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新鮮な既視感

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「ん……」

 隆幸さんが小さく唸る。今までだってキスする時に唸ることはあったが、どこかセクシーで大人だなあと思っていた。だが、今目の前で硬く目を閉じてキスする隆幸さんは、どこかおっかなびっくりで、可愛い生き物に見えてしまう。

 舌先で隆幸さんの唇をつついて伺えば、ビクッと肩が跳ねる。それからおずおずと唇を開いて俺の下を招き入れてくれた。緊張しているのだろう。数え切れないほど交わしてきたことなのに、まるで初めて交わすキスのようだ。あまりの初々しさに俺の鼻息が荒くなる。

 形は今までと違えど、久しぶりに隆幸さんとひとつになれると気分がどこまでも高揚する。加えて隆幸さんの初めてを味わえると思うと、もう理性が薄れて自分を抑えられなくなっていた。

 絡まり溢れた唾液で唇同士を擦り合わせながら、クチャ、クチャッ、と舌を絡ませる。まぶたを開いたまま隆幸さんを見れば、苦しげに眉間へシワを寄せながらも、俺に応えようと必死に舌を動かしてくれる。

 俺を抱く時の隆幸さんは、いつも俺を怖がらせないようにと微笑みを浮かべていて、ゆっくりと時間をかけて愛撫してくれていた。余裕ありまくりだと思っていたのに今の反応はあまりに真逆で、ここまで変わるものなのかと意外に思ってしまう。

 でも同時に隆幸さんの気持ちが分かってしまう。
 なぜなら――付き合って体の関係を持ち始めた頃の俺がこんな感じだったから。

 少しでも何かをされたら過剰に反応して、それを見た隆幸さんが「感度良すぎ」って笑って、俺が「しょうがないだろ」って軽く拗ねて。
 ……確かにこれは顔が緩む。微笑ましくてもっと反応させたくなる。

 俺は隆幸さんの唇から首筋へと移り、甘く噛みつく。手は胸へ腰へと這わせ、肌を滑らせる度にビク、ビクと隆幸さんの体が小さく跳ねた。

「あ……ン……ぅ……」

 一瞬隆幸さんから甘い声が漏れたかと思えば、すぐにこもって押さえ込まれる。上目遣いに顔を見れば、手で口を覆って声を出すまいとしていた。

 ……ズルい。俺にする時は「声、聞かせて」って言うクセに。
 俺は軽く唇を尖らせてから、その大きくて無粋な手をペロリと舐める。

「んン……っ」

「手、キスするのに邪魔だから。そんなに声出すの恥ずかしい? 俺には声出させて、自分はイヤって……俺だって隆幸さんの声、聞きたいんだけど」

 唇の上にかかっている指を舐め、隙間へ舌先を差し入れて隆幸さんの唇をつつく。キュッとまぶたを硬くつむった後、そろそろと手を退かし、赤くなった顔と唇を俺に晒してくれた。

「修吾、お前なぁ……初めてなんだから、もう少し大目に見てくれよ」

「え? 俺の初めての時、恥ずかしいって訴えても聞いてくれなかったのはどこの誰だ?」

「いや、だって、お前の声が可愛いかったから……俺の野太い掠れたおっさんの喘ぎ声なんて……」

「隆幸さんの声、可愛くてたまらないんだけど。ほら聞かせて……俺の知らない貴方を、もっと教えて……」

 反論を奪うように隆幸さんへキスを被せてから、俺は胸の上で硬くなっている乳首へ歯を立て、舌を巻きつかせて吸い出す。

「はぅ……っ、ん……あァ……」

 甘く噛む度に漏れる隆幸さんの声が蕩けて、沸き上がる胸の高揚感がハンパない。もっと感じさせたくて体に触れていけば、恥ずかしそうに身をよじり、ますます俺が煽られた。
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