嫌われ将軍、実は傾国の愛されおっさんでした

天岸 あおい

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四章 嫌われ将軍と嫌われ邪竜

●ここが苦しいのか?

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 何か言いたいのに、何から言えばいいか判断がつかず口をまごつかせるガイに、再びエリクが唇を重ねてくる。

 初めてのことは何度か経験すれば慣れていくものだが、これは慣れない。
 むしろ回数を重ねるごとに熱と体の疼きが増して、ガイの意識から体が離れて暴走していくようだった。

「んっ……は、ぁ……ん」

 エリクの手は服越しに、ガイの筋肉で盛り上がった胸や、割れた腹筋を撫で愛でていく。

 こそばゆい。なのに、やけに後を引いて「止めろ」と拒めない。
 腰の奥が疼いてもどかしさを覚えて、思わずガイが身を捩れば、エリクが抑え込むように体を被せてくる。

 ギチ、とベッドがしなる。
 エリクの重みでガイの息が詰まる。
 鼓動が速くなるばかりで胸が苦しい。

 それでも嫌悪よりも、その先を知りたい気持ちが勝った。

 唇に隙間が生まれた時、ガイはエリクと目を合わせる。
 熱がさらに込められたエリクの瞳に見つめられ、ふと思ったことがそのままガイの口から溢れた。

「エリク……もしかして、ここが苦しいのか?」

 そっとガイがエリクの胸に手を当てる。
 手の平に小刻みに弾むエリクの鼓動が伝わってきた。

「……はい、ずっと。ガイ様を見るだけで苦しくなるのに、一緒に眠れる日が来てしまって、その度に心の臓が弾け飛びそうになっていました」

「そうか。俺も、いま苦しい。だが嫌じゃない。君もそうなのか?」

「嫌な訳がありません。夢でしかあり得ないことが現実に起きて、触れることを許されてるなんて……」

 はぁ、とエリクが息をつく。
 切なげながら艶めかしい吐息。初めて見るエリクの一面に、ガイの胸が一層騒々しくなる。

 ずっとこんな状態でいたなら、事あるごとに鼻血を出してしまうのも頷ける。
 思わずガイはエリクの頬に手を伸ばし、若く張りのある頬を撫でた。

「我慢しなくていい。君が求めるだけ求めて楽になってくれるなら、俺はそれで嬉しい」

 エリクの目が大きく見開かれる。
 そして、フッと目を細めたその顔は、嬉しげにも悲しげにも見えた。

 エリクがガイの手首をそっと掴み、頬ずりする。

「その言葉、もっと私を知ってから言えるといいのですが……」

 軽くチュッ、と音を鳴らしながらガイの指に口づけた後。
 ガイの首筋に顔を埋め、エリクはほのかに赤く染まった首筋に唇を落とした。

「あ……っ……んん……」

 吸われた感触と吐息が、ガイをさらに追い詰める。
 そうしてシャツをめくられ、胸元や乳首に口づけと舌の愛撫を繰り返され、思わずガイはエリクの頭を抱擁した。
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