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四章 嫌われ将軍と嫌われ邪竜
エリクの考えは理解できないが
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エリクの指摘にガイは目を点にする。
つい他の動物のように、何ヶ月か、多くても数年ぐらいの考えだった。
さらにエリクが懸念点を並べてくる。
「餌は何を食べるのでしょうか? 何が大丈夫で、何が駄目かも分かっていませんよね。それに、母竜は魔法か何かで意思疎通できましたが、子供も可能なのでしょうか? 第三者に見つかれば、殺される可能性も売り飛ばされる可能性もありますので、意思疎通して言うことを聞いてくれなければ育てるのは大変ですよ。他にも――」
次々と出てくるエリクの話に、ガイの顔から血の気が引いていく。
改めて言われてみれば、竜のことを何も知らない。
大切な命を安請け合いで預かってしまった、とガイが愕然となっていると、
「――という訳で、ガイ様お一人で対応するのは厳しいと思います。なので提案なのですが、一度ヨルリア山脈のふもとにある学術の町フォイオの図書館に向かい、竜の本を調べませんか? そして町外れに家を建てて、私と一緒に暮らしながら育てるのはいかがでしょうか?」
厳しい顔つきが次第に緩み、やけに希望に満ちたような笑顔を浮かべてエリクが言ってくる。
これだけ考えてくれているエリクが一緒なら、願ったり叶ったりだ。
断る理由などないと、ガイは安堵で顔を緩ませながら頷いた。
「そうだな……竜を育て慣れるまでは、君の助けがあるとありがたい。最初だけでいい。何年も俺に付き合って、君の人生を犠牲にしなくてもいいから――」
「最後まで付き合います。犠牲どころか、私にとって人生最高の日々になりますので!」
拳を握って力強く断言するエリクに、思わずガイは吹き出した。
「本当に変わっているな、エリクは。君が後悔しないなら構わないが……しかし一緒に暮らして子を育てるとなると、もはや家族だな」
「……ガイ様と、家族……」
唐突に、エリクが直立不動で固まる。
この状態はもしや――。
ガイは慌てて卵を懐にしまい、宿の備え付けのちり紙に手に取り、エリクの鼻を摘む。
じわぁ……と指先に血の温もりが伝わってきた。
「……君は今の話のどこに興奮したんだ?」
エリクの考えは本当に理解できない。
しかし鼻血が出る気配は分かるようになってしまった。
ガイは首を傾げながら血まみれの紙と新しい紙を入れ替え、エリクの鼻を摘み直す。
鼻血の出過ぎで頭が朦朧としているせいか、理由は言ってくれなかった。
ただエリクの顔は、ずっと人生を全うして悔いなく天に召される者のような晴れやかもので、あまりに幸せそうだった。
つい他の動物のように、何ヶ月か、多くても数年ぐらいの考えだった。
さらにエリクが懸念点を並べてくる。
「餌は何を食べるのでしょうか? 何が大丈夫で、何が駄目かも分かっていませんよね。それに、母竜は魔法か何かで意思疎通できましたが、子供も可能なのでしょうか? 第三者に見つかれば、殺される可能性も売り飛ばされる可能性もありますので、意思疎通して言うことを聞いてくれなければ育てるのは大変ですよ。他にも――」
次々と出てくるエリクの話に、ガイの顔から血の気が引いていく。
改めて言われてみれば、竜のことを何も知らない。
大切な命を安請け合いで預かってしまった、とガイが愕然となっていると、
「――という訳で、ガイ様お一人で対応するのは厳しいと思います。なので提案なのですが、一度ヨルリア山脈のふもとにある学術の町フォイオの図書館に向かい、竜の本を調べませんか? そして町外れに家を建てて、私と一緒に暮らしながら育てるのはいかがでしょうか?」
厳しい顔つきが次第に緩み、やけに希望に満ちたような笑顔を浮かべてエリクが言ってくる。
これだけ考えてくれているエリクが一緒なら、願ったり叶ったりだ。
断る理由などないと、ガイは安堵で顔を緩ませながら頷いた。
「そうだな……竜を育て慣れるまでは、君の助けがあるとありがたい。最初だけでいい。何年も俺に付き合って、君の人生を犠牲にしなくてもいいから――」
「最後まで付き合います。犠牲どころか、私にとって人生最高の日々になりますので!」
拳を握って力強く断言するエリクに、思わずガイは吹き出した。
「本当に変わっているな、エリクは。君が後悔しないなら構わないが……しかし一緒に暮らして子を育てるとなると、もはや家族だな」
「……ガイ様と、家族……」
唐突に、エリクが直立不動で固まる。
この状態はもしや――。
ガイは慌てて卵を懐にしまい、宿の備え付けのちり紙に手に取り、エリクの鼻を摘む。
じわぁ……と指先に血の温もりが伝わってきた。
「……君は今の話のどこに興奮したんだ?」
エリクの考えは本当に理解できない。
しかし鼻血が出る気配は分かるようになってしまった。
ガイは首を傾げながら血まみれの紙と新しい紙を入れ替え、エリクの鼻を摘み直す。
鼻血の出過ぎで頭が朦朧としているせいか、理由は言ってくれなかった。
ただエリクの顔は、ずっと人生を全うして悔いなく天に召される者のような晴れやかもので、あまりに幸せそうだった。
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