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第二話 変人の烙印は絶対阻止!
手放す気がないヤツ
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他のヤツなら大丈夫なのに、ケイロに近づかれるだけで感じる体に成り果ててしまった――症状が今朝と変わっていなくて、心の中で激しく絶望する。
おそらく魔法で強引に感じる体にさせられて、普通じゃあり得ない快感を与えられたせいで、体がイカれてしまったんだと思う。たった一晩の初夜でこの調子。これで回数を重ねたらどうなるんだと想像しかけて、すぐに思考が止まる。絶対に今より悪化するのは間違いない。
どうにかならないのか?! とアシュナムさんに視線で縋ってみるが、それはもう心苦しそうに顔をしかめられてしまった。
「太智殿には申し訳ないが、今すぐに婚姻を解消することはできない……先に我らの目的を果たさなければ――」
「えっ……? どっちか片方が死なない限り、離婚できないんじゃあ……?」
「確かにそういう制約ではある。しかし、手順は複雑ではあるが解除する方法は存在する」
……おい、話が違うじゃねーか……まさかと思うが、不本意ながら俺と結婚したクセに離婚したくないのか?!
まったく理解できずに顔を引きつらせながらケイロを見れば、チッ……と舌打ちする姿が視界に入ってくる。すごく忌々しそうな顔して、不機嫌さ全開だ。
「……それには双方の同意が必要になる……俺は拒否するから、実質離縁は不可能だ」
「ワガママを言わないで下さい! この地での使命を果たした後、何日も不眠不休で説得させて頂きますから、どうかそのおつもりで……」
百谷家の中でも一番強面の部類に入るアシュナムさんから笑みが消えると、漂ってくる気迫がすごい。この件では俺にとって心強い味方だが、それでも俺の心がすくみそうになる。
ケイロもアシュナムさんも譲る気なしで、室内の空気をどこまでも刺々しくしていく。息苦しくて俺が居心地の悪い思いをしていると、
「お二人とも、少し落ち着きましょう。コーヒーを淹れましたので……どうぞ」
ソーアさんがにこやかな顔でリビングへやって来て、俺たちの前にコーヒーを置いてくれる。
殺伐なオーラを放っている二人と違い、ソーアさんは穏やかなまま。癒しキャラだなこの人……と思っていると、俺の側に来て膝をつき、顔を合わせてきた。
「こちらの都合に巻き込んでしまい、大変申し訳ありません……殿下は我々が必ず説得しますから、どうか今しばらく猶予を頂けませんか?」
眼鏡の下で優しく微笑む目が、今の俺には眩しくて仕方ない。密かに心の中で手を合わせて拝んでしまう。
「あ……はい、どうにかしてくれるなら、俺はそれで――」
「……その時が来ても、俺が忘れられなくて同意できない体にしてやる」
ケイロから物騒な呟きが聞こえてきて、俺は思わずソーアさんへ必死に訴えた。
「な、なるべく早くお願いします! 俺、ただの一般人なんで、そんなに持たないかもしれないんで!」
「善処します! 全力を尽くして対処しますから!」
間違いなくケイロはその気でいる。本気でヤる気だ。ソーアさんも察したようで、互いに顔色を変えて言い合うハメになった。
おそらく魔法で強引に感じる体にさせられて、普通じゃあり得ない快感を与えられたせいで、体がイカれてしまったんだと思う。たった一晩の初夜でこの調子。これで回数を重ねたらどうなるんだと想像しかけて、すぐに思考が止まる。絶対に今より悪化するのは間違いない。
どうにかならないのか?! とアシュナムさんに視線で縋ってみるが、それはもう心苦しそうに顔をしかめられてしまった。
「太智殿には申し訳ないが、今すぐに婚姻を解消することはできない……先に我らの目的を果たさなければ――」
「えっ……? どっちか片方が死なない限り、離婚できないんじゃあ……?」
「確かにそういう制約ではある。しかし、手順は複雑ではあるが解除する方法は存在する」
……おい、話が違うじゃねーか……まさかと思うが、不本意ながら俺と結婚したクセに離婚したくないのか?!
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「……それには双方の同意が必要になる……俺は拒否するから、実質離縁は不可能だ」
「ワガママを言わないで下さい! この地での使命を果たした後、何日も不眠不休で説得させて頂きますから、どうかそのおつもりで……」
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