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番外編1 愛され将軍のエリク鼻血阻止大作戦
ガイは考えた
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◇ ◇ ◇
ガイは考えた。
正直、未だに信じられないことだが、自分のちょっとした言動がエリクを安易に興奮させてしまうらしい。
幼少の頃の初恋をずっと胸に秘め、手を伸ばすことを耐えに耐え続けてきた影響で、体が興奮して鼻血を出しやすくなっているのだろうとエリクは言っていた。
理由は聞いたが、まったく理解できない。
それでも理解できないなりに、ガイは考えに考えた末、ひとつの可能性にたどり着く。
(ずっと我慢してきたせいで俺に刺激を覚えてしまうならば、刺激に慣れてしまえば鼻血も出なくなるのでは?)
エリクの場合の刺激は、ガイそのもの。
何年も一緒に生活していれば自然と慣れて落ち着くのかもしれないが、鼻血のせいでエリクの身が保たず、先立たれてしまっては困る。
ならば少しでも早く慣れるよう、自分が頑張らなければいけない。
受け身ではなく、自ら進んで手を伸ばすようにすれば、慣れるのも早いはず。
恥ずかしいなどと言っていられない。
エリクの生死がかかっているのだ。
答えを見出し、腹を括ったガイの行動は素早かった――。
日が沈み、ロジーを小籠の中に寝かしつけた後。
「……エリク」
「なんでしょうか、ガイ様?」
「その、一緒にシャワーしないか? エリクにばかり洗ってもらっているから、今日は俺もエリクを洗いたいんだが……」
エリクが誘うよりも先に、ガイは袖を掴み、羞恥で潤みそうな目を向けながら誘う。
ぴし、とエリクの身が強張る。
そして次の瞬間、小さく肩が跳ね、鼻頭がわずかに震える。
これは鼻血が出る予兆だ。
瞬時に気づいたガイは、鼻血が吹き出るよりも先に手を伸ばし、エリクの鼻を摘んだ。
ハァ、ハァ、と息を乱しながら、エリクが尋ねてきた。
「ガ、ガイ様、にどうされましたか? 非常にものすごく嬉しくて今にも天に召されそうなほどですが……」
「誘っただけで天に召されないでくれ……少し考えたんだが、俺と触れ合う機会を増やせば、体が刺激に慣れて鼻血を出さなくなるのでは? 今まで耐えた分だけ密にやり取りすれば、気が済むと思うのだが」
ガイの話を聞いて、エリクが考え込む。
小さくブツブツと「なんて夢のような……」「いやしかし、私の身が保つのか?」と独り言を垂れ流した後、エリクはグッと拳を握った。
「まっっったく刺激に慣れる気はありませんが、試させて下さい! ガイ様が今までより積極的になってくれるなんて……ああ、生きていて良かった……」
ガイの指と入れ替わり、自らの鼻を摘みながらエリクが虚空を仰ぐ。
それはもう晴れ晴れとした笑みで、本当に昇天しそうな表情。慌ててガイはエリクの腕にしがみつき、顔を覗き込んだ。
「感激するのはそのくらいにして、シャワーに行くぞ。鼻血を出して途中で切り上げ……なんて生殺しはしないでくれ」
素直な気持ちをガイが告げると、エリクから「……最初から刺激が強すぎます……」と悩ましげな呟きが聞こえてくる。
今のやり取りの何が刺激が強いのか理解できず、ガイは心の中で首を傾げるばかりだった。
ガイは考えた。
正直、未だに信じられないことだが、自分のちょっとした言動がエリクを安易に興奮させてしまうらしい。
幼少の頃の初恋をずっと胸に秘め、手を伸ばすことを耐えに耐え続けてきた影響で、体が興奮して鼻血を出しやすくなっているのだろうとエリクは言っていた。
理由は聞いたが、まったく理解できない。
それでも理解できないなりに、ガイは考えに考えた末、ひとつの可能性にたどり着く。
(ずっと我慢してきたせいで俺に刺激を覚えてしまうならば、刺激に慣れてしまえば鼻血も出なくなるのでは?)
エリクの場合の刺激は、ガイそのもの。
何年も一緒に生活していれば自然と慣れて落ち着くのかもしれないが、鼻血のせいでエリクの身が保たず、先立たれてしまっては困る。
ならば少しでも早く慣れるよう、自分が頑張らなければいけない。
受け身ではなく、自ら進んで手を伸ばすようにすれば、慣れるのも早いはず。
恥ずかしいなどと言っていられない。
エリクの生死がかかっているのだ。
答えを見出し、腹を括ったガイの行動は素早かった――。
日が沈み、ロジーを小籠の中に寝かしつけた後。
「……エリク」
「なんでしょうか、ガイ様?」
「その、一緒にシャワーしないか? エリクにばかり洗ってもらっているから、今日は俺もエリクを洗いたいんだが……」
エリクが誘うよりも先に、ガイは袖を掴み、羞恥で潤みそうな目を向けながら誘う。
ぴし、とエリクの身が強張る。
そして次の瞬間、小さく肩が跳ね、鼻頭がわずかに震える。
これは鼻血が出る予兆だ。
瞬時に気づいたガイは、鼻血が吹き出るよりも先に手を伸ばし、エリクの鼻を摘んだ。
ハァ、ハァ、と息を乱しながら、エリクが尋ねてきた。
「ガ、ガイ様、にどうされましたか? 非常にものすごく嬉しくて今にも天に召されそうなほどですが……」
「誘っただけで天に召されないでくれ……少し考えたんだが、俺と触れ合う機会を増やせば、体が刺激に慣れて鼻血を出さなくなるのでは? 今まで耐えた分だけ密にやり取りすれば、気が済むと思うのだが」
ガイの話を聞いて、エリクが考え込む。
小さくブツブツと「なんて夢のような……」「いやしかし、私の身が保つのか?」と独り言を垂れ流した後、エリクはグッと拳を握った。
「まっっったく刺激に慣れる気はありませんが、試させて下さい! ガイ様が今までより積極的になってくれるなんて……ああ、生きていて良かった……」
ガイの指と入れ替わり、自らの鼻を摘みながらエリクが虚空を仰ぐ。
それはもう晴れ晴れとした笑みで、本当に昇天しそうな表情。慌ててガイはエリクの腕にしがみつき、顔を覗き込んだ。
「感激するのはそのくらいにして、シャワーに行くぞ。鼻血を出して途中で切り上げ……なんて生殺しはしないでくれ」
素直な気持ちをガイが告げると、エリクから「……最初から刺激が強すぎます……」と悩ましげな呟きが聞こえてくる。
今のやり取りの何が刺激が強いのか理解できず、ガイは心の中で首を傾げるばかりだった。
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