ではバスケット漫画の最高峰と言われている、最初から最後まで熱い展開が詰まった漫画。これを読んで熱くならない男子はいないと思っている。

 俺は真顔になってケイロの目を見た。

「まずは五巻まで貸してやるから、四の五の言わずに読め。序盤は主人公がバスケ初心者だから、解説でバスケのルールが挟まったりしてるから参考になると思う」

「ほう、それはありがたい」

「あと最初から展開が熱いから。読んで止まらなくなると思うから! もし続きが読みたいと思ったら、勝手に来て続きの巻を持って行ってもいいから! とにかく読め。そしてハマれ」

「……ここまでお前が熱くなるとは……分かった。心して読もう」

 珍しく俺の迫力に圧されたのか、ケイロが若干たじろぐ。なんか、ちょっとだけコイツに勝ったような気がして嬉しい。

 得意気になって胸を張っていると、ケイロが漫画を手にして立ち上がる。そして、

「ではな、太智……しっかり休んで、いつでも俺を受け入れられる体力を蓄えておけ」

 かなり物好きで色ボケしたことを言いながら、チュッ、と軽く俺の唇にキスしてきた。

「……――ッッ」

 途端に力が抜けてその場へ崩れ落ちた俺へ、ケイロは手を閃かせながら自室へ戻っていく。チラッと見えた唇が、それはもう嬉しそうに引き上がっていた。

 ……ちくしょう……人の体で遊ぶなよぉ……。
 どうやってもこんな体である以上、ケイロに敵わないんだと気づかされて、俺は心の中で嘆くしかなかった。



 三十分後。
 俺がベッドでウトウトしていると、ケイロが「続きを借りるぞ」と足早に現れ、漫画の続きを持ってすぐに自室へ戻って行った。

 どうやらハマったらしい。喜ばしいことだと俺は布団の中でにんまりと笑いながら、気分良く就寝した。
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