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第二話 変人の烙印は絶対阻止!

変人回避なら悪ふざけ上等

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 来た……! いつかあるんじゃないかって思ってた、変人確定案件!
 みんなが見ている中で襲撃されて、必死に戦うほどに変人扱いされていく……なんて理不尽なんだ。しかも苦戦してるっぽい。

「アイツ……っ!」

 思わず俺は美術室を飛び出し、勢いよく階段を下りていく。

 魔法も何も使えない俺が行っても戦力にはならないかもしれない。
 でも、こっちの人間でありながら、ケイロたちの現状を見られる俺だからこそできることもある。

 一階まで下り切ると俺は廊下の窓を開け、そこからジャンプして中庭へと移動した。
 さっきまで使っていた箒を、今もしっかりと握り締めながら――。

「この……覚悟しやがれ……!」

 俺は両手で箒を持ち、思いっきりバットを振り抜くようにして漆黒の獣たちにブチ当てる。てっきり効かないと思ったが、振り抜く間際に箒に光が宿り、キャウン、と案外と可愛い声を出しながらダメージを受けていた。どうやらケイロが何かしたらしい。

 そして、その勢いのままケイロまで箒を迫らせる。もちろん本気で当てる気はない。剣とかち合わさる所で寸止めし、小声で話しかける。

「いったい何があった? スゲー目立ってるぞ」

「校舎の外を調べていたら襲われた、シャドウウルフ五十匹……数が多すぎて戦闘が長引いてしまった」

「マジかよ……コイツら、魔法で一気にボンッと倒せないのか?」

「魔力不足だ。かろうじて物に精霊の力を宿せられる程度しかない」

 話している途中に黒い狼がこちらへ飛びかかってきて、ケイロが剣の切っ先で斬り付け、後退させる。

 直接攻撃しかできないってことか……じゃあ好都合だ。
 俺はニッと歯を覗かせ、ふてぶてしく見えるように笑った。

「よし……じゃあ今からケンカごっこするぞ、ケイロ」

「な、んだと……?」

「俺とお前は、今からここで悪ふざけで大ゲンカするフリして派手に立ち回る。そうすれば、そこの黒わんこを倒しながら変人に見られるのは避けられる……しばらくは掃除中にふざけてケンカした怖い人認定されるけど、変人よりはマシだろ?」

 変人に見られるのは嫌――それはケイロだって同じだ。
 俺にそう思われていたと知って怒ったほどだから、その人数が増えれば不愉快極まりないだろう。

 目的が果たせるまではここにいなくちゃいけないみたいだし、嫌な思いは少ないほうが良いに決まってる……そうしないと、ストレス発散で俺が酷い扱いを受けそうな気がするし。

 俺の狙いを知ってケイロが小さく吹き出す。そして、いつもの勝ち誇ったような笑みを唇に浮かべた。

「子供じみた案だが、面白い。付き合ってやろう……っ!」
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